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煮詰まりきった窒息社会に風穴を開けるこの魔法の特効薬

Posted by 高見鈴虫 on 13.2015 日々之戯言(ヒビノタワゴト)
世の中はまさに窒息寸前。

そこかしこにいまにもヒステリーの発作に身が張り裂けては爆発しそうな奴らがわんさかいる、
それはまるで、鮨詰めに押し込まれた地下鉄の中。

おい、押すなよ。
そこどけよ。
そっちこそちょっと横にずれろよ。
口臭からワキ臭から、
髪の脂から毒ガスのようなコロンから、
IPHONEの画面から、
周りを囲む人間という人間がことごとくも、
どいつもこいつも邪魔くさくて憎たらしくて、
思わず、わあああ、と叫んで両腕を広げては、
どけどけどけ、みんなどけ、降りろ降りろ、
とやりたくなる、というもの。

それはつまりは、キャビン・フィーバー

その苛立ち。
その密封感。
その窒息感。
その閉塞感。

がしかし、内心でなにを思おうが、
そこはやはり、平常心である。
なにが、これしきのこと、な訳である。
つまりは、そう、日本人の耐えの美学な訳である。
ぶっちゃけ、それは、羞恥心に雁字搦めにされたお行儀の良さなのである。

日本人たち、そうやって日々耐えに耐えているのだろう。
そうやって耐えて耐えて耐え続けてしまった挙句に、
ようやく一息ついてひとりになれるとき、
つまりは、深夜の部屋でひとりのモニターを覗きこむ時になって、

ああああ、どけどけどけ、みんなどけ、の状態。

つまりはそう、

ちょうせんくそったれから、少年法改定から、鳩山このやろうから、
ヤフー掲示板なんてのをつらつら見るたびに、思わず開放されては激高してしまい、
実は自分の生活とはなんの関わりもないそんな仮想敵に向かって、
訳もわからないままにただただヒステリックな暴言を吐いてしまったりするのだろう。

そう、俺だって判る。
ここニューヨークにだってそういう奴はたくさんいるし、
かつての俺もそうであったのかもしれない。

それはまさに、キャビン・フィーバー=閉鎖熱、
あるいは、狭心症。
つまりは、立派な病気である。

という訳で、現代人のほとんどが患っているこの難病である、キャビン・フィーバー。

つまりはストレス、あるいは、脱力的虚無感。

どんどんどんどん心が狭くなり、他人を思いやる余裕がなくなり、
なにもかもが憎らしく妬ましく腹立たしく、
そして腹の中にはまさに絶叫を上げて身体を引き裂きたくなるほどのストレス。
つまりそれ、ただたんにヒステリーと言うやつだったりもするんだが。

がしかし、恐れるには足らない。

それを一撃で治してしまう魔法の輩がいる。

それはつまりは、ぶっちゃけ動物であったりする。

猫であったり、犬であったり、或いは、鳩であったり、カラスであったり。

とりあえず、人間以外の何かと交流を持つことなのだ。

それが証拠に、押し詰められた地下鉄の中で、

くそったれ、この電車また止まりやがってばかやろう、いったいいつ走るんだよ、
てめえこのやろう、くそやろう、土人が、赤首が、チョンが、ちゃんころが、メキ公が、
てめえ、臭えぞてめえ、みんなまとめて死んでしまえ、ばかたれたが、

とやっている時に、

ひとたび、にゃあ、と間の抜けた声が響いたとたんに、

!?!? とそんな車内の空気にまさに亀裂が入る訳だ。

なになになに?猫?猫がいるの?

という訳で猫である。

隣りに立ったクソババアのバッグから顔を出した猫。

なんだよこいつ、こんなところに猫なんて連れてきやがって、と思うかもしれない。

が、そんな猫から、そのつぶらな瞳に見つめられて、にゃあ、とやられれば、

誰だって思わず、おお、はいはい、とにんまり、ぐらいはしてしまう。

暑いなあ、お前は大丈夫か、はいはい、よしよし、とやるととたんにゴロゴロゴロゴロ。

おお、と思わず顔を近づけて、頬ずりでもしたくなってしまうじゃないか。

或いは子犬である。あるいは盲導犬である。

キャビン・フィーバーの特効薬とは、まさに動物。
そう、たかが動物一匹が、
ともすると破裂寸前の集団狂気を一撃で癒してしまう魔法の力を秘めているのである。

という訳で、

ようやく抜けだしたランチタイム、慌ててピックアップした有り合わせのサンドイッチ、
その店先で、にゃあ、とやられたり、
あるいは、一服つけに出た公園で、散歩の途中のラブラドルから「お手」をされたり、
たったそれだけで、たったそれだけのことで、
再びオフィスに戻るときにはまったくの別人になっていたりするのだ。

煮詰まりきった窒息社会に風穴を開けるこの魔法の特効薬。

オフィス街に、そんな動物たちと触れ合えるちょっとした場所があるだけで、
会社は、そして社会は、変われたりするのではないかな、と甘いことを考えてみたりもする。

という訳で、経営者のみなさん、

オフィスにペットを飼いませんか?
あるいは、ペット委託所を作りませんか?

そのストレス解消効果、まさに劇的ですよ。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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