Loading…

貧困は肥満度

Posted by 高見鈴虫 on 18.2015 ニューヨーク徒然
混んだ地下鉄の中、
閉まりかけたドアをこじ開けて乗り込んできた、
風船、というよりはゴミ袋をパンパンに膨らましたように
化け物クラスに太った黒人のおばはん。

ドアが閉まると同時に、
ちょっとどいてどいて、と中に割り込んできては、
やにわに声を張り上げて、

皆さん聞いてください!

みなさん、
私は哀れなホームレスです。
住む場所も食べる物もなく
疲れ果ててお腹が空いて死にそうです、

とかなんとか。

あのなあ、と改めてこのアドバルーンの風船のように太った黒人のばばあ。

食う物がなくてどうやってそんなにブクブク太れるんだよ。
おととい来やがれ、としかとを決め込んでいた所、
そんな俺の思念を読みきったかのように、

昨日から何も食べてません。
いつものスープキッチンに行ったら閉まっていて
今日のランチもまだなんです、
おなかが減って死にそうなんです。
お願いです、
1ドルでも10ドルでも100ドルでもかまいません、
私にお金を恵んでください。


と、いう後ろから、
まるで俺の思念を読みきったかのように、

ちょうど良いじゃないか、ダイエットでもしろよ
と言われて思わず車内が大爆笑。
つまりは誰もが同じことを考えていたのか、と。

としたところ

あのねえ、とその化け物のように太ったおばはん。

あのねえ、
あんたらみたいに金持ちで
オーガニックサラダからファームフィードチキンから
USDAサーティファイドの完全自然食の
なんてものばかり食べられたら
あたしだってこんなに醜く太ったりしないわよ。

金がないからピザとかマクダーネルとか、
TVディナーと缶フードからしか食べれないから
こんなになっちゃうのよ。

金がないからダイエットなんかに
気を使ってる余裕なんてないのよ。
判った?
判ったらそのセクシーフォックス気取りのビッチ、
そこで笑ってる時代錯誤のヤッピー野郎、
さっさとお恵みを寄越しなさいよ。

まあ確かに、そう言われてみればそう、
もしかしたら真理かもしれず。

貧乏人ほどにブクブクと太り
金持ちほどスマートに痩せている
そのあまりにも判りやすい貧富差。
その現実を、
そっかホームレスの奴らも気づいているんだよな。

貧乏人ほど太っているってのも
つくづくおかしな世の中になったものだが、
確かにあれだけ太ってしまっている以上、
まさか健康体である筈もなく、
この先にろくな人生も期待できない以上、
ジャンクフードを自棄食いするぐらいしかなんの愉しみもねえんだろう。
つまり、これも棄民の一環ってことなのか。

開拓史時代、アメリカはネイティブインデアン撲滅のために、
救助支援と称して配った毛布に病原菌を仕込ませていた。
プエルトリコを併合した際には、健康診断と偽って避妊手術を施したり、
その後は、予防接種と偽って新薬の実験台にしたり、
とまあ世の中にいろいろあったのは知ってはいるが、

そっか、そしていま、
貧乏人が食っているあのジャンクフードもそのひとつ。
ぶくぶく太らせてさっさとあの世に送ってやれ、
ということな訳かいね。

つくづく人間が資源として浪費され消費され摩滅され、
使い捨てられる世の中。

ただ、こいつらが消えてくれれば、
あのゲットーのプロジェクトのビル郡が、
あっという間に高級ハイライズに成り代わるんだろうな、
と思ってみると、
早々と人道主義者の面をするのも馬鹿馬鹿しい、ということだろう。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム