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ゲットー集団が罷り通る熱帯夜

Posted by 高見鈴虫 on 27.2015 ニューヨーク徒然

熱帯夜のニューヨーク
風一つそよがない茹だるような暑さ。

こんな夜でさえ、エアコンがんがんの部屋を這い出ては、
わざわざやぶ蚊の踊り狂う暗い公園に散歩に出なくてはならないのも
犬を飼う者の宿命。

ああ、やれやれ、と、アパートのビルを出た途端に、
むっと襲いかかるこの湿った空気の塊。
まるで下水道の中を歩いているような匂いである。

道行く人々もまるでゾンビのようにゆらゆらと歩いている訳だが、
その中を、不穏なほどに元気な集団。

ここら辺りではあまり見かけない
ゲットー色むんむんの若い黒人たち。

まさに猿そっくりの嬌声で騒ぎ立てながら
すれ違う人々を突き飛ばしては、
道行くデリの店先の網棚から
手当たり次第にフルーツからジュースから
花束から空のバケツからをかっぱらっては
一口食っては道端に、投げ捨て、放り投げ、を繰り返す。

このクソ金持ちどもが
格差社会の汚濁やろう
死ね!地獄へ落ちろ
と聞いたようなことを抜かしている。

そのあまりの暴虐武人ぶり。無法者ぶり。
金属バットを持って走りだしてきたコリアン・デリの店番でさえ、
あまりのことに唖然として見送るばかり。

いやあ、失うものがねえってのはそれだけでちょっと小気味が良いものだな、
と一昔前のおれたちの姿を重ねてしまって、
警察を呼ぶどころか、
なんとなく、よお、と声などかけてしまった。

兄ちゃん姉ちゃん、
そうやって不平不満を他人のせいにしてられるのもいまのうちなんだぜ。
ただ、それが許されるうちは、思い切り逃げまわっていればいいさ。

大丈夫、お前らの未来は、どうあがいてもどうせろくなものじゃねえが、
そうなったらそうなったで、まあなんとかなったりもするかもしれねえからな。

と言うわけで、まあ、がんばれよ、と笑いかけてやったりもした訳だが、

そういう判ったような態度、ってのが、
ガキどもにとっては実は一番残酷であったりもするのだろう。
が、そんなことは俺の知ったことでもねえ。

つまり、そう、
不良少年たちを妙に甘やかす判ったような言葉ってのは、
実はそういうことなわけだ。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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