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ニューヨークシティーマラソンが終わった

Posted by 高見鈴虫 on 10.2010 ニューヨーク徒然
ニューヨークシティーマラソンが終わった。
セントラルパークノ燃えるような紅葉の丘の向こうに消えて行ったランナー達に別れを告げて、ここニューヨークは辛く長い冬へと向かう。
ニューヨークの冬は厳しい。
ハドソン川から吹き付ける風は、
身を切るようなという表現そのもので、
氷りの刃で切りつけるようにヤスリでこすり上げるように、
まさに身体中を傷だらけにして行く。
足元から腹から背中から、
絡み付いてくる寒気は全身を縛り上げ、
僅かに残った温もりのその最後の一滴さえも搾り取ってゆく。
そんなニューヨークの冬。
まともな人間であれば、一度ドアの奥に辿り着いたら、それこそ相当な事情がない限り再び閉じられたドアを開ける事はなく、あるいは通りかかったタクシーに向けて決死の覚悟で飛びつくや一瞬の気合で中に飛び込んでほっと息を吐く、まさにそんな感じであるべき筈なのだが。
しかしながら、凍えついた深夜の舗道に、
吹きすさぶ殺人的な北風に全身をなぶられながら、背中を丸めて歩き続ける人々がいる。
真冬のニューヨークで舗道に立つ者の姿があれば、それはまさにドッグラバーに他ならない。
悲しい事に、犬には土曜も日曜もない。
部屋にうんこおしっこをして欲しくなければ、
あるいは部屋中の家具から本からcdからをオモチャの代わりにされたくなければ、
まだ暗い夜明けの街に、
死に絶えた深夜の街でも、
赤い舌と揺れる尻尾に導かれて
ドッグラバーは決死の彷徨へと旅立つことになる。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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