Loading…

長くアメリカに暮らしているせいで、なかなか日本での方言が抜けない

Posted by 高見鈴虫 on 22.2015 日々之戯言(ヒビノタワゴト)
長くアメリカに暮らしているせいで、なかなか日本での方言が抜けない。

まわりはどうせアメリカ人ばかり。
日本語で何を話そうが誰に判る訳がない、とばかりに、
ともすると己にとって最も馴染んだ言葉を、
それも何の躊躇もなく口走ってしまうことが半ば習慣化してしまったためだ。

俺は横浜の出身なので俺の話す方言とはつまりは横浜弁。
それもかなり地元土着民仕様のコテコテの浜弁となる訳で、
あのさ~、ってゆーかさー、から始まって、じゃん、で締める、
つまりは、まあ、あのおしゃれでキッチュなヨコハマ弁か、
と誤解される向きはあるが、
しかし、それは実は外面の浜弁であって、
実のところの地元弁はと言えば、べー言葉。
そうだべよー、とまさに田舎っぺ丸出し的な百姓言葉を、
割りと喜んで使っていたりもしたものなのだ。

で、それに加えて、俺が最も慣れ親しんだ言葉と言えば、
まさに、一昔前のあのツッパリ言葉であって、
てめえ、この野郎、から始まって、しめるだ、ぶっ殺すだ、ぶっ刺すだ、バリバリだ、ヨロシクだ、
というまああの当時の決め言葉が、
口を開いた途端にまさに湯水のように湧き出てくる訳だ。

てめえ、この野郎、どこ見てやがんだ、ぶっ殺すぞ、
から、
どけえ、デブ、どけってんだよ、
から、
んだハープー、なんのつもりだのこのくそひゃくしょーが、臭えんだよ、
から、
ふっざけろよ、この野郎、舐めてんのかよ、言ってみろよ、こら、
やらやら。

まあそう、そういう一頃の横浜ヤンキー言葉が、
まさにあの時代のあの雰囲気そのままに真空パックで凍結されたまま、
時空を飛び越えてしっかりとここニューヨークに根付いている、
というところかもしれない。

という訳で、ニューヨークの雑踏でいきなり、
どけ、ひゃくしょー、ぶっ殺すぞ、と怒鳴られたら、
それを言ったのはたぶん、俺です。




とか言ってたら、
なんと、いまアルバイトにお邪魔している会社、なんと日系でやんの。

が、まあ、俺の周りはどうせジャマイカ人とかドミニカ人とかばかりなんで、
別に俺がなんの独り言を呟いていようが誰も知ったことじゃねえだろう、
とは思っていた訳で、

んだよこれはよ、舐めてんのかよ、このクソ馬鹿野郎が、
やら、
てめえこのやろう、ぶっ刺すぞ、こら、わあってんのかよ、から、
から、
だからなんだってんだってんだよ、パープー、そこで死んでろってぇの、
とかと、普通に口走っていたのだが、

ふと前を通りかかった駐在さんが、まさに目を丸くして凍りついているではないか。

で、思わず、ケ・ワサビ! テキエロ・ムーチョ、カラムーチョ、
いや、あのスペイン語の勉強なんです、
とかと誤魔化して、なんてのも洒落臭え。

で、思わず、
んだよ、タコ、なに見てんだよ、こら、
とかと平気で言ってしまったりもするのだが、
そう、ここはニューヨーク。
日本語でなにを言おうが知ったことじゃないでしょ?
なんで、まあね、なんでもいいじゃん、って感じでさ。

ちゅうわけで、後ろから突き飛ばされて、邪魔だ、どけ、パープー、と怒鳴られたり、
トイレの中から、
ごるらー!ばっしゃおーだっせー、とかいうだみ声が聞こえたら、
それはたぶん、俺である。


プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム