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ウイリアムズ・バーグのジャンキー・チアリーダーズ

Posted by 高見鈴虫 on 06.2015 ニューヨーク徒然
この連休、久々に嘗ての悪友を訪ねて午前様。
明け方の地下鉄でブルックリン。
ウイリアムズ・バーグを過ぎたところで、
パーティがえりの女の子ばかりの集団がどっと乗り込んできた。

見た所どれもこれもあまりぱっとしない小肥りの女の子。
見る限り田舎の女子大生と言ったところなのだが、
そのあまりにも妙ちくりんな原因が何かと言えば、
どいつもこいつもまるでチアリーダーの練習帰りのような、
Tシャツ一枚にパンツ丸出しのようなミニスカート。

で、そんなチアリーダーさんたち。
夜通しで遊んでいたのか
どいつもこいつも目のまわりにべっとりと墨を塗ったようなクマを貼り付けては、
見る影もなくドロドロに疲れきっている。

倒れこむようにして乗り込んで来た途端、
椅子に座るどころかそのままごろりと横になって
身体の骨が溶け出してしまったかのように
床に座り込んでは重なり合うように寝転がっている奴もいる。

ともすると目のやり場に困るぐらいに、
胸も尻も、どころかパンツさえ履いていないのか
陰毛の茂みまでが丸見えの奴までいて、
最近の若い子はみんな下の毛を剃ってるものかと思っていたのだがそうでもないんだな、
とか変なことに感心しつつ、
いったい全体こんな女の子たちが夜通し何をしていたのか、
と思った途端、その鼻にツンとする臭いですぐに察しが着いた。

どうやらまたヘロインが流行ってるみたいだな。
ガキがドラッグに走るのはまあ今に始まった事では無いのだが、
よりによってこんなチアリーダーのような垢抜けない女の子たちが
夜通しでヘロイン漬けかよ。

そんな少女たちの身体中から立ち上る胃液の匂いに
こっちまで胸がむかむかしてくる思いがして、
下着もなにも丸出しになろうがまったく気にもしてない風は、
ついさっきまで隣に寝ている誰が誰と何をしているかさっぱり判らないような
デロデロのランパをしていたのだろう、とすぐに察しがついてしまう。

まあ、連休中だしな、とも思う。
見たところそのあまりにも開け抜けない様から、
田舎からやってきた女子大生ってところなのだろうが、
連休の間に田舎から迷い込んできたガキどもが、
一夜にして都会の毒の中に頭まで浸りきってはいとも簡単に人生を踏み外してゆく、という縮図。
そうそれも今に始まった事では無い
かく言う俺もしっかりとそんな一人だった訳でさ。
ただ俺が、そう、そんな世界からあまりにも隔絶されてしまっただけの話なのだ。

紫のスケべライト一つの暗がりの中、アンパン食わせて転がした女たちに、
次々に乗っかってとっかえひっかえ、なんてことをやっていた俺たちを、
大人たちがいったいどんな思いで見ていたのか。

多分死ぬほど羨ましかったか、あるいは、そう、今の俺のように、
そんな快楽にはもう一生手の届かなくなってしまったかのような、
絶望的な孤独感を味わっていたに違いない。

教育的指導だ?糞っ喰らえだ。

見ろ、そんな俺が、今もこうして生きていて、
しかも、そんな昔の俺達のようなガキに、
セックス・ドラッグ・ロックンロールか?まったくけしからん、
なんて風に眉を顰めてみたり、なんてことまでしてるんだぜ。
まったくお笑いじゃねえか。

ガキども、好きにやれ。
なにをどうしようが、生きている限りいつかはどこかに辿り着ける。
例え死んでしまったとしても、それはそれでそれほど悪いことでもない筈だ。
どうせこの先、この世の中、ろくでもねえ結末以外、用意されているとも思えないしな。

という訳で、イースト・リバーを越える烈車の窓から、
少女たちの剥き出しの尻が、朝日の中に晒される様を、
ったくこいつら、しょうもねえな、と苦笑いをしながら、
こんな女達を騙してすかしておもちゃにしていたであろう、
ウイリアムズバーグの悪の大魔王の姿をちょっと想像しては、
俺も負けてはいられねえな、と、
なにげに闘争心を駆り立てられる思いもして、
ありがとう、ニューヨークの神様、俺はすっかりと目が覚めました、
とお祈りまで捧げたくもなった、というものだ。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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