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日本語放送という羊水に浸りきって

Posted by 高見鈴虫 on 05.2015 日々之戯言(ヒビノタワゴト)
最近ずっとまた日本のテレビを観ていた。

またいつもの奴、というか、これもしかして恒例なのか?
とりあえず、TV-JAPANのお試し期間であった訳だ。

改めて日本のテレビである。
NHKの番組が中心なのだが、一度見始めるとついついダラダラと見続けてしまい、
そしてそれは、言っちゃ何だが、とても面白く、そしてタメになる。



アメリカにどうしてこんなに面白くて為になる番組がないのかな、とつくづく首を傾げるのだが、
まあ確かに探せばあるのだろうが、アメリカはなによりチャンネルが多すぎて、
どこのチャンネルでなにをやってるかさっぱり判らず、
しかも、その差別化が徹底しすぎている関係で、
ニュース専用、スポーツ専用、お料理専用どころか
それがより特化し、
テニス・チャンネルでは一日中徹底的にテニスばかり、
SFチャンネルでは朝からずっとスタートレックばかり。
白人は白人向けの、黒人は黒人向けの、ラテン系は朝からずっとスペイン語。
で、そう、そしてこのTV-JAPAN。
朝から晩までずっと日本語の放送となる訳で、
このTV-JAPANを見始めてから、
あれよあれよと英語能力が低下を初め、
聞き取りがあやふやになり、舌が回らず、とまったくろくなことがない。

ああそうか、巷に蠢くあのニューヨークの日本人社会の人々。
一年二年どころか、十年たっても二十年たっても、
ろくすっぽ英語が喋れない人々ってのは、
つまりはそう、こうやって日本語放送ばかり観ているから、なのだな。

日本語放送。
改めて思うのは日本のテレビこそはつまりは生暖かい羊膜のようなものなのだな。

海外に暮らすというこの一種熾烈な状況を忘れされてくれ変わりに、
そんな鬩ぎ合いに立ち向かおうとする勇気ややる気さえも根こそぎ骨抜きにしてしまうような、
そんな甘い甘い羊水に包まれ、まるで追われるダチョウが頭だけを地中に突っ込むように、
日本語の日本語による日本だけの世界の中に、
一人勝手に雲隠れしてしまっているような気にもなる。

という訳で、この日本語放送、まったくろくなことがない。
ろくなことがないながらも、やはり見続けてしまうのがやはりこの日本語放送である訳で、
まったくなあ、と苦笑いしながら、この人種文化の交錯する街で、
いつしか俺は一人勝手に完全に日本人になりきってしまっている訳である。

という訳で、二週間のお試し期間が終わった時、
ふと、心の底にぽっかりと穴が空いてしまった気がした。

毎度ながら、この空虚感、まさに祭りのあと、と言った感じ。

というか、そう、ぶっちゃけバケーション帰り。
日本に里帰りの後に、いやあ帰って来たぞアメリカ、という安堵感と同時に、
なにかぽっかりと取り残されてしまったような、迷い子のような静寂感に襲われる。

という訳でいまさらながら、
日本とはつまりは、日本語放送。

つまり、日本のあの、抜けるに抜けられない強固な殻、
いつまでたっても国際社会にはまったく馴染むことができないまま、
すっかりガラパゴス化をしながらも、
しかしそのおぼつかないベイビーイングリッシュをひとたび引剥してみれば、
んだよ、その頭の中はまさに知恵と知識の宝庫、
ってな、おかしなマジックボックス化しているこの日本人という人種のその根本とは、
つまりはそう、テレビ、なのである。

という訳で改めて、日本語って本当に凄いよな、と思う。

その伝達能力速さ、そして理解力の深さに慣れきってしまうと、
改めて、まわりを囲むアメリカ人たちが馬鹿に見えて仕方がなくなるわけだ。

がそう、しかし悲しいことに、
近年のゆとり教育だかなんだか知らないが、
白痴的なまでにお馬鹿な日本人ってのが大量に培養されてしまった現実ってのもあるにはある。

日本人でありながら、しかしそんな日本人のオツムにまったくついていけなくなってしまった輩たち。

ぶっちゃけ、フジテレビ系FCIやら、果てはかのYAHOO掲示板なんてところを見れば、
それはまさに一目瞭然なのではあるが、
そっか、それもつまりは、差別化、あるいは棄民化の一種であった訳なのだな。

という訳で、そう、海外に居るとその日本語文化の選択オプションがないことから、
馬鹿な日本人の馬鹿な日本人による馬鹿な日本人の為の、
つまりは、棄民された知恵足らず向け、できそこない向けのメディアしか見ることができなかった、
そのストレスから、ついつい、あのなあ、日本人、そこまで馬鹿になって尚も日本人面するわけか、
ということにもなってしまった訳だが、
そう、忘れていたぞ。
確かに、日本人は馬鹿じゃない。
そう、この日本語のテレビをちょっと見るだけで、
この人種、果ては本当の本当に頭を使うことが好きな人種であるのだな、と思い知らされる訳で、
この東洋のガラパゴス島。
不思議一杯のこの小さな島国が、
実はそんな、知恵者達の楽園と化している事実を、当の日本人たちはまったく気づいていなのであろうな。

ちゅうわけで、近年の妙な日本ブーム、
そんな日本に嵌り込む外人たち、のその理由は、と言えば、
人種によらず、
とにかく頭をつかうことが好きな人、であるのだろうな。

そっか、そういうことなのか、なんてことを考えながら、
ああ、日本語放送終わってしまった。

とたんにようやく英語が判るようになった分、なんか凄く馬鹿になっていく気もしている訳だ。


プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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