Loading…

「人生を変えた十冊」

Posted by 高見鈴虫 on 11.2015 読書・映画ねた

先のTVJAPANサービス週間中、NHKでやっていた「人生を変えた十冊」
なんて番組を観ていて、うっしそれなら俺も、とちょっと人生を整理してみる気にもなった。


「白鯨」メルヴィル
子供の頃に児童なんとか文庫で読んだのだが、読み始めた夜に熱をだした。興奮していたのだと思う。
荒くれどもと共に冒険の旅に出る学者崩れの青二才。そのイメージが後の俺のテーマになったと思っている。
こんな本に子供の頃に出会ってしまったというのも運命なのかと今になって感じ入る。


「限りなく透明に近いブルー」 村上龍
高校一年だったか。ちょうど色気づいてきた頃。
なにが書いてあるかさっぱりわからなかったが、
どういう訳かこの小説に描かれている世界が「格好よい」と思ってしまったようだ。
住んでいたのが基地の街であったことからなんとなくまわりに似たような匂いを感じたのかもしれない。
もちろん高校一年生には及びも付かない世界ではあったが、勿論ちょっと真似してしまおうかとも思って、
あの時代、どこに行くにもずっとカバンの中に持ち歩いていたのを思い出す。


「気分はもう戦争」 矢作俊作・大友克洋
高校の頃、電車の網棚に忘れられていたスピリッツ。
その中にあったこの大名作。
後に駅前の書店で立ち読み読了したのだが、
まさに目からウロコであった。
暴走族やらパンクバンドやら受験戦争やら、
目の前の現実がとことん馬鹿馬鹿しくなって、逃避パワーが炸裂。
これはもうハチマキを締めて戦争に行くしか無いな、
と心に決めていたようなところがある。
後に俺は本気でアフガンの戦場を目指すことになったのだが、
ぶっちゃけこのマンガに感化されただけ。
色々な意味で俺の人生を決定したトラウマ的名著。


「東京漂流」 藤原新也
大学に入学したその日、ちょっと覗いてみた春の木漏れ日の射しこむ誰もいない教室。
その教壇に置かれていたこの本。
思わず立ったまま読み始めて身体中に電気が走るような興奮を覚えた。
後に旅行会社でアルバイトを初めたところ、
その近所にあったラーメン屋にその本が置かれていて、
結局、昼飯時にラーメンを食いに通いながら読了。
取り敢えずは「旅」に出るしかないな、と運命を感じた。


「悪魔を憐れむ歌」トニー・サンチェス。
嘘ばっかりだ、クソだ、タコだ、と糞味噌に言われているが、
ここに描かれた男同士の世界。まさにひとつの人間文学の結晶と言えるかと。
セックスドラッグロックンロールの真髄に触れる大名作と勝手に思っている。


「チベット旅行記」河口 慧海
当時の長期旅行者の間で、カルロス・カスタネダのドンファンと並んでまさに定番書となりえたという気がしていて、
安宿の隅の置き去り文庫でよく見かけた気がする。
カスタネダのペーパーバッグはあっという間にハッパの巻紙やらフィルターにされてしまったが、
このチベット旅行記だけは、思わず手を合わせながら
大事に大事に保管されていたような気がするな。
という訳で、帰国後最初に貰った給料でこの本を全て買い揃えたのだが、
今では青空文庫になっていてとてもうれしい。
という訳で、未だに事あるごとにIPHONE上で読み返すこと多し。
何度読み返しても学ぶところが多い。
まさに心が洗われるというか姿勢が伸びるというか、
人間こう生きるべしという見本を示した大名作。


「輝ける闇」 開高健。
俺的には開高健の最高傑作。
文体の切れ味。そしてその臨場感。なににもまして旅の文学の最高傑作と言えるかと。
最後のページを読み終えた時、飛行機の中であったのだが、おいおいと泣けてしまったのを覚えている。


「どくろ杯」金子光晴。
俺的にはまさに座右の銘。夫婦して世界ドサ回りを続けるその切迫さに、
うーん、これに比べたら俺たちはまだまだ大丈夫と勇気さえも与えてくれたりもする。
色々な意味でまさに不良の鏡。素晴らしい作品である。


「雪国」 川端康成。
俺的には日本語による文学の一つの頂点。その美しさに思わず涙が滲むことしきり。
日本語って良いなあ。深いよなあと抱きしめたくなるような珠玉の散文集。


「百年の孤独」 ガルシア・マルケス
旅の間、知り合ったカメラマンから死にたくなったらこれを読めと言われた作品。
後に帰国後本当に死にたくなってこの本を読んだが、
読み終わった時にはまさに頭がグラグラ、
世界が大地震に襲われたような気さえもした。
あれ以来なんど読み返したか知れない。
まさに座右の書。
これからも死ぬまで読み続けると思う。



ちゅう訳でなんだ。

そっか、俺ってやっぱりそういう人だったんだよな。
限りなく知性に欠ける跳ねっかえりの青二才であった訳だが、
こうして感銘を受けた本を並べてみると、なんとなくその傾向と対策が見えてきてしまう気もして、
自分というものにつくづく愛想をつかしたくなったりもする。

という訳でそう、自分の子供をこんなどうしようもないおっさんにしたくない方々。
ここに上げた本はまさに悪魔の有害書。
ろくでなしのろくでなしによるろくでなしになるための本、と踏まえ、
良い子の目から極力遠ざけるべし、とご忠告申し上げる。

最近となっては一度読んだ本を読み返したくなることなど殆どない。
あまりに愚作ばかりが続いて本を読むことさえもが時間の無駄と思えることが多々あるのだが、
そんな時、ミッドタウンの紀伊国屋なんぞに行ったりすると、
ああここにある本を全て買い占めたい、とも思うのだが、
なかなかそういう思い切りもつかず。
BOOKOFFの1ドルセールに落ちてくるのを待つばかりというところか。とほほほ。

という訳で、ここに上げた十冊、そして池波正太郎、
あるいは、現役どころでは浅田次郎なんかはちょくちょくと読んでいるのだが、
いざこうして10冊ときめてみると、
ああ、でも、あの本も、この本も漏れてるな、と思えば思うほど、
なんとなく、それでいいのか、という気もしてくるが、
嘗ての大恩人、早逝したかの大冒険家の座右の銘であった、
棺桶に持っていく本を10冊選べ。それ以外に家に本は置くな、
という言葉について改めて考えさせられたりもする。

そろそろ俺もそういう年齢が近い、ということなのかな。


そろそろ遺言でも書いておくか。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム