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ニュージャージー ~ 川向うの魔境

Posted by 高見鈴虫 on 05.2015 ニューヨーク徒然
ニュージャージーのオフィスに通っているのだが、
そこで出会う人々、なにからなにまで徹底的に美意識が合わない。

川一つ越えただけで何故にここまで食い違うのか、
とつくづく不思議になるぐらいに、つまりはなにもかもが違う。

味覚、美意識、そして、最もたるものは美人の定義。

このニュージャージーの人々、どれもこれもことごとくデブである。




やばいな最近また太ってきたな、またダイエットを初めねば、
と思っていた俺がつくづく馬鹿馬鹿しく思える程、
ここニュージャージーの人々、全員が全員、徹底的に太っている。
太っていながら、やれスニッカーズだ、キットカットだ、トゥイザラーだ、を、
のべつ幕なしにくちゃくちゃくちゃくちゃと食いまくっている訳で、
まあこんなもの食っていたら太るのは当然。
そのうちみんな確実に糖尿病であの世行き、とは思っていながら、
本人たちも気づいていながら、しかし、そう、それをやめようとはしない。

とそんなニュージャージーの会社。

その中の一人に一際、まさにとんでもない尻をした女がいる。

それはまさしく黒人の女性で、
この人があの聞きしに及んだホッテントット一族と言うやつか、
というぐらいに、尻ばかりがでーんとでかい、でかすぎる。

よくよく見れば乳もそれなりにでかい訳だが、
その尻の大きさに圧倒されて、顔がどうの胸がどうの、と、
そんな次元にはいつまでたっても辿りつけないのだが、
あろうことか、そんなホッテントット嬢が、
このオフィスではやたらと人気があるらしい。

俺から言わせれば、美人かブスかとかそれ以前に、
あのなあ、あんな尻、下手をすればフリークス、
と思わず引いてしまう俺のことなど眼中にないように、
まわりの白人、黒人、あるいはラティノ連中は、
まさにそのホッテントット嬢から目が離せないらしい。

とまあそんな訳なので、この徹底的な美意識の食い違い。
つまりニュージャージーはまったくの異境。
がしかし、まわりと話が合わないことを除けば、
無駄な目移りもしない分、仕事に集中できて良いのだが、
とかと思っていた矢先、
マンハッタンのヘッドオフィスから出張ってきた一団。

まさに、その出で立ちからファッションセンスから物腰から、全てがマンハッタン。
スレンダーな身体にタイトなビジネススーツ。
その眼差しの涼やかさと、ふと差し出された手の、その指の細いこと白いこと。

普段見慣れている筈のそんなマンハッタン風情が、
このオフィスの中だとまさに後光が射しても見える。
という訳で思わず、はっはっはと、赤いものを出しそうになりながら、
そんなマンハッタン組としばし大人の話題。

いやあやっぱりヘッドオフィス、いいなあ、
くっそたれ、早く川の向こうに戻りたい、
とつくづく考えていたところ、
席に戻った奴ら。
互いに目を合わせてはちっちっち、とやっている。

どうだ、お前らにもこのニュージャージーが、
どれだけクソダサイか身にしみたか、と思っていたところ、

あの女たち、どうしてあんなに痩せているんだ?
つくづく判らない、とぼそりとつぶやくドミニカ人。
勿体無い。まったく勿体無い。

まったくだ。あんなに尻も胸もぺったんこだったら、
ガキかオトナか、男か女か、
まるで判ったものじゃない。まったくいけてない。

はあ?と思わず。

普段からまわりのニュージャージー女たちを、
こんなに太っちまったらどこが胸でどこが腹か判ったもんじゃねえ、
と思っている俺の、まさに裏をかいたかのようなその言葉。

とそんな俺を、ちとーっと冷たく見つめる人々。

お前も可哀想にな。あんな発育不良みたいなのに囲まれてたから、
すっかりお前もそんな痩せっぽちなんだよな。
そんなじゃいくら仕事を頑張っても女には洟もひっかけられないだろう、
とせせら笑い。

痩せっぽち?俺が?。。。

という訳で、ニュージャージー。違うな、違いすぎるな。

同じにしようなどとはこれっぽっちも思わないのだが。

という訳で、そっか。

全米で蔓延する肥満と成人病。
つまりはこういう知恵足らずたちがそれを支えているんだよな、と再認識。

アメリカ、だめだこれは、と改めて思った。

という訳で、ニューヨーカーよ。マンハッタンを離れてはいけない。なにがあっても。

川向うのそこは、まさに魔境。デブの魔境なのだ。
行かずに済むなら行かないに越したことはない。






プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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