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散りゆく季節に君を想うこと

Posted by 高見鈴虫 on 07.2015 嘗て知った結末
改めて、何故にこれほどまでに徹底的に女が目に入らなくなってしまったか、
と言えば、
まあそう、そういう歳なんでしょ、と言われればそれまでなのだが、
それにしても、である。
これまで、まさに徹底的にというぐらいに女おんなオンナ中心に生きてきた手前、
いきなりそんな目の前の風景から女という存在が抜け落ちてしまうと、
その巨大な空白が、まさにがらんどうのように、無味乾燥も甚だしく、
つまりはなにをやっても徹底的に面白くもなんともない。

果たして何故にここまで女に興味がなくなってしまったのか。




やっぱ歳っすかねえ、とその道の先輩に聞いてみれば、
いや、俺はこの歳でもまだまだ現役。
まあ、そう、バイアグラの助けはいるけどね、と少年の顔でニヤリと笑われる。
うーん、さすがだ、とそんな先輩に思わず後光が射して見える。

そう、少年である。
少年であるのだからなんでも許されるのだ、という一種の甘え、或いは傲慢こそが、
あの女おんなオンナを追い求めるパワーの源泉。

そして俺は嘗ては永遠の少年であった筈である。

そんな俺が、いつの間にか、中年を通り越していきなり老人という訳か。

なぜだろう、と考えてみる。

犬を飼ったから?テニスをやっていないから。旅をやめたらか。
いや、つまりは、ドラムを辞めたからだろうな、と思いついた。

そう、俺はドラムを辞めた。

つまり、ドラムを辞めた時点で、俺はもう既に俺ではなくなってしまったのである。
それを、俺自身が自分でもよく判っていたのだろう。

もういいさ、と俺は思っている。ドラムも辞めたんだ。無理して女をおっかける必要もあるまい。

そう、俺に取って、ドラムと女は妙な形でリンクしていたのだな、と改めて思い知らされる。
そしてそれを俺は辞めた。そう、なにかとてつもなく大きなことも、俺は辞めたのである。

ドラムをロックと言い換えても良い。

そう、俺のロックは終わってしまった。俺はついにロックを諦めたのである。

そうか、つまりはそういう事か。

という訳で、夜勤中の暇つぶしも兼ねてまた腹筋を始めた。

腹筋100回、背筋100回、腕立て100回である。

夜更けの誰もいないオフィスの床下から、苦しげなうめき声が響き渡っているのである。

クリスマスとは言えないまでも、春が来る頃までには、またシックスパックのお目見えであろうか。

クソッタレ、俺は死んでもやめねえぞ、無理を無理と承知しながら抗い続けるべきなのだ。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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