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家、ついて行ってイイですか? ってのを観てみた

Posted by 高見鈴虫 on 01.2015 読書・映画ねた
夜勤中の時間つぶしに、

なんとなく 以前に友人から勧められた番組、
家、ついて行ってイイですか?
ってなのをYOUTUBEにで観てみた。

終電に乗り遅れた人に、
タク代を払うから家に行ってインタビューする、
とまあそれだけの番組らしいのだが、
そのリアルさがやたらと面白い。

で、この番組に登場する、
終電に遅れた人、つまりはごく普通のちょっと間の抜けた酔っぱらいの方がた、
改めて、こいつらしっかりしてるなあ、と関心してしまうと同時に、
現代の日本に暮らす人々の、その琴線を手繰り寄せたような気がして、
まさに、目からウロコがボロボロであった。







普段知るかぎりでは、
最近日本から来る奴ら、
どいつもこいつもまるで亡霊のように覇気のない若者たちばかり、
と思っていたのだが、
一皮向けば出てくる出てくる、なのである。

特に20代の若者たち。
下手をすれば俺なんかよりもずっとしっかりしている。

がしかし、こいつら、見るからに辛そうである。

その辛さ感が、いったいどこから出て来ているのだろうと思わず考えてしまう。

俺もしばらく東京で暮らしていたことがある。

実家は横浜なのだが、訳あって家を出て、
そして世田谷の安アパートに暮らしていた。

そんな俺のまわりには、
大学の友人たちやらバンドの関係から、
だちのだちのだちのそのまたダチの知り合いの、
ガールフレンドから内縁の妻から、その友人、
あるいは、こいつ誰の関係なのかさっぱり分からん、
という名も知らぬ家出少年、家出少女、
なんてのが、手を変え品を変え、
とっかえ引返にえに我が貧乏アパートにたむろしていた訳で、

まあ孤独にへしゃぎこむ、というよりはその逆。

東京で一人暮らしという、
なんとも宙ぶらりんな人生を生きていながら、
どこかでなんとなく誰かと支えあっては、
なんとなくぼんやりとだが、いつかはどうにかなるだろう、
的な甘さの中に包まれいていた気もする。

がそう、若者たちである。
基本的にはなにも変わっていない筈の東京の若者たち。

がしかし、傍から観るとそんな若者たちが、
この番組を見る限り、
いやあ、青春っていいよな、どころか、
見るからに辛そうなのである。

東京という街の意味もなくセンチメンタルな風景。

その密室の中でひっそりと暮らす若者たち。

つまりそこからにじみ出ているのは、
先の見えない不安さと、目的を失ったままの焦燥感、
そして、寂しさなのではないだろうか。

なぜ東京はこれほどまでに孤独感に苛まれるのかとふと思う。

そして俺はどうだったのか。
まあ確かに、仕事を初めてからは辛かったよな、と思い出して見る。

この人の海の中で、しかしなんの取っ掛かりもなく、
明日をも知れず、なんの展望もないままに、
ただそんなことさえ忘れてしまうほど、
生活と言えばただ働いて働いて働いてだけ。
今日という一日をただ疲れきってやり過ごせるだけが精一杯。

たまに100円拾った、のように知り合う女たちや、
たまに意識がなくなるほどに酔いまくったり、
昔のダチと愚痴を言い合ったり、
ああ、また旅にでたいな、とたそがれたり、
そんなことを繰り返しながら、
あの頃の俺はいったいなににすがっていたのだろう。

いやすがるものなんてなにもなかった。

ただ、今ある仕事を終わらせることだけが精一杯で、
その後の出張。出張から帰った後のことすら考えられず、’
ただ目の前の仕事をやっつけることだけに走り回っていただけの話しなのだ。

ただ、そんな忙しさは余計なことを考える手間をいっさい省いてくれた。
ただただ、働いて働いて働くだけ。
後先どころか、来週のことさえあるいは、
今日が何の日であるのかさえ、確かな意識はなかったように思う。

そんな中、寝不足と過労の中でただただ霧の中を闇雲に進み続けるような日々は、
寂しさなど考える余裕さえないほどに、つまりはある種の熱狂であったのだろう。

そんな日々の中で、
次から次へと襲いかかる仕事と接待。
飲めない酒を飲まされて意識を失ってタクシーで帰りつく一人の部屋。
スーツも脱がぬうちにベッドに転がって朝が来たらそのまま会社へと向かう、それだけ。

そしてそんな俺が、タクシー代を払うから家に行ってもいいか、と聞かれたら、
いったいあの狭い部屋でなんの話をしたのだろう。

生まれは横浜。
訳あって家を出て、
バンドをやっていて、
旅に出て、タイからインドからアフガンからを経てヨーロッパに抜けて
セックスドラッグスロックンロール。
帰り着いて、そしていまこうして日々意識がなくなるままに我武者羅に働きながら、
明日への展望などなにもないまま、日々、酔っぱらって眠るだけ。

潰えた夢への思い。
旅への郷愁。
別れた女。
知り合った女。
友達。
会社の愚痴。
出張中のできごと。

いったいこの人はどこに向かっているのか。
なにを求めているのか。

誰もがそんな疑問をもっては殺伐とした思いに駆られたに違いない。

本人だけはそんなことなどつゆ知らず、
ただただ朝から深夜まで我武者羅に働いて働かされて、
出張に出て、帰り着いて、
そして東京。そしてこの部屋。

なにかを探していながら、なにも求めていなかった。

探していたものはなんだろう。


という訳で、
家に行ってもイイですか、
俺にもそんな時代があったよな。
そしてあの頃の自分がいったいなんだったのだろう、
そして今の俺はいったいなんなんだろう。

いまはもう忘れてしまったそんな様々なものが、
一挙に津波のように押し寄せてくる、
そんな番組であった。

で、そう、みんなそう思ってみているのだろう。

という訳で、
とてもおもしろい番組であった。
日本、なかなかやるなあ、とまたしても思い知った次第。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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