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グローバル社会における耳かきの特異性について

Posted by 高見鈴虫 on 18.2015 日々之戯言(ヒビノタワゴト)

仕事用の筆箱にどういう訳か耳かきが入っていた。

で、仕事中、その耳かきでコリコリやりながらMAILなんかをチェックしてたら、
いきなり後ろの席からクリスが素っ頓狂な声を上げる。

おんめええ、なにやってんだだだ、とまたいつもの間の抜けたテキサス訛り、
ながら、妙にテンパった声である。

なにやてるんだ、危ないぞ、おい、それやめろってば。

何のことやら、と思ったらやっぱりこの耳かきであるらしい。




この耳かき、
日本でだったらどこででも見かけるあの竹製の白いポンポンのついた奴。
なに?これのことか、と目の前に晒してみれば、
おおおお、なにすんだべ、と露骨に顔をそむけ、

あんなあ、日本ではどうかしらないが、
ここアメリカにおいては、肘より細いものを耳に入れちゃいけない、っていうんだぞ。

肘より細いもの?

そう、つまり、耳の中にはなにも入れちゃいけないんだよ。

え?でも、風呂あがりの綿棒以外は?

それだって本当はしちゃいけないんだべ。

ええ?耳糞ほじらないの?その方が汚えじゃねえか。

いんやあ、耳は頭の奥、つまりは脳味噌につながるとても大切なところなんだべ。
だからむやみに触ってバイキンが入ると、とんでもないことになるっぺな。

ちなみにこちらにおいて耳糞、あるいは、耳垢は、イヤー・ワックス、という。

耳の、ワックス。つまりは耳垂れ、という奴か。

日本人でも耳垢が乾いている派と湿っている派っていうのが二つあるそうで、
この耳かきが必要なのはつまりは乾いている派の方々向けなのであろう。

うちの家族はみんな乾いている派で、
不思議と俺のこれまで耳かきをシェアするぐらいにまで深く付き合った女も全て乾いている派。
ついでに我が家の犬も耳糞は乾いていて、たまにパタパタと耳を振ると白いのがハラハラと舞ったりもする。

そんな事情から、まさかこの世に耳糞が湿っているような奴がいるとは、
こうして世界旅行に出てしばらくしてからでなければ気づくことが無かった。

という訳で、ところかわれば人変わる。

というか、ぶっちゃけ、世界の人類の中でも、この耳糞がからからに乾いているのは、
どうも日本人だけ、のようなのだが本当だろうか。

だとすれば、どちらが異端かと言えば、つまりは耳糞乾き派の方なのだろうなあ。

そんな理由で差別を受けるのもつまらないので、
やはり出来る限り外人の前では耳かきを使わないほうが懸命のようだ。

でそう、この湿った耳糞。
これが多分、乾いては固まって、ととんでもないことになっているのだろうが、

そっかあ、もしかしたらこれを、脳味噌から出ている何らかの廃棄物、と考えていたのだろうかどうだろうか。

そう言えば、同じような意味で外人のへそは汚い。

お腹につながる大切な穴、だから、あまりいじっちゃダメよ、と思っているのかもな。

ふーん、という訳で、そうか、あいつらはこの穴を、身体の深部につながる神秘の穴、と思ってるんだろうな、
と思うとなんとなくおかしかった。




プロフィール

高見鈴虫

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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