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大雪ニューヨーク ~ ニューヨークで犬を飼う者にとって、雪と言えばまずは「潮焼け」なのである

Posted by 高見鈴虫 on 25.2016 犬の事情
という訳で、またまた大雪のニューヨークである。

まあしかし大雪とは言っても、去年の冬のあの地獄のような大雪ラッシュを思えば、
こんなもの、全然大したことないし。

とは言うものの、犬を飼うものにとってこの大雪、なんとも頭の痛いものなのである。

そう、犬は元気だ。

雪、と見た途端に頭の回路が弾け飛んで、雪原の真ん中、
まだ誰も足を踏み入れてない真っ白いカーペットのど真ん中に頭から飛び込んでは、
もんどり打って、転げまわって、走り回り飛びまわり、
がははは、と大口を開けては、さあこっちまで来てみろ、さあボール投げろ、と大騒ぎ。

まあ犬が元気な姿を見るのは悪いことではないのだが、
そう、なのだが、
がしかし、ここに一つの盲点がある。

犬を飼う者達にとって、雪、と言えば、まさに塩、なのである。

雪に塩?なんだそりゃ、となるのがまさに普通人。

がしかし、この塩。

雪が降るたびにここニューヨークでは、舗道の雪除けの為、
降り積もる雪を溶かし、滑り止めにするが為に、大量の塩をぶちまける。

この雪の舗道の塩。

確かに一般人にとってこの塩はまさにありがたい。
つるつると滑る危ない雪道が、撒かれた塩の為になんとか街としての体裁を確保することができる。

しかしながら、そう、この塩。
犬たちにとってはまさに天敵。

普段から靴を履かない犬たちである。
パウ、という固い固い天然のブーツを履いている犬たちには、
靴なんていうしゃらくさいものは本来必要がない筈なのではあるが、
この塩、これが犬たちの天然ブーツの中に染み込んでは、
まるで傷口に塩をすりこむように激痛を伴うことになる。

雪の中を無我夢中で走り回っていた筈の犬たちが、
雪の除けられた舗道に着いたとたん、ヒャン、と背中を丸めてうずくまってしまう。

なんだ?どうした?と心配げな飼い主たち。まさか雪の中で足でもくじいたのか。
が、そう、この雪の舗道のヒャン、こそこが、この塩焼け、ソルト・バーンによるものなのだ。

という訳で、雪まみれの舗道の真ん中で動かなくなってしまった犬たち。
もう嫌だ、この道は歩かない、と必死の形相でがんばっているのは、
別に駄々をこねている訳ではなく、ただただ足が痛い。
まさに焼けた鉄板の上を裸足で歩かされているようなものなのである。

とそんな訳で、ただでさえ足元の覚束ない雪の舗道を、
なにが悲しいか、雪まみれの犬たちを抱え上げては、
その重さにうめき声を漏らしながらよたよたと歩く犬の飼い主たち。

そんな犬の飼い主たちの苦難に、
あれあれ、冷たいのが嫌なの?甘えん坊さんねえ、と要らぬことで囃し立てる一般人たち。
あのなあ、と思わず舌打ちである。

この塩、本当にどうにかしてくれないか、とつくづくこの滑り止めの塩が、そして降り積もる雪が、
恨めしく思える冬の季節なのである。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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