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大雪ニューヨーク ~ 雪後の血便騒動、その理由

Posted by 高見鈴虫 on 25.2016 犬の事情


で、そう、このニューヨークの大雪の災い。
それはいわゆるひとつのソルト・バーン、
つまりは舗道の雪除け、滑りどめのために撒かれる塩が、
犬の足を焼いてしまう、という話なのだが、
そしてもうひとつ、大雪が犬たちに及ぼす弊害としてあげられるのが、下痢、である。

雪が降るたびに、近所の獣医さんは大忙しである。

うちの犬が下痢をした!
昨日まで大元気で走り回っていたのに、いきなり下痢をして。
おまけにびっこを引き始めて外に出ようともしない。
いったいどうしてしまったのか!?

そんな飼い主たちが、照れ笑いを浮かべる犬たちを抱えては、
手に手に雪に塗れたうんこ袋をぶら下げて獣医さんを訪れる訳で、

やれ、下痢便に血が混じっている!
歩行さえもが困難になってしまった!
いつもはあんなに元気な子なのに!

と口々に断末魔の悲鳴を上げ続けることになる。

下痢はいつから?と看護婦さん。
はい、あれは確か、この間、大雪の降った日の次の日から。
水は飲ませてますか?
え?水?ええ、水は飲ませてます。
食欲は?
はい、食欲もあります。
元気は?
はい、元気もあるんですが、いつもは下痢どころか出されたものは一瞬のうちに平らげる元気者。
舗道で道行く人々を跳ね飛ばすような勢いのこの元気な犬が、
今日に至ってはびっこを引きながらクンクンと悲鳴を上げる始末。。

ねえ、いったいどうしてしまったんですか?
と涙声の飼い主たちを尻目に、
便に血は混じっていませんでしたか?
え?うんちに?ああ、ハイ、確かにちょっとピンク色のものが。。

そんな飼い主のパニックを尻目に、
淡々と仕事をこなしていく看護婦さんたち。
唇をめくっては、脱水症状の兆候を調べ、
目の中をのぞきこんで、お尻の穴に体温計をつっこんでは、
もう、朝からこればっかり、とまさにうんざりモード。
がしかし、この雪後の大下痢、
時によってはすぐに点滴、なんてことにもなりうる訳で、油断は禁物である訳だ。

まあ確かに飼い主たち、そして犬たちにとっては一大事な訳なのだが、
果たしてこの雪後の大下痢が、実は舗道に撒かれた滑り止めの塩、
あの潮焼けを原因にしたものだ、ということに気づいている人が何人いるのだろうか。

滑り止めの塩が撒かれた舗道を歩いてその足がすっかり潮焼けを起こしてしまった犬たち。

で、家に着いてからも、なんか足がヒリヒリする、とばかりにその塩に浸った足を舐め続ける。
そうしているうちに、すっかりと塩分過多となってしまった犬たち。
元々塩分を消化吸収する力の弱い犬たちにとって、この潮焼けの足から舐めとった塩がまさに天敵。
とたんに塩分過剰摂取のオーバー・ドーズを起こし、それが肝臓を直撃する、ということらしい。

とまあ、原因が判ってしまえば簡単なものなのであるが、
この滑り止めの潮焼けを理由にした塩分過剰摂取、
時としては血便、そして、激しい下痢からの脱水症状を起こし、
下手をすれば命にも関わる大事に発展してしまうわけだ。

という訳で、この厄介な雪後の潮焼け、そして大下痢。

これを予防する為には、まずはブーツを履かせること、
そして、散歩から帰ったら、バスタブに水を張り、
まさに泥だらけのじゃがいもかごぼうでも洗うように、
四本の足をゴシゴシゴシゴシと良く洗うこと。

これを一日何回も、お散歩のたびに繰り返す。
一度でも怠ると、とたんに大下痢、に発展することにもなる。

とまあそんな訳で、大雪舗道の塩撒き。

まさに犬にとっては、毒を撒き散らされているに等しい、
ということを忘れてはいけない。


プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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