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錦織よ、魔神たれ!

Posted by 高見鈴虫 on 27.2016 テニスねた
という訳で遅ればせながら全豪である。

日本向けのジェットラグ=時差ボケ勤務の関係上、
この全豪大会の錦織選手、
ずっと11時からの初戦が多かった関係で、
観ることができなかったのであるが、
ここに来てようやく、といった感じで、
かの世界ランキングナンバーワン、
ノバク・マムシの・ジョコビッチの試合になって、
ようやく観ることができることになった。

で世間の下馬評は、と言えば、勿論ジョコビッチである。




何度も言うが俺はジョコビッチが嫌いだ。

こいつがチャンピオンになってからつくづくテニスを観るのが苦痛になった。

顔が陰気だ、プレーがつまらない、性格が悪そうだ、
と、なにかにつけて全く人気の無いこの世界チャンピオン。

がしかし、やはり実力から言えばダントツのナンバーワン。
我が紅顔の貴公子・錦織選手といえども、
やはりこのマムシのジョコビッチとはあまりにも格が違いすぎる、
とかなんとか。

確かに二年前のあのUSOPEN。
今でもありありと思い出すあのうだるような暑さの中での準決勝の死闘。
あの夢をもう一度、と期待しない訳ではないのだが、
あの試合以来、ジョコビッチはそんな錦織をまさに目の敵にしているようなところがあって、
それ以後の対戦は、まさに錦織の完敗に次ぐ完敗。
ぐうの音も出ない程に叩きのめされるばかりで、
一セットも取れないどころか、ブレイクすら儘ならぬ、
まさに圧倒的な力の差をこれでもかと見せつけられるばかりであった筈だ。

がしかしこの全豪、良い条件が無かった訳ではない。

錦織選手、前戦でのあのキングコング・ツォンガとの試合が、
あまりにも圧倒的なストレート勝ちであったこと、
そして、対するジョコビッチ、その前戦において、
あの智将・シモンとの5セットの死闘。
それもあのテニス・サイボーグのジョコビッチが、
なんと100以上の凡ミスを繰り返した、なんて話を聞いて、
もしやもしや、我が錦織にもチャンスがあるのか、
と甘い期待をしていなかった訳ではないのだが・・・

がしかし、
結果だけみると、ストレート負け。つまりは完敗である。

うーん、やっぱりな、と思ってしまうところもあるのだが、
うーん、やっぱりな、と思っているのは俺だけじゃなく、
つまりは、かの錦織選手自身が、
うーん、やっぱりな、と思ってしまっていた向きがある。

で、改めて言えば、
テニスはメンタルなスポーツ。

気力で勝る選手が必ず勝利を呼び寄せる。

つまり、勝とうとする、事自体がすでに負けている訳で、
この俺が負けるわけがない、と思っていて正解なのである。

なので、こうでもしなくては勝てないだろう、というその力み、
こそが、錦織の真の敗因だったのでは、と思う訳だ。

だってさ、と。



だって、正直なところ、

錦織、すごく上手くなったよな。

一皮剥けた、ではないが、少なくとも現在の世界ランキング7位、
その実力はまさに、本物、あるいはちょっと低すぎない?
とさえ思う。

なによりサーブが早くなった。

確かに、かのジョコビッチを相手にしている、という気負いから、
ファースト・サービスでも力み過ぎている場面が多かったが、
それでも120台は軽くマークしている。

それも左右のコーナーギリギリへの弾丸サーブである。
あれが素直に決まれば、たいていの奴は良くてヘナヘナのリターンしか返せない筈だ。
それをV字に逆クロスに叩き込む。
そう、それだけ。それだけで十分に勝てる実力をすでに持ってる訳だ。

しかも錦織のリターンが速い!

これまでは、ともするとベース・ラインから下がっては、
無駄に力んだリターン、あるいはおちゃらけジャックナイフなんてのを繰り返しては、
揚げ足を取られる向きがあったのだが、
それが見違えるように、打点が前に、そして鋭く、速くなった。

あの鋭角に叩き込むライジング打ち。
もしかしてかの伊達さん直々の伝授か、とも思ってみたが、
その鋭さがまさに神業的に凄みを増してきた感がある。

へえ、と思わず口があんぐりである。
こりゃ凄いや、なのである。
もう、にーしーこーり、やら、圭ちゃん、なんて言えないな、な訳である。

その実力はすでにグランド・スラムを十分に狙えるレベル。
このサーブにこのリターンがあれば、
いや、それだけ、それだけを馬鹿のひとつ覚えみたいに繰り返すだけでも、
誰にも負けないぐらいの実力は持っているじゃないか、なのである。

そう、錦織は、世界ランキングの上位に留まる実力はすでに十分持っている。
そして、既に、その実力だけでグランドスラムを狙える力量は十分。

強いていえば、あのツォンガとの試合で見せたあのプレー、
あのキングコングの巨体を、
ほらほら、このどんゴリラ、そら走れ走れと、右から左、左から右に振り回し続けた、
あのサイドTOサイド、のV字V字、
あれをそのままジョコビッチにぶつけていれば、
もしかして、どころか、十分に行けた。勝てた、と確信する訳だ。

そう、そうなんだよ。

圭ちゃん、もうできてるよ。十分にできてる。
あなたはもう、フェデラ、ナダールどころか、
ジョコビッチに勝てる実力を十分に持っているんだよ。

それがなぜ?なんでストレート負けしなくちゃいけないの?

ミスが多かった、と自壊されているようだが、
ミスはしてしまったのではなく、させられてしまったもの。

ボクのせい、なんかじゃなくて、
あの意地悪なジョコビッチに、
そう思うように暗示にかけれられていた。
つまりは喧嘩上手のいじわるな兄貴分に、
てめえは、俺には、絶対に絶対に勝てないんだからな、
とヤキをいれられてはそれを信じこまされてきた、と、
ただそれだけなんだよ。

つまり、そんな糞意地の悪いチンピラ野郎を相手に、
下手に、勝とう、などと思った、なんてのがそもそも間違い。

普通にやれば、普通に勝ててる、
そのぐらいの実力をあなたは既に持ってるわけだよ。

で改めて、テニスはとても難しいスポーツではあるけれど、
でも、その鉄則って実は同じ、じゃないのかな、と。

つまりは、いわゆる一つのVの字。

サイドを狙って相手をコートの外に弾きだして、
そして返ってきたボールを逆サイドに叩き込む。

かのパトリック・ラフターだって、そればっかりだったじゃない?
誰だってそうだよ。
そう、V字。V字。
それを飽きることなく続けていれば、
いつか絶対にミスってくれたり、
あるいは甘いボール、短いボールが返ってくるから、
その時は、はーい、ご馳走さま、とグッド・バイすればよい訳で。

そう、その甘いボールを待ちながら、
気長に気長にV字V字とつなぎながら相手を走り回しておけば、
それだけで良かったんじゃないの?

でそう、圭ちゃんはもう、それを余裕でこなせるぐらいの、
サーブの速さも、リターンの正確さ、も、既に十分持っているわけでさ。
それだけやってれば負けないって。誰もかなわないって。

つまり、いや、それでは勝てない、のでは?
と思ってしまったのが、思わされて、信じこまされてしまったのが敗因。
それだけって気がする。

なあに、たかがジョコビッチじゃねえか。笑わせるぜ。
なんだよその寿司屋みたいなみっともねえ角刈りはよ。
おっさん、あんたの時代はもう終わったんだよ。
その陰気な面はもう二度と見たくねえ。
さっさと失せな。

あるいは、
どうせこいつに勝っても次はフェデラ。
どうせだったらあの大好きなフェデラおじさんへのプレゼントに、
この糞野郎を徹底的にいたぶっておいてやろうか。

実はあの日のジョコビッチ。
見るからにメロメロ。
つまりはそれぐらいに舐めてかかっても十分に勝てる、その程度、
あるいは、あなたはすでにそれぐらいのレベルに達していた訳でさ。

ではなぜあんな結果になっちゃたのか。
そう、しつこいが繰り返す。

あなた自身がそう思い込んでいた。思い込まされていた。暗示にかけられていた、ただそれだけ!

あのナダールだって、そしてこのジョコビッチだって、
フェデラから1セットを取るのが、本当に大変だったんだよ。
いつもいつも、ギリギリのところまで行くのに、
それがまさに目の前に転がり込んできた、
ってときに、まさか!?と思ってしまって結局は自分からコケて、敢え無く自滅、
それをずっと繰り返していた。
そんな奴らをかのフェデラは、
へっへっへ、
こいつらまだ騙されてやんの、
と、意地の悪そうな顔で鼻で笑っていたのだ。

それが、なんの間違いかその一線を乗り越えてから、
もうフェデラになんか絶対に負けない!と確信を持つに至った。

そう、錦織もいまその状態。

憧れの世界トップ選手たちのその後光に騙されて、
いや、まさか、まさか、と思いこんでいるだけ。

もう実力には差なんかないんだよ。

後はもう、心の余裕、そのもの。
つまりは、王者の貫禄。
俺がこんな野郎に負けるわけがない。
絶対の絶対に負けるわけがない!
それを自覚すれば、
すでに誰にも負けない。
あなたはもう、それぐらいの人なんだよ。

という訳で、それが判っているからこそ、
いまになって本当の意味で、くそったれ!!!と悔しさがこみ上げてくる。

なんだよ、勝てたんじゃねえかよ。十分勝てていた筈なのに、
馬鹿な暗示、あるいはペテンに引っかかった、それだけかよ。

圭ちゃん、もう行けるぜ!あんたはもう、胸を張ってグランドスラムを狙える!

あとはもう、気持ちの問題だ。

という訳で、とても辛いことを言わせて貰えば、
もうマイケル・チェンの役目は終わった。

そして、次、つまりは、明確な目標として、グランド・スラムを取る!

その目標を達成させてくれるのは、イワン・レンドル!

あのウナギ王子・へたれ小僧のアンディ・マレイでさえグランド・スラムを取れたのだ。

やれ、暑いの疲れたの、とコートの上でふてくされてばかりいたあのボンボンが、
レンドルがコーチになった途端、どんな苦境に立たされても、
ふてくされるどころかコーチを振り返りさえもしなくなった。

つまりは、一人で闘いぬくことの厳しさ、その孤独に耐えうる強さ、
それをレンドルから嫌というほど叩きこまれた結果だろう。

悲しいかなマイケル・チェンはやはり良きアニキであり、そして盟友であっただろう。
がしかし、マイケル・チェンはハードコートではグランド・スラムは取れなかった。
あるいはやはり、マイノリティ。つまりは東洋人であったのだ。
そしてこの先、錦織の将来に待ちかまえている頂上になにが待ち受けているのか、
マイケル・チェンは知らないのだ。

その一線を超えさせてくれるもの、とはつまりは、既にそれを越えたことのある人。
そして、その超えるに越えられなかった一線を、越えさせたことのある人。

錦織よ、もうあなたは十分にサムライだ。
マイケル・チェンは、あなたが実は、まさか、と思っていたであろう大舞台に引き上げてくれた。
そして今、幸か不幸か、あなた自身、マイケル・チェンの力量をすでに凌駕してしまったのだ。

次は、鬼、あるいは、魔神にならなくてはいけない。

勝手なことをいうようだが、俺はあなたが、グランド・スラムのコートで、日の丸を掲げる姿が見たい。
どうしてもどうしてもそれが見たい!

そして、それが、すでに現実であることを確信している。

錦織、魔神たれ。




プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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