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ロックンロール文学中年の本日の読書傾向

Posted by 高見鈴虫 on 19.2008 読書・映画ねた

ええっと、
ご存知な方はご存知かとは思いますが、
私はただの不良中年ではありません。

じゃあなんなんだよ、
と誰も聞いてくれないので自分で答えますと、
不良「文学」中年であったりもします。

わらわらわら、と自分で勝手に笑います。

そんな暇があったら資格試験の勉強でもせんかい、
仕事みつからねえぞ、と言う訳ですが、
ははは、こればかりはやめられません。
幼少の頃より長く患う「逃避的読書中毒」なのです。

思い返せばガキの時分、
ロックンロール文学少年、と自称しておりまして、
ロックンロール文学少年というのが果たしてどういうものであったかと言うと、
授業中に文庫本を読み耽っていると、
なんやかんやと絡んで来る教師に向かって、
うるせえな、読書中にがたがた邪魔をしやがると、
ヤクザにちくって体育館の裏に埋めちまうぞ、と捨て台詞。
クソッタレ、うるさくて集中できねえ、とそのまま学校をばっくれて、
昼下がりの薄暗い純喫茶のカウンターで、
セックスピストルズを聴きながらセリーヌの「なしくずしの死」の続きを。
或いは屋上の貯水タンクに寄りかかって、
パンツ一丁で日光浴しながらサリンジャーの「僕」とシンクロ気分。
夜は夜で、友達待ちの駅前でうんこ座りして唾吐く代わりに、
特攻服を来たまま「限りなき透明に近いブルー」を読んでいたり、
或いは、デートの待ち合わせで「巨匠とマルガリータ」にどっぷりで、
ふと顔を上げると12時近く、その時になって初めて、
あれ、俺、ふられたんじゃないのかな、と気がついたり。
新宿ロフトの楽屋で「筒井順慶」に笑い転げているうちに
出番のタイミングを逸してしまったこともあり、
そう言えば、大学入学試験の当日も、
「1973年のピンボール」を読んでいるうちに、
電車を乗り過ごし、遅刻してしまったことを思いだします。
しかもそれらの本は全て万引き。上等です。

と言う訳で、
いつの間にかロックンロールも違法行為も
徹底的に似合わない風袋となってしまいましたが、
本だけは好きで今でも読んでいます。
もちろんお金を払っていますよ。1ドル本ばかりですが。

と言う訳で、ちょっと今回は志向を変えて、
不良文学中年が最近読んでいる本のご紹介。

***************

「サル学の現在」 立花隆
現在のサル学を考察しながら、
京大霊長類研究所の軌跡を追う力作。
ゴリラって鼻歌を唄うんですね、とか、
目から鱗の逸話が次から次へと。
これを読み始めて、ますます人間と言うものが
よく判らなくなってきています。
読了後は、ちょっと本多勝一の極限シリーズ、
ニューギニア高地人でも読み返してみようと思ってます。

「痴人の愛」 谷崎潤一郎
痴人、じゃない、知人から、
えへっへ、あなたにお似合いの名作ですよ、と薦められたのですが、
ロリコン小説の走り、と言うのでしょうか。
ごめんなさい、俺、ロリコンのケ、ぜんぜん無いんですよ。
どちらかといえば、お姉さま、或いは女教師系、というか(爆
まあいずれにしろろくなもんじゃないですが・・・

まあとりあえず、筋としては、
ギークなエリートが貧乏は少女を金で買い取って自分好みに育てよう、
と思ったら、おっと逆に舐められて尻に引かれてしまいました、
というなんとも間の抜けた話。
とりあえず、読み始めたとたんに先が見えちゃって、
読み終わった後に、SO WHAT!?と苦笑い。
まあそれが古典の宿命とは言いながら、
大正時代の衝撃作品はいまや完全に日常に凌駕されています。
随分使い古された話で、すっかり時間を無駄にした気分でした。

で、口直しの名作特集で、

「雪国」 川端康成
クニザカイの長いトンネルを抜けると雪国だった。夜の底が白くなった. の雪国。
ああ、ニューヨークでは、
グラセンからの長いトンネルを抜けると、そこはクイーンズであった。夜の底が白くなった、ゴミの袋で。ですが。
ああ、どうしてだろう、雪が降るとこれを読みながらフラッシングで飲茶が食べたくなる。
まあいいです。
これ、俺的には日本文学の最高傑作のひとつ、と思ってます。
一文一文まるで染み入るような名文の綴れ織。
日本語って美しい、と思わず目を閉じて感じ入ってしまいます。
が、ストーリーはと言えば、
正体不明の遊び人が、ど田舎=雪国の芸者と戯れる、と、まあそれだけの話。
よくもこんな小説を教科書に載せたな、と(笑
良いこのみなさん、大人になってえらくなったら芸者で遊べます。
つまりトーダイデのセッタイののうぱんしゃぶしゃぶです。
でも貧乏なリーマンではそれは無理です、あんだすたんど?
と言いたいのなら判りやすくそう言って欲しかった。
いやあ、でも、ヒロインの駒子さん、
実は永遠の憧れだったりして(笑
今の女優で言ったら、誰が似合うんだろうな、
とか、ちょっと思ってみたりして、
やっぱり、かの大女優「大谷直子」を凌ぐ人、居るかなあ、とちょっと考え中。

「香港世界」 山口文憲
イギリス統治下の香港。
借り物の場所、借り物の時間、と称された自由貿易都市。
全ての主権を剥奪されたと同時に、全ての政治的やっかいから開放された、
この世でもっともいい加減な都市であった香港。

国籍はイギリスであってでもガイジンなんてひとりもいなくて、
居るのは中国人とインド人と、あとは訳のわからない流れ者ばかり。
魔都と呼ばれた香港の、その超絶的混沌世界の摩訶不思議さを、
極端に洗練された文章で、ハードボイルドに語る文憲的洒落心。
そのバランス感覚、まさに逸品です。
滞在型旅行エッセイの隠れた名作だと思います。

学生時代、この本を古本屋の平棚でみつけて
読み初めてから、いてもたってもいられず、
思わず旅行会社のアルバイト募集の広告に飛びついてしまったのが運の尽き。
その後、藤原新也の「東京漂流」を読んでから行き先をインドに変更、
途中、バンコックの古本屋で大友克洋の「気分はもう戦争」にぶち当たって、
目的がアフガン潜入に摺り変り、かくして我人生は完全に倒壊するに至れり。
そんな記念碑的作品をブックオフで見かけて思わず読み始めてしまいました。

中国本土への返還後、そんなお気楽な時代の香港が、
既に忘れ去られてしまった今となっても、
この文憲的美学だけは十分輝いていると思います。

「光あるうちに光の中を歩め」 レフ・トルストイ
ストイシズムの美学の集大成ですねえ。
先日読了した「荒野へ」ジョン・クラカワー著の主人公、
アレクサンダー・スーパートランプ(笑 の心理がちょっと知りたくて、
斜め読みしておりますが、いやあ、と思わず苦笑い。
下手をするとカルト奨励書、となりそうで、
へへへ、トルストイさん、
高度情報化社会の21世紀はそんなに簡単には生きられまへんでえ、と。
でもまあ、無いものねだりと言う意味では、
この簡単すぎる清廉さにちょっと憧れたりもしますが、
こう言った原理主義への回帰願望、
ブッシュの時代を生きるアメリカでは、
ちょっと手放しで喜ぶ気にはなれませんね。

「話を聞かない男、地図が読めない女」 アラン/バーバラ・ピーズ
オトコとオンナはすでに脳みその使い方からして全然違う訳で、
と、日常的に直面するオトコとオンナのすれ違いを、
生理学的なこじつけを入れながら、なあんだ、そうそうそうなんだよね、
と変に納得させてくれる謎の学術書。
ジャンルはいまだになんだか判らないけど、まあとりあえず面白い。

永遠の謎たる女性心理、その複雑怪奇さの片鱗を垣間見た気分。
いやあ、毎日顔を合わせているこの「女性」という生物が、
ますます恐ろしい存在に思えてきます。
座右の銘としてトイレに座るたびに何度も読み返しています。

「神々の指紋」 グラハム・ハンコック
ピラミッドは誰が作ったの?エジプト人。
まっさかあ。この時代になってもろくに地下鉄ひとつ作れない人たちが、
五千年も前にあんなもの作れる訳無いじゃん、と、
まあ当然の疑問にすぱっと答えてくれた本。
つまり、ピラミッドはエジプト人どころか、氷河期のそのまえ、
つまり原始人の時代からあったりした訳で、と。
謎を謎としたまま、机上の空論ばかりを続ける現代の考古学者に手鼻をぶっかけた名作。

会社のお友達から、今度の休暇でペルーに行こうと思って、
と言われてから、無性に再読したくなった作品。
嘘か本当か、なんて野暮なことは言わないで、
どっぷりと騙されたくなって来る迷作ですね。

「わが悲しき娼婦たちの思い出」 ガルシア=マルケス
これは実は買ったとたんに相方に奪われ、
相方から取り戻したとたんに文学友達、略して文友に奪われ、
いまだに読めぬままですが。

で、
最後に、異例の恋愛物(爆

「夜明けの街で」 東野圭吾
いきなりですが、不倫の話です。
しかも、それが、すっごくリアル。
不倫する奴なんて馬鹿だと思ってた、と言う主人公が、
一歩一歩その甘い地獄にはまり込んで行くさまが、
妙に生々しく描かれておりまして。
まあそれに殺人事件、とかが絡むわけですが、
いやあ、ねえ、不倫をめぐる心理作戦、その攻防。
ただそれだけで、十分にミステリー、スリル満点です(笑

先週のトロント出張中、雪のために半日以上、空港で足止めされまして、
その間に冗談半分、暇つぶしに読み始めたら、
思わず持っていかれまいました。
いやあ、凄いですねえ、不倫の世界。ちょっとぞっとしました(笑
君子危うきに近寄らず、じゃないですが、
このときばかりは、もてない男で本当に良かった、と胸を撫で下ろしながら、
同時に、こんな物凄い経験を知ることもなしに人生を終るとしたら、
それはそれでちょっともったいないかな、なんて、おいおいと(爆

あ、で、この作品、読んだ方いらっしゃいます?
ちょっとネタばれですが、
ラストシーン、あれ、彼女からの最後の言葉、あれ、嘘ですよね。
そう、そう信じたい、と悪友に申しましたら、
あんた、つくづくおめでたいね、と鼻で笑われました。
くうう、そうだとしたら泣くに泣けないっすね。
いやあ、人の道は踏み外してはいけないのだよと思い知りました。
不倫したことある人、無い人、興味のある人、無い人、
良い意味でも悪い意味でも、男でも女でも、
とりあえず大人の自覚のある人には大お勧め、です。
束の間の禁断の恋の世界をお楽しみ頂ける筈です。

と言う訳で、
そう、この不良文学中年は、これらの本を同時進行で読んでいます。
なのでなかなか読み終わりません。
で、また、休日のたびに新たな古本を買い漁ってしまうわけで、
よって我が家はまるでブックオフの分店、あるいは倉庫状態。
部屋中のいたるところにページを伏せたままの本が散乱しています。

と言う訳で相方からは、
この糞本、読みもしないくせにどうにかせんかい。
早く始末しないと粗大ゴミの日、おのれと一緒に捨ててまうぞ、覚悟はいいか、
と恫喝される毎日です。
なんで、
もしご興味のある方おられましたら、いつでも言ってください。
読み終わった物から、どしどしご進呈申し上げます。

あ、で、
なんか、これで終ったらあまりにも不良中年っぽくないですよね。

なんで、最後にいつもの捨て台詞。

冒頭にご紹介した、「サル学の現在」によると、
サルは、直立でも歩行するし、道具も使うし、言語も操る。
下手をすると煙草も吸えば、酒も飲み、テレビを見て、歌まで歌う、らしい。

と言う訳で、では質問、
サルと人間の違いってなんだか判りますか?

それはね、
はい、その通り、本=活字、を読むこと、なんですよ(笑

つまり、本を読まない方々、
全ての情報をテレビとおしゃべりから得ているあなた、

あなたのおツムはサル並です、なんちっち。

お後がよろしいようで。



            ~遠方の友に宛てたメールより


プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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