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まさにミュージシャンの鏡! 第何十回家出ドラムマラソン

Posted by 高見鈴虫 on 07.2008 音楽ねた
ただいま、帰りました・・・
っと、2時か。夜中の。
ちょっとほろ酔い気分。
帰りがけに地下鉄の中でビール飲んじゃって。

はは、平日だって言うのに、豪勢なことじゃないですか、だって?
あのさあ、馬鹿やろう、そう、理由があります。

実は。。。、
またまた、かみさんと喧嘩していまして、
もう、何千回目かの、離婚だ!出て行け!宣告。
もう耳にタコができるぐらいに聞き飽きたこの台詞。
で、売り言葉に買い言葉、そう、いつもの奴、

おおお、上等だよ、せいせいしたぜ。せいぜい幸せになんな、あばよ、

とは言ってみたものの、

よくよく考えてみると、なかなかこの年になって、
オンナに追い出された、二,三日泊めてくれ、
と気楽に転がり込めるダチ公もそうそうとは見当たらず、
すがりつくような気持ちで頼み込んだ昔のバンド仲間。

空き部屋?うーん、まあ、俺のトモダチに居るには居るけどさ、
でも、あの、最初に断っておくけど、その子、ジャンキーなんだよな、
そう、一緒に住んでたオトコがこないだ下手打ってちょっと入っててさ、
で、慌ててルーミー探してるんだけど、
ああ、1泊20ドルでいいって、
おいおい、それって、もろ、1パケの代金ってことじゃない、
まあ、そんな感じだろ、だってジャンキーだもん、
とか、まあ、そんな感じ(笑

挙句の果てに、
なんだよ、お前らしくもねえ、
その辺りの女の一人や二人、適当に都合できねえのかよ、
なんて、あのなあ、と。
俺はもうバンドマンでもヒッピーでも無いわけで、
つまり、女に追い出されることを前提にしては生きてはいない、
朝好きな時間に起きて、夜好きな時間に寝る、
なんてそんな自由はもう俺には無いわけで、
という現実が、こいつにはさっぱりわかっていない。
つまり、彼は今もバンドマンでヒッピーだから。



と言う訳で、
こうなったら唯一の頼みの綱のニコ友にご相談したところ、
ああ、それなら、ADD7で探せばいいよ、という耳よりな情報。
あそこの掲示板、ルーミー募集だけは異様に充実してるから。
きっと見つかるよ、がんばってね。
ってな訳で、
今日は一日、仕事の合間にADD7の掲示板でお部屋探し。

ふむふむ、短期長期、日割も可、日当たり良好、親切丁寧、即日入居可、

へえ、あるところにはあるものだね、と思わず感動。

なあんだ、家出しようと思えばいくらでもできるんじゃねえか、
なんて、いきなり気が軽くなっちゃって。

とは言うものの、

じゃあ、荷物まとめて、
とりあえずの仕事用の服と、下着と靴下と髭剃りと歯ブラシと、
問題はまあ、あの古本の山、となるわけで、
あれを運ぶとなったら、もうトラック一台じゃ足りないぞ
なんて、考え始めたら、
なんかこの歳になって、大荷物抱えて放浪暮らしなんて、
なんとも黄昏ちゃうよな、と今更ながらしんみりモード。

思わずニコ友に、
ねえねえ、泊めてくれ、とは言わないから、
夕飯ぐらい一緒に食べてくれない?おじさん、宿無しで寂しくてさ、
なんて、泣き言も、
この馬鹿おやじ、なにをたわけたことを!
わたし、仕事が忙しくてそれどころじゃないのです、
あんたも少しは大人になりなさい、
と吐き捨てるようにきつーい一言。
はいはい、判ってますよ、冗談、冗談だって、と苦笑い。
そう、
俺はもうバンドマンでもヒッピーでもないんだから、
バンドマンとヒッピーの流儀が通じる人が、
周りにいる訳も無いわけで。はいはい承知してますよーん。
そう、大人になってからのトモダチなんてそんなもんさ、
と改めて苦笑い。
くそったれ、こうなったらもう、絶対に、意地でも死んでも、
大人になんかなってやるものか、
なんて道に落ちた空き缶を蹴り上げながら、
いつのまにか黄昏どころかすでに夕闇が迫ってきている気配で、
思わず足元を木枯らしがぴゅるるるるっと。

しかしながら、そう、
一生子供宣言をした以上、
そうそうと簡単にへこたれる訳にはいかない。

それに加えて、かみさんに言い放った言葉、
ばかやろう、調子に乗るな!オンナはお前だけじゃねえや、へーん、
なんていうケチな啖呵に、
はははは、ばーか、やれるもんならやってみなよ、
とまで言われてしまった日には、
そうそうとまともな時間にすごすご帰る訳にも行かず。
仕方がない、
そうと決れば近所のアイリッシュパブ、
あの、酔っ払ったねえちゃんがわんさかいる、
そう、いつも前を通りながら、
うえええ、なんか、凄い可愛い子ばっかりじゃないの、
行ってみたいな、入ってみたいな、お友達になりたいなあ、
なんて、それなりにチェックチェックしてたお店、
そうだこの際だ、
リアーナからビヨンセから
パリス・ヒルトンからリンジー・ローハンから、
は、まあ無理だとしても、
もしかしたら相当にくたびれきったケイト・モスとか
ぐらいなら捕まえられるかもしれず、
ってな訳で、
この家出中年は第二の青春の真っ只中、
毎夜毎夜、スケベ面してバーだクラブだと出没しては、
幸せ一杯のナンパ三昧の日々。

なんていうのは、実は嘘八百。

家に帰れなくなった、まともな時間に帰らなくても良くなった途端に、
はーい、その通り、毎夜毎夜、連日連夜、
スタジオに入り浸っております。

そう、俺、行くところって、そこしかないの(笑

って言うか、俺やっぱバンドマン、
家に帰らなくてもいいんだとしたら、
やりたいこと、そう、いつもの二倍練習したい。

と言う訳で、
いやあ今回も、第何十回家出ドラムマラソン、がんばってるよぉぉ!
今回は再デビュー宣言までしちゃったしさ(笑

マイクもミキサーもつないで気合満々。
普段はそれとなく気にしてる晩飯の時間やかみさんの機嫌も、
今回はもう、ぜ~んぜん関係ないもんねえ、
なってたって喧嘩中。
つまり、燃え尽きるまで、思い切り、大手を振って、好きなだけ練習ができる、
ってな訳で、
そう、実はこれ、いつもの家出のパターン。

かみさんと喧嘩をするたびに、
スタジオに泊り込んで、朝までドカドカ。
いやあ、
家を追い出されるたびに、
俺のドラムはますます磨きがかかって行く、と言う訳で、
これってまさに、ブルースやなあ。
音に悲しみを刻見込んでますます円熟味を増すという奴ですなあ。
まさに、ミュージシャンの鏡、自分で自分に惚れ惚れするなあ、と、
伸びた髯にも目の下の隈にもなんとなく愛着さえ湧いてきちゃって。

と言う訳で、
ブルックリンの倉庫街にある練習スタジオ。

マンハッタンの地価高騰に引っ張られて、
最近ではようやくちょっとはクリーンナップされては来ているものの、
いやあ、やっぱり、深夜を過ぎるとやはりここは立派なゲットー。
人っ子一人いないジャンクヤードに、
らりった糞がきと、ホームレスと、そしてバンドマン。
そして不思議なことに、
こんな時間まで残って練習している奴ら、
どういう訳だか、JAZZドラマーばかり(爆
あの部屋でもこの部屋でも、
トニー・ウイリアムからジョー・モレロから、
バディー・リッチからマックス・ローチから、
チンチキ・タカタカ・ドカドカと、
これでもか、とばかりに大迫力のドラムソロを
或いは、
メトに合わせて禅修業のようなルーディメントの反復練習。
なんか、どいつもこいつも似たようなことやってやがるな、
と思わずにやり。
なんかほんと、他人とは思えないよね。
思わずドアをノックして、息抜きに酒でも飲まないか、と誘いたくなっちゃう。

そうそう、そう言えばこの間、
ふと気がつくとドアの前にビールが一本、
おいてあったことがあって、
よく遊びにくるスラッシュメタルのガキどもかな、
とか思ってたんだけど、
そうか、あれ、深夜のジャズフリークからのお裾分けだったんだ、
と今になって気づいた。

つくづくジャズドラマーって、
かみさんに追い出されるなんらかの素養があるのか、
あるいは、
かみさんに追い出されるような奴だからジャズなんてやってるのか、
まあどっちもだろうけど、

そう、なんか、ちょっと癒された気分。

男たち、辛いことばかりの人生だけど、がんばろうな、
少なくとも俺たちには、かみさんに追い出されたとしても、
やることだけはある。
一生やってもやり足りないぐらいの素晴らしい、
まるで沼のような、大課題、
そう、ジャズ!
ジャズドラムが待っていてくれるじゃないか。

まあこんなことに関わっちまったから、
ほんとうにろくなでも無い人生になっちゃったけどさ
でも、
それがあるというだけでも、
まあちょっとは、ましな人生と、思えない訳でもないじゃねえか、と。

宿無し暮らしはもうこりごりです、
掃除もします、仕事も探します、タバコもやめます、皿も洗います、
だから頼むから、おそばにおいて下さい、ご飯食べさせてください、
と泣きを入れる日まで、
果たして今回はどのくらいのテイクが録れることやら・・・



            ~遠方の友に宛てたメールより

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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