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ドナルド・トランプ ロックンロール・スター! その八 ANARCHY IN The U S

Posted by 高見鈴虫 on 11.2016 アメリカ爺時事
ドナルド・トランプの選挙演説が各地でご盛況であるらしい。

トランプの行くところ至る所で抗議デモが起こり、
それと警察、あるいは、トランプのサポーターの間で一悶着。
時として乱闘騒ぎにまで発展している。

見ていて思わず気持ちが熱くなるのを覚える。

腐れファシスト打倒の為に集まった怒れる常識人、
そこにトランプの親衛隊たる白人無法者集団が乱入して大乱闘!

うおおお、思わず血沸き肉踊る!
まさにこれ、愛と幻想のファシズムの世界ではないか!





どちらに組するかはこの際どうでも良い。
とりあえずこういう騒動に参加して思い切り騒ぎたい。
俺も含めて、そう思っている奴は多い筈である。

これはそう、まさにロックコンサートである。

嘗てロックがやばかった時代、コンサートに行くのはまさに命がけ。
行く先々でやれメンチだカツアゲだガチンコだ。
コンサート会場はまさに鮨詰めどころか完全な無法地帯で、
汗みどろどころか血みどろ、酸欠OD泡吹いてよだれだらだら、なんてのが犇めき会っていて、
正直、ロックの醍醐味とは、音なんてのよりも、
そんな危ない乱痴気騒ぎ、それこそがロック!であった筈だ。

という訳で、いやあ、トランプ、ロックやなあ、と。
ストーンズ・フリークの不良少年、どころかいまやすっかり老人、でありながら、
晩年になっていきなりのこの馬鹿騒ぎを、さぞかし面白がっているに違いない。



という訳で、そう、そんなトランプ自身について良いの悪いのと言っても始まらない。

ただ問題は、そんなトランプのサポーターである。

誰が考えても正気で言っているとは思えない、あの戯言の数々を、
鵜呑みにして、あるいは言い訳にして、
本気でこの馬鹿げた偽ファシストに賛同する奴らが、これほど沢山いるのである。

言わせて貰えば俺はレイシストが嫌いである。
それは南部に居た当時に、レイシストの奴らから「差別」を受けた経験があるからだ。
人種差別ほどに骨に響く怒りはない、とその時に思い知らされた。
人種を理由に行われる迫害には理由がない分、落としどころがない。
理由もなく出口もない偏見は、いずれはやられたやり返すのみ、
あるいは、やられる前にやれ、という方向に暴走を始める。
俺はそれでも良いとさえ思った。
レイシストはその理由がなんであれ一網打尽。
俺に舐めた態度をした奴らには、問答無用に血祭りに上げてやるに越したことはない。
俺にそこまで思わせたのは、つまりは人種差別がそれほどまでに、やるせない物であるからだ。

嘗て、この人種の坩堝のニューヨークで、
人種し差別主義者団体であるKKKが、抗議デモをする、という珍事があった。

シティーホールの階段の上、居並ぶ警察隊の人垣の向こうに、
たかが10人足らずのKKKたちが、スーパーの茶色い紙袋、
俗に言うブラウン・バッグを被って並んでいたのだが、
そんな10人のKKKの前に、数千人の抗議集団が山のように押し寄せてまさに津波のよう。

てめえこのやろう、顔見せろ顔を!
その汚えうんこバッグを外せ!
腐れKKKが、かかってこい、ぶっ殺してやる!
一生つきまとってやるからそう思え!

あまりのことに、抗議デモどころか、処刑前の囚人のようになり下がったKKKのその目の前には、
警備のNYPDたち、それもどういう訳か、ごつい黒人の警官ばかりがずらりと並んでは、
もじもじと震え上がったKKKを前に、ニヤニヤ笑いながらガムを噛んでいる始末。

俺もなにかチャンスがあれば、どさくさに紛れては特攻んで、
これみよがしにフルボッコにしてやるつもりであったのだが、
そんな光景を見て思わず拍子抜け。
なんだつまらねえ、帰ろう帰ろう、と歩き出したところ、
そんな群衆の中に、我がバンドのサポーターの一人であった、
ハーレー野郎であるクリスの姿を見つけた。

なんだよ、ヘルス・エンジェルス、てめえはむしろあちら側じゃねえのか?と茶化せば、
馬鹿野郎、俺はバイカーではあるがレイシストじゃねえ、馬鹿にするな、とマジ顔で言い返された。
でそんなクリスの隣に、ブランデーそっくりの黒人のガールフレンド。
おやまあ、と目を丸くすれば、プエルトリコ人、つまりは黒人の白人の混血、であるらしい。
ははは、だったらあたしはどっちに行ったらいいのさ。
そう、今更ながらニューヨーク。
この人種のサラダボールにおいて、白人も黒人もありはしないのだ。

という訳でニューヨーク、この街は安全である。レイシストが殴り殺されるような、そんな街。
筋金入りの自由主義者たちの街なのだ。

というそんなドナルド・トランプも、
言うまでもなく、ニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちの列記としたニューヨーカー。
KKKの抗議集会に、数千人が集まってしまう街の人である訳だ。

そんなトランプがレイシスト?笑わせてくれる訳で、
そんなことはここニューヨークの人々であれば誰もが知っている訳だ。

がそう、そんな偽レイシストであるところのドナルド・トランプ、
その戯言、というよりは、冗談に担がれたトランプ・サポーターの人々。

つまり、そう、トランプは偽だとしても、このサポーターはマジなんだよな、
と思うと思わずぞっとしてしまう訳で、
そして例えば、あのNJ知事のクリス・クリスティなんてのは、
大統領選を諦めた途端に、事もあろうにトランプ支持を表明した訳で、
おいおい、お前が騙されてどうするんだよ、と。

トランプの奏でる笛や太鼓に煽られては、
そんな間抜けばかりたちがうっかりと己の本性をさらけ出してしまっている訳で、
それはそれでとても面白いものがある。





という訳でファシズムか。
やっぱりな、と思う。

そう、ファシズムである。
時代はファシストを求めている。
それは誰の目にも明らかで、
そしてその潮流はもはや誰にも止められないであろう。

嘗て、会社のジムにあったテレビのモニターで、
誰が選んだのか、ミリタリー・チャンネルなんてのが流されていて、
そこに映しだされた映像、ナチスが台頭した当時、
ヒットラー・ユーゲント募集向けに作成された宣伝映画を放映していた。

見渡す限りの花咲き乱れる草原で、
一人歌う目の覚めるような美少女。
その少女の前に現れる質実剛健の金髪碧眼の若者。
遥かに望むヨーロッパ大陸を望みながら、
明日は我らのもの、と声を高らかに歌う二人。





いやあ、凄いなあ、と思わず見入ってしまった。
なんという美しさだ。
そのスローガン、シンプルで判りやすくブレが無い。
この精錬として熱き目的意識に燃えた凄まじいばかりの楽観主義。
民主主義の迷走に飽々した現代人の望んでいるのは、まさしくこういう世界であるのだな、
と思わず実感してしまった訳だが、
そう、ファシストである。
そして、ファシズムである。

凄いな、まさにこれなんだよな。

正気の沙汰ではないのは重々承知しながらも、
ひとたびそんなファッショの潮流に飲み込まれてしまえば、
それはそれでとてつもなく面白いのだろうな、と思う。
そして、
その正義の旗印の元、熱い目的意識に導かれては、
しち面倒くさい理屈ばかりを並べる腐った民主主義者、
あるいはそう、あの世の悪徳の根源であるところの金持ちたちを、
なんの自責も迷いもないままに、思う存分ぶちのめしてやることができるのである。
これは気分が良いだろうな、と思う。
暴力が正義に裏打ちされた時ほど、お調子者たちの胸を熱く焦がす瞬間はない。
という訳で、世界中で、治安維持部隊と、その擁護を受けた自警団は、
必ず暴走を始める訳だが、それはなぜか。
面白いからに決まってるだろうが。

という訳でそう、ドナルド・トランプ、やってくれるなあ、である。

人間の持つ悪徳のすべて、その負なる欲望のすべてを駆り立て炊きつけては、
まさに、悪魔の手先として世界中に大騒乱を巻き起こす
ロック・ヒーローそのもの。

大混乱の中で、抗議でもが潰されるにしても、逆にサポーターがぶん殴られるにしても、
壇上のトランプは、内心では、やれやれ~!やっちめえ!とはしゃいでいる筈である。

そう、トランプはそういう人なのだ。
奴の言っていることなど、奴にとってもその程度のもの。
本気にするほうがどうかしてる、なんてことは誰でも判っている。
が、そんな戯言に悪乗りしたサポーターと、
そしてそんな戯言を真に受けた単細胞どもがぶつかるたびに、
馬鹿かこいつら、でもやたらと面白いじゃねえか、と高見の見物と決め込んでいる訳で、
うーん、くっそう、この親父、本当に洒落者。
骨の髄までとことんパーティ・フリークなのだろうな。

トランプ、早くニューヨークに来い。
サポーター、抗議デモ、なんでも良い。
どっちも合わせてこの俺が滅多打ちのフルボッコにしてくれる。
がしかし、
俺が本当の本気で滅多打ちにしてやりたい奴らは、と言えば、
まさに極右のトランプ、そして、極左のバーニー・サンダースの共通の敵である、
1%の金持ちとその衛兵たちである。

なんでもいい、とりあえずぶっ壊せ、そんな興奮がアメリカを包み始めている。
リセットの日が近い、ということか。


プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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