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俺がBABYMETALに涙するその理由

Posted by 高見鈴虫 on 12.2016 BABYMETAL☆ベビーメタル   0 comments
最近になっていきなり、BABYMETAL 、すげえ、とか言い出した俺に、
おまえ、オツム大丈夫かよ、とまじで正気を疑われる、ってのが大方の反応である。

嘗ての俺の知る人々は、一貫してBABYMETALには批判的である。

が、そう、そんな中にも、ああ、BABYMETALかぁ、判る判る、と言ってくれる人々も居る。

ぶっちゃけそれは、ドラマー、そして、バンドがぽしゃった後、
やむやまれずしがないサポートの仕事を続けていた、
いわゆるひとつの、食えないプロ、の連中である。

つまりそう、
俺は別に、スーメタルの流し目がどうの、両脇のジャリのスカートのフリルがどうの、と、
そんなことを言ってる訳ではない。

ぶっちゃけ、BABYMETAL、バックの奴らが、上手い!
まさに、感動する程に、上手い!のである。

日本ではどうか知らないが、米国市場に挑戦する海外からのミュージシャンにとって、
その演奏技術はしかし必要最低条件である。

特に、メタルなどというオタッキーなジャンルに置いては、
そのテクニックこそは通行手形。
ぶっちゃけ、ミュージシャンの演奏技術がしょょぼいと、
なにをやっても絶対に受け入れられない。

日本の方々のように、
よく判らないが、これ売れるの?
やら、
なんかちょっとうるさいがそんなもんなの?
とかではなく、
一目見ただけで、あ、はい、ご苦労さん。
それは業界さんだけにとどまらず、
一般観衆、下手をすればそのあたりの犬の散歩のおばはんでさえ、
蓋を開けてみれば立派なロックフリークだったりもする訳で、
下手な演奏を始めたとたん、
あ、これはもう、この程度、と、即座にその力量を見透かされては、
見るに値せず。時間の無駄、とばかりに、
ぷい、と横を向かれては、通過されてしまう訳で、
そうつまり、ここ米国の聴衆たち、
ガキの頃から、チック・コリアからソニー・ロリンズから、
あるいは、ストーンズからガンズからマドンナからレディーガガ級の奴らを、
ともするとその辺りの公園のフリーコンサート、やらで普通に見てきた訳であって、
あるいは、事あるごとに、どこぞのガレージバンド、
なんて連中の糞演奏にこれでもかと付き合わされていることから、
そう、つまりは耳が肥えすぎているのである。

そんな耳年増の観衆を前に、
なぬ?ジャパニーズの?ジャリタレ・アイドル?それがメタル?
あれまあ、東洋のお猿さんたちは、どうせよく判ってないんでしょうね、
やら、
ははは、面白い冗談だな、と一言で失笑を買う、
あるいは、聞きもしないうちから、
ばーか、ふざけんじゃねえよ、と門前払いを食わされる、
ってのがまあ普通な反応な訳だ。

よって、この東洋人のジャリタレのアイドルのヘビメタの、
なんてこんなふざけた企画物の糞バンドは、
どうせ宴会の余興程度。
最初からおトイレタイム、あるいは、退屈しのぎにブーイングでからかってやろう、
というのが大方の予想、であった訳なのだが、

だがだが、このBABYMETAL、

なんの奇跡か、
そのあまりの凄さを前に、今や全世界が騒然。
まさに、度肝を抜かれることになった訳だ。

改めてその成功の理由の中には、
確かに、あの子どもたちの可憐さや可愛さ、
なんてのもあるだろうが、
はっきりいってそんなのはこのアメリカにだって腐るほどいる。
そしてこれまでにだって、アイドル系でメタルアレンジ、
なんてバンドも腐るほどいた筈なのだ。

がそこに、ジャパニメが加わる。
そしてこの全米を席捲するコスプレのブームである。

がしかし、どんなに無理をしても、まあ普通であったらそこまでだっただろう。

あるいは、俺にしたってそこまでであったら、
なにもこんなアイドルバンドに興味なんてもつ筈もなかった。

という訳で、このBABYMETALの大成功のその本当の要因とは、と省みるに、
やはり、そう、そのバックに控える一見してキモい白塗り軍団。
その名前どころか顔さえも知られることの無い、
この白塗りのバックバンドの方々の、
その演奏技術のあまりの素晴らしさ!!
そして、サポートに徹し切った心意気、というよりは、まさに、そう、プロ根性!

つまりは、本当の音楽ファンを本気で熱狂させるほど、
正真正銘に素晴らしい演奏を繰り広げている、
その賜物なのでは、と言い切ってしまってもよろしいかと思う。









改めて言うまでもなく、今日日、バンドマンはぜーんぜん食えない、と聞く。

昔から食えなかったのには変わりはないのだが、いまや徹底的に食えない、
バンドで食う、ということ自体、火星でライブを打つ、なんてのと同じぐらいに、現実味がなくなってきているそうだ。

よってバンドマン、もう仕事を選んでいる余裕などまったくない、ってのも周知の事実。
ジャズであろうが、メタルであろうが、仕事となればやる。やらざるを得ない。

それに加えて、最近の音楽シーン、その主役はまさにマシーン。

じゃ、これ、よろしこ、と渡されるのは、譜面ではなく、音源。
まあ判りやすくて良いのではあるが、その音源がまさに、マシーン、の打ち込みである訳で、
バーゲンセールの爆買い、ではないが、
まさに貧乏根性というぐらいに、その機械でできることのすべて、
これでもか、というぐらいにまで、とてつもないオカズがてんこ盛り。

普通であれば、やれやれ、このドシロウト、しょうもねえなあ、と苦笑いしながら、
ばーか、こんなの人間じゃ無理だぜ、と突き返して当然。

ここでこんなアドリブ、絶対に不自然だし、あるいは、こんなビート、まじ無理。
音は拾えたとして、ボリュームが出ないし、粒揃わないし、
なにより、機械と生音では波長が違うから、
生音にすると前音とかぶって凄くみっともないか、
あるいは、なにやってるのか聞こえなくなっちまうぜ。

ってのがまあ、職人としての本音。

だから素人が余計な口出しするんじゃねえ、と。
ドラムのことは俺が一番良く知ってるんだからよ。
なんでまあ、だったらさ、
ここをこうやって、音数を減らして、こういうのどう?これのほうがインパクない?

ってのがまあ、俺の時代までの職人芸。餅は餅屋の現場のご意見、
である訳であったのだが、
最近では、それすらも許されないらしい。

そんな現場の声、など上げようものなら、
あっそう、だったらいいよ、デキる人にやってもらうから、の一言。
あるいは、やっぱそうか、だったら打ち込みのままでいこー、
なんていう安易な選択を取られるのは必至。

いずれにしろ、これ、できない、と一言言った時点で、
それから先、云年は、仕事などこない、という状態に叩き込まれる、ってな訳で、
まさに、なにもかもが使い捨ての高度資本主義社会なのである。

という訳で、最近のドラムシーンにおいては、
ぶっちゃけ、ドラムなど叩いたこともないド素人が、遊び感覚でてんこ盛りにした超絶神的打ち込み。
どう?こんなの絶対人間じゃできないでしょ?へへへへーん、なんてのを、
文句の一つも言わずにすべて、クリアしてこそプロ、ということになっている、らしく、
その苛酷さは、まさにミュージシャンというよりは曲芸師。
人間業どころか、神さえをも凌駕して初めて、というレベルにまでぶっちぎられているらしい。

がそう、しかし、餅は餅屋であるように、プロはなにがあってもプロである。
どんな無理な要求でも、それを挑戦、
あるいは、チャレンジと捉えて、うっしゃあ、やったろかい、と挑まざるを得ない。
そう、なにをやってもそうだが、食っていくのは楽ではない。







とまあ、そんなバンドマン事情を抑えつつ、

なに?ジャリタレのバックバンドで、ヘビメタ?
しかも、音源がこれ?なにこれ、ここでバスドラの6連、で32分?で、ここでブレイク?
おいおい。。と。

正直、俺がもしこんな音源を持ってこられたら、冗談だしょう、と突き返したと思う。
俺、ほら、メタルとか好きじゃねえし、アイドルにも興味ないし、とかなんとか言いながら、
ぶっちゃけ、こんなものできる人間がこの世のいるものか、と。
神様か、それでもなければ、悪魔、あるいはそう、機械。
いずれにしろ生身の人間のやることじゃねえな、と。

なによりもこのBABYMETAL。
はなからが企画先行型。
アイドル+メタルって組み合わせってどうでしょうね?
と、まさに取ってつけたような企画バンドである。

とそして、その企画のキモとなるところは、
メタルなど知らなくて当然の女の子たち、と、その対極に当たるバックバンドの妖怪。
がしかし、フロントがジャリ、であればあるほど、
そのバックバンドたるものは、まさに超絶であってしかるべきもの。

それでなかったら、最初からただの冗談バンドで終わってしまうのが関の山であった筈だ。

そんな中、いきなり本物の中の本物のプロで固めたバックバンドが、
水も漏らさぬほどの完璧な神業プレイを、まさに「芸」として発揮することを求められていた訳で、
その神業的曲芸師の役を買ってでた方々、
実はそのプレッシャーたるや、とんでもないものではないか、とは想像に難くない。

という訳で、げげげ、このデジタル音源を、ライブで生演奏?
そんな仕事、受けたのっていったいどんな奴?
と思わず唖然としてしまったのだが、クレジットを見て二度びっくり。

えええ、青山英樹って、あの青純さんの息子さん?
シングル・ストロークの鬼、一打入魂の、あの青純さんの?

そっかあ、と思わず口があんぐり。
だったら、引くに引けないわなあ。

という訳で、このBABYMETAL、

アイドル下克上の芸能界で、星の数ほどいるアイドル予備軍の大部屋に埋もれ埋もれては
泣かず飛ばずのままに旬を過ぎて卒業、つまりはお払い箱。
このままグラビアからAVへと、裏社会の藻屑として消えようとしていた歌の上手な女の子と、

そして、機械とカラオケに職を奪われて最早常時開店休業状態の凄腕ミュージシャン。
好きな音楽、やら、得意なジャンルやら、魂の、命の、渋みの円熟の、
なんていうディープなこだわりなんてのは一切にかなぐり捨ててでも、
どんな仕事でもやります、なんでもできます、だって俺はプロなんだから、
と、そこまでプロにしがみつき続けた、筋金入りのバンドマンたち。

そのコラボ。

まさに、負け組の負け組による負け組の為の、大逆転劇、と、まあそういう風に俺は捉えている訳だ。

とまあ、そんなことを思いつつ、そんな彼らの人生を変えた4分間の奇跡。

いきなり全米ネットのお茶の間番組に登場しては、
思い切りの思い切り、本気の本気で正真正銘のメタル・サウンドをぶちかました
この鉄人の中の鉄人たち。

アイドルの鉄人と、そして、プロ・ミュージシャンの鉄人。

日本なんていう、まさに演歌と民謡の音楽音痴の吹き溜まりのような場所で、
敢えて、ロックやら、ジャズやら、メタルやらにこだわり続けたこの頑固者たちと、
そして、下克上と言われた超飽和状態のアイドル市場、
その仁義なき戦いの中、徹底的な使い捨て主義の修羅の巷で鍛えに鍛えられ続けたアイドルたち。

そんな、まさに、日本ショービジネス界の地獄の底を生き抜いて来た、
そのプロ根性のすべてを、この一曲の中、この一瞬にすべてをぶち込むんだその奇跡。






この4分間の奇跡を待つ間、いったいメンバーたちはなにを考えていたのだろう。

ばかやろう、アメリカのかっぺたち、日本の凄さを思い知れ、と、そんな感じだったのだろうか。
あるいはこれまで腐るほどこなしてきたであろう下らないスタジオ収録のその一つ、と醒めてみていたのか、
あるいは全米ネットのテレビに出演する、ということの本当の意味がもしかしたら良く判っていなかったのか。
あるいは、そう、
これで一発決めれば、もしかしたら俺たち、世界の大スター、なんていう、気負いもあったのだろうか。

がしかし、そこはプロである。まさに、プロの中のプロ。

そして、こんな可愛い、もはや娘のような年齢の女の子の後ろで、
まさか緊張して、あるいは気負い過ぎてとちりました、
なんてことも言えるはずもない。

ではみなさん、いったいどんなことになるやら、正直わたしにも良くわからないんですがね、
なんておちゃらけた紹介に送り出されたBABYMETAL。

しばしの沈黙からいきなり、とてつもない爆裂の第一音。その完璧な出だし。
ギリギリまで絞りこまれた緊張の迫り上がり。
そのイントロを経て、本メロの立ち上がりの開放と、そのうねり。
まさに、ロック、その真髄!
問題の歌い出し、凄い!スーちゃん、全然声がぶるってない!なんて糞度胸の女の子だ。
そして、バックの白塗り軍団。まさに超絶的な音の締まりである。
あのスピードでスネアをここまで打ち込むのは至難の業である筈。だがブレてない。落ちていない。
残念なことに、その遊び心のすべてであるはずのバスドラが良く聞こえない。
聞こえないながらもその張りのあるスネアの音がガンガンと突き上がる。
そしてギーソロ!凄い凄すぎる!
それからは怒涛。ビートはウネリまくり、女の子は踊りまくり、まさにグルーブの最高潮。
げええ、ベース、上手い、ベースが上手い、上手い、と思わず声を上げてしまう。
そしてすーメタの笑顔。そして、バックの連中の笑顔。まさに至福の表情。
笑顔の中で、ウネリまくる音が怒涛のように押し寄せてくる。
ああ、ステージに神が降りている。
これこそが、ステージに神の降り立ったその瞬間、そのもの。

音楽の素晴らしさ、とは、ぶっちゃけ、まさにこの瞬間を言うのである。

そんな、まさに神憑りの瞬間を、このBABYMETALは全米のお茶の間に向けてぶちかましたのである。

そしてスタジオの人々。
カンサスやらアイダホやらからやってきているど百姓の赤首たちが、
まさに、総立ちになって拍手喝采。

呆けた笑いをうかべるメンバーたち。
まさに、やりきった。まさにまさに、やりきった、やってやったぞ、というところであろうか。

凄いな、本当に凄いな・・
なんか、オリンピックの金メダルの演技を見ているようなそんな感じさえもさせす、
まさに、そう、芸術的なその出来栄え。

という訳で、この映像、なんど見たか判らない。
繰り返して観るうちに、おもわず、涙が滲んできてしまう。

日本のミュージシャンが、やっとやっとやっと、世界に認められた。
まさにその瞬間。まさに、そう、神憑りの奇跡の瞬間・・・

青純さん、本当におめでとう、
ついにあんたの育てた息子たちが世界をぶっ飛ばしたぞ!

そしてこれまで、あの演歌と民謡と管理社会と、
虐めと自殺と上下関係と学歴主義と、
そんなネガティブバイブレーションのドツボの中で、
孤高の享楽主義者を貫きながらも、
がしかし、食うに食えずにいつしか社会の藻屑。
まさにゴミのように潰え去った日本のミュージシャンたちの夢、あるいは怨念。
そのすべてを担って、世界へ飛べ、BABYMETAL、日本のバンドマンの底力、
サポバンのプロ根性を世界に見せつけてやれ!

と思わず、拳を振り上げてしまう訳である。

俺がBABYMETALを応援しているのは、まさにそういう理由なのである。
俺がBABYMETALに涙するのは、まさにそういう理由なのである。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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