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バンドマンというこの野獣

Posted by 高見鈴虫 on 25.2016 音楽ねた   0 comments
俺から言わせるところ、
バンドマンとは、筋金入りの傭兵軍団、のことである。
で、俺から言わせるところの、
筋金入りの傭兵軍団とは、つまりは、男の中の男である、という事である。
しからば、
俺から言わせるところの、
男の中の男とは、と問われれば。。。。
そう、
まったくもって、どうしようもない連中、という事、であらふ。

という訳で、
この筋金入りのどうしようもない連中であるバンドマンと言う奴ら。

それが例えばどんなもんかと言えば、
例えばそれが、己の命運を決する大喧嘩に向かう道でも、
或いは、
もはや数億などと言うちょっと天文学的な金額の動く大仕事の前にでも、

このバンドマンという奴ら、
顔を合わせれば徹底的に、
オンナの話しかしない。

そんなまったくもってどうしようも無い連中、
つまりそう、
バンドマンなどそんなものだ。


♪ ♪ ♪


んなことはわざわざ言うまでもなく、
バンドマン、まったくどうしようもない人種である。

何故ならばこのバンドマンという人種。
根本的に、無法者、つまりは自由人である、
ということを前提としているからである。

このバンドマン、
その見た目がどれだけナヨナヨしていようが、
或いは時としてちょっと小難しい顔をしては、
訳の判らない、抽象的な単語ばかりを並べるだけで、
ちっとも結論の見えてこない、
そんな戯言で世間を煙に巻きながら、
考えている事と言えば音楽のことばかり。

下手をすれば、自分の楽器の鳴り具合、
以外の全ては二の次三の次。

世界は滅びてしまったが、今日は妙にスネアの鳴りがいい。良し!と一言。

なんて輩ばかりなのである。

とそんな無法者でありながら、
楽器を操るという理由から、喧嘩はできない。
指を折りたっら商売にならないしな。
つまりからっきし意気地がない。

しかも、そんな無法者でありながら、
やたらと音に関してだけは超がつくほどまでに神経質で、
つまりはニートなならず者。
いやあ、この世で一番タチの悪いタイプ、そのもの。

という訳で、このちょっと気難しいバンドマン、
そんなのが集まると、
この世で一番当たり障りの無い、
つまりどうしようもない話しかしない、
というのはまさに紳士協定。

で、男にとって一番たわいのない話とは、
勿論、食い物の話、な訳だが、
それはそれでロック・スターという職業上、
わりとウエイトに気を使ってる輩も多く (ドラマーは別だ!ざまーみろ)

ああ、あそこのラーメン、うまかったよなあ、なんて話に、
いきなり、うるせえよ、と背中を向けるボーカリスト、
なんてのもいてこれがなかなか難しい。

で、うーん、食べ物の話もできない、となれば、
はい、残されたのはもちろん、オンナの話。
俗に言う ワイダン、猥談。

という訳で、賭けても良い。
世に巣食うバンドマン、
なんかいつもガラの悪そうな、
あるいはちょっと気難しそうな顔はしているが、
あるいは、どう考えても常人には思えないアーチスト風情、
が、その蓋を開けてみれば、
話していることと言えば、オンナの話、こればかり。

割りとでかいギグに向かう車の中で、
なんか知らないがさっきからずっとオンナの話ばかりしている俺たち。
で、ハコに着いてからも、おはよーございまーす、とか言いながら、
あ、で、どうなったの?そのケーコさんだっけ、ヨーコさんだっけ?
ああ、そうそう、それでさ、
なんて感じで、
楽器の搬入からセットアップから、マイクチェックから、実はその話ばっかり、と。

で、それが乗じるうちに。。。

♪ ♪ ♪

会場に向かう車の中で、今日も今日とて相変わらず女の話。

今までの女、これからの女、昨日の女、そして、

おっと!いま外に見えた、あの女!

下手をすれば、運転手さんちょっと停めてください、
とやって、
車の窓から、姉ちゃん姉ちゃん、そこの姉ちゃん、
このチケットあげるから、一発やらせてくださいな~、
ではないが、

いきなり車を飛び降りて、
仕事帰りの美人OL、なんてのの前にしゃしゃり出て、
あの、あの、あの、といきなり赤らんだ顔。
あのあのあの、これ、これから、僕たちライブやる、そのチケットなんです。
あのあのあの、で、これ、もし宜しかったら、あの、お願いします!見に来て下さい!
あのあのあの、あなたの為に、俺、本当に、一生懸命やります。だから、あの一生のお願いです。見に来てください。
で、あのあのあの、もしかして、もし気に入って貰えたら、
あのあのあの、もしその時には、
楽屋まで、僕を訪ねて来て貰えませんか?

当然のことながら、車が走りだした途端に、息もできないぐらいの大爆笑である。

来るかなあ。
来るかもなあ。
いやあ、来ないだろう、固そうだったぜ。
いや、固いのに限ってそういう出会いを夢見てるんだよ。
来るね。
いや、来ないね。
賭けるか?
ああ、賭けるね。
で、なに賭ける?
決まってるじゃねえか、あの女だよ。

そしてステージ。
あのスポットライトの中から、
うねる嵐の海の狭間に、まさかまさか、
周囲のファンの女の子達とは、ちょっと一風変わった、
大人の微笑、なんてのを見つけた時。。。

思わず、

釣れたあああ! 

の絶叫が、マイクを通して会場中に響き渡り。。。

♪ ♪ ♪

という訳で、我らが神バンド。

彼らもバンドマンである以上は、果たしてそういう人たちであったりもするのだろうか?

だがしかし、
そうだよな、神バンド、あれだけの人たちだしさ。
ああ見えて割りと真面目そうだしさ。

やっぱ車の中でも曲の構成の話とか、機材の話とか、してるのかもな。

ああやっぱりなあ。だから俺たち駄目だったのかな。

練習の時も酔っ払ってオンナの話ばっかりだったしな。

ライブ終わった後、搬出ぶっちぎってそんなオンナとふけちゃうとか、
無茶苦茶ムカついたけどあ、まあ、それはそれで力仕事はドラマーの宿命だからな、
とか自分に言い聞かせてたけど、
やっぱもてるのはフロントの奴らばっかりでさ。
で、雨の舗道を、ベースと二人、とぼとぼと。
で、スタジオに帰り着いて、今日の録音、聴いてみるか?
なんて時になってから、いやあ、悪い悪い、ごめんなあ、雨降っちゃってさあ、とか言いながら、
なんとなく生臭い連中が一人二人と舞い戻ってくる訳なのだが。

まあそう、それぐらいじゃなくっちゃバンドマン、
ステージが喧嘩の毎日。
そんな切った貼ったの極道稼業、
そのぐらいのタマじゃなかったらやってけないぜ、と言いながら、
結局それぐらいで終わっちまったのは、それが理由なんだろう、と。
自戒の念に耐えません。

という訳で、さっきまでふと脳裏に浮かんでいたイケナイ妄想。

もしも、神バンドが、実に俺達のようなどうしようもないバンドマンであったら、
なんてことを想像してみたりなんかしてみたりして。。。


♪ ♪ ♪

ねえ、やっぱさ、すーな訳?
え?俺?なんで?
だってやっぱさ、いちおう一番オトナだしさ。
あ、でも、やっぱちょっと怖くね?
ああ、ステージのあの顔見ちゃうとな。
でもやっぱ凄えよなあの子。
ああ凄え凄え。
俺まじステージで涙滲むし。
ああ俺も。
ああ俺も俺も。
凄えよやっぱ。
ああ凄え凄え。
おまえなんかこないだリハの時に泣いてたもんな。
なんかよ、俺、最近涙腺ゆるくなっちまったんじゃねえかと思ってさ。
老化現象なんじゃね?
なにそれ?そんなのあり?
知らねえけど。
でもほら、やっぱ可愛げでは最愛だよな。
ああ、それ言えてる。
でもやっぱ、顔立ちとか言ったら断然ユイだろ。
そうかなあ?
そうだよ。
おお。
おお。
いずれにしろ将来楽しみだよな。
それまでこの仕事が続けばな。
続けさせんだろ。
ああ。
ああじゃねえよ。
わかったよ。
で?
で?
やっぱすーだろ。
うーん。でもまじ怖くね?あの子さ、俺らの出す音全部覚えてるっしょ?
ああ、覚えてるよがっつりと。ちょっと違うことやるとすぐぴっと来るしさ。
ちょっと凄すぎるよね。
ああ、まじ、ちょっと凄いよあの才能。
え?あそ?あそう。へっへへ、お前らそうなんだ。へっへっへ。
なにが?
へへへ。内緒だよ。
なにがだよ。
んだよ、言えよ。
内緒だよ。俺とすーだけの内緒。
まじ?もしかして変顔?
え?なにそれ。
なに、すーと変顔?いつ?どこで。
してねえよそんなこと。
だったらなんだよ。
言えよ。
あああ、まじかよ。おまえ、ひでえよ。それは。俺、ほら、ずっとすーだって言ってたじゃんかよ。それを知りながら内緒でそんなことしてたの?それひどくね?俺なんか死にたくなってきた。もう今日、駄目だ。まじ、帰りたい。
だからよ、ほら、俺ってやっぱ昔からちょっとすーのお気に入りだったしさ。やっぱこん中で一番いけてるって言ったらこの俺。つまり特別待遇ってやつで。
んだよこのやろう。ぶっ殺すぞ、まじで。
ばかやろう。やってられね。帰るぜ。
嘘だよ。嘘。冗談だよ。
だろ?俺もそう思ったよ。
まじでさ、お前、す~と変顔なんかしてたら、俺その場で演奏やめるからな。
わーったよ、わった。嘘だよ嘘。
嘘なら良いんだよ。くだらねえこと言うんじゃねえよ。
あーあ、でもさ、ちょっと前とかだったら、ゆいちゃんとか、ギター教えて、とかさ。
そう、最愛ちゃんなんか、一緒にドラム叩こ、とかさ。
だったらここに一緒に座って。
でも最愛、足が届かないし。
だったら、足はおじさんがやってあげるから。
うんだったら最愛が手をやるから、合わせてね。
よーし、じゃあ行くよ、1-2-3、はい、なんて、やってたのにな。
ああ、もうすっかりみんな大人になっちゃってさ。
そういう意味ではちょっと寂しくはあるよな。
うちの娘もそのうちそうなるんだろうな。
まあ随分と先だがな。
うちのかみさんとも昔はそんなだったんだけどな。
ああ、それはもう一生返ってこないな。
そんなもんかな。
ああ、そんなもんだ。それだけは言える。
やっぱすーかな。
お前しつけえよ。

♪ ♪ ♪

いやいや、神バンドに限って、あのプロフェッショナル集団に限って、
まさかそんな、下世話な話、
よりによって商品に手を出すような、
そんな馬鹿な真似は、しないだろう。それこそ自殺行為だろう。
そう願いたい。

そう、これはすべて、うちのあのどうしようもねえバンド、
練習中から移動中からライブの最中まで、
朝から晩までオンナの話ばかりしていた、糞バンド、
あの糞バンドが、まさか神バンドだったら、
ってだけの話でさ。
まあそんな訳はないよな。ああ、無い無い。

ああ、でも、なんて、考えてたら、ああ、またバンドやりたくなってきちゃったよ。

ただまあ、同じようなメンツが集まっても、
あるいはそう、俺みたいなのがいたら、
どうせまたいつものようにオンナの話ばかりになって、
で、結局は同じ結果になる、って、それだけの話なんだろうがな。
まあ、でも、それはそれでも良いのかな、と思い始めている今日このごろ。

バンドマンは行く。地の果てまで、海の果てまで(笑



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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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