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ライブのご神体 ~ BABYMETAL ソニスフィアへの激しい蛇足 

Posted by 高見鈴虫 on 30.2016 BABYMETAL☆ベビーメタル   0 comments
かなーり、昔のことで恐縮ながら、

嘗て、ロック馬鹿を自称する若いミュージシャンたちの、
サポート兼ベビーシッターの爺や役、を押し付けられた際、
そんな素人に毛が生えたようなバンドに、
ちょっとでかい野外フェスでのギクが入った。

ガキども好き勝手にはしゃいでいて、そして思い切りビビっている。

まあそう、フェスティバルだろ?
客の入りを心配する必要がないってのだけはありがたいな、
とおさんらしい皮肉な見解で、浮足立ったガキどもを笑いながら、

というわけで、老婆心ながらも、
このガキどもに、でかいステージにおける戒めを、どう伝えるか、
ってので、ちょっと悩んだ。

ライブの基本は、一に、ビビらないこと。
ハコの大小に関わらず、これは絶対である。
それは普段からしつこいぐらいに言い聞かせてある。

てめえをヤクザの大親分だと思い込むことだ。
ライブは殴りこみだ。命を張った大喧嘩。
そして、生きて帰った時には、女という女を全てかっさらう。
それがライブ。
そう俺たちは最強最悪のバンディードス(盗賊)なのだ。

そしてその2。モニター聞こえねえぞ、な訳である。



ハコというハコ、その全てに個性がある。
そして、
でかいハコになればなるほど、モニターは、聞こえない。
いや、聞こえる、聞こえるが、いつものようには聞こえない。
つまり、普段やっているこの練習スタジオ、
あるいは、出慣れたハコ、との差。
その差異に、いちいちビビるな、なわけである。

通常はそれを、サウンド・チェック時に調整する。
あるいはそう、この21世紀、
今となっては、ボカロ、ならぬ、ピッチ(音程)の修復技術、
ライブ時に同時進行で、ゲートやらコンプやら数々の自動修復装置を駆使して、
下手をすれば緊急時には皿を被せて、
なんて離れ業もやってくれるのだろうこの21世紀。

ただ、そう、遙か昔の話、
そんな慣れぬハコ、つまりはアウェイに殴りこみをかける度に、
ガキどもはいちいち、目を白黒させていた。

このステージ、音の返りが異様に凄いな。
自分の音もぜんぜん聞こえないし。
なあ、どうでも良いけどモニター全然聞こえないけど。
でもこれ、客が入ったらまた全部変わるだろ?
相変わらず訳判らねえ。

そしてハコがでかくなればなるほど、
当然のことながらメンバーが遠くなる。
つまり意志の疎通が希薄になる。
普段から口を酸っぱく言い続けているあの伝家の宝刀「アイ・コンタクト」
あの必殺技が使えなくなる。

そしてそんな状況においてモニターはますます聞こえない。
あるいは、妙に聞こえる。

現在のあのワイアレスのイヤモニがあれば別であろう。
ただ、あれをしていると自分の出している音も聞こえない筈だ。
そして、その命綱が切れた時、いったいどうするのか?

俺は練習の際、必ず足踏みをしろ、それを合わせろ、と言っていた。

足踏み?行進曲じゃねえんだぜ。格好悪くてそんなことできねえよ。

うるせえ、SHUT THE FUCKUP!
馬鹿野郎、ライブでやれってんじゃねえんだよ。
ただ、練習の時にはできるだけ足踏みをしながら楽器を弾く。
極意だ。覚えておけ。

というわけで、退屈な、そして最も重要なリズム練習の際は、
全員の身体から汗が滴るぐらいにまで、この足踏みを徹底した。

リズムは片足で取るな。必ず両足だ。
それで裏乗りの極意が身体で理解できる。
できればサルサ、できればルンバのステップで取ってみろ。
踵で取るんじゃない。腰と膝で取るんだ。ダンスの極意だ。
いいか、そこにリズムの全てがある。

で、ステージでモニターが聞こえなくなったら、
互いの足踏みを、メトロノームに使え。
それに合わせようとするんじゃない。
その足踏みを、自分の足踏みと、シンクロさせるんだよ。

半信半疑ながらも、この太鼓のおさん、怒らせるとタチが悪いからな、
としぶしぶやっていたそんな練習が、
当然のことながら、本番においては最強の武器になった。

あのちゃらけたガキのバンド、あのド下手な糞ガキども、
だがどういうわけか、えらく踊れる。。
という訳で、ギグのたびにどういうわけか、
いつもいつも、人種を問わず柄の悪い無法者ばかりが集まって来たのも、
それが理由であろう、と俺は勝手に自己評価していた。
まあそう、なにもかもが、先端技術が幅を利かす以前の話。
つまりはロックがまだナマモノであった、
そんな前世紀的な与太話に過ぎないのだが・・

というわけで、

ストーンが史上初めて20万人を相手にライブを演った時、
そのステージ上のモニターシステムは、
現在の高校の文化祭、以下、の状況であった筈だ。
レッド・ゼッペリンがロイヤル・アルバート・ホールであの伝説的なライブを演った時、
モニターどころか、ドラムのスタンドまでがまるでオモチャ。
始終グラグラと移動を繰り返していた。

そんな中でも何故に彼らはあの超絶的な演奏を繰り広げたのか。


嘗て、ロス・バン・バンの出演した野外のフェスティバルで、
関係者とともにバックステージで鑑賞させて頂く栄誉をうけた。

そんなライブの最中、突然、停電が起こった。
外に向けてのPAは勿論、
ステージ上のモニターからマイクからライトからが全て、
一瞬でバチン!と掻き消えた。
そのカタストロフィを、俺は目の前で、まさにステージの一員として目撃したのだが、

だがしかし、
その音響のガチ落ちしていた間、
ジェネレーターが復旧し、電源が戻るまでの数分間。
ロス・バン・バンは何事も無いかのように、そのまま演奏を続け、
そして、あろうことか、その演奏のクオリティが、
PAの有る無し、あるいは、モニターの有る無し、に関わらず、
まったく、なにひとつとして、微動だにしなかったのである。

あの場にいた人々、
とくに楽器演奏の素養のないプレス関係等の素人たちは、
あまりに演奏そのものにのめり込んでいたが為に、
なんかちょっと暗くなったねえ、ぐらいなもので、
PAが落ちたことにさえ気付いていなかった。
ステージの目の前で踊り狂っていた連中も、
なにも知らない風にホップ・ステップ・ターンを繰り返していた。

あの場でその奇跡的な光景を目撃していた俺のバンド仲間たち。
その中でも、こういった野外ステージでの経験のある奴らは、
一様に顔を見合わせて、
そして、ポカンと開けた口を戦慄かせながら、目を見張ったものだ。

こいつら・・・バケモノだ。。。

ステージでの突発的なトラブルに動じないメンタルの強さ。
そして、そんな突発的なトラブルに慣れている、という経験。
と同時に、そう、モニター、あるいはクリックの無い状態でも、
なんら変わらず演奏を続けられる、そのバンドとしての技術。

そう、それこそが、「バンド」、なのだ。

ステージを下りてて、汗を拭うメンバー達に改めて聞いてみた。

ねえ、いったいどうしたんだよ。あれ、いったい・・どうやったの?

普段から、皮肉な哲学者を思わせるあのファン・フォルメル御大が、
その時ばかりはちょっと得意気にこう宣った。

ああ、トラブルはいつでも起きる。
或いは必ず起きる。
こんなこと、ハバナじゃもう、日常茶飯事だ。

でも・・・

アミーゴ。 ミ・コンパニエロ、
音楽で一番大切なものはね、
コラソン、つまりは、気持ちだ。気合だ。
演奏はその為にやるのだ。
客が俺たちのなにを見に来ているかって?
音楽?パフォーマンス?演奏技術?違う違う。
そう、コラソンだ。俺達の ハート を見に来ているのだ。
で、ステージでの極意?
音?踊り?舞台設定?
いや違う。そんな安いものじゃない。
コラソン。そう、ハートだ。
ステージの全員がひとつに気持ちを合わせること。
息を、つまりは、気合をあわせること。
ステージで一番大切なこと、とは、まさにそれだ。

(*スペイン語において、このコラソン、とは、心臓、あるいは、ハート、気持ち、あるいは、ガッツ、
やら、実に様々な、そして大きな意味があるが、そう、コラソン。コラソンなのだ)

俺が前回のあのBABYMETAL ソニスフィアでの、
絶体絶命のアクシデントからの、その奇跡的な生還を、
さも、緊張してビビり上がったメンツを、中元すず香一人が支え、それを開花させた、
と描いたのは、確かに過剰な演出でもあるが(笑

あの臭い駄文で綴りたかったのは、
つまりそう、あの絶体絶命の危機を通じて、
BABYMETAL + 神バンド、
ミュージシャン=楽器演奏技術者の集まりであったこの企画先行型のユニットが、
まさしく、「バンド」として昇華した、その奇跡の瞬間、であった、と理解したからだ。

バンドは、あるいは、メンバー同士の信頼は、トラブルによって鍛えられる。

そしてあの、土壇場における致命的なトラブル、その絶体絶命の中での対応、
そして、あの土壇場の中で交わされた互いの心情、その声なき声。
あの経験こそが、BABYMETAL+神バンド、というとってつけたユニットを、
ひとつのバンド、としてステップ・アップさせた、その超重要なエポックだと信じる。

という訳で、この口煩い爺いが、
ド素人のガキどもにほざいていた能書きの続きである。
いいか、ステージでモニターは聞こえない。聞こえるものと思うな。
聞こえないときに、いったいどうするか、それを想定して練習するんだ。
練習はその為にやるんだぜ。気持をあわせること。それが一番大切だ。
ツーバスがどうの、速弾きがどうの、モニターがどうの、
そんなことは二の次三の次だ。
心を合わせること。その合わせ方を学ぶこと。それが一番大切なんだ。
いいか、俺達はバンドだ。バンド、つまりは、「束」なんだ。それを忘れるな。

という訳で、足踏み行進の末に全身汗だくで疲れきったガキども。
で、どうするわけ?本当にモニター聞こえなかったら?
それは、ただひとつ。スネアだ、と俺は断言した。

心配するな。いついかなる状況においても、必ず聞こえる音がある。
スネアドラムだ。
特に俺のスネアの音はでかい。
わざとデカく、頭からリムショットを入れてガチで叩いているだろう?

その音から絶対に気をそらすな。

いいか、野外では特に、返りの音に気をつけろよ。
あの糞ヤマビコ。あれは悪魔の罠だ。騙されるなよ。
そんな時、スネアを信じろ。いつも俺の生音を聴け。
このリムショットのガチガチしたこの音を、身体に染み込ませろ。
バスドラじゃない。シンバルでもハイハットでもない。スネアだ。
この、スネアの、リムショット、その音だけを聴け。
スネアってのはな、その為にあるんだ。覚えておけ。

俺はバンドのメンバーたちにいつもそう言い続けてきた。
それこそが、ロックの極意だと思っていた。

俺がライブの度に、いつもスネアドラムに手を合わせたのは、それが理由だ。
スネアドラムこそが、ライブのご神体、なのだ。

で、そう、全てが流れて、絶対絶命、
スネアの音さえも聞こえない、
まったくなにもかもがどうしようもなくなった時、
いいか、俺が両手のシンバルを思い切り叩き落とす時、
その時、一呼吸溜める。
それだけに、思い切りガチで、「気合」を、合わせろ。
極端な話、それだけで良い。
そう、ロックなんてそんなものだ。
演奏技術?そんなチンケなものどうでもいい。
「気合」だ。そう、「気合」でけで十分だ。
だが、それだけは忘れるなよ。

という訳で、またてめえの浅はかなるちんけな経験から要らぬ御託を並べた。
まあそう、俺はその程度だった。
だからそう、あの程度で終わってしまったのだろうがな(笑
まあそう、またいつもの奴で、ド素人戯言、と聞き流して欲しい。



という訳で、激しい蛇足だったが、恥の上塗りで、補足させていただく。

BABYMETALのソニスフィア、
あの、絶体絶命の危機に陥った3+4が、
あの、死地からの生還において、初めて、7人になった。

それこそが、このBABYMETALの奇跡を巻き起こすことになる、
まさに絶対的な瞬間であった、その誕生の瞬間であった、
と俺は理解している。

そういや、あの時、おまえ、びびってたよな。青い顔しやがってさ。
そういうお前はなんだよ、勝手にはしゃぎやがって、俺達を見捨ててたよな。
で、本当のところ、あの時、どう思ってたわけ?
ねえ、正直なところ、何考えてたの?

そう、そんな思いは、今も、きっと彼らの心にある筈である。
そして、そんな野郎どもの共通した意見。

スーは、あの、ポニーテールの大親分は、本当の本当に、すげええ奴だよな。。。

ステージという土壇場において、その絶体絶命の危機において、
メンバー達のその心情のすべてが露呈しつくしたそのまな板の上で、
本当に強い人間というのが、その場を支え、そして野郎どもを束ね、
強いては、会場全体、数万人の観客のその気持ちを、あるいは時として悪意を、
いきなり、ひっくり返す。

たったひとりの人間の持つ、強靭な意志によって、
パニックが熱狂に変わり、恐怖が快感に変わり、悪が善に、狂気が狂喜に変わる。
その奇跡を、わずか一六歳の少女 中元すず香が、やってのけたのである。

あの映像に俺が涙をしたのはまさにそれが理由だ。
そこに俺は、根源的な人間の強さ、その奇跡を、見たのだ。

この先、いついかなる時にも、どんなトラブルに陥った時でも、
俺は、あのソニスフィアにおける、
すーめたること、中元すず香のあの表情を思い出す筈である。

そう、人間、ああならなくちゃいけない。
あるいは、ああいう人間しか、俺は信じない。

この世の全ての、人の上に立つ方々。
できれば、そう、
あのソニスフィアにおける、あの中元すず香の表情を心に刻んで欲しい。
土壇場の糞度胸、そのあまりの肝っ玉の太さ、あれこそが、リーダーの本質である。

人間は強い。例えどんな状況に陥ろうとも、
そこにひとりでも、意志を持った、気合を持った、
つまりは、精神力の強いものがいれば勝つことができる。
あるいはその絶体絶命の危機を救う。
それを目の当たりにする時、人は、感動するのだ。

幾万のならず者を束ねる大親分が、
それほど喧嘩が強そうでも、あるいは頭が良さそうにも思えないこの御仁が、
何故にそれほどまでに人々の心を掴むのか。

つまりは、人、その心、その深さ、大きさなのである。
つまりはそう、コラソン、つまりはそう、「気合」 な訳だ。

(が、逆に、もしもその上に立つ者が、どうしようもなく、こすく、こ狡いだけの、ミミズ心臓の珍カスであった場合・・人心は乱れに乱れる、ということなのだろうか。。)


という訳で、このソニスフィアの映像。
改めて、このポニーテールの大親分の面目躍如。
まさに、惚れきった!というところだろう。

BABYMETALの大成功の秘訣は、つまるところまさにそれである。

BABYMETALによって与えられる感動の、
その本質的なところとは、まさにそれ、なのである、
と俺は思っている。

激しい蛇足であったが、
実はあまり、こんな蛇足は付け加えたくなかった=
前文で全てを書ききったつもりでいたのだが、
様々なご苦情、あれは、技術的トラブルが原因で、メンバーのせいではない、
とのお言葉、その声があまりにも多かった為、
不本意ながらも、追加させて頂いた。

また、改めて、
我が麗しのポニーテールの大親分と、
わずか14歳であの土壇場の修羅場を戦い抜いた若き戦士たち、
そして我が永遠のアイドル、神バンドの名誉を守るために、
とさせて頂く。

いつもながらの乱文乱筆、失礼仕った。
筆力が及ばなかったこと、ご容赦頂ければ幸いである。






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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
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