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BABYMETAL 中元すず香 と 初音ミク ~ 仮想現実における愛の不毛とは 

Posted by 高見鈴虫 on 17.2016 BABYMETAL☆ベビーメタル   0 comments

また例によって、この週末、
久々の友人を訪ねては、あーだこーだと終わりのない戯言合戦。

そんな中、俺的には当然のことながら、ベビーメタルである。

ベビーメタル?おまえ、ベビーメタル、なんかの、ファンなの?

と言うのは、いかにも口の悪いこの大先輩。

この人、実は俺がニューヨークに来た当初からお世話になった大恩人。
嘗てはここニューヨーク、テクノ・ポップから始まる、
アヴァンギャルド系ダンスミュージックの巨人とさえ言われた、そんな人。
ニューヨークに着いた直後に知り合って
その後、彼のコネクションの全てをこれでもか、とご紹介頂き、
俺のニューヨークにおける土台を作って貰った、
まさに大恩人である。

ただ、この人、やはりちょっと癖がある。

ぶっちゃけ、神をも恐れぬほどの、がっちがちのオタク、
それも、オタク王、というまでに、まさに、オタクの中のオタク、なのである。

オタクのオタクに依るオタクの音楽を追求していたこの人。
生音至上主義の職人志向であった俺とは、
何から何まで、その音楽的方向性は食い違っていた訳で、
そんな先輩の口から、

ベビーメタルかあ、
いかにもお前らしいっていうか、相変わらず外しまくってるな。
メタルとアイドル、その融合?バカバカしい。
どちらも死語。つまりは終わったものじゃねえか。
その抱き合わせ?
そのコンセプトからして完全に終わってるって、そう思わないか?

いやいや、と思わず。

そんなこと言わないで、これ、ちゃんと聴いてみてよ。
凄いんだよ、このバンド。まじで、本当に凄い。
バックのテクニックから、そしてフロント三姫のカリスマ性から、
なにからなにまで格違い。
絶対の絶対に世界のトップを取れると思う。

世界のトップだかなんだか知らないけど、
とまたいつもの皮肉な笑いを浮かべる大先輩。

テクニック?カリスマ性?
そのなにもかもが時代遅れ。
いいか、いまのこの世の中、もうそんなもの誰も望んではいないんだよ。
つくづくおまえ、相変わらず外しまくってるな。

と、ここまで言われて、思わず、

じゃあ、あんたはどうなんだよ、と。



ボク?僕の好きなもの?
そうだな、まあ、初音ミクかな、とさりげなく。

初音ミク?ボカロの?

そう、その初音ミク。

いまさら?

いまさらって言われるとなんだけど、まあ、これからって意味も含めて。

なんだよ、初音ミクかよ、と思わず。

そっちこそ、外しまくってねえか?





この先輩、言っちゃなんだかいくつになっても、
いやここまで来たら、歳をおえばおうほどに、
徹底的なオタク王である。

通常なら、そんなオタクはまったく眼中になく、
有無を言わさず蹴散らして終わり、、なのだが、
だがだが、この先輩。
そのオタクの程が、実はハンパではない。
あるいは、そう、ちょっと常人を逸している。

この自他共認める究極的なオタク。

その頭の中はまさに、ガチガチなまでの理系の人。
最近の音楽の話がいつのまにか、量子力学やら、
スティーブン・ホーキングやらに飛んでいる訳で、
その話がやたらと面白い。
最近ではすっかり安倍先生、
その元凶、じゃなかった、源元たる、二本懐疑、
そのご思想にまさにどっぷりである。

つまりはそういう人である。

自他共認める強烈なロリコンで無論のこといまも独身。
そして、その人生の全てを、己の遊びの為に注ぎ込んだ、
まさに、オタクのオタクによるオタクのためだけの人生を突っ走った人。

ただこのオタクの中のオタクのオタク王。
オタクでありながら、俺なんか、
つまりはこれまた絵に描いたようなどチンピラ風情と、
割りと臆すること無く付き合っているってのも、
実はそう、彼自身がなんだかんだいって、とても攻撃的な人生を送ってきた、
つまりは、強気の人、である訳だ。

この強気のオタク王。
実は金持ち、それも、超がつくほどの金持ちである。
一人住まいでありながらスリーベッドルームのその豪邸は、
それぞれの部屋が、音楽用、ゲーム用、そしてアート・クリエイティヴ系。
ありとあらゆる楽器と特大アンプの並ぶ防音室。
が、それをも上回る分厚い防音壁に囲まれたゲーム専用部屋。
巨大ウーハーを積んだ中、ゲームセンターも真っ青というぐらいまで、
本格的にコックピット化したそのゲーム専用椅子と、
映画の試写会でもできそうな壁一面を占める特大モニター。
ここだけの話、思わずよだれの出そうなアンティックコレクションやら、
あるいは、博物館クラスの日本刀のコレクターでもあり、
ありとあらゆる局面において、
自身の美意識にこれでもかとこだわり続けては、
問答無用、ひたすらに、オタクの王道を突き進む、まさにそう、オタク王。

ただそう、この大先輩。
オタクと聴いてすぐに連想しそうな、
あのキモデブのキモオタの、というタイプではまったくない。
スポーツ万能、頭脳明晰の、実は元伝説的アーティスト、という超マルチ人間。
毎朝6時に起きてのパークをジョギングと、午後には筋トレと水泳を日課とする、
まさにそう、そういう人。

でもさあ、その歳になって、独り者って、ちょっと寂しくない?
あるいはそう、勿体無いっていうか・・
なんておべんちゃらを言おうものなら、いきなりの高笑いである。
はっはっは、だったら、ほら、これ、まあ例えば、なんだどさ、
と見せてくれたのが、どこで見つけてきたのか、
どこぞの高級エスコートサービスのサイト。

え?これ・・なに?

ほら、この子、とか、これ、とか、あと、こんなの、とか。
どれもこれもよりどりみどり。
電話すればすぐにでも、ってらしいんだよな。
どうだ?こんなの見たら、ちょろいもんだろ? 女なんてさ。

え?

そう、人類の失敗ってつまるところ結婚。
お前も結婚なんてしねえでさ、
好きなことを好きなように好きなだけやってればさ、
これぐらいのもの、実は誰にでも手に入るんだぜ。

そう、僕はさ、究極の無産者だろ?
つまりは、人類最大の責務である、結婚、そして子孫を残す、っていう、
人間としての責任を早々に放棄した訳でさ。

だからまあ、どうせ死んだら地獄行きは確定済み。
なんで、その代償というか、今のうちに好きなだけ好きなことをやらせて貰う、と。

という訳でそう、結婚という轍から完全に開放され、
人生のその全ての時間を、もう徹底的というまでに、
オタクのオタクによるオタクの為の遊びに費やす、と。

そんな彼の最近の傾向としては、
ああ、ヴァーチャル・リアリティ、早く出ねえかな、と。

ヴァーチャル・リアリティ?

そう、いまはほら、あの、ゲーセンとかにある、
あのみっともないヘルメット被って、なんて感じだけどさ、
この先、世界はどんどん、その仮想化。
仮想社会の仮想経済の仮想の現実。
どうだ?面白そうだろ?

で、そう、そんな大先輩。

初音ミク?

ああ、初音ミク。こないだのニューヨーク公演、せっかくメール送ってやったのにさ。
すごかったんだぜ、初音ミク。



という訳で、今更ながら初音ミクである。

俺的にはこの初音ミク、実はちょっと、な過去がある。

実は俺の音楽人生の幕引きともなったとある出来事。

トラとは言えちょっと割りと本気でお気に入りであったバンドでのレコーディングの際、
やはりトラで雇われたベーシストが、正直徹底的にソリが合わなかった。

スタジオに遅れてくるのはまあ、こっちのミュージシャンでは定番なのだが、
練習をしていない、どころか、曲さえもうろ覚え。

これまでの何度かのリハでも徹底的に好い加減で、
裏だ、表だ、タメだ、乗りだ、ドライブ感だ、なんて言う俺の戯言にも、
まるで上の空で、せせら笑いさえ浮かべてやがる。

つまりそう、こいつ、その一見したいかにもプロ風、
絵に描いたようなミュージシャン面、
つまりは、究極のナルシスト風情、ってのは、
実はまったくの名ばかりで、
速弾き自慢の六弦ベースもまるでただのお飾り。
下手をすれば、メトロノームに合わせて演奏ができない、
ってぐらいまで、なにからなにまでが、おちゃらけたなんちゃって系。

嘗てはそれなりのバンドでそれなりの名を成したということなのだが、
つまりはそう、楽器の演奏そのものを、徹底的に諦めてしまった、
その成れの果て、って奴なんだろう。

こんな奴にいったいいくら払ってんだ?と思わず聞きたくもなるのだが、
それを言い出すと、とたんに音楽そのものが、とことん嫌になったりもする訳で、

そう、音楽とカネ、この関係、実は、非常に微妙、微妙すぎる、
つまりは禁句中の禁句。



という訳で、本番の録音スタジオ。

ヘッドセットをかぶり、水槽の中のエンジニアからキュー。

クリックが流れて、はい、1-2-3ーX 

うっし、会心の出だし!
イントロでせり上げて、はい、第一の見せ場、思い切りのおかず、決まった!
で、一発大タメのシンバルから、はい、ボーカル、どうぞ、としたところ・・・ ?

ベース、どうした?

そう、ベーシスト、演奏をやめてしまうのである。

ま、イントロはこんな感じで、いいっしょ、
とその自慢の金髪をかきあげては、
ちょっと、音出してくれる?と椅子に座ってしまう。

はい、では再開。
頭から行きますか、ってところを、いや、じゃあさっきの入りのシンバルから、
はい、1-2-3ーX

で、気を取り直して曲入り、
そして展開、そして、1サビ、またメインに戻って、
と、いきなり、はい、ここまで、ちょっと音出してくれる?と。

とまあ、なにからなにまで、ブチギリ、ぶつ切り、そればかり。

いったい、これは、なんなの?

では次、終奏のところ、はい、ドラム、カウントして、と勝手にキュー出しまでし始めて。

で、終わった終わった、とベースを置いては、勝手にスタジオを出てしまう。

なんだよこれ、いったいなんなんだよこれ。

という訳で、実際録音時間、わずか、30分弱。

残りの時間はすべて、ミキシングルームの、プロツールの前。

実際に聞いてみたその演奏、なんだよ、ベース、ぜんぜん合ってねえじゃねえかよ。

そう、ビートが、やら、ドライブが、やら、グルーヴがやら、
そんな次元ではまったくない、全てが全て、クリックとずれているのである。

いや、気にならないけどな、と嘯くベーシストの横で、エンジニアさん、
いや、ほら、波長見るとさ、ずれてる、ここも、ここも、ここも、ここも。

と注がれる白い目にも、まったく意に介せず、という風なベーシスト。

だったら、ほら、貸してみな、しょーもねーなあ、と露骨なせせら笑い。
お前、そこどけ、とエンジニアに顎をしゃくり、
ふんふんふん、と鼻歌を歌いながら、それももちろん、いま録音した曲ですら無く、
はい、ここと、ここと、ここと、ここと、これを、いっぺんに、ちょこっと、ずらして、と、
で、ここを切り貼り、ここと、ここを、こっちにコピーして、
で、はい、聴いてみようか、と。

挙句の果てに、ちょっと、このUSBに、このテイク、全部入れといて。
家でやってくるからさ。このマウス、使いづらくてよ。
あ、心配ないよ、その分のギャラは請求しないから。まかせとけって。

という訳で数日後、出来上がってきた仮テイク。

どうだ、自信作だぜ、と出されたイヤモニ、
た途端、まさに唖然。
なんだこれ・・・ まさに、デジタル、そのもの。
頼みもしないのに、ドラムの音さえいじりまくり。
俺、こんなことやった覚え、ぜんぜんねえんだけど、
ってなおかずが満載、てんこ盛り。

で、誰、これ歌ってんの。

ああ、それ、初音ミク。
一応さ、歌がないと感じがつかめないと思って、
代わりに、ボカロ、入れといたんだ。

ボカロ?

だから初音ミク。どうだ、これだけでも、行けそうだろ?

ハツネ・ミク?なんだそりゃ・・・



後に送られてきた、仮ミックスダウン。
予想通りというかなんというか、
思わず、イヤモニをかなぐり捨てて床に叩きつけ、モニターに蹴りを入れては、
PCごとを頭上高々と抱え上げては壁に向けて・・

というぐらいまで、ブチ切れまくった訳で。

んだよこれ。

だから、そう、エンジニアの人とも話してさ、今風っていうの?
いまはやっぱこういう感じにしないと、誰にも相手にされねえって。

でも、このボーカル、このギター、んで、このドラム、
ぜんぜん、ぜんぜん、俺達の音っていうか、
お前のデモとか、リハでやってた音とか、違うじゃねえか。

だからさ、色々考えて、やっぱこっちの方が今風っていうかさ。

そんななら、わざわざ練習したりとか、リハやったりとか、する意味、ぜんぜんねえじゃねえか。

だからさ、リハ繰り返してそのアイデアを集めて、そのための、っていうか。

お前、このボーカル、これで良いのか?

上手く聞こえるだろ?いや、ほら、こうやって外に音出すともろだけどさ、
ちゃんとイヤフォンで聴いてみな?割りとそう、イケてるんじゃねえかって。

ちゃんとイヤフォン?イヤフォンがちゃんとなのか?

そうだよ、今の時代、誰が外に音出して聴いてる奴いる?
みんながみんな、イヤフォンで聴いてるわけだろ?
だったら、ほら、イヤフォンで聴いた状態こそが、本ちゃんなんだよ。



改めて言うまでもなく、俺は昭和の人である。

ストーンズと、ツェッペリンと、オールマン・ブラザーズと、
ピストルズと、クラッシュと、ジョニー・サンダースと、
ガンズと、モートリークルーと、ニルヴァナと、ストテンと、

そんな人である。

でそう、このバンドも、そこまで、とは言わないまで、そういう音。

ワイルドでクレイジーで、無茶苦茶ドライブした、つまりは、バック・ビートの、
そういう音を作りたいから、わざわざ俺が呼ばれたわけだろう。

それがなんだよこれ、バック・ビートどころか、リズムそのものが存在しねえじゃねえか。

だからさ、と、雇い主。

ま、今回はさ、こんな感じもいいかな、って。
実は割りと評判良いんだよ。へえ、ライブと違って、こんな音も出せるのかって。
実は、こっちの方が、その手の業界さんには評判良かったりするんだよ。

で、このボーカルか?

そう、これ、なんか面白いだろ?

これ、ボカロじゃねえのか?

ミックスしてんだよ。被せてる。

このスネアは?

ああ、だから・・・

このスネアの音、俺の音じゃねえよ。

まあ、さあ、それもデジタル処理っていうか。

このバスドラの音も、このタムも、ハイハットも、ぜんぜん俺の音じゃねえよ。

ああ、だからさ。

コンプレッサー?

そう、当然コンプもかけてる。

俺のドラムには、手は加えねえって、そういう話じゃなかったのか?

だからもう、そういう時代じゃねえって。

俺はデジ処理は嫌いだって、あれほど言ったよな?
だからコンプ使わなくてもいいぐらいまで、バンドの音を合わせるって、そういう筈だったよな?

だからさ、ガタガタ言わねえでちゃんとイヤフォンで聴いてみろよ。
な?ぜんぜん違うだろ?かけた方が良いんだよ。
それだけは絶対なんだよ。俺も驚いたけど、やっぱ違うんだよ。
お前だって判ってるだろ?テクノロジー凄いんだよ。本当に凄いんだって。

あんまり馬鹿馬鹿しくて、口もきけねえ。
テクノロジーを使ってるじゃなくて、ただテクノロジーにもて遊ばれてるだけなんじゃねえのか?

あのな、もう、あんたの言う、そういう時代じゃねえんだって。
一曲まるまる、1-2-3 から、終わりまで、なんて、コスパ悪すぎ。
一発録り?なんて、冗談でしょって。
あのね、もうそういうの、ぜんぜん、まったく、誰も、喜ばねえんだよ。このご時世。

だったら、と思わず言ってしまった。
だったら最初から、シンセとドラムマシーンだけで作れば良かったじゃねえか。

実はさ、とボーカリストが言った。
実は、そのテイクも今作ってんだよ。そう、そういう時代なんだよ、全てがすべて。



このトラウマから数年の間、俺は一切の音楽を聞かなかった。

いや聴いていた。
ストーンズやら、ドアーズやら、パンクも、グランジも聴いていた。
そして、ジャズ、そして、ボサノバからサルサから、そして、オペラまで。

その全てはしかし、デジタルの使われていない生音系の音楽ばかり。

俺はあの経験から、いや、実はあれだけではない。
そのずっと以前から、言ってしまえば、俺がデビュー当時に全盛であったDX7、
そして、シンセ、あるいは、シーケンサー入りのライブやら。
いつしか、ステージでイヤモニは当然。
ともすると、ステージで眠くなるぐらいにまで、徹底的にテクノロジーにおんぶにだっこ。

しまいには、ドラムマシーンと一緒に音を出しますので、ばれないようにお願いします、
なんてことにもなって、そう、そんな時代というやつ、俺があれだけ愛した音楽、
その全てから、完全にかけ離れていってしまったのである。

その暗く長いトンネル、そこの先にいきなり、まるで100万ボルトの衝撃となって現れたのが、
言わずとしれたベビーメタル、であった訳だ。



つまりはさ、時代は、むしろ、初音ミク、
と言う、この理系のテクノポップ、
アバンギャルド・ダンスミュージックの大家の、
この大先輩。

時代はまさに、バーチャルだよ。
そのクリエイティビティ、つまりはその創造性から、可能性から、
全てが、まさに、初音ミクだろ。

初音ミクって、ボカロ、でしょ?

そう、ボカロ。

で、アニメでしょ?

そう、アニメ。凄いんだぜ、ミクちゃん、まあアニメなんだけどさ、
まるで生きてるみたいに、それ以上にものすごいリアルに、
歌って踊って、信じられるか?
まさに、夢。未来世界そのものだぜ。
お前、惜しいことしたよな。あのステージ見逃すなんて。
まったく、運の悪いやつっていうか。
で、挙句の果てに、ベビーメタル?
ああ、やれやれ。
言わせて貰えば、おまえ、つくづく、時代を見失ってねえか?



あんた・・なんでこんな馬鹿と付き合ってるんだ?
と首を傾げる方も多いであろう。

がそう、つまり俺はそういう人である。
俺が生音至上主義であればあるほど、その友人には逆のタイプの奴、
それも、教条的なまでにデジタル化した、そんな奴らもいるにはいる。

そう、断っておくが、俺は倒錯の人、なのである。

生音が、生音が、と言いながら、実はハウス・ミュージック、連日連夜クラブに入り浸り。
パンク上がりの、とは言いながら、実は個人スタジオではジャズばかりやっていた。
ロックと言いながら、家で聴いているのはサルサとボサノバばかり。
IT関連のと言いながら、家では本ばかり読んでいる超文系オタク。

そう、人間そうそうと一筋縄ではいかない。

暴走族の仲間とつるみながらライブハウスでドラムを叩き、
小遣い稼ぎのバイトでは、右翼の街宣車の前でコワモテをアピールしながら、
休憩時間には何くわぬ顔をして実は朝日ジャーナルを読んでいたり。
これでもかと不良を気取りながら、惚れる女はいつも勉強メガネばかりで、
そして嘗てはあれほど嫌って嫌って嫌い抜いたアメリカに、いまこうして暮らしている。

そう、もともと俺はそういう倒錯した人間であったのだ。

その倒錯こそが、人間の深み、などと、
悪い冗談にさえもならないが、まあそんな人間なのである。

そしてそう、そんな倒錯さの全てがいまになって、
アイドル+メタル、なんていう、まったく訳の判らないバンド、
ベビーメタルに結実した、と勝手に自己滿足をしている、
そんなどうしようもないおさんなのである。



という訳で、そう、この半端な倒錯者であるところの俺。

この俺が、改めてお薦めに預かった初音ミク、を聴いてみる。

正直、へええ、であった。

なんか、なんとなく、それほど、抵抗がない、というか、
あるいはちょっと、なにか、妙に懐かしい気もする訳だ。

断っておくが、俺にはロリコンのケは微塵もない。
俺の中で幼女と性欲はまったくリンクしない。
この歳になっても、理想とする女は年上の人(それは嘘だが
そんな俺は、言ってしまえば、アニメ文化とは、
いっさい、全く関わりのない人生を送ってきた筈であった。

そんな俺が、今更、初音ミク?

そう、俺にとって、初音ミクとは、まさにこんな俺とは、まったく正反対の、
新人類どころか、異星人とも感じられる、そんなどうしようもないオタクどもの、
そんな人々のための音楽、でしかなかったのである。

だがそう、そうか、初音ミクか。

なぜなんだろう、このあまりの抵抗の無さ。

わりと俺、こーゆーのも、好きかもしれない・・



実はそう、実は我らがベビーメタル。

先日から、お気に入りであったLONDONのライブのDVD、
あれの音源だけをRIPしてIPHONEに叩き込んでは、
四六時中そればかり、というぐらいにまで聴き続けていたのであるが、
その中で、ひとつ、ちょっと、あり?と思ったこと。

つまりは、我が中元すず香嬢、
このお声が、時として、ボカロ?被せてる?
というぐらいにまで、初音ミク的ではないが、
そう、つまりは、ボカロの声質と酷似している、
とは常々感じていた。

嘗てあれほどまでに憎しみを感じたデジタル音。
その、究極であるところの、ボカロイド、である。

筋金入りの生音至上主義者であった俺が、まさか、ボカロの歌姫に騙された?

判る。判っている。
ベビーメタルは、まさに、テクノロジーと生音の、その頂上対決。
その奇跡的融合のバンドである。

いまとなって、そう、ベビーメタルを知ってからのあの七転八倒の中で、
ついには、この未来形融合バンドを認めざるを得なくなった、
そのいまになっても、果たして、これだけ愛してきた中元すず香、
その歌声が、実は、ボカロだった?

あり得ないだろう。それだけは、あり得てはいけない。

ただそう、似ている。あるいは、似すぎている。

多分、ユイ最愛、あるいは、マニピュレータ。
シーケンサーとの融合の中で、機械音との絶妙な掛け合い、
そんなものもあり得る、あるいは、より高いクオリティを作り出すためには、
そういう方法も積極的に取り入れるべき、というのも判っている。

ただ、そこまでいっても、まさか、中元すず香が、ボカロ?
あり得ない、あり得てはいけない、
と、その点だけは、もう人生をかけて、どうしても、認められない、認めてはいけない最後の一線。

これまで、世のなにからなにまでを罵倒に次ぐ罵倒で罵倒し尽くしてきたこの俺が、
そうまでしながらも、絶対の絶対なまで、どうしても口にできなかったこと。

つまりは、中元すず香、ボカロ説に対する、一抹の不安、であったのだ。



という訳で、今回改めて、尊敬する大先輩からの名言、

初音ミクこそは、未来の素材、というその予言めいた言葉。

判る。俺にだって、こんな俺にだって判る。
これからのキーワードは、仮想、それに尽きる。
あるいはそれが、誰にも止められないぐらいの大津波となって、
いまにも現実社会を飲み尽くすことになる。
そしてこのヴァーチャル・リアリティ。
仮想現実が現生活を凌駕し飲みつくし、
仮想と現実の共存する、摩訶不思議な未来社会。
それがすでに現実化している今、
改めて、そのひとつの象徴であるところの初音ミク。
認めない訳にはいかないのである。

がしかし・・・ と俺はそれでもこだわり続ける。

俺の、俺の中元すず香だけは・・・

そんな葛藤が、あり? 
いきなり、そう、YOUTUBE 
かちゃかちゃかちゃ、とタイプして検索するだけで、
いきなり、その真相が転がり出てしまった。

なぬ?

初音ミクの歌う、ベビーメタル?

つまりは、そのものずばり。これこそが、まさに、そう、その真相、そのものなのである。

なあああんだよ、まったくもって、このお手軽な21世紀。

俺の抱える疑問など、胸に抱えるまでもなく、
そのキーワードをちゃっちゃっちゃ、とサーチしただけで、
いきなりその解答、その真髄が転がり出てしまう。

という訳で、聞いてみた、初音ミクの歌う、ベビーメタル。





なんだよこれ、なんだ、なんだ、なんだ、なんだ、なんだよ、このベビーメタル。

思わず、ベビーメタルが壊れちゃった!




どう?思わず、大爆笑だろ?

え?違いが判らない?馬鹿かよと。これ判らなかったらそれこそ逝っていいって。

という訳で、俺の気苦労、その全てがあまりの茶番。
まあ、なんというか、お粗末な結末であった。



改めて言うまでもなく、ベビーメタルはボカロではない。
そして、
ベビーメタルの魅力のその真髄とは、言わずとしれた中元すず香嬢、
その、神をも心酔させるほどの、歌唱力、それに尽きる。

ではいったい、歌唱力とは、なんなのか?

そんなこと言うまでもなく、そう、この初音ミクを聴けば判るだろ。

これだよ、この落差。
この落差こそが、歌唱力、つまりは、歌の心、なんだよ。

と、そんなあたりまえのことを再確認しながら、
と同時に、また一つの疑念が心に湧き上がってくる。

果たしてこの、初音ミクに心酔してる人たちって、一体何?

と同時に、

中元すず香嬢は、もしかすると、
下手をすればこんな初音ミクなんてものと間違えられたりもする、
このテクノロジー、つまりは、マニピュレータとの融合というスタイルに、
果たして満足しているのであろうか?



音楽、あるいは、楽器を学び始めた者、
まずは楽曲を覚える、そして、間違えずに弾けるように、練習を繰り返し、
それが滑らかに、あるいは、できるだけ、速く、こなせるようになるまで、
徹底的に反復を繰り返す。
その中で、速さ、だけに暴走をし続ける奴も多く、
速さこそ、音数の多さこそがテクニックのバロメーター、
と妙なところで間抜けなドヤ顔を晒す、
なんていう大間違えの中で終始してしまう底の浅い奴もいるにはいる。

ただそう、ミュージシャンがミュージックを極め続けながら、
そこに、乗り、あるいは、ドライヴ、まさに、グルーヴという奥義に気づき、
そして、同時に、表現力、というより大きな課題に挑戦し続ける中で、
そこに果たして、音色、という大きな扉が開かれることになる。

そう、音色、である。
改めて言わせてもらえば、その楽器の音色の極、と言えるものは、
まさに生音、それ以上のものは、実は存在しない。

演奏者の聴く音と、そして、PAを通して客席に響く音は、違う。

強いて言えば、ミュージシャンの奏でるその音の極意とは、
まさに、PAを通さずに聴く、その生音、
そして、演奏者の身体を、物理的に震わせるその空気そのもの、
つまりは、体感、という奴。

演奏をするミュージシャンたちが、
ビート、そして、グルーヴのコアの中にどっぷりと浸り込んでは、
うねる空気の塊りが、まさに圧力、そして、物理的なヴァイブレーションとなって、
身体の芯からブルブルと震わせるような、そんなまさに、体感的音楽、その極み。
中元すず香がインタビューで言った、音が身体を刺す、そう、その状態。
これだけは、どうしても、楽器を実際に操った者にしか判らない、
音楽というものの創りだす快感のまさに、真髄、とも言えるもの。

そのミュージシャンの包まれた至福が、陶酔が、
PAを通して客席を巻き込み包み込み、
会場中がそのヴァイブレーションの中に飲み込まれていく。

そう改めて言う。
観客たちがどれだけその演奏に酔いしれたとしても、
その音楽の究極的な体験者は、実にミュージシャン自身。
つまりそう、ステージの上のミュージシャンが、実は一番良い想いをしている、
ってのは、まあ、まさに当然のことなのである。

でまあ、そういうミュージシャンである。

つまるところ、ミュージシャンの浸りきるその陶酔の核とは、
ひとえにその音色である。

ただこの音色、ミュージシャンにとっては一つの罠である。

このテクノロジー全盛の時代、ミュージシャンがその音色にこだわればこだわるほど、
ともすると、観客たち、つまりは、PAを通してしか音楽を知らない、
そんな人々との間に、溝が深まっていくのである。

これまでたびたびに渡って指摘を受けてきたが、
そう、世の中のほとんどの人々が、実は音楽の良し悪し、そのクオリティなどは、
実はまったく無頓着であったりもするのだ。

例えばそう、先日あげた、あのAMORE である。

あのLAでの神がかり的なAMORE、
それにまったく気が付かない人々ってのもいるにはいる。

いや、そう言われればそうかのかな?
と思わないわけでもないけど、と、まあ、そんなものなのかな、
ほら、すーちゃん笑ってるしさ、
なんて、
実はそんな人がほとんどではないのかな、と思ったりもするのである。

がそう、ミュージシャンはやはり、そんなところでは生きてはいない。
観客の反応は確かにとても大切だが、しかしその音のクオリティ、
その真髄、あるいは、真相を知っているのは、ミュージシャン自身。

そしてそのクオリティをどこまで追い続けるか、
その、技、その技の美、をどこまで辛辣に追求するか、磨き続けるか、
それこそが、ミュージシャンの真骨頂となるわけで。

そして、改めて言わせてもらえば、
ベビーメタルのその特異性とは、
ベビーメタルが、アイドルとして、つまりはともすると、客商売こそが全て、
という商業主義的な傾向ばかりに暴走するこの消費社会の中で、
一種、時代遅れともなった、技の美、このミュージシャンの真髄を、
とことんまで追求しようとする、
その真摯さ、そのあまりにもコストと見合わないほどの、
その実直さ、生真面目さ、なのではないか、と思っている。

ただそう、ベビーメタルが、そして、中元すず香嬢自身が、
己のミュージシャンとしての真髄、技の美、を極めようとすればする程に、
やはりそう、全てのミュージシャンが食らうことになる、商業主義的な傾向とのギャップ、
強いては、売れセン的なものとの方向性の違いや、
あるいは俺の茶番的な逸話にもあるような、テクノロジーとの間の鬩ぎ合い、
その泥仕合の中に巻き込まれてしまわないか、という危惧。
強いて言えば、いつの日にか、中元すず香は、このベビーメタルの看板であるところの、
テクノロジーとの融合、という、その迎合性に、
欲求不満、あるいは、嫌悪感さえも、
感じるようになってしまうのではないだろうか。



楽器を愛せば愛するほど、ミュージシャンは音色の罠にはまっていく。

そしてそんな音色の罠に嵌まるほどに、
ステージでの見栄えが悪くなり、
そして、客受けが悪くなる、という皮肉がある。

例えはこんな俺。

ステージで頭を振れ?なんで?
なに?下を向くな?なんで?

見栄え?見栄えってなんだよ。

つまりそう、頭を振らないのは、イヤモニがずれるのが嫌なのもあるが、
正直なところ、音に集中したいから。
で、演奏中に下を向くむくのは、
つまりは、ドラマーがその個人練習の際、
スティックのその打点、つまりは、粒とヘッドとの接点を、
いつも確認していたいから、に他ならない。

そう、本来であれば、上手いドラマーほど頭を振ったりしない。
ビートは腰で取るものであって、頭とはまったく連動してはいない。
そしてそんなドラマーが観ているものは、
客席などでは勿論無く、そう、スティックの打点、その軌道と、
そしてヘッド、あるいはシンバルとの角度、あるいは、振動。

なのでそう、正直なところ、
見栄え? ああ、そう、そういうのはほら、フロントでやってくれるか?
と言いたいのは山々(笑

だってさあ、俺のドラム、こんな良い音がするんだぜ、な訳で、
そんなふてぶてしいまでに己の音色のクオリティにこだわってしまったミュージシャン、
当然のことながら、ほとんど大抵の人は、観ていても面白くない。

そうなんだよ、ミュージシャンって、
ミュージシャンであると同時パフォーマーでもあるわけで、
やはりそのバランス、そのバランスこそが一番大切なのだよ。

という訳で、中元すず香嬢。

アイドル、やら、ともすると、ロック、なんてジャンルからも、
思わず逸脱してしまうほどに、そのクオリティ、あまりにも飛び抜けてしまい過ぎてないか、
と、妙な気を回してしまうぐらいに、まさに、凄まじいばかりの歌唱力である。

もうここまでくれば、もう伴奏など要らない。
もう、ずっと、アカペラだけで、生歌だけ聴いていたい、そんなことまで思わせるほどに、
その音色、つまりは、歌声、まさにずば抜けたものがある。

多分そう、中元すず香嬢自身も思っている筈だ。

マニピュレータなど要らない。わたしのこの声、この生声だけで、勝負させて欲しい。

それこそがミュージシャンの本音の本音。

そう、ミュージシャンは生音を愛してこそ、ミュージシャン。
愛すれば愛するほどにミュージシャンなのである。

ただそう、ミュージシャンはミュージシャンであると同時にパフォーマーなのである。

観客あってこそ、初めてのミュージシャンなのだ。

という訳で、そう、暴言を覚悟で改めて言おう。

ベビーメタルは、三姫のダンスユニットである。

下手をすれば、その歌唱力の中で暴走さえもありうるであろう、
そのあまりにも卓越したボーカリストである中元すず香嬢、
そのバランスを保つ意味でも、三姫のダンスユニット、という縛りを効かせるのが、
実は得策なのである。

生意気を承知で続けさせてもらう。

俺的には、やはりベビーメタルそして神バンド、
この布陣こそが、究極である、と断言させて頂く。

確かに、中元すず香嬢のアカペラだけを聴いていたい。
その音色に浸っていたい、と思えば思うほどに、
ともすると、ベビーメタルという形態そのものが邪魔にも思える時が来るかもしれない。

ただ、そう、音色至上主義は、時として罠とも成りうる。

がしかし、とここで考える。

そう、神バンドの存在である。

日々驚異的なまでの成長を続けるこのまさにモンスターのような逸材であるところの中元すず香嬢。
がしかし、そんな彼女を支える、ミュージシャンの大先輩であるところの神バンドのメンツ。
ミュージシャンとして、酸いも甘いも噛み分け尽くしてきたこの大先輩たち。

中元すず香嬢がミュージシャンとして悩めば悩む程に、
その解答は、実はこの神バンドの中に見つけ出すことができる、その筈なのである。

ああ、そう、ミュージシャンであると同時に俺たちはパフォーマーだからな。
音とは別に、ステージで頭を振る、なんて、そんな練習も、時には必要なのさ。
お客さんあっての俺達じゃないか、それぐらいのことで喜んでもらえるなら、
頭なんていくらでも振ってやるさ。

今更ながら、中元すず香嬢、そして、ベビーメタル。
なんて幸運な人々だろう、と思う。
まさに怖いくらいまでの幸運、あるいは、条件が揃いきっている。

と同時に、再び、要らぬ不安が頭をもたげる。

この幸運さ、あまりにも、幸運過ぎないか?

ベビーメタルが短命に終わるだろう、という、あのおかしな噂は、
つまりはそう、このあまりの強運、それを信じ難い人々の要らぬ中傷であるのだろうが、
まさにそんな中傷に惹きつけられるほどまで、あまりにも神々に愛され尽くしたこのベビーメタル。

まったくもって、怖いぐらいである。



という訳で、冒頭の大先輩、そして、初音ミクである。
テクノロジーとの融合どころか、テクノロジーの生んだテクノロジーの幻想そのものである初音ミク。

確かに凄い、あるいは、超物珍しい。だって、これ、最初から最後までフォノグラムなんだぜ。

ただ、敢えて言わせてもらう。

俺が求めているのは、音楽 である。

そして音楽を奏でるのは、ミュージシャンである。

そしてそんなミュージシャンの、その究極的なものとは、まさに、音色、そして表現力、なのである。

ベビーメタルかあ、相変わらずだよな。
まったくお前らしい、保守的な、時代錯誤、倒錯だよな。
ただそう、そんなベビーメタルを敢えて愛する、
それこそが、お前の限界でもあり、そして、お前の良さ、でもあるんだがな。



改めて言わせてもらう。
いや、本人の前では決して言えないこの言葉。

あなたの追い求めていたものとは、
つまりはあなたの言う愛、とは、
それは自己愛、であって、実は、愛 ではない。

そしてあなたも、実はそれに気付いている。

あなたが初音ミクに求めているものとは、
自己愛、ばかりを押し付けることのできる、
その自己愛の、具現化、に過ぎない。

がしかし、初音ミクの中には、本当の愛は存在しない。
そこに在るのは、形を変えた、自己愛の残骸、それだけ。

あなたが決して手に入れることのできなかった、実は本当の愛。
あなたが逃げ続けた、その本当の愛とは、
実はその自己愛とは、真逆に位置するもの。

つまりあなたの人生の全ては、
愛を求めれば求めるほどに、
それはただ、悪戯に自己愛ばかりを増幅させることに他ならず、
そんな自己愛を追えば負うほどに、
真実の愛が遠のいてしまう、
その終わりのない追いかけっこ。

つまりはそう、あなたの買い集めたこのすべての男の遊びは、
自己愛という名の砂漠。
愛の不毛、その如実な具現化、つまりは自己愛のガラクタ。

その自己愛のお宝物に囲まれて、そんなガラクタの中に埋もれて、
その不毛を埋めるものが、仮想世界。
自己愛の中での、仮想的充実、だったのではないか?

自己愛と愛、その根本的な違い。
時として、面倒くさく、徒労ばかりで、裏切られてばかりで、
そんな愛、愛を追うことのその苦悩。
がしかし、それは、少なくとも不毛ではない。ない筈。

自己愛とは、追えば追うほどに不毛に至る砂漠への旅。
本当の愛とは、求めれば求めるほどに深みに嵌り込む、
まさに甘い香りに包まれた迷宮の底。

ただそう、人間が人間であるかぎり、人は敢えて徒労を選ぶ。

真実の愛を知るものは、その愛の徒労こそが、
実は人生そのものなのだ、という真理に、気がついているのだから。

そして自己愛の果てにあるものが、実はフォノグラム、蜃気楼にすぎないことを、
人間はその長い歴史の中で、嫌というほどに学んできたのだから。



くっそ、なんだよこの女って奴。
こんなものなければ、俺はもっともっともっと、
充実した俺的な愛に満たされることが出来る筈なのに。

そう思いながらも、己の自己愛を消耗させ、削りながら追い求める愛。
ぶっちゃけ、女ってやつ。あるいは人間って奴。
そんな俺に、こんなものじゃな足りない、こんなもの本当の愛じゃない、
違う違う、こんなものいらない、わたしが欲しいのはこんなのじゃない。
と無碍に突き返す、その愛の暴君。
バカヤロウ、好きにしろ、俺はしらねえ!
ドアを蹴り破って、そして訪れる男の城。
ああこのまさに男の男による男の世界。
まさに天国・・・

どうだ、初音ミク、凄いだろ?なんでもあり、なんだぜ。
なんでもあり?だったらさ、俺、もっと違う女がいいな。
ほら、さっきのエスコートサービスのスーパーモデルみたいな、
そんな女をすっぽんぽんにして、そこで歌い踊らせて・・
とか言ったら、さっさとこんなバーチャルなんかじゃなくて、
実際の女、ゲットしちゃったほうが、面白くねえか?

馬鹿だな、おまえ、そこまでやったら逆に興ざめだろ?
実際の女?考えただけでも面倒くさくてうんざりだよ。
このアニメの女神、これこそが究極。
その兼ね合いが、大切なんだよ。

そんなもの?

そう、そういうものだよ。敢えて実物を追わず、フォノグラムに夢を託す。
それがオタクのワビサビってやつなんだよ。

深いね、オタクも。

そう、深いんだぜ、オタクの世界。まさに、沼だな。底なし沼。
あるいはそう、果てしない砂漠っていうかさ・・・



語って語って語り尽くして、笑って笑って笑いつくして、
飲んで飲んで飲み尽くして、
そんなまさに男の天国の中に、浸りきって辿り着いた夜更けの街。

明け方近くになって、ようやく転がりでたこの現実という世界。

ああ、やれやれ、と溜息をつきながら、またあの面倒くさい愛の中へと帰る、
夜更けの地下鉄のホーム。

ああ、眠い、倒れそうだ、でも早く帰って、犬の散歩に行かなくっちゃな・・

ああまったく、自己愛の中だけで充足できれば、
それに越したこともねえんだろうけどさ。

そう溜息をつきながら、思わず口ずさむ、AMORE 愛の言葉、響け夜空に~ 

面倒臭いな、この人生、あんまり面倒くさくて、面倒臭すぎて、
でもそう、それが、人生なんだよ。愛は犠牲を伴うんだよ。
あるいは一筋縄ではいかないもの。
ただ、犠牲の無い愛って、簡単に手に入る愛って、
それは実は、愛ではなかったりもするんだよな。

つまりは、初音ミク、なんだよ。
それは、つまり、フォノグラム、なんだよ。

そしてBABYMETAL 中元すず香。
その姿とは、まさに、愛、を求める永遠の戦い。
そう、愛は、勝ち取るものなんだよな。

戦いの中にこそ、憂いがあって、
戦い続けることこそが、愛、なんだよ。
人間であるかぎり、それを諦めてはいけないんだよ。
愛は、フォノグラムの中には、存在しないのだから。

ただ、ああ、もう、この現実社会。
つまりは、生音、ってやつ。
これ、面倒くさすぎ、
そして、奥が深すぎ・・・

つまりはそう、俺たちで言わせるところの、音色、ってやつなんだろ?

そしてそんな音色とは別に、時にはステージで頭を振ることも、
必要ってわけなんだろ?



あああ、言ってしまった、絶対内緒だよ。

でも、ここだけの話、

では、ベビーメタルの本当の魅力って一体何なのか?

ここまで来て、俺は、ようやく、一つの言葉を高らかに謳う。

ベビーメタル、その、本当の魅力、愛 だろ!

そう、ベビーメタルが、そして、中元すず香が表現しようとしているものとは、まさしく、愛 その真髄、なのである。

その愛だけは、テクノロジーでは、あるいは、エスコートサービスの超絶モデル級美人でも、
あるいは、どれだけお金をかけた最新鋭のディバイスでも、絶対に手の届かない、まさに唯一絶対のもの。

愛 だろ? つまりは、AMORE だろ?

それに改めて気づいた時、中元すず香嬢があれだけこだわってきた、AMORE = 愛 という曲。

それを歌いきった、かの LA での 中元すず香嬢の姿が、まさに後光に包まれていた、
その本当の理由に気付かされる訳である。



この仮想的現実、そして、バーチャルリアリティ的な現実、

あるいは、コストパフォーマンスばかりが重視され、

ともすると、

社会の基本の基本ともなる、人間への愛、つまりは、生善説のその真逆を行く、

人が悪、社会が善 というこの倒錯した教条主義。

善なる「社会」が、悪なる「人」を戒め、そして凌駕する、
そんな短絡的な思想、

その根本にあるものは、愛の不毛である、と断言させて貰う。

あるいはそう、自己愛の暴走の中で、隣人と愛を共有できなくなったその姿。

どこぞの独裁者気取りのアフォ、あるいは、初音ミクと中元すず香を聴き違える、
そんな倒錯した脳みそうねうね人達の、
その大間違えの根本にあるものこそが、まさにその、愛の不毛 であり、
そんな社会を独善的なまでに叫び続ける人々の、その根本にあるのも、
愛の不毛、それに対する、恥辱的なまでのコンプレックス、なのである。

強いて言えば、そう、そんな独裁者が目指す方向とは、
バーチャル、つまりは、仮想的な愛 なのだ。

ただ、本物の愛を知るものは、
そんな代替的な、作り物の愛の、その陳腐さを一瞬のうちに見破る。

そう、初音ミクと中元すず香は違う。根本的に、なにもかも違うのだ。

その違いであるところの、まさに、愛。

愛を知らぬものが、愛へのコンプレックスに苛まれ、その当て付けとして、
愛の無い世界を作ろうとする者達のこの教条主義的な仮想愛の暴走。

あるいはそう、自己愛、という不毛な牢獄の中で、浪費に浪費を重ねるその姿。

全てが、愛の不毛、その姿である。

騙されてはいけない。

あるいはそう、そういう仮想野郎たちの呪いを解くのは、
まさに、愛、そう、本物の愛、正真正銘の愛、
これを以って、他にはない、のである。

仮想愛を偏愛する愛の不毛に生きる者達。

この初音ミクの歌う、ベビーメタルを聴いてみてくれ。

そしてそこにあからさまに存在する、このあまりのギャップの中に、

あなたたちの追い求めるものの、その不毛、つまりは愛の不毛、
その空虚さを、感じ取ってくれ。

仮想は仮想でしかあり得ない、仮想と現実の差、それは、愛、なんだよ。

そして中元すず香。
ついに、AMORE = 愛 を歌いきったベビーメタル。

ベビーメタルは、仮想を、凌駕したのだ。

つまりは、愛 の、勝利。
ベビーメタルは、中元すず香は、ついにそれを、やりきった!

AMORE 愛の言葉、響け夜空に 宇宙まで届けて、AMORE・・・

ああ、全ての人々に、愛の手を、

この中元すず香の体現した、その愛の、その真髄に、

頼むから早く、気がついてくれ。

これこそが、人類救済の、メッセージなのだから。

愛は戦い BABYMETAL RESISTANCE DEATH!











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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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