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BABYMETAL と 宝塚スピリッツ

Posted by 高見鈴虫 on 23.2016 BABYMETAL☆ベビーメタル   0 comments
この歳になっていきなり嵌りこんだベビーメタル。

常日頃からの布教活動の因果か、成果か、
先の週末も、犬の散歩から帰ったのを見計らうように、
妙な方からのご訪問を受ける、なんていう天罰、
じゃなかった、恩恵に、預かることになった。

なんかさ、大変なことになっちゃって、助けて欲しいのよ。

この方、ダンサー、というよりは、武闘家、ならぬ、舞踏家、の人である。

実はその業界では知る人ぞ知る、筈の、人であるらしいく、
本人言わせるところの、
ブロードウエイの主役にはちょっと手が届かなかったが、
まあ、端役、あるいは、代役、ぐらいなら、余裕でこなせる、そのつもり、
と豪語している、豪語し続けて早云十年、の、まあそういう人。

これでも日本に帰れば、
それなりに大きい顔もできるんだろうけどさ、
とは普段からの口癖ではあるのだが、
どういう風の吹き回しか、いつまでたってもニューヨーク、
どうにもこうにも、この摩天楼の籠の中、
飛べない鳥のままに、すでに四十年余。

まあそう、ここニューヨークには掃いて捨てるほどいる、
夢を追いかけ、追いかけ続けるうちに、
敗れ去ることさえもできなくなってしまった、
そんな、藻屑的夢追い人、そのひとり。

だがしかし、その夢追い人の舞踏家。
いまだに現役、を広言するだけあって、
齢六十にしても、その美貌、脚線美、そして身体の線は、
まあ、遠目、あるいは、後ろから見れば、の話ではあるが、
少なくともそのシルエットを観る限り、
今を以ってもまさに現役、つまりはプロフェッショナル、そのもの。

鍛え上げられ絞りぬかれ、
全身くまなく贅肉の一欠片もない、
磨きぬかれた、とはまさにこのこと、というぐらいに、
その身のこなし、
まさに、プロの世界で生き抜いてきた、一人の美しき野獣、その姿。

という訳で、そう、俺は俺で、
老体に鞭打ってはドラマー稼業、
なんてのを続けていた時代から、
なんだかんだで、互いに鼓舞しあっては、
まあ大抵が傷の舐め合いに終わるのではあるが、
同類相憐れむ、ってな感じで、数十年来の腐れ縁って奴を続けている訳だが、

そんな彼女から、いきなり、
うちのコンピューターが、CIAにハックされた、
ってな電話を貰うことになって、大驚愕。

シーアイエー? CIA?





「CIAとダンス婆」

そうそう、なんかコンピューター開くと、
いきなり、このコンピューターはCIAにロックされた、
とかなんとか。

そう聞いただけで、ああ、よくあるコンピューター・ウイルス、とすぐにピンと来る。
そういえば俺も、NSA(国家安全保障局)なんてところから、
貴様のPCは当局がロックアウトした。直ちに当局に出頭されたし、
なんてメッセージが上がって、
正直、ちょっとまじめに肝を冷やした(笑
なんてことがあったかなかったか。

という訳で、半ばパニック状態で、まくし立てるダンス婆。

また、ろくでもないサイトでも見てたんじゃないのか?と笑えば、

なになに、そのろくでもないって。
ただインターネット見てるだけで、そんなのにかかっちゃうの?
さては、あいつ、そうそう、この間ね、甥っ子が遊びに来てたのよ、それからだな、絶対そうだ・・

そう、この21世紀、
ダンサーであろうがバンドマンであろうが、
土方の棟梁であろうが、ラーメン屋のおさん、であろうが、
インターネット無しには生きられない。

でそんな人々、
この訳の判らない事象にぶち当たる度に、
自分なりの考え、というやつを暴走させては、
なんの理論性も、根拠もないところで、
判った、まさに、これは、呪いだ、祟りだ、天罰だ、
ヘタすれば、
多分、あいつのせいだ、あいつがわざとやったんだ、
くそったれ、きっとそうだそうに決まってる、

なんて方向に転がり落ちては、
理由のない疑心暗鬼の森をぐるぐる。

そう、世はまさに、ある種の人々にとっては、魔女狩りの時代、そのまま。

そういう輩が、インターネットを巡ればめぐるほどに、
雲の上の毒という毒にこれでもかと当てられてしまって、
妄想に妄想を注ぎ込んでは我と我が身を忘れてしまう。

そして悲しい事に、
嘗て俺と仲の良かったタイプの奴に限って、
そんな新しい時代の毒の中で、
いつしか完全にお手上げ状態、
あるいは、すっかりダークサイド。
根拠の無い疑念の中をぐるぐると無限地獄。

そんなこんなでついついと、
耳障りの良い自画自賛のキャッチーフレーズに釣られ踊らされては、いつしかすっかりダークサイド。
モニターの中の自分と、実際の自分、
その等身大の姿を、すっかり忘れ去ってしまったりもするのであろうか。

ただ、それにしても、いきなりCIA? なんじゃそりゃ、



「ダンサーという生き様」

という訳でこの落ち目のダンサーさん。
この方、その口から出ること、
つまりはその思考回路に、構築、という概念は一切ない。
なにもかもが、印象と直感と、そしてそう、運動神経である。

ただそう、彼女はダンサーなのだ。
ダンサーには御大層な能書きも、正論も、
理論武装も、政治思想、正義も正論も必要はない。

その口から出る言葉がどれだけ無茶苦茶であったとしても、
痩せても枯れても、今なお本人はバリバリの現役、
そのつもりでいるダンサーの人である。

ダンサーのダンサーによるダンサーの視点からの世界観、
これだけは揺るぎがない。

つまりは、

ああ、太った太った、また太っちゃった。
ああ、なのにこんなごちそう、
ああ、こんなの食べたらもうだめだ、
ああ、でも食べちゃった、これでもう1キロ増しだ、
ああくそ、また食べちゃった、ああもういいか、
もうどうでもいいか、もう諦めようか、
ああもうまた食べちゃった、ああだったら最後の一口、

とやりながらも、しかし、今日も今日とて、
その出で立ちは、と言えば、しっかりとジム帰り。
上からしたまでバリバリのスポーツウエア。

この歳になりながらも、いつか、のそのチャンスを待ちながら、
日々のトレーニングだけは絶対に欠かさない、と、そういう人。

ダンサー、というよりは、アーティストと言うよりは、むしろ、
ガチガチの体育会系、と言ったほうがすんなりと来る、
そういう意味で、俺達は実は凄く気が合ったりもする訳である。

で、その、自称いまだに現役の還暦ダンサー、そんなダンス婆あ。

部屋に入るなりいきなりジムバッグを放り投げるや、
ソファの上にドサリと座り込んで、
いやあ、まったくえらい目にあった、慣れないことはするもんじゃないね、
と苦笑い。

で、なにがどうだった、と説明を始めるのだが、
それがもう、やはり、支離滅裂の無茶苦茶である。

つまり、水道屋がバルブを閉めたらガスが出なくなって、
そのために電球が切れて、タイヤがパンクした、と。
ああ、分かった分かった、もうなにも言わなくていいから、
そこに座って、そう、テレビでも見ててくれ。

なにこれ、ベビーメタル?とその怪訝な表情。

そう、ベビーメタル。
こいつら、凄いんだよ、絶対に世界を取ると思ってる。
ちょっと見てやってくれないか?
その間に、このCIA、ちゃちゃっと退治してやるからさ。

おお、そっか、これが、ベビーメタルかあ。
まさかあんたが好きだとは思わなかったよ、こんなアイドルユニット。

いや、このバックバンドがさあ、凄いんだよ、本当に、
と、そんな俺の話など聞く耳持たず、
演奏が始まるやいなや、いきなり親の敵、と睨めつけるようにその映像、
つまりは、「BABYMETAL武道館~黒い夜」 の映像に見入っている。

という訳で、休日の目も覚めぬうちから、これでもかと鳴り響くベビーメタル。

なによこの小娘、おかしくて見てらんないよ、
とコテンパにやっつけられては鼻で笑われるかと思いきや、

ねえ、これ、スローとか、コマ送りとか、できる?
とかなんとか。

ああ、そこのリモコンで、とやれば、もはや音など聴いてはいない。

おお、そっか、そういうことか、と妙なところで関心こいては、
あ、そう、それそれ、神バンドのソロ、と聞きもしないでいきなしの早送りである。

ふん、こいつらか、といかにも憎々しげに舌打ちをしているかと思えば、
いきなり、おおおおっ!と声を上げ、よし、ターン、はい、キメだ、お見事、と膝を打ったり、
となかなか忙しい。

ぶれないね、と一言。

ぶれない?

そう、キメの後、そこで軸がぶれない、流れない、それが大切。
わかってるね、この子供たち。なかなか判ってるじゃないの。

という訳で、CIA退治の時間一杯一杯、
やれ、巻き戻しだ、スローだ、とやりながら、
はい、終わったよ、虫下し、と言った途端に、
そっか、そういうことか、と深い深い溜息。

そして沈黙。長い長い沈黙・・

恐る恐る、で?どう、この三人、と聞いてみれば、

うーん、懐かしい、と一言。

懐かしい?

うん、懐かしい。なんか、昔のこと、もろに思い出しちゃった。

良く判らないが、という俺に、

ねえ、あんたさあ、この子たちの年代の頃って、なにやってた?

俺、俺はほら、バンドやったからさ、店に出てたよ。出始めた頃かな、
バンドみっつもよっつも掛け持ちしてさ、ライブがやりたくてしょうがなかったな。

やっぱりね、とダンス婆あ。この歳の頃ってさ、ライブが面白くてしょうがないんだよねえ。

でもさ、この歳でこのステージだぜ。16歳の小娘が武道館全部ぶっ飛ばしちまってさ。
凄い糞度胸だよ、まさに天才。天才少女。

16歳だからできるんだよ。これが十九歳、二十歳、とかだったらまたどうなってたかだよね。

そんなものかな?

あんただってそうだったでしょ?

まあなあ。

わかるな、とダンス婆あ。
すっごくわかるな、この子たち。

判るって?

つまりそう、気分はもう、宝塚、なのよ。

タカラヅカ?

そう、宝塚。宝塚スピリッツ。
この子たちね、もう身も心も宝塚なのよ。
つまり、女の中の女の世界。
女はね、強いのよ。
女が集まればね、もう、怖いものなし、なのよ。



「BABYMETALに見る、宝塚スピリッツ」

タカラヅカ

そう、これ、タカラヅカ。っていうか、まあそう、宝塚スピリッツ。

懐かしいなあ、あたしもねえ、憧れたなあ、タカラヅカ。
ちょうどこの子たちぐらいの歳の頃にね。もう夢中だった。
でもさ、ほら、あたし東京だったしさ。
学校ふけて、大阪まで見に行ってさ、
あの劇場の前でさ、いつまでもウロウロしてて。
近所に住んでる人とか、みんな宝塚関係者に思えて、
そのあたりの買い物途中のお母さんとかにも、
お疲れ様です、とか挨拶したりしてさ。
ああ、
あたしは死んでもタカラヅカ入るってさ、言い張ったんだけどね。
そのためには、バレーの教室に行きたい、とかさ、
死ぬ気で言い張ったんだけど、
やっぱりね、親に許して貰えなくてさ。
実は家出したんだよ、あたし。

タカラヅカで?

そう、宝塚で。宝塚入れるなら、死んでもいいって、まじめに思ってて、
できることなら、もう、バレー・スタジオに住みたい、ってぐらいまでさ。
ってか、宝塚のない世界なんて、ありえない、ってさ。

なにそれ。

だから、宝塚よ。宝塚歌劇団。日本の女子の最高峰。
そう、宝塚こそが、日本女子のエベレストなのよ。

知らなかった・・・

そう、あたし、日本ではそういう人だったんだよ。
で、留学を理由にアメリカに来たのも、実はそういう理由。
宝塚の夢は敗れたけど、だったらしょうがない、ブロードウエイで我慢するかって。
そういう人、多いんだよ。特にニューヨークのブロードウエイのオーデションとかさ、
そんなところの日本人、みんな宝塚崩れ、ばっかりだよ。

でも、宝塚って、日本のブロードウエイっていうか、
つまりは、ブロードウエイの日本版、って奴なんだろ?

そうは言うけどね、あたしたち、ほら日本人だからさ。
だからあたしの中では、やっぱり宝塚こそが世界の最高峰なんだよ。
判らないだろうね、その気持ち。
でもね、日本でダンスやってたなんて言ったらみんなそうだよ。
宝塚なくして日本のダンスは語れない、そういうものなんだよ。
でさ、
賭けてもいいよ。
この子たち、ベビーメタル。
その頭の中、そのメンタリティ、完全にやっぱり宝塚の美学なんだよ。
女の、女による、そのプライドの頂点。
つまりそう、あの宝塚スピリッツだよ。

ほら、このこたち、見てみなよ、もう、身も心もタカラジェンヌって奴じゃない?
宝塚、舐めちゃ駄目よ。
凄いのよ、宝塚。
ほんと、まさに、下克上あり、体育会あり、ガラスの仮面あり、なんでもあり。
なんだけどね、その頂点を目指す心意気ってね、
あのギリギリまで自分を追い詰めながら夢を追いかける、
あれはもう、聞くも涙、語るも涙、
ほんと、涙なみだ、の小松政夫、なのよ。
日本中の、ダンサーというダンサーのまさに、夢のまた夢、なのよ。

うーん、ベビーメタルは電線音頭、じゃななかった、宝塚かあ。

確かに以前、スーメタルは宝塚の男役、とかいうコメントを戴いて、
ええ、宝塚?なんで?とは思っていたのだが、
ここにまた一人、ベビーメタルと宝塚を同一線上に捉える曲者の登場か。



「さくら学院 と 宝塚音楽院」

とそんな時、いきなり飛び上がった犬が玄関に向けてまっしぐら。

テニスから帰ったかみさんが、
あらああ、来てたの?
どっも、お邪魔してまーっす、といきなり始まるガールズトーク。

CIA?なにそれ。へえ、とそれだけでコンピューターのネタはいきなり素通り。

で、ほら、この子たちさ、絶対に宝塚入ってると思わない?

そうそう、わたしも実はちょっとそれ思ってたのよ。
で、そうそう、そういえばさ、さくら学院ってのがあってさ。

さくら学院?

そう、ベビーメタルの所属事務所がやってる、アイドル養成学校らしいんだけど。

ええ、それってもろに宝塚音楽学校じゃないの。なになにそれ、さくら学院って。

という訳で、かみさんのラップトップを前に、さくら学院ネタで大騒ぎ。

で、当のベビーメタル、
ねえ、ちょっとそれ、うるさいから、消してくれない?
とまで言われて、えええ、そんなあ・・・

ああ、この子がユイかあ、いい顔してるよね。
そう、こういう子がね、後で伸びるのよ。がーんってさ。
で、いきなり全員を抜き去るのよ、しゃらっとした顔してね。
で、はいはい、この子、最愛よね。
もうこのぐらいからキャラがばしばし来てるじゃない。
ああ、やっぱ、このこ?すーちゃんっていうの?
これは天才だよね。この浮世離れ。つまりスターのオーラよねえ。
はい、主役はこの子、ってね、実はもう誰もがわかってるのよ。
知らないのは本人だけって感じでさ。

ねえねえ、さくら学院、もっと見せて、これすっごく面白い、だそうで。

という訳で、いきなり、ベビーメタルの布教のつもりが、
さくら学院ねたで押し切られ、
俺はひとり、押し付けられたラップトップを直しながら、
音の消されたベビーメタル。

うーん、こうしてみると、音がないならないで、色々と気づくところも多いな。
つまりはそう、その踊りである。
へえ、この子たち踊ってるんだ。ずっとずっと踊り続けてるんだ。
しかもすっごく、思い切り本気で、踊りまくってるんだな。
と今更ながら妙なところで関心しながら、背後で響くガールズトーク。

ゲゲゲゲ、ほら、やっぱさあ、
ほら、このすーめたる、もろに、宝塚のタチ、男役、そのものだよね。
で、やっぱ、ユイちゃん、じゃない?正統派の宝塚の継承者。
まさに、ネコ、ネコの見本。
でもね、この二人、この二人には、最愛が必要なのよ。
つまり、やり手ババア、みたいな、世話焼きさん。
ああ、いいコンビだね。まさに完璧なバランスだよ。
そう、そういうものなのよ。
各自がね、自然と自分の立ち位置を見つけていくものなのよ。

なんて感じで勝手に暴走、ならぬ迷走を続けているのである。

という訳で、宝塚かあ。そんな世界があったことさえ知らなかった訳だが、
どうもそう、三姫はメンタル的には、
まさにあの宝塚の方々の、その美学の継承者、という奴、らしい。

で、思わず、そう、俺がずっと不思議に思っていた、
そのガールズ・スピリッツのその真髄。

男にはさ、やっぱ、強くなりたいって本能的なものがあるじゃん?
で、おんなってさ、なんなの、その、本能的なパワーの源泉って。

まさか今更、美の女神、なんて言わないか、とは思ったのだが、

見栄、じゃないのかな、と一言。

見栄?

そう、見栄と、嫉妬と、そして、優越感。

それを聞いて、キャハハハ~、とかみさんが大笑い。

そう、おんななんて、そんなのしかないのよ、とダンス婆あ。

見栄、嫉妬、優越感、それだけ?

でもさ、と思わず振り返るうちのかみさん。
こいつにはそんなの全然ないぜ。

わたしは田舎者だからね、とかみさん。

いや、とダンサーお婆。

このす~ちゃんってこ?このこ。そう、この子。
この子にはね、そうういうものが一切ないのよ。
見栄も嫉妬も優越感も、なにもなし。
そんな浮世離れしたところで、ぽーっとしているんだけど、
そういう子がね、そういう子こそが、トップを取る、そういうものなのよ。

ああ、わかるな、あんたがこのバンド気に入った理由。
確かにね、このバランス、偶然とは言え、神懸ったものがあるんじゃない?
しかも、この若さでしょ?これから伸びしろも無限大って奴じゃない?

行けるかもね。まじで。応援してあげな。

そっか、おんなって、結局、見栄、嫉妬、優越感、
つまりは、打算の塊、って奴なのか。

で、俺がかみさん以外のおんなとどうしても長続きしなかった理由っても、
つまりはそういうものなんだろうな、と思わず過去を振り返ってしまう俺。

でそう、つまりは、日本、
これだけ女性化してしまった日本、
おばさん化したおっさんと、ギャル化した男の子たち、
それが至る道は、すべてが、理想を失った世界。
見栄、嫉妬、優越感、打算のみが渦を巻く、そういう修羅な世界、と。

そしてヒラリーが政権を取ったら、それがまさに、世界中を焼きつくすことになる・・・

げげげ・・

だが、まあよい、俺はなんでもいいんだよ。

ねとうよであろうが、どるおたであろうが、あるいは、ヒラリーであろうが、トランプであろうが、
はたまた、宝塚、なんてものであろうが。

ベビーメタルが人気が出てくれれば、それで良い。そういうこと。

という訳で、宝塚かあ。盲点であった。



「ベビーメタルと、宝塚歌劇団」

そういえば、あのNHKのスタジオ収録、
やけに女性客ばかりだったな、とか思っていたが、
あれももしかして、そんな宝塚フリークたちへのアピールだったのであろうか。

で、そういえば、あのニューヨークのギグでも、
実は、女性ファン沢山いたんだぜ。
もう、マニアックもマニアック、歌詞からなにから全部覚えていて、
あのモッシュの無茶苦茶な中でこれでもかと揉みしだかれながら、
ひたすらに最愛の振り付けの完コピを頑なにご披露し続けていた、
あの鬼気迫るような女性ファンたち。

あれがそう、お立ち台、なんてものが出来るようになったら・・・
観客席のそこかしこに、待ってました、と、即席ベビーメタルもどきたち。
ジュリアナの扇子娘、もぶっ飛ぶ、まさに、もどきパワー炸裂の問答無用の自己陶酔。

そんなのが増えれば増えるほど、ベビーメタルのライブ、これからますますおもしろくなりそうだな。

昔のショーケンのライブみたく、我こそはショーケンなり、なんていう、ショーケンもどきが、
客席のそこかしこで、椅子の上に上がっては、
ステージに背中を向けてたまま、ひたすらに己のショーケンを演じきっている、
なんて、凄く面白かっただろ・

あれがそう、そこかしこに出てきては、客席のそこかしこに、
神バンドから、ユイから最愛から、そしてスーメタルからが、
完全にそれになりきって、歌い踊る。

うっし、その意気だ。

宝塚ジェンヌもどきのベビーメタル・メイト。

なにからなにまで、一切合切を飲み込んでは爆走を続けるベビーメタル。

その先にあるものは、誰も知らない。
かまうことはねえ、行くだけ行ってやれ、ベビーメタル。



「禁断のチーズバーガー・デラックス」

という訳で、長い長いガールズトークの後、
ああ、腹減ったな、なんて一言漏らした途端、
そうこなくっちゃ、と飛び上がる犬。

え?あんたどこ行くの?と言ってるそばから、
勝手に玄関に向けて一目散。

げええ、判ってるの?

そう、ご飯、とか、お腹減った、とか言うと、もうすぐに玄関の前。

そういうものなんだね、犬って。

そう、凄いよ、あの読心術っていうの?こっちの考えてること、全部お見通しって感じ。

という訳で、犬を連れていける唯一のまともなレストラン。
いまや常連となって、ハドソン川沿いのオープン・カフェ。

パラソルの並んだテーブルがちょっとフレンチ・リビエラなんてのも思い出させる、
ここニューヨークの秘密の別天地。

やばいやばい、と知りながら、激旨のチーズバーガー・デラックス。

ああ、チーズバーガーだ、と感極まって涙を浮かべそうなダンス婆あ。
恐る恐る一口を頬張った途端、おいしいいいい!と大絶叫。

ああこの一口で、また向こう三日間の地獄が始まるのよねぇ、と泣き笑い。

そんなダイエットしてるんだ?

そうだよ、勿論。ダンサーだもん。ダンサーであるかぎり、一生ダイエットだよ。
この、フレンチ・フライ、一つが、わたしにとって、どれだけ貴重なものか、
判るかなあ~、判んねえだろな~。

でさ、ベビーメタル、と、といきなり振られる話題。

なんであんた、あのバンドのこと、そんなに気に入ったの?

そりゃもう、上手いんだよ、あの白塗りのバックバンドが。

そんなに上手なの?

そう、超絶に上手い。テクニックの極み。プロ根性の塊り。
ベビーメタルが海外で認められたのも、それが凄くあると思うぜ。
凄いよ、あのバンドは本当に凄い。
俺たちだから判る。
まじにバンドやってた奴らだからこそ判る。
日本人であんなバンドが出てくるなんてさ、俺もう何度泣いたか判らないぜ。
こっちのミュージシャンでも気に入ってる奴多いんだよ。
レディーガガとかさ、ガンズからメタリカから、
大御所たちが大絶賛してるしさ。
判る奴には判るんだよ。判らなくっちゃ嘘だって。

やっぱそっか、日本よりも、やっぱり、こっちの方が早かったんだね。

そうらしね。YOUTUBEの映像が話題になって、
で、こいつら、面白いって、いろんな奴らがコメント入れていって。

そっか、と、ダンス婆。
やっぱ、そうなんだよね。つまりそういうことか・・

と溜息をついては遠い目をして空を眺めている。

そういうことって?

つまり、技、かな。

ワザ?

そう、詰まるところ、やっぱり、ワザ、なんだよ。技。



「技の美、日本の美、ベビーメタルの美」

わざ、だよ、と彼女は言った。

技、わざ。技術こそは世界の言葉。
どんな肌の色をしてたって、どんな言葉を喋ったって、
技のある者はその道の人にはすぐに判る。

まあ確かに、お客の受けとかも大切だけど、
でもね、そんなものちょっと風向きが変れば、すぐに梯子を外されちゃう。
でもね、技は違う。
その技で、同業者からの尊敬されてる人ってさ、
そんな降って湧いたような人気とは別に、
着実にキャリアを積んで行くのよね。

強い者、優れた者が勝つの。
その情け容赦無い実力主義こそが、
世界の共通の言葉、唯一の良心なのよ。

私はそこを間違えた。

人気こそが、お金こそが、全てだと思ってた。
で、コネばかり探してた。
チャンスがないのは、ついてないせい、ってずっと思ってた。
私のまわりにはその程度の人しかいなかった。
誰もが誰も、コネとお金のことばかり。
そんな奴ばかりだった。

たださ、ほら、あたしたちのこの身体じゃ無い?
つまり、日本人ってやつ。

短い手足とでかい頭とか細い声。
上見ればきりが無いからさ。
黒人みたくさ、バーンと張って、きゅーっと締まって、とかさ、
すっごく格好良いけどさ。
でもね、あたしらには土台無理さ。元が違うんだから。

そんなあたしたちが、いくらバレーをやっても、
いくらオペラの発声に挑んでも、
所詮は土俵が違うっていう現実に気付かされるだけ。

だからね、
しょうがないんだよ。
それをいくら羨んでも
それをいくら怨んでも
なにも変わらないんだよ

だったらそれを武器に使う以外にはない。
思い切り開き直ってそれを武器にして戦うしかない。
その時に頼れるものが、技、なんだよ。

技、技術、これだけは嘘がない。
その道を志した者なら、全てが判る。
世界共通の言葉、わざ、技術。

わたしたちはね、技を磨くしかないんだよ。
それが唯一絶対の真実。

で、ベビーメタル。

この子達のまわりにね、それに気づいた人がいたのよ。

人気取りも、泡銭も糞食らえって。
技術こそが世界の真実ってさ。

ただね、実はそれだけでは勝てない。

つまりは、ブロードウエイ、あるいは、宝塚方式では、
世界には勝てないのよ。

それはね、真剣に宝塚を凄みをとことん知り尽くしていて、
そして、その宝塚の理論で、真剣に、ブロードウエイにチャレンジをした、
そんな人でないと、気づくことができない、まさに真髄なのよ。

ブロードウエイを模倣した、宝塚方式では、世界には勝てない。

それはね、あなたにも判るかな。

そう、それに気づくまで、どれだけの命が費やされたか。



「宝塚では世界には勝てない」

そう、宝塚がブロードウエイの模倣であるとしたら、
模倣であるうちは、絶対にブロードウエイには勝てない。
つまりは、ドメスティックなヒロインで終わってしまう。

つまりね、世界はやっぱり違うのよ。
人がそれぞれ違う、ってことに気づかないと、世界には勝てない。

日本人がいくら黒人の真似してもしょうがないって。
いくら白人みたいな化粧したってしょうがないって。

手の、足、の長さが違いすぎる。
お尻のまるみが、腰のくびれが、
首の長さが、頭の大きさが、
なにもかもが、やっぱり違いすぎる。

あたしたち、日本人はね、
この世界で一番みっともない体型した日本人はね、
その弱点を、逆手に取って、
この日本人であることを武器にして、
それを最大限に生かす方法を、考える。
考えて考えて考えぬく、
それしかないんだって。

ベビーメタル、
この子たちの廻りにはね、そういう人、
つまりは、私達みたいな、ルーザーがいたのよ。

一人で海外に出て、
そこでしっかりと世界の現実と直面して、
戦って、敗れ去って、それでも勝ち抜こうとして、
そう、そういう人。

あたしみたいな、あたしたちみたいな、
たった一人で、世界を相手に勝負をかけた、
そんな人が、いたのよ、絶対に。

さっきさ、おんなの戦いって、
見栄と、嫉妬と、優越感、って言ったでしょ?

そうじゃないのよ、実は。
いや、それもそうなんだけど、詰まるところそうなんだけど、
でもね、違うのよ。

そう、つまりは、宝塚よ。

女の女による女のための、宝塚。

男の目に媚びることを拒否した、女としてのギリギリの戦いなのよ。

そう、彼女たち、ベビーメタル。

この子たちの成功はね、そんな、女の女による女の戦い、
それを勝ち抜いてきた、プライド、つまりは、宝塚スピリッツがあるのよ。

それってなに?って言えばね、それは、技、なのよ。技術。
そしてね、宝塚スピリッツのその真髄とは、
技に賭ける女達の、その絆、なのよ。

判るかな。そう、女の強さはね、見栄と、嫉妬と、優越感、
それに裏打ちされた、絆、なのよ。

その絆を、結ぶものとは、まさに、技。

脇目も振らずに、徹底的に技を鍛え上げる、
鍛え上げ続けるための、絆。

それしかないのよ。

ステップひとつ、指先ひとつ、目線ひとつ、それに全てを賭けた、女の戦い。

ただね、この子たち、ああ、宝塚なんだな、と思ったのよ。
もうギリギリまで、技、技、技、を磨き上げる、磨かないわけにはいかない、
寝ても覚めても、技、技、技。
そう、女の戦いなのよ。

こんなの出てきたら、宝塚も負けてらんないわよね。

まあわたし的にはね、さくら学院では、宝塚音楽院には勝てない。
ただ、宝塚では、ブロードウエイには勝てない。

でベビーメタル。

この子たちはね、そんな全てのドメスティックな、
見栄や、嫉妬や、優越感、そんなタガを、飛び越えちゃったのよ。

いきなり、宝塚の頭を飛び越えて、
ついでに、ブロードウエイまで飛び越えて、
いきなりそう、そんな宝塚スピリッツの真髄みたいのが、
いきなり世界の檜舞台で、
どや~っ!て、ぶちまかしちゃった。

つまりそういうことなのかなって。

ただね、もしもこのベビーメタルが、宝塚の客層を食い始めたら、
宝塚も変わるわよ。
タカラヅカが世界を目指した時、凄いことになると思うな。

だからね、このベビーメタル、
いまのファン層、ドルオタやら、メタルやら、
あとは、そう、あんたみたいなバンドおたくのおっさんばっかりでしょ?

誰か気づくわよ、きっと。
あの宝塚のおっかけやってるような予備軍の子たち。
そう、私みたいな娘たちが、
あれ?って。
きっと気づくと思う。
あっ、これ、同じだって。

そうなったら、ベビーメタルも凄いことになると思うわよ。
あの宝塚狂いの女の子たちがその矛先をベビーメタルに変えたら。
もう、ドルオタだ、おっさんだ、とか、そういう世界じゃなくなると思う。

宝塚の親衛隊って凄いんだから。
アイドルとかそういう次元じゃないんだから。
もうねえ、ほんと、ほら、あたしもそうだったしさ。
命賭けちゃうんだよ。本当に、本気の本気で命賭けちゃうんだから。

そんな子たちが、ベビーメタルに気がついたら?
すっごいことになると思うな。



「開き直ってこそ、世界への扉が開かれる」

ベビーメタル、あの子たち、いったいどうなるかしらね。
やっぱ期待しちゃうわよね。
すっごい嫉妬感じるけどさ。
やるだけやってみなって、
そう思うわよね。
だって日本人だもん。
短い手足とでかい頭とか細い声で
どこまで世界に通用するか、どこまでビッグになれるか、
見せて貰おうじゃないってさ。

実はね、ベビーメタルの話、他からも聞いててさ。
で、なによ、このへんちくりんなダンス、とか思ってたんだけどさ。
見ればみるほど、へえって、思い初めてさ。
なにか違うのよ。
それがなにかなって思ってたら、あ、日本人なんだ、って思ったの。
この振付やってるの、多分、日本人。
それも、そう、さっき言った、
日本人ってものを、ちゃんと世界の視点でみることのできた日本人。

恥も外聞もなく、っていったらなんだけどさ。
そう、開き直ったのよ。開き直れた日本人。
それに気付いたら、すっごいなあ、と思った。
これ、あたしにはできなかったよ。
だってそうだよ、あたし、ずっとダンスやってきたんだよ。
で、いまでもやってるんだよ。

さすがに、間違えたかな、とは思ってる。
思ってはいけるけど、いまさら辞めるわけにはいかないんだよね。

ただ、
わたしだってね、チャンスはまだこれからよ。
いつどこで、六十歳の東洋人のダンサー、そんな役どころが必要になるなんて、
そんなチャンスが、ないとは限らないでしょ?

わたしはまだまだ現役だよ。
還暦のお祝いに、またオーデション受けるんだ。
もう還暦だからね、オーデション、受けて受けて受けまくる。
そして、いつか、必ず、ブロードウエイの舞台、立ってみせる。

そう一気に喋り尽くすと、
氷の溶けたマルガリータ、じっとじっと、見つめて、見つめ続けて、

そして、FUCK、くそったれ、と舌打ちをひとつ。

グラス一杯のマルガリータを、生け垣のポトスの上に、ぶちまけたのであった。

そしてチーズバーガー、ひとくち齧っただけのチーズバーガー。
ああ、これが生涯最後の、チーズバーガー、
これが、生涯最後の、フレンチ・フライ。
でももう終わり。
ごちそうさま。一口だったけど美味しかった。あとはあなたにあげる。
わたしの気持ちだと思って、美味しく食べて。もう冷めちゃったけど。

あたしはね、負けないわよ。棺桶入るまで、オーデションを受け続ける。

世界で唯一の還暦ダンサー。上等じゃないのってさ。
さっき、ベビーメタルを見てて、そう思ってたのよ。
こんな糞餓鬼に負けてなるかって。
わたしにはわたしの、還暦ダンサーとしての意地があるってさ。



という訳で、ベビーメタルである。
見る人、見る人に、色々な影響を与えていくべいーメタル。
せいや、そいや、戦うんだ、のメッセージが、世界中に広がっていくのである。
敗れ去った者達、そして、敗れ去ることさえできない者達。
やり続けること、だよ。戦い続けることだよ。
戦いの中にこそ、憂いがあるんだよ。
こんなところで、負けている訳にはいかないんだよ。

戦う人の、ベビーメタル
敗れ去ることさえできない者達への、不屈の応援歌、なの DEATH










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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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