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夏の朝のデジャヴ

Posted by 高見鈴虫 on 13.2016 ニューヨーク徒然   0 comments
「夏の朝のデジャヴ」

ニューヨーク、真夏の朝、午前6時。

まだ醒めぬ夢の中で、
犬の散歩の中で訪れた早朝のセントラルパーク。

普段からの観光客の姿も失せ、
人気の消えた沈黙の中、
一面に広がる緑の芝生に、
立ち込めた靄が煙っては風に波打つばかり。
鳥のさえずりさえも聞こえてこない、
そんな妙な夏の朝。

ふとそんな光景を見ながら、
あれ、これ、なんとなく、既視感。
つまり、デジャ・ヴ、という奴か。
もしかして、これはかつて来た道、
俺ってこの瞬間を、前に生きたことが、確かにあったよな、と。



あるいは、この光景、実はあの世、だったりして。
つまり俺は、さっき起きだした、と思ったベッドの上で、既に死んでいて、
この眼の前の光景は、俺の魂だけが勘違いして彷徨い出た、
あの世における擬似的な現実に過ぎず。

寝ている間に、自分でも気が付かぬうちに死んでいたとすれば、
ふと目を覚ました世界があの世だなんて、どうやって気がつくのか、と。

でその気がついた世界ってのが、
実は現実と平行するパラレル世界であったり。

風景はいつものそのままで、
ただそこに、他人が存在しない、と。

この眼の前のただただ広がる無人の公園の風景を前に、
そんな妙な遊離感にとらわれていたのだが、
そんな俺の夢の続きを、おい、早くボール投げろよ、と催促する犬。

そうだよな、と思わず。

これがこの世だろうが、あの世だろうが、知った事か。
俺にはそう、この犬がいてくれれば、それがどこであろうがなんであろうが、
知ったことじゃねえって訳で。

とそんなことを思いながら、
そっか、そんなことを感じるってことからして、
俺はまるでこの日常を、
まるで亡霊のような人々と共に暮らしているって、
そういうことなんだよな、と。

つまり、生きているのか死んでのか、
実在するのか、しないのか、
そんな確証がまるでない人々。

見ず知らずの人々と地下鉄に揺られ、
辿り着いたオフィスでも、
一日中、人と会話をすることもなく、
ただモニターを眺めながらキーボードを叩くばかり。

そんなオフィスには、本当の本当に、
一日中、誰一人とも口を利かない人々ってのが、
いったいどれだけ存在するのだろう。

離人感もここまでくるとハンバじゃねえな。

こんなことをしていると、本当に生きているのだか死んでいるのだか、
自分でもさっぱり確信が持てない、そんな迷路に迷い込むのは必至。

あるいは既に、そんな中に迷い込んだまま、
出てこれない、出てくる気もない奴って、
実は沢山いるんじゃねえのかな。

ただしかし、とも思っている。
そう、俺も別に、それだったらそれだったで、
別にそれでもいいか、と思っている自分がる。

取り敢えず、俺にとって必要なのはこの犬。

俺にはこの犬がいてくれるだけで十分、なのだ。
別にあとの奴らが、死んでいようが生きていようが、
別に大した違いは無いわけで、と。

つまり俺が既に死んでいた、としても、
俺はそれはそれで、ああそうですか、と、
何の気概もないままに、素直に受け入れてしまいそうな、
そんな気がしていた、妙な朝靄の芝生の上。
まるで夢の続き。
あるいは、夢のなかで夢を見ているような、
そんな夢の合わせ鏡、そんな気さえしていた、
夏の朝であった。



「インターネットは黄泉の国」

でまあ、そんなデジャヴの中で、
ふと、
実は俺は、同時進行をするパラレルな世界の、
そのもう一つの側に迷い込んだのではないのか、とか、
なんかそういうSFとかあったよな、と思いながら、
ふと、インターネットのページが、霊界とつながっていた、
なんてことが、あったりもするのか、と。

インターネットが霊界につながって、
あるいは、こんなパラレルワールドの接点が、つながっていたり。
ただ、そんなこと、誰にも判らないだろ?
つまり、世の中に星の数ほど存在するブログの、
その戯言が、実は、生者のものであるとも、死者のものであるとも、
誰にも判らず、判ったからといってなんなんだよ、つまり、なにが変わるわけでもなく。

つまり、インターネットそのものが、霊界、あるいは、黄泉の国、
なんて言ってしまったらそれはそれで面倒くさいことになったりもするのだが、と。

生者と死者が普通にすれ違う現実、なんていうと、まさにそれ、マルケスの世界だが、
そう、なんかそんな世界に、ますます近づいている21世紀。
つまりその全てが、仮想現実の肥大化による、離人感にあるんだよな、と。

とそんなことを考えていたら、起きたばかりだと言うのに、また眠くなってきていた。
犬の散歩をしながら夢を見ているなんて、まるで夢遊病の犬の散歩ってやつかよ。
あれ、ところで俺の犬、さっきからどこに行ったのだろう・・・




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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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