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ドッグ天国 モヒガン湖でピクニック

Posted by 高見鈴虫 on 25.2016 アメリカ爺時事   0 comments
雨続きだった土曜日から一転、
日曜日は朝から雲一つない秋晴れの空。
さっそく犬仲間の一人、
ブッチの大親友であるボーダーコリーのチェシー、
その飼い主であるエレンから電話があって、
これからドライブにでも行かない?
ってなお誘い。

そんな話が始まるやいなや、
いきなり飛び上がっては走り始めたブッチ君。
改めて、こいつはなんで人間の会話が判るのか、
と思っていたところ、
電話口から聞こえてくるチェシーのヒャンヒャン泣きである。
判ってるみたいね、とエレン。
ああ、うちのもいま部屋中を走り回ってるよ。
この不思議な事象。
どう考えてもどうしても説明がつかないながら、
そう、いまこうして目の前に繰り広げられている訳で、
これこそはまさにテレパシー、以外の何者でもない。

という訳で、晴れ渡った秋晴れの日曜日、
お隣りのコネチカット州にある、
モヒガン湖ってなところに行ってきた。






このモヒガン湖、
ニューヨークから車で一時間あまりで辿り着けるまさに別天地。
青く澄み切った湖のまわりを囲んだ鬱蒼とした木立の中に、
山あり谷あり滝あり清流あり、
全長5KMほどの見事なハイキング・コースが続いている。

で、このホヒガン湖、実は犬仲間たちにはつと有名で、
オフリード全解禁のドッグ・ラバーたちの天国。

原生林の中に解き放たれ犬たちが、
夢中になって野山を走りながら、
枝を咥えて飛び回っているかと思えば、
湖に飛び込んで水泳に興じ、
岩場をぴょんぴょんと飛び越えて清流を駆け上りと、
まさに、ドッグ天国。

ハイキング・コースですれ違う人々と挨拶を交わしながら、
これ以上の幸せはありえないってな表情の犬いぬイヌ。
知らないもの同士がすぐにお友達になっては、
同じ枝をひっぱりあって、ボールを追いかけて、
そしてみんな大集合してはおやつタイム。
まさに、幸せの塊り。
ギンギラギンのハッピースマイルに満ち満ちている。



という訳で午後いっぱいをこれでもかと遊び回ったブッチとチェシー。
帰りの車の中では死んだように眠りこけている。

道々の車中では、思った通り大統領選の話題ばかり。
それもまさに、かのトランプ公に対する罵詈雑言の限りが尽くされる訳で、
まあどれもこれも、どこかで聞いたようなことばかり。

つまりそう、トランプが嫌いだ、
と、ただそう言いたいだけ、
あるいは、トランプを罵倒することでストレスを発散したいだけ、
あるいは、トランプを餌にして自分自身の正気さをアピールしたいだけ、
いずれにしろ、つくづくそんな、アメリカの似非民主主義者、甘いな、と思ってしまう。

ただ、いまヒラリーが問題にしなくてはいけないのは、
バカ犬宜しく意味のない戯言を吠えまくるトランプ、なんぞではない。

人々はいま、政治の必要性そのものに疑問をもち始めているのである。

だってそうだろ?と思わず。

今や1%の超大金持ちが世界の富みを独占し、
99%がまさに奴隷、
あるいは天然資源化されているこの末期社会、
それに加えてパナマ・ペーパーなんてもので、
そんな1%の金持ちたちが、税金逃ればかりしているってな事実が、
白日のもとに晒されてもなお、
誰もなにもできないままにその状態がいたずらに加速化するばかり。

挙句の果てに、税金の集金人である筈の政府が、
金持ち優遇政策とその結果であるトリクルダウンのおこぼれこそが、
飢えたる民衆を救う唯一の道、とかなんとか言いながら、
優遇された筈のその税金をせっせとせっせと海外口座に送り込む企業に天下り・・

はっ?トリクルダウン?まだそんなこと言ってるんですか?あなたもおめでたい人ですねえ。

まともな人間であれば、おかしくてやってられねえ、ってのが正直なところ。

ぶっちゃけ、俺は、税金などびた一文払いたくはない。
1%の金持ちたち、税金を払わないということを、スマートさの証し、と世をあざ笑う、
そんな反民主主義者の権化のような奴らから、
きっちりと落とし前をつけて貰わない限り、
俺なんぞから小銭をかき集めることになんの意味があるだろう。

挙句の果てに、そうやって優遇されてはダブついた金持ちたちのマネーゲーム、
投機に投機を重ねた上で行き着く先は、前の第一第二の大崩壊、
そのまったくおなじ焼き直しのシナリオ、そのものだろうが、と。

別にバーニー・サンダースの肩を持つわけではないが、
ヒラリーも、そしてトランプも、
そんな世界中の誰もが疑問に思っているこの不条理に対し、
まったくろくな解答を示してはいない。

つまりは共和党、民主党に関わらず、政治家なんてみな同じ穴のむじな。
1%の金持ちと、宜しく徒党を組みながら、
なんちゃってトリクルダウンの絵空事を吹聴しては、
1%のお零れに預かるハゲタカに過ぎない、と。

という訳で、
そんなことを思っている人々が、
なにが悲しくてみすみす騙される為に投票などに行くものか。
それがまさに、アメリカ国民の本音の本音、ではないのか?

ただ、そんなおめでたいトランプ罵倒の戯言を聞かされながら、
思わず、このトランプ罵倒、それこそがまさに虐めの構図に他ならない、
ということにも気づいている。

トランプ叩き、ならぬ、トランプいぢめ。

そうやってこれ見よがしにトランプを罵倒する人々は、
そうやってトランプの揚げ足をとっては小馬鹿にするばかりで、
そんなトランプを支持している人たちが、
実はいったいなにを考えているか、
その本当の理由などさっぱり判らず、判る気もない。

そう、暴言王・トランプ、彼のサポーター達にだって、
それなりののっぴきならない事情というものがある筈なのだ。

ヒラリー陣営がそのトランプ・サポーターたちの事情を考慮しているとは、
どうしても思えない。
ああ、あの人たちは、ただ馬鹿なだけだから。
多分、そんなものなんだろう。

ヒラリーも、そして、民主党員たちも、
トランプを馬鹿にし、罵倒し、嘲笑し、
そしてそんなトランプ・サポーターたちを、
貧乏な低学歴のトラッシュのキチガイども、
とそう決めつけては、互いの罵倒は平行線を辿るばかり。

そんなトランプ・サポーターたちが、
社会から受けた阻害の中で、自身を被害者、あるいは殉教性を自覚した時、
これは下手をすれば、
嘗ての人民寺院のジム・ジョーンズ、ウェイコウ・テキサスのブランチ、あるいは日本のΩ、
現在のトランプ支持者のカルト化をますます促進することにもなり、
今後、大方の予想通り、未曾有の低投票率にも関わらず、
なし崩し的に大統領になったヒラリー政府に対し、
アメリカ国民がアメリカ政府にテロを画策する、
そんな時代の幕開けをひしひしと感じてしまうのは俺だけだろうか。

トランプ現象を、一過的なもの、
つまりは、トランプという暴言王の現出した一夜の悪夢、
と思うことからして大間違いなのである。

バーニー・サンダースが、そして、このドナルド・トランプが、
そんな、一昔前であったら、誰も相手にしなかったような狂言者たちが、
何故にこれほどまでの支持を集めてしまったのか、
ブレキジットの現象と合わせ、
そして、
世界中で余震のような地鳴りを響かせる右傾化の波、
つまりは世界各国で巻き起こるネトウヨ・ムーブメント、
その怒りの本質がどこにあるのか、
アメリカは、あるいは民主主義は、
果たして、そんな知恵足らずたちの獰猛な雄叫びに、
明確な解答を返すことができるのだろうか?



渋滞の中をようやくニューヨークに帰り着き、
30分後、恒例の日本食レストランに再集合しては打ち上げの夕食会。
またいつもながら、食うだけ食って飲むだけ飲んで、
我が犬たちの健やかな育成に乾杯を捧げた訳である。

という訳で、いやあ、なんとも幸せな一日、
これぞ、パーフェクト・デイ だった、

と思いきや・・・

草木も眠る丑三つ時の午前二時杉、
妙な寝苦しさに目を覚ました暗闇の中、
なにか耳元で生暖かい吐息が聞こえてくる。

苦しい・・・
何者かが俺の胸の上に乗っているのである。
思わず寝返りを打とうとしても、
その妙に切羽詰った力でぐいぐいと喉元を締めつけてくる・・

さては妖怪变化、ハロウィンを一週間間違えおったか、
と思いきや、もちろんそれは我が犬のブッチくん。

なにか切なげにピーピーと鼻を慣らしながら、
盛んに俺の顔を舐めて舐めて・・

もしや・・・下痢?

と言った途端に跳ね起きるや、そそくさと玄関に向かうブッチ。
あっちゃあ、こんな夜更けに・・

取るものもとりあえずあるものを着込んではそのまま公園へ。

案の定、茂みに駆け込んだとたんに下痢下痢である。
いやあ、間に合った間に合った、といかにもホッとした表情。
その照れ笑いがなんとも可笑しくて一緒に笑ってしまう訳なのだが、
なんだよ、笑うな、と盛んに飛びついてきてはこれでもかと愛嬌を振りまくその姿。

つまりそう、それなりに感謝はしているのだろう。

という訳で、いやあ危機一髪であった、と一安心の後、
部屋に辿り着いてベッドに潜り込んでは惰眠の続き、
と思いきや、小一時間ほどして再び、ねえねえ、と肩を叩く者・・・

なんだよ、また下痢?

という訳でこれが朝まで。結局一睡もできず。

心配もここまで来ると呆れ果ててはうんざりこいて、
あのなあ、もう、いい加減にしてくれ、
もうなんでもいいから、部屋の中で糞でもなんでもしちまってくれ、
と叫びそうにもなるが・・・

だがしかしそう、我が愛犬のブッチくん、
この世で唯一絶対の相棒である。
たとえなにがあろうと、この犬のやることに文句だけは言えない、言わせない、
そう契を結んだ、まさに、大親友、一心同体のソウル・メイトである。

という訳で深夜のドッグラン。
川からの風がひゅるひゅるとなる寒空の中に、
既に確実に冬の息吹を感じる訳で、
こんな夜に、一時間おきに外にでなくてはならない、というのも、
なんとも因果な話。

毎日の飯を俺が作っている以上、食中りってことも考えられず、
まさかこの齢になって拾い食いなどする筈もなく、
で、多分、と思い当たったこと。

つまりは車の中での、トランプ罵倒の会話、
車という慣れない密室に閉じ込められたまま、
あの、妙に熱を帯びた政治討論を聞かされ続けて、
つくづく神経が参ってしまったのかもしれない。

そう、こう見えてブッチくんはなかなかセンシティブな奴なのである。

俺とかみさんがちょっと言い争い、それが始まる、どころか、その気配を瞬時に感じ取り、
いきなり飛びついてきては、まあまあまあ、落ちつて落ち着いて、と双方を駈けずり回る、
そんな律儀な奴なのである。

夜にかかってきた仕事の電話に、思わず、バカタレ、なにしとんじゃ、
と声を荒立てそうになったときにも、
そそくさと膝の間から顔を覗かせては、
怒っちゃいけない、怒っちゃいけませんぜえ、
と、弱りきった顔で嘆願を繰り返す、まさにそんな奴。
究極のアンガーマネージメント大魔王なのである。

そんなブーくんが、たぶんあのエレンのヒステリックなトランプ罵倒の雨嵐を、
実に真に受けてしまったのだろうか。

子供の前でお金の話をしてはいけないように、
犬の前で政治の話をしてはいけない。

そう、短気は損気、怒りは決して、ペイ、しないのである。

それを噛みしめる、秋の夜更けなのであつた。





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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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