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冬将軍のニューヨークで「深夜食堂」 思わず染み入るこれぞアジアの温もりか。

Posted by 高見鈴虫 on 11.2016 読書・映画ねた   0 comments
風邪を引いた途端に、というか、まあ風邪を引いたのはそれが原因なのだろうが、
ここ数日でいきなり寒さを増したニューヨーク。
その風の中に、明らかにあの有無を言わさぬ絶対的なパワーを秘めた、ニューヨークの冬、
その凄まじいまでの寒さ、その辛辣な匂いがする。

がそう、そんな寒さの中、我らが犬族、だけはもう、パワー全開状態。

アパートのエントランスを開けた途端、いきなり顔面にぶちあたるこの氷点下の川風。
その中で、まさに流氷の荒波を泳ぎ渡るアザラシどもそっくりに、
凍りついた風の中に鼻先を突き出しては、こっちだこっちだ、と公園に向けてひた走るその勇姿。

その後ろから、ダウンジャケットを重ね着したまま、
まだ履きなれぬ冬用ブーツでよたよたとついていく飼い主たち、
まさに、間の抜けたペンギン、そのもの。

という訳で、罰当たりにも問答無用に元気いっぱいの犬どもが、
白い息をこれでもかと吐き散らしながら、ねえおじさん、またボール投げて投げて、
と、いたいけな瞳をキラキラとさせている訳で。

そんな犬どもの身体を、暖かい暖かい、と撫でまわしては抱きしめながら、
ふとその鼻先に、桜の花びらにも似た白い欠片。
なんだこのゴミ、、と取ってやろうと指で触れた途端に、
ふと、消えてなくなったその白い花びら。

まさか、と見上げたその曇り空から、白い雪片が一枚二枚。

ついに来たか、冬将軍のニューヨーク。

思わず背筋を走った寒気。
まさにニューヨークの冬。世界をカチンカチンに凍らせる、
あの大魔王のお出ましな訳だ。










という訳で、冬の到来と同時に早くも凍死寸前の飼い主たち、
いっせいのせ、で示し合わせては、さあ、帰るぜ、とドッグランを出て、
ああ、寒い寒い、ついにやって来たな、冬将軍、
さあ、今日は早く帰って、家でぬくぬくとブルーレイ、
ベビメタの海賊映像でも見て過ごすか、
と思ったその矢先、いきなり、お待たせ!とばかりに飛び込んできたこの黒い塊り。

なんだおまえ、チェスじゃねえか、とした途端、
さあ待ってました!と奮い立つ犬ども。

ええええ!?ドッグランに逆戻り?

という訳で、はい、始まりました冬のニューヨーク。

今年は到来が遅かった分、その厳しさに圧縮がかけられては、
まさに、壮絶なものになるだろう、ってのが大方の予想。

おいおいおい、またこの生活があと三ヶ月も続くのだね。

まあそう、飼い主が風邪をひこうが凍死しようが、
犬どもが元気であること、それに越したことは無いわけで。

熱に浮かれた頭のまま、半べそまじりにドッグランへの道を引き返す、
そんな悲しき冬の奴隷、ならぬ、犬の奴隷たち、なのであつた。



ってな感じで、ようやく辿り着いた我が家。

いまや脳死凍死の卒倒状態ながら、
いやあ、遊んだ遊んだ、楽しかったね、と犬の足を洗い砂を払い、
さあ、これで夜の散歩までの三時間はのんびりできるな、
と思った時には、犬は既にソファの真ん中を長々と占領しては、
寝息を漏らしている。

そんな犬の健やかな寝顔の手前、さすがに大音響でベビーメタル、
というのも気が引けて、で、あ、そう言えば、と思い当たったこの週末の宿題。

最近、仕事をともにしているアジア連合の奴らから、

なに、おまえ、日本人のくせに、深夜食堂、知らないの?

深夜食堂?ミッドナイト・ダイナー?知らねえな、なんだそれ、と。

今更ながらこの深夜食堂なる日本のドラマ、いまやアジア全域を席捲。

深夜食堂・ソウルから台北から、香港上海から、バンコックから、マニラから、
果てはアメリカ、ヨーロッパ、
世界各国でその類似品というか、各国自前の深夜食堂が作られている、と。

なんだよ、また違法コピーかよ、まったく、とは言いながら、
そもそもそれを教えられたのがアジア人たちの口からな訳で、

お前も日本人の端くれなら、見てみろよ、深夜食堂、まじ、面白いぜ、

という訳で、

先日購入したブルーレイ、そう言えば、YOUTUBEに繋がったよな、とうろ覚えながら、

MIDNIGHT DINER? MIDNIGHT RESTAURANT? 
あれ、見つからねえな、とサーチを繰り返しながら、
ふと、SHINYA SHOKUDO と入れた途端、
まさにずらりと並んだその膨大なシリーズ。

へえ、小林薫が出てるのか、で、なに?新宿?
おいおい、これ、新宿だよ、シンジュク、思い切り新宿じゃねえか。

という訳で、冬将軍の到来のニューヨーク、
無邪気にもすやすやと眠る我が猛犬を枕に、
巨大画面に映し出されたその、新宿・ゴールデン街の人情模様、
いやあ、アジアだなあ、まさに、アジアの真髄じゃねえか。

思わずどっぷりと浸りきっては、嘗て慣れ親しんだ新宿の街、
まさに俺の第二の故郷とも言えるその原風景的な映像の中に、
俺ってつくづくアジア人なんだな、と思い知って過ごす冬の夜。

で、なにげに、この福原希己江ってひと、良い声してるよね。

いつか、すぅちゃんの歌う、こんなウェットな弾き語り、
あるいは、ボサノバ、あるいは、ジャズとか、シャンソンとかも、聞いてみたいな、
とか思ったりもして。

という訳で、冬なんですね、皆さん。
人肌のぬくもりの恋しい季節なんです、とばかりに、
迷惑げに呻く犬を、思わず抱きしめてしまう夜なのです。










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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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