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ニューヨークの地下帝国 ~ アンダーグラウンド・ギャラリー探検散歩記

Posted by 高見鈴虫 on 03.2017 ニューヨーク徒然   0 comments
*おことわり
以下の文章は私信となります。
特定の知人に対して書かれたものなので、
いたいけなベビーメタル・メイトの方々など
健全な普通人の皆々様には徹底的に意味不明の内容となります。
読むのは勝手ですが自己責任。
あまり変な影響は受けないようにご注意ください。




よおよおよお、あけおめ。

実は喪中でよ。その関係でかみさんが日本に帰ってて、
で、クリスマス・正月と爺むせえちょんがー暮らし。

またいつもの奴で、そうそう、あのベビーメタルな・笑
そうそう、まだまだ飽きずにはまってんだよ、これが。
でこの暮れも、そんなの観ながら歳を越したんだが、
まあそう、そんな感じ。相変わらずだ。



でよ、この糞ブロ、
なんかいつの間にかベビメタ関連のことばっかりになっちまってよ。
まあ色々な情報を送って貰えるんでありがたいんだが、
一時期、あの選挙のときとかに、妙な連中からまとわりつかれてちょっと閉口していた。
でそう、あの、ねとなんとかっての?
あの一時期のΩみてえな奴ら。
ああいうのが居るってこたあ知らなかったわけじゃねえんだが、
実際にこんな俺みてえなやつのところにも
そんなのがごちゃごちゃ言ってくるようになってよ。
いきなり見ず知らずの奴から説教なんてくれられちゃってまじ驚いたんだが、
まあよ、面晒してなかったら人間なんでも言えらあってのの典型なんだろうがよ。
ほら、電話になると途端に態度でかくなっちゃうやつとか、いたろ。
で、いざ面拝みにいくとミジンコみてえにしょんべん漏らして土下座とかしちゃう奴ら。
そうそう、なんかあんな感じの奴らなんだろなとか思ってんだがさ。
まったく世の中訳わからねえ奴が増えたよな、とは言いながら、
いまさらそんな御託並べても眠たくなるだけだわな。
まあそう、てめえの握りだけはがっちり押さえておけば、
まわりでなにが起きようが知ったことじゃねえって、
まあいつものスタンスでやらしてもらおうとはおもうけどな。

ただ、まあ今さらなんだが、
このねとなんとかってな奴ら、
メディアとかどう思ってんのかしらねえが、
これ、潜在的な隠れなんちゃらみたいな奴らの人口って、
実は世間で思われているよりもずっとずっと多い。
実はとんでもねえ数が隠れてるんじゃねえのかと思うんだよな。
ほんと、まじで、一時期のΩみてえにがっちがちに洗脳されちゃってるやつみてえのが、
すっげえコメント寄越しきたりしてよ。
んだ、これただの基地げーじゃんかよ、とか思いながら、
ほら、おれ、極論マニアだからよ。
面白がっていちいち読んでたらすっかり持ってかれたりしてな・笑

でよ、ほら、ブレキジットとか、トランプとかさ、
あの、メディアの、マーケッターの、
あの予想が全部どっぱずれんの、
つまりはこのインターネットの奥底にある闇世界、
そこに潜むドブ虫みてえな奴らが、
もともと種蒔いた奴らのことなんかぶっちぎっちゃって、
すっごい勢いで増殖してんじゃねえのかってさ。

で、そう、それで常々感じてたんだが、
昔住んでたアパートのご近所さんで犬絡みのつきあいのあったひと。
あのあたり、犬遊ばせる場所がなくてよ、
で、夜な夜な近所の公園に集まっては、
闇ドッグランなんてのがあっったんだが、
その中のひとり、
虫も殺さねえような顔したおっとり系のおばさん、
証券関係のリサーチの仕事してるとか聞いてたんだが、
聞けば聞くほど大金持ち。
マンハッタンのアパートっていっても超高級コンドミなんだが、
それは仮住まいで本宅はアップステートに農場ってか、山持ってる、みたいな・笑
で、そのおばはんが実はうちの犬を凄くかわいがってくれてさ。
で、なんだかんだでお世話になっていたんだが、
したら、ちょっと別の関係からその人の名前を聞くことになってよ。
で、その話ってのを聞ききながらどうしても同じ人物とは思えなかったんだが、
なんとその人がブログなんてやってんのが判ってさ。
で、ちょっくら中を覗いて見たんだが・・・その内容が凄かったんだよ、まじで。

つまり、なんてか、まあ、そう、
ぶっちゃけ、ねとなんたらが座り小便しそうなほどの、
がっちがちのナチオタみてえのでよ、
当時、まだまだウォール街でだぶついていたサブプライムの銭、
あれですっかり気が大きくなってたんだろうが、
もう徹底的な強者の理論そのものでよ。
で、当時の、オキュパイ・ウォール・ストリート、
つまりはバーニー・サンダースみてえな奴らに対する、
罵詈雑言の塊り。
つまり、弱者根絶、じゃねえけど、
銭持ってる奴が全て。
たかが一億十億の金で目くじら立てて馬鹿じゃないのかこのクズ野郎みてえな・笑
そんな貧乏人はすべて奴隷としてこき使って、
死んだら産廃扱いにして、墓など立てる必要はねえ、みてえなさ。
ああ、ウォール街の理論って結局こういうのに結びつくんだな、と思ってたんだが、
で、そう、このブレキジットと、トランプ・ショック、
まさに、あのナチオタおばはん、
あれの言っていたことそのものってか、
このご時世、つまりは銭掴んだ奴らが、
なんの規制もなく暴走始めてる、と。

でまあ、ご存知俺もそういうの嫌いじゃねえから、
うだうだ愚痴を言ってるよりはそういうのにひっついて
おこぼれ貰った方がいいに決まってるとは思いながら、
そんな金持ち連中に踊らされて喜んで尻尾ふってる奴ら、
行く行くはひとりのこらず産廃だろ?
まあそのおばはんも書いてたんだが、
産廃をこき使うだけこき使って、その洗脳方法が、
とかさ、もろ、なんだよ、もろ。
で、実は・・・そのおばはん、
方々の財界ともパイプが太いらしくてさ、
で、そう、実は、その人の名前を、
例のパナマ紙なんてので探してみたい気もするんだが、
実はあの話以来、アップデートがない・笑

てな訳で、そう、素敵な世の中だよな。

で、まあ俺の予想なんだが、
この闇世界、つまりはあの弱者根絶のナチオタみてえのが、
ついに表に出てきたぜ、ってな感じで、
トランプと言わず、そういう奴らがブイブイ言わせ始めるんだろうな、
とは思ってる。

で、そう、この闇社会のナチオタとそのとりまきの産廃の奴ら、
例の下流食いの話じゃねえが、あいつらからどれだけ絞れるか、
なんてところで動いた奴らの一人勝ちってことになりそうだな、と。

悪い、正月早々また戯言系だな。

でそう、いつもの奴でちょっとネタな。

実はよ、話せば長いんだが、まあ正月だ、
昼寝ついでにちょっと付き合えや。



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まずは序章な。

あの、前に言ってたろ、あの、そう、モグラびとの話。

ー> モグラびと―ニューヨーク地下生活者たち


ニューヨークの地下に、とんでもねえ人口を抱えた闇帝国がある、ってな話。

で、実はこの正月に、例のセカンド・アベニュー・トレインが開通してよ。
そうそう、信じられねえんだが、あの地下鉄、一世紀のドタバタを経て、
ついについに開通、ってなった訳でさ。

で、思ってたのが、
まことしやかに囁かれたいた、あのセカンド・アベニュー・トレイン用のトンネル、
何十年も工事途中でほったらかされていたままだったあのトンネルの中に、
それこそものすげえ数のホームレスが住んでるってな話を聞いてたんだが、
このセカンド・アベニューの開通で、あの人たちどこいっちまったんだろうな、とか。

で、実はよ、俺がいま住んでるアッパーウエストってな地域、
言っちゃ何だが、マンハッタンの超高級住宅街でよ、
で、その超高級住宅街ってのにも、実はその地下帝国の入り口がある、
ってな噂がまえまえからあった。

で、ほら、俺はまあいまとなっては犬の散歩のおさんなんでよ、
ただ犬の散歩のおっさんは、一日中散歩ばかりしてる訳で、
そんな関係から、え?ってなものを見つけることも多い。

そう、ほら、バラバラ殺人の手がかりになった断片みたいなのを、
朝の犬の散歩の人がみつけ、ってまあ、そう、あれだよな。

でその、アッパーウエストの地下帝国。
噂は前々から聞いていて、
で、実は犬の散歩で真夜中にほっつき歩いていると、
どうもこのあたりではあまり見かけないタイプの人々、
つまりは、クラバーだとか、あと、完全に人間踏み外したホームレスとかさ。

うちの犬があんな奴で、ジャンキーとホームレスが大嫌いでよ。
で、いちいちそんな奴らに吠えかかっては面倒くせえんだが、
でもまあ俺はこんな人なんで、口では謝りはするが、
もしも俺の犬になんかしやがったらその時は、
ってのはしっかりお見せしてる訳で、
でまあ、そんな関係から、
その地下帝国への入り口ってのが、どのあたりにあるのか、
なんとなく見当がついてたんだよな。

で、そのアッパーウエストの地下帝国の奴ら、
犬が騒ぐたびに笑いながら謝ってたら、
なんだかんだでちょっとした付き合いみてえのができてよ。
で、まあそう、俺もこういう人なんで、
もしかして、てめえヤクとか持ってんのかよ、とか聞いてみれば、
出て来る出て来る。
そう、そのあたりの、ホームレスと、それ相手のディーラーとホッカー、
そんなのが、夜半過ぎになると公園にうじゃうじゃ出てきてさ。
で、そのあたりのベンチに座ってるあのゴムまりみてえなメキシコ人のおばはんが、
実は、本番5ドル、口で3ドル、ぐらいで売りやってる、ってな話を聞いていて、
で、面白がって、俺にもやらせろ、その女、紹介しろや、とか言ったら、
まじで連れてこられたほんと、そのあたりにどこにでもいそうなゴムまりみてえなおばはん。
あたしペロペロ上手いのよ、ほら、歯がぜんぜんないから、
とか、もうほとんど妖怪のレベルでよ。

でまあ、んなことはニューヨークに限らず、どこにいってもそうなんだけどさ。
まあそう、俺の住んでる近所でもそんなのあんのか、へえ、とかとは思ってて。

で、そんな中、実は今年の春先に、このあたりに住む超お嬢様のバカ娘が、
行方不明になって大騒ぎになった、なんて話を聞いたんだが、
で、犬の散歩の途中、深夜まで公園の中をおまわりがうろうろしててうざったかったんだが。

ほら、こっちも、イリーガルでもなんでも犬を放して走らせなくっちゃいけねえ手前、
ジャンキーやホームレスよりも、おまわりが敵な訳でさ。
で、そんなホームレスの奴らと、あのおまわりうぜえな、おめえら見張ってろや、
とかやってたら、
実はよってな話を聞いた。

なんかこの、アッパーウエストの地下帝国、
その一部に、アンダーグラウンドのクラブがあって、
ドラッグからセックスからなんでもありで、
そこになんか最近、ガキが集まり始めてるってな話。

まあそう、そういうヤバイことをガキが面白がるってのは俺も判らない訳じゃないんで、
今更良いの悪いの言う気もねえんだが、
そのうち、夜な夜な、ガキどもが、あの雰囲気で、フードで顔かくしながら、
そのあたり、つまりは、ホームレスと犬の散歩のおさんしか足を踏み入れねえような、
そういうあたりをうろつき始めているのは知っていて、
そのうち、朝の散歩の時に、女の下着やら、
それもほんと、いかにもジャリ娘の好きそうな、カラフルなアニメ模様の、
なんてのがそこかしこに落ちている、なんてことにも気づいていて、
なんかこれ、そのうち面倒が起きそうだな、とは思ってたんだが。

したらそう、ODったガキが川に浮いていた、から始まって、
ご多分に漏れず深夜の銃声から、
ギャングの糞がきどもがいきなりドッグランに逃げ込んで来たり、
なんてことが頻発するようになってよ。
で、そう、ついについに、その両家のお嬢ちゃんの失踪事件から、
そのアンダーグラウンド・クラブにおまわりが踏み込むことになって、
で、なにやら、ちょっと表に出せねえものがたくさん出てきた、
なんて話はニュースにもなっていたんだが。。

で、そう、これ、すべて、前述のモグラびと、の話、そのもの、な訳で、
へえ、あの本って早々とファンタジーだけってわけでもねえんだな、と。

でさ、そろそろ、本筋なんだが、
その本筋の前に、もう一本、予備知識。

実はそう、これも、犬仲間なんだが、
超ウルトラ金持ちの、その息子、
これがもう40過ぎていまだにプラプラとらりって犬の散歩ばかりしてる、
まあそう、俗に言うドラ息子、な訳だが、
まあそいつとなんだかんだで付き合いが出来て、
で、聞いてみればかのトランプ・プレイスの住人って奴でさ。

いまとなってはあのトランププレイス
言うまでもなく、アッパーウエストからハドソン川を見渡す丘の上、
あの、絶景地に立ち並んだ超高級コンドミ群なんだが、
この家賃の高騰で、一部屋うん億、とかの値段になってる訳だが、
実はここの住人のほとんどが、投機目的のチャイニーズでよ。
夜になると庭先どころか、公道の真ん中で、ちーとっと、なんてことをやってる、
まさにそう、古き良きアジアの混沌、そのものの風景が、
いきなりこのニューヨーク随一の高級コンドミ街に展開される、
なんていう、シュールな世界なんだが、

で、このニューヨーク随一の高級コンドミ街が何故にチャイニーズばかりかっていうと、
実はこのトランプ・プレイス、
鳴り物入りで建築が始まったのは良いんだが、
例のサブプライム危機にぶち当たって、
完成してからこの方、誰も住まなかったシースルービルだったんだよ。

で、あの金歯ギラギラの高級コンドミ群が立ち並ぶ一角が、
夜ともなると、灯りがなにも点いていないゴースト・タウン、
まじ、気味が悪かったんだが、

でそう、前述のあの大金持ちのドラ息子、
このゴースト・タウンだったトランプ・プレイスが建ったころからの住人で、
親父がまた投機目的で買って、で、その管理人代わりに住まわされていた、ってな話なんだが、
最上階の、壁から壁まで、一望にハドソン川から川岸のニュージャージーを望む、
そこいら辺のスカイラウンジ、なんてのがちゃちに思えるぐらいの、
徹底的にゴージャスな5ベッドルーム。
で、ほら、あいつはあんな奴なんで、その部屋そのものが完全なドッグラン状態、
つまり、そこいら中に犬のウンコから小便からがぶち撒かれている訳で、
まあ笑っちゃったんだが、
そう、で、そいつから妙な話を聞いてよ。

確かにこのビル気味が悪くて、住んでる奴ってのもみんな投機目的。
誰がどこに住んでるかまったく判らず、で、そう、最近、エレベーターやら廊下やらが、
ホームレス臭い、っていうんだよな。

で、ほら、犬はそういうの鋭いんでさ、
そのたびになんだなんだワンワンって犬が大騒ぎをするらしいんだが、
どうも、この空き部屋ばかりの超高級コンドミニアムに、
ホームレスが住み着いているじゃねえのかってな話なんだよ。

で、ほら、こんな超高級コンドミだから、
24時間、入り口にはドアマンが立っているし、
セキュリティカメラからガードマンやら、
完全防備、である訳なんだが、
そんな中でどうしてホームレス達が忍び込むことになったのか、と。

で、そいつの話では、
ほら、ここ、トランプの建てたアパートだろ。
で、住人にもそんなトランプな奴らが多かった関係で、
実は、なにか合ったとき、ぶっちゃけ、マフィアの襲撃やらガサ入れやら、
そんな時のための逃走用の秘密通路ってのが作ってあって、
で、その地下に通じる秘密通路、
これが、地下を走るロング・アイランド・レイルウエイの駅にまで通じている、と。

でどうも、その表沙汰にできない秘密の通路のどこかがこじ開けられて、
で、そこから地下帝国の住人たちがわらわらと、
このニューヨーク随一の高級コンドミ街の中に入り込んでしまった、と。

警備員たちも躍起になって探していたらしんだが、
蛇の道は蛇でそいう奴ら、セキュリティーカメラの場所とかみんな熟知しているから、
ホームレスはホームレスで、空き部屋から空き部屋へ、ゴキブリのように逃げ回っては、
ってなことが繰り返されていたらしい。

でそう、後々、この降って湧いたような不動産バブルの中で、
トランプ御大、またいつもの奴で、金の前では全人類すべて平等とばかりに、
あの売れ残りのシースルー状態だったトランプ・プレイス、
そのものの権利を中国人に叩き売ってしまった、と。

という訳で、ホームレスの住処だったこのニューヨーク随一の高級コンドミ街に、
次なるゴキブリ、じゃねえ、まあそう、そんな中国人が大挙として巣食うことになったんだが、
前述の知り合いは、ってか、あいつの親父もなかなかの商売人で、
その中国人に売れる、って情報が入って値段が跳ね上がった時点で、
いきなりこの物件を抱き合わせにして売りに出しては巨万の富を稼いだ訳だが、
案の定、中国人連中が流れ込んできてから、
それまでの住人たちはまさにパニック売り、となった訳で、
お決まり通りの大暴落。
中国バブルも弾けたいま、あの高級コンドがレンタルにまで出されて、
で、その家賃が俺のアパートよりも安い、なんてことにもなってしまった訳だ、と。

で、まあそう、そんなこんながこのあたりのビハインド・ストーリーであった訳なのだが、



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はい、で、ようやくここからが本題。

ああ、疲れたぜ。。。

実はよ、かみさんがいなくなるたび先祖返りってか、
昔からかみさんが里帰りした途端に、
おかしな奴らがわらわらと集まってきては、
ちょっと信じられねえよな妙なことが連発するってのが俺の人生な訳で、
まあそう、例のスモーキー・マウンテンの幽霊女じゃねえが、
ー>「スモーキー・マウンテンの白い女」
つまり俺はもともとそういう星の下に生まれてきたやつで、
で、かみさんがそれを守っているってより、捻じ曲げているってな感じでさ。
そのかみさんの守護がなくなったとたん、
またまたあの妖怪変化みてえな奴らがわらわら集まってくる訳なんだが・・

ただなんか今回は、そういう意味ではなんともなくてよ。
なんかちょっと面白くねえなあ、とかとも思っていたら、

正月早々、いきなりとんでもねえところに入りこんじまったぜ、
ってのが今回のネタ。



実はよ、今日、1月二日、朝から雨。
で、雨嫌いの我が家の駄犬がどうしても外に出たからず、
かと言って、家の中でうんこおしっこをさせることも出来ず、
でまあ、そんな時の定番コース、
ウエストサイド・ハイウエイの橋の下の、
あのちょっと、ヤバゲな、都市の裏側的なあの一角にでも行って、
うんことおしっこだけさせてさっさと帰ろう、と思っていた訳だ。

で、そのウエストサイド・ハイウエイの橋の下。
ここはまさに手付かずの荒れ地のままで、
鉄条網で何重にも封鎖されたその向こう側は、
掘り返された土砂と打ち捨てられた建築資材が散らばる、
まさに都市の裏側、その底の底。
で、そんな暗がりによくよく目を通すと、
その地下へと通じるであろうトンネルの向こうに、
あのギャングたち、不良少年たちの残したグラフィティが一面に描き殴られてる。

前述した、アッパーウエストからの地下帝国への入り口、
そして、アンダーグラウンド・クラブのあったとされるのも、
実はここから見えるウエストサイド・ハイウエイの橋桁の下、
ここから続くであろう暗く湿った地下のトンネルの中にあった筈なんだよな。

ただそう、ここのエリア、薄気味が悪いのは確かにそうなのだが、
少なくとも雨が降らない訳でさ。
頭上をひっきりなしに通り過ぎる高速車両と、
そして思い出したようにいきなり目と鼻の先を走り抜けていくロング・アイランド・レイルウエイの列車の轟音。
それさえ気にしなければ、まあそう、犬のウンコをさせるにちょうどよい場所、でもあった訳だ。
ただそう、気をつけなくてはいけないのがその散らばったゴミ。

ニードル、つまりは、使い捨ての注射針から始まって、
ホイル、つまりは炙りできめた後の銀紙の破片。
パケット、つまりはヤクの入っていた2CM四方のビニール袋から、
そして、泥まみれになった女の下着から、ふとみれば空薬莢・・

という訳で、拾い食いだけはさせないようにとそそくさと用だけ済ませては、
さあ帰るぜ、とやったところ、ふと見れば、ん?

普段は封鎖されている筈のその鉄条網。
その一つが、なんと、開いていやがってさ。

なんだこれ、と思わずあたりを見回して、で、その中にふと、人影が一つ。
まあそう、見るからにホームレス、というよりは
みるからに地下に巣食うストリート・キッズ、そのもの。
ゴミみてえ痩せた身体に黒いフード頭から被ったその人影がさ、
ふと、その荒れ地の奥にある物陰に姿を消したような気がしたわけだ。

で、ふと見れば、犬もそのあたりを見つめながら、じっと耳を澄ましてやがって、
つまりあのあたりになにかあるってことか?ってなわけで、

途端に、もしかして、と閃いた。

これこそが、あの噂に聞いたもぐらびとの闇世界、
ニューヨークのアンダーグラウンド世界への入り口なのではないのかかかか、と。

この退屈なひとり暮らしの年の瀬。
退屈凌ぎに、ちょっとした冒険ってのも悪くねえか、

ってな感じで、新年早々陰鬱な雨にやられた午後、
白いうさぎ、ならぬ、黒いフードを被った黒鼠の後を追って、入り込んだ鉄条網の向こう、
そのうず高く積もった瓦礫の山を越えて辿り着いた場所には、
なんと、トンネル。
薄明かりに照らされた地下に続くトンネルが、永遠と続いていたのあたたた、と。

ご存知のように、あの若い頃のアジアン・ハイウエイ ケンケンパ旅行のころから、
世界中のスラム街なんてのにはもうなれっこになってたんだがよ、
そういう都市の汚濁的な風景ってのも今更ながらちょっとなつかしかったりもするもんでよ、
と同時に、そういう場所に決まって巣食っているであろう、
都市のドブねずみたちの奴ら、その危険性も知らなかった訳じゃなく。

ただそう、俺はこういう人だからさ。
踏まないと思ったら地雷は踏まねえ、
当たらないと言ったら俺に弾丸はあたらねえんだ、
みたいな感じで、
ただ、と改めて犬の表情を覗きこめば、
その洞窟の奥に向けて明らかに怪訝な様子でさ。

耳を立て、目を見開いては、音、そして臭いの中から、
状況の分析を始めている様子なわけだ。

どうだ?行ってみるか?
ってなかんじで、振り返る犬の瞳に好奇心の炎が燃えている。
そう、そうこなくっちゃ、さすがに俺の犬だ!

でさ、いいか、足元に気をつけろよ。
そして妙なものを拾い食いなんてことだけはするなよ。
やばくなったら俺を置いて先に逃げて上のドッグランで待ってろ。
俺になにかあっても、ずっとそこに居ればいつかあの犬仲間が見つけてくれる筈だ。

ってなかんじで、新春早々のこの地獄めぐりの冒険散歩。

噂に聞こえたニューヨークの底の底、
その地下帝国へ向けての冒険の旅、ならぬ冒険散歩ってな奴をやってきた。





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いか、ルポルタージュふう。

という訳でそのトンネル、
頭上はウエストサイド・ハイウエイの高速が走っているのだが、
その下にどういう訳でこんなトンネルが築かれたのか。

その抜き打ちのコンクリートの壁には、それなりの電灯が灯り、
足元の瓦礫さえ無ければ、それはそれなりに普通の地下道、な訳だが、
なによりもその抜き打ちのコンクリートを一面に覆ったグラフィティ、
その壮絶なまでの悪戯書のギャラリーなわけで、それだけでも圧巻である。
足元に転がる瓦礫の中にも、使い切ったスプレー缶が散乱していて、
そこかしこに、ついさっきまでそこに誰かが寝ていたであろう生活物の残骸、
見るからに異臭を放っていそうな毛布からまくらから衣服、
湿気に膨らんだ古雑誌から新聞のやま、
そして、スープキッチンの配給物であろう様々な食料の残骸。
動く物に目をやるたびにまるまると肥え太ったドブネズミの姿が目に留まるのだが、
ただ、ちょっと意外だったのが、ドラッグの香りがしないのである。

嘗て足を踏み入れた東洋一の魔窟と言われた香港・九龍城には、
その下水道の中を思わせるゴミだらけの通路一杯に、
銀紙の紙片がまるで紙吹雪のように散乱していたものだが、
そう、いまの時代、炙り、あるいは、ニードルはもう必要がないらしい。
最近は、精製技術の向上で、すべてスニッフでOKってな話で、
手間のかかるニードルやら、臭いからすぐに足のつく炙りは逆に敬遠されているらしい。

そしてこの地下通路のスラム。
思ったほどの不潔感がない。
そう、どこのスラムでも辟易するのはその不潔さである。
有機物の腐敗臭に満ちたあの公衆便所と下水管の中を思わせる汚濁的世界。
ドブネズミと暮らしている環境に大差がないような、衛生概念のかけらもない、
それを象徴するのがあの強烈な悪臭であったわけなのだが、
そう、ここにはそれがない、のである。
つまり用は他で足している、ということなのか。
あるいはあまりの悪臭に鼻が馬鹿になってるだけの話なのか。
と思っていたところ、ふと、目の前を見ると、なんと、行き止まりである。
トンネルの入り口を塞ぐその鉄条網の向こうには、さっきまで俺が犬にうんこさせていた、
あの雨宿り用の荒れ地があっけらかんと広がっている。
向こう側からは暗がりのなかで見ることのできなかったトンネルの内部、
それを内側から観たのはまさに初めての経験だった。

そうか、ここで犬を放すたびに、誰かに観られているような気がしていたのだが、
つまりはそう、ここから、この鉄条網の向こうのトンネルから、
まさか気付かれて犬に襲われることはないだろうか、と怯えて暮らしていた、
そんなホームレスの奴らの視線があったという訳か。

という訳で、来た道をすごすごと引き返すことになったのだが、
なんだか、ちょっとした肩透かしである。
アンダーグラウンドというからには、もっともっとやゔぁい世界、
ドラッグがんがん、腐乱死体がそこかしこに転がってはドブネズミに喰われ、
なんて世界を予想していなかった訳でもないのだが、
それを考えると、なんともこの、ちょっとあまりに健全過ぎる地下帝国のトンネルの中。

とふと見れば、瓦礫を重ねたシェルター風に囲った一角に、
明らかに子供用であろう服が並べて干してあるのである。

家族連れ?家族連れのホームレスがこんなところに住んでいるのか?

そう、つまりはそういうことであった。

地下の住人たちの間にも棲み分けが存在するのである。
でここはつまりは、家族連れ、
言ってみれば、初心者向けの健全な住宅エリアなのであろう。

そう、近年のこのキチガイじみた家賃の高騰。
その中で、いたいけな家族が次から次へとアパートを追い出されるという事態が進んでいるとは聞いていた。
嘗て、夜通しのプロジェクトの中、深夜出勤の明け方帰りを繰り返していた際、
真夜中を過ぎた地下鉄を埋め尽くしていたあのホームレスの人々。
家族連れから、妊婦からバックパッカー風から、夫婦者から、
そしてどこにでもいそうな労務者風の人々。
その一見して、なんの変哲もないニューヨークのブルーカラーの人々が、
しかし、深夜の地下鉄の中にひしめいていたのである。

ねえ、今日も34丁目に行くの?と子供があどけない顔で親を振り返る。
だったらまた、フライドチキンが食べれるね。

そう、あのロックの殿堂として世界に名高いマジソン・スクエア・ガーデンの地下、
長距離列車の発着するペン・ステーションと、
そしてポートオーソリティの長距離バスターミナルのある地下駅の近辺が、
ホームレスたちの吹き溜まりになっていることは経験から知っていた。
日帰りの出張で早朝、このターミナルからロングアイランド行きの列車に乗る時、
地上からのエスカレータが地下へと降りるにつれ、
その地下通路の中を、まさに吐き気どころかめまいをおこしそうな悪臭が充満している。
そして、長い夜を生き抜いたホームレスたちが重い身体を引きずりながら、
通路を這いずるように蠢く姿。
まさに、新宿のガード下が高級庭園に思えるほどのそのすさまじいばかりの悪臭である。
こいつらいったい普段はどこに暮らしているのだろう。
そしてなにより、そのあまりにも膨大な数である。
そんな人々が、夜な夜な地下鉄に乗り込んで来ては、そこで束の間の安息の眠りにつく。
そんなニューヨークの地下事情、そのあまりの拡大の様に思わず目を見張ったものなのだが、
そんなホームレスたち、いまや地下鉄にも、そして、34丁目のホームレス村にさえいれなくなった連中が、
こうして、本格的な地下世界への入り口のあたりで巣食っていると、そういう訳なのだろうか。

という訳で、いま来た道を引き返し、なんだよ、大したことなかったな、とばかりに、
また再び、雨に濡れた昼の光りの元に舞い戻って来たのだが、
ふと見ればいま進んだトンネルのその反対側、積み上げられた投機ロッカー、
そのグラフィティだらけの山の向こうに、また新たなトンネルへの影。

なんだこれ。。

その南側へと向かうトンネル。
入り口付近から不気味な水たまりの広がるその灯りの落ちたトンネル。
まさに沼への入り口の相を呈している。

もしかして、こっちが本物?

ふと見れば犬、
普段から、いついかなる時にも、俺様が一番、とばかりに天高くに跳ね上げた尻尾、
それがいつしか、すっかりと平行姿勢。
つまり、警戒、の合図である。

そうか、本ちゃんはこっちなのか。。


IMG_3323.jpg



という訳でその南へのトンネル。

さっきのご家族向けのトンネルに比べ、
明らかに暗い。そして汚い。
壁を埋めたグラフィティの密集度。
そして、その図柄が、ドクロマークから始まり、
見るからに毒々しい、棘に満ちたものに溢れている。
つまり、入るな、ということなんだな。

恐る恐る歩を進めて見れば、いきなり天井にオレンジ色の蛍光が点く。

見渡したその光景、まさに、トンネル、地下帝国の入り口、そのもの。

すっかりとネズミの住処になった破れたマットレスから、
泥水を吸って膨れ上がった毛布。
壊れた椅子。そしてどこぞのオフィスから捨てられた巨大な机。
無造作に積まれた瓦礫は歩を進めるたびにゴロゴロと転がり、
思わず怖気づいて足を止めれば、その弱気をあざ笑うかのような、
壁のドクロが蠢くようだ。

犬がフガフガと辺りを嗅ぎ回り、なんだよこれ、と振り返る。

ショッピングバッグに入れられたその塊り。
ちょっと足先で突いてみれば、転がりでたのは、まさにドブネズミ、
それも、身の丈30センチはあろうかという巨大ネズミの死骸。
これはこれは、である。
こんなものに束になって襲われたらそれこそ一瞬で食い殺されちまうな。

入り口に積み上げられた瓦礫の山を越えると、そこにはあっけらかんと、
灯りの点いた長いトンネルが続いていた。
それはまさに無人の地下道。ことの外明るい。
その永遠と続く地下の回廊。

ところどころに、ホームレスの住処であろうガラクタの塊り。
破れたマットレスの上に散らばる品々からは明らかに生活の跡が見てとれる。
その中から妙に懐かしい臭い。クラックか。。

一時期爆発的に流行したクラック。
コケインをベイキング・ソーダで膨らませ、
それに殺虫剤をかけた、模造品の興奮剤。
安価なドラッグの常で、効き目が早く、そして習慣性が無茶苦茶に高い。
これまでありとあらゆるドラッグを経験してきた猛者たちが、
ふとするとこのクラックに簡単にケツの毛を抜かれて身ぐるみ剥がされる、
そんな例をいくらでも見てきた。
こんなところに住んでクラックなんてのに嵌ったら、
もう一生でてこれないことは必至であろう。

ふと見ると、通路の端に白い塊。
まるでカーペットを折りたたんだような巨大な春巻き状の塊りが見える。
人だろうか、と思う。
そう思ってももちろん確かめる気はしない。
あの包をめくればいきなり靴の先、あるいは、血に濡れた頭髪、
なんてものが転がり出たりもするのだろうが、
わざわざそんなものを見たいとも思わない。

これはこれは、であった。
まさしく、想像通りの地下の帝国である。

そこはまさしく基地であった。

ひとの目を避け、地下の闇に蠢く人々の気配。
まるで戦中のレジスタンス映画。
ナチスに抵抗する人々の潜んだ地下水道、そのものの光景。

灯りの消えた踊り場に、またホームレスたちの住処があった。
ただ肝心な住人たちの姿はない。
汚れたジーンズがそれなりに洗って干されている。
となりに下がった巨大な黒いブラジャー。
夫婦者であろうか。
こんな地下道の中にあってドブネズミに囲まれて暮らしながらも、
夫婦としての体裁を保っている人々もあるのだろうか。

壁のグラフィティが次々と入れ替わる。
色とりどりのスプレーで殴り書かれた落書き、なのだが、
それはまるでよく出来た画廊のように、
それはそれで、それなりの趣がある、というものだ。

凄いなこれ、と思わずため息をつく。

凄い、地下のギャラリー、まさに、地下に広がる都市の、その一端であろう。

通路はゆるいカーブを描きながら、南へ南へと永遠と続いていく。
切れた電球がチカチカと瞬く中、不気味に浮かび上がる壁のグラフィティの絵柄に思わず足がすくむ。
気配がする。誰かに見られている。
人か、あるいは、ドブネズミか。

ふと犬の表情を探る。おまえ、大丈夫か?

緊張に目を見開きながら、犬はしかし、ちょっとした使命感でも帯びているような、
精悍な顔つきに変わりはない。

そうか、大丈夫そうだな。

歩を進める。足元の瓦礫はいつしか砂利道に変わり、
ザクザクという足音だけが無骨に低い天井に響く。

物の気配はするが、ただ、殺気はない。

犬を連れているせいだろうか、あるいは、そう、俺のこの格好、
この犬の散歩の格好では、多分、ホームレスの仲間に見間違えられているのかもしれない。

ただその、どこまでも続く無人の回廊。相変わらず人の気配はない。

なぜだろう、と思う。
ここには臭いがない。
あのスラム特有の悪臭がしない。
そして、麻薬の香り、クラックから始まって、ウィードからスマッグから、
あの据えた刺激臭がまったくしない。
そうか、もうホームレスと言えども、誰もタバコさえ吸わなくなったのだな。

そこは思いのほかの清潔さだった。
おどろおどろしいのは壁を埋めたグラフィティばかりで、
規則的にならんだ電灯と、そして、永遠と続く砂利道の回廊。
ゴミも瓦礫もそれほど落ちてはいないのだ。
この地下道、いったいどこまで続くのだろう。



IMG_3331.jpg




と、そんな時、背後に人の気配がした。

人?
か細い灯りの中に四人組の人影。
やばいな、退路を断たれたか・・

そんな四人組がゆらゆらと揺らめくように背後から迫ってくる。

その姿に殺気はない。
殺気はないのだが、本当にヤバイ奴らってのは得てしてこんなものだ。
つまり、人を襲うことがあまりにも日常茶飯事なためいちいち構える必要などなくなっている、
そんな末期的なギャングたちを腐るほど見てきた。

やあ、元気?とじゃれついてきたか、と思った途端、
いきなりレンガの塊りで頭を殴られ、やられたと思った時には後の祭り。
めったくその袋叩きにあって、あわや殴り殺されかけた時にも、
奴らには殺気どころか、犬の散歩に行くほどの緊張感さえなかったのだ。

俺はそんな四人組に気配を気取られぬように、さり気なく歩調を早め、
その終わりなき袋小路の底、奥へ奥へと悪戯に進み続けるばかり。

いったいどこまで続くのだろう。果たしてこの先に、出口はあるのか。

とふとすれば背後に気配。
はっとして振り返れば、その視界にいきなり、栗色の弾丸が飛び込んでくる。

なんだあれは!

とてつもないスピードで迫ってくるその塊り。
それは犬、それも栗色のピットブル・テリア。

ピットブル、言わずと知れた闘犬の中の闘犬、
キチガイ・ファイティングマシーンの誉れ高き、悪名高き猛犬である。

ホームレスのギャング野郎、まずは闘犬をけしかけやがったのか。

ブッチ、下がれ!と怒鳴りながら、念の為に手綱を放す。
逃げろ、お前は早く逃げろ!

そんな俺の声を聞かず、完全臨戦態勢で身構えたブッチ。
相変わらずの糞度胸野郎が・・

馬鹿野郎、おまえは下がってろ、と押しのけながら、
てめえ、ピットブル、俺が相手だ。かかってこい。

とそのピットブルテリア、
身体中を震わせながら無我夢中で走り込んで来たかと思うと
いきなり俺の膝に強烈な体当たり、と見せかけて、
その足をすかさずかいくぐり、まさに一目散にブッチを直撃。

やばい、やられた!と思ったその矢先、
いきなりそのピットブルテリア、
ブッチと顔を突き合わせた途端、
コロンとお腹を見せては、撫でて撫でて、
とお腹ダンスを始めるではないか。

なんだこいつ・・・

女の子、しかも、子犬じゃねえか。。。

そんなピットブルを、ちぎれるように尻尾を振りながら、
満面に笑顔をはち切れさせたブッチ君。

へへへ、と照れたニヤニヤ笑いである。

という訳で、やって来た4人組、
マシンガンで武装したドラッグ・ディーラーたちか、と思いきや、
まるで蕩けそうな顔をしたメキシコ人のご家族。

オラ、フェリス・アニョス!
フェリス・アニョ・ヌエヴォ、アミーゴ、
あけましておめでとー、とすぐにお友達。

で、あんたら、ここに住んでる訳?と聞けば、

まさかまさか、いや、ほら、そこの通りを歩いていたらあんたの歩いている姿が見えて、
で、こいつが、とピットブル。
こいつがまた、こんな奴で、でこいつに引きずられるまま後をついて来たんだ、てな話。

なんだそうだったか。
で、これ、このトンネル、いったいなんなんだ、と。

その薄明かりの中に照らされた永遠の回廊。
壁一面を色とりどりのグラフィティがまるで蔦の絡まるように描かれている。
それはまるで、地下に広がる極彩色のジャングル。
改めて見れば、それはもう、壮絶なほどに美しいギャラリー。

これはすごいな。確かに凄い。

いったい誰が、どれぐらいの時をかけてこの壮大な壁画を描き続けたのか。
古いもの上からまた新たなグラフィティを書き足し、
その隙間という隙間がびっしりと埋め尽くされたまさに地下のアヴァンギャルド美術館。

ミラ!ペリョ! ねえ、見て、犬よ、と小太りの娘が声をあげる。

壁一面に描かれた子犬の絵。たれ耳の、長い鼻が反り返って上を向いた白い子犬の漫画絵。

なんかこれ、この子に似てない?と上の娘。

そう言えば、と見つめられるブッチ。

ほら、そっくりよ、この子よ、この子の絵だわ!

それはまさに、ブッチの肖像画であった。

その問答無用に無邪気な表情。生意気そうに輝いた瞳。
そしてそのどてっ腹に、トレードマークの黒丸さえもしっかりと描かれている。

なんだよおまえ、なんだこんなところにおまえの絵が書いてあるんだ?


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とそんな中、目の前に人影。

お決まりの黒いフードを頭から被った、小柄な色黒の男。

そんな不穏な人影に、なんの衒いもなく、オラ、こんにちは、と声を掛けるメキシコ人家族。

オラ、と答えるその人影。

思わず俺も、あけましておめでとう、とスペイン語で挨拶。

という訳でその人影、ホームレスのフェルナンドさん。

いや、そうだね、夏の時期はもっと人が多いが、ほら、冬はやはり寒いしね。

随分綺麗ですよね。

そりゃそうさ、自分たちの住処だからな。みんなで掃除してるよ。

で、このトンネル、どこまで続いているんですか?

あ、取り敢えずは34丁目の、ペン・ステーションまでだな。

ペン・ステーション?

そう、この電車の終着駅。

ってことはこのトンネル。

まあそう、このロング・アイランド・レイルウエイの工事用だったらしんだが、
何のために工事用のトンネルをこんなにしっかり作ってくれたのかは知らんがね。

で、ここ、いったいどの辺り?

ああ、ここは、トランプ・プレイスの真下だよ。

トランプ・プレイス?

そう、トランプ・プレイス。
ほら、この壁のこの穴、と30センチ四方の換気口を指差す。

見てご覧、ほら、これがトランプ・プレイスの地下の駐車場なんだよ。

え?地下駐車場?

そう。ここを暫く行くと、サービス・エントランスにつながる通路がある。行ってみるか?

おいおい、であった。

そう、あのドラ息子の話、
トランプ・プレイスの地下から秘密の逃走用通路が、
ロング・アイランド・レイルウエイの駅に繋がっている、
あれは本当の話だったのか。。

実はな、数日前にまた悪さをしたガキがこのトンネルに逃げ込んできて、
で、おまわりどもがやって来たんだ。
その時に残っていた奴らがみんな逃げ出して、
で、その後の様子を俺がちょっくら見に来た訳だ。

そういうことか。

といきなり、そのホームレスのフェルナンドさん、
おい、ブッチ、とまさに、ブッチの名前を呼ぶ。

ブッチ?あんたなんでこいつの名前を知ってるんだ?

ああ、よく下のドッグランに来ていたろ?
あのボニータなハポネスのチカに連れられて。

ボニータなチカ?うちのかみさんのことか?

そう、良く話してたんだよ、あのハポネサと。

うちのかみさんと知り合い?なの?あんたが?

ほら、スペイン語話すだろ?あんたのかみさん。

え?

ああ、俺、よくドッグ・ウォーカーやってて、
で、あのドッグランに良く犬を連れてっていたんだよ。
アルベルトに頼まれさ。

アルベルト?って、あのアルベルト?

そうそう。

え?ってことはアルベルトもホームレスなの?

ホームレスじゃないけど、それに俺だってホームレスじゃないさ。

じゃあなんでこんなところに居るんだ?

こんなところって、どういう意味だ?

そう、この人達にとって、この地下帝国、
このニューヨークという都市の暗部に広がる、このアンダーグラウンドの巨城は、
少なくともこんな人々にとっては、別に特別でもなんでもない、
まさに生活の一部。ただの通り道であったのだ。

思わずこの拍子抜け。

ただ、そう、それはまさに、ホームレスと普通人のその差が、まるで曖昧な、
このニューヨーク・シティが直面しているその不気味な地盤沈下の、
その顕著な現れでもあるのだろうが。

という訳で、その俄かドッグウォーカーのフェルナンドと、
そして見るからに純朴そうなメキシコ人の家族、そして犬二匹、と連れ立って、
地下帝国の奥底のアンダーグランド・ギャラリーめぐり。

先のメキシコ人の一家は、ラレードからやってきたばかり。

試しにどうやってやって来たの?と聞いて見れば、予想通り、トンネルを通って、だそうで、思わず笑った。

つまり、そう、メキシコからアメリカの国境に張り巡らされた麻薬運搬用のトンネル、
それを通って密入国をしたこの一家が、そのまま長距離トラックを乗り継いでニューヨークにやってきて、
で、アパートを探す間、この地下の帝国のどこかに間借りをして過ごしているらしい。

まあそう、知人のところを転々としているんだが、なによりこの狂乱家賃だろ?
シェルターと安ホテルを行ったり来たりしながら暮らしているだが、
そう、たまにあぶれた時には地下鉄で寝ることもあるな。
食事はシェルターで、あるいはスープキッチンもあるし、
ボランティアの連中がスーパーの売れ残りを配っていたりと、
まあそう、食っていくだけならまったく苦労はないよ。

で、その犬は?

ああ、これ、居候してた先の家主の犬でさ。
うちの娘が気に入ってそれで貰い受けたんだ、と。

なんとも、緩い話しである。

でその後は、長男のオクタビオ君、生意気盛りの17歳、
そして、上の娘のドミニカちゃん、15歳と、
そして、下の娘のポーリーナちゃん、12歳、と連れ立って、
子犬のトレーニングについてのおしゃべり。

そう、手綱をなるべく短く持って、
十歩歩くごとに名前を呼んで、振り返ったらお座り。
そして目を見て、そう、アイコンタクトがとても大切
で、はい、よく出来ました。それをまずは繰り返して。
さあ、やってごらん。

という訳で、この地下の回廊。

ワクワクドキドキの冒険行の筈が、いきなりご近所のお散歩、その延長。

しかし驚いたな、俺たちの住んでるそのすぐ足元、
壁一枚挟んだ向こう側に、まさかこんな世界が広がってるなんて。

そしてそんな世界も、そこの住人と仲良くなってしまえば、
それは異次元でもなんでもなく、ただの日常的風景に早変わり。

ただ、これ、このグラフィティ、まさに圧巻だよな。

と、ふと見れば、その向こうから両手に青いバケツをぶら下げたお母さんと、
その後ろからちょこまかとついてくる女の子の姿。

オラ!
オラ!
フェリス・アニョ・ヌエヴォ!
あらまあ、あんた、日本人?それでスペイン語喋るの?
ああ、こいつのかみさんの方がもっとましなスペイン語喋るよ。
あれまあ、このペリょ、見たことあるわね。
ああ、そこに絵が書いてあるだろ。あれだよ。
そうそう、あの絵。誰が書いたのかしら。最近書かれたものよね。
うち娘のお気に入りなのよね。
へえ、この子がモデルだったんだ。こんにちわ、わんちゃん、あけましておめでとうね。

この会話、すべて、地下の大帝国、誰も知らないアンダーグラウンドの洞窟の底で行われているのである。

という訳ですっかり仲良くなってしまったこの地下世界の住人たち。

地の底にうごめく妖怪の如き、などではぜんぜん無い、まさに普通な、そう、まったく普通なただの人々。


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で改めて、その永遠と続く地下の回廊。
そこはまさに車の走らないブロードウエイ。
左右の壁を埋めたグラフィティの壁画に彩られたまさに夢のギャリーである。
そこには確実に、そこに暮らす人々の愛着が見られるのだ。
聞けばこのニューヨークのアンダーグラウンド、
一時期は警察の規制の強化から閉鎖されていたものの、
近年のこの地価高騰の煽りを受けて、凄まじいばかりに拡大を続けているらしい。
徹底的な無産階級の人々が、貨幣に頼らぬ別の社会を、いつのまにかここまで育ててしまったのだ。
いつかこんな地下社会と、地上の社会がすっかりと混じり合ってしまう、そういう世界が訪れるのだろうか。

という訳で、新年早々、ちょっと妙な異次元世界への旅、なんてのを経験してしまった気分。

へえ、金なんかなくなって、十分暮らしていけるんじゃねえか・・

という訳で、じゃあまた、奥さんによろしくね、なんてご挨拶の後に、
帰り着いた地上世界。
家賃三十数万円のアパート。
こんな暮らしの足元、あるいは、壁一枚隔てた向こう側に、
まったく別の世界が広がっている、それはそれで、なんとなく妙に小気味良い気がしないでもない。

という訳で、改めて、なんでうちのかみさん、
あんな地下社会の住人と顔見知りであったりするのだろう。

ただ、そう、俺にしたって、あのフェルナンドが、
ドッグランで、こんちわ、とか話かけられたら、
まさか彼が地下社会の住人などとは想像もつかなかった筈だ。

つまりそう、もう地下も地上もその境が非常に曖昧になってきているのだ。
あるいは、そう、地上の世界のそのあまりの暴走の果てに、
地下の世界が膨張に膨張を続けて、ついには地上に溢れ出してきてしまった、
つまりはそういうことなのだろう。

地上も地下もねえんだよ、
そう、それはまさに、壁一枚、あるいは、そう、
俺はすでに、そんな地下社会に知らぬうちに片足を踏み込んでいるのかもしれない。

改めて、そんな日常の中の不思議を思い知らされる気がした、
正月の一大冒険紀行であった。

これはこれで、なにかの啓示であったりするのだろうか。



で、最後に、ちょっとしたメッセージ。

実はこの年末、知り合いのユダヤ人の一家、
その、グランドグランド・マザーにあたる大婆さんが、
なんと100歳の誕生日を迎えたってなことで、
で、新年の挨拶も兼ねて、ご自宅に招かれた訳なのだが、
その百歳の大婆さん。
補聴器と歩行器のお世話にはなっているというものの、
いまだに車椅子での移動を頑なに拒否する、矍鑠たる老貴婦人の風格に溢れている。

で、その大婆ちゃんから聞いた、新年の訓示。

売れ!なのだそうだ。

売れ、持っているものは全て売れ。
まずは手元に現金を蓄えておくこと。
株は全て売り払え。銀行を信用するな。

だそうで。

1929年の暗黒の木曜日に始まったアメリカの大恐慌。
多感な成長期をそんな激動の中で育ったこの老貴婦人。
フーバー政策の失敗を例に上げながら、
このトランプの時代に起こりうるであろう大恐慌を確信しているらしい。

売りなさい。全て売りなさい。そして全てを身近におきなさい。
危機の中にあって信じられるのは自分自身だけです。
自分自身以外を信じている人を、信じてはいけません。

どういう訳かあの地下の回廊をさまよいながら、
この老婆の言葉を繰り返していた。

なにかが起こるな、と思ってるんだが、どうだろう。

信じられるのは自分自身だけ、
まあそう、いまに始まったことじゃねえんだけどさ。

てなわけで、またまた長い手紙になった。

なにかのネタにしてくれたらそれはそれで嬉しい。

で、俺?
俺は大丈夫だよ。ぜんぜん。
うちのかみさんもあんなだしさ。
俺もこんなだから、金持ちであろうが、ホームレスであろうが、
黒人でも白人でも、人はひと。
別になにも特別な感情などもっちゃいねえし、
例えあんな地下洞窟に暮らすようなことになったとしても、
なんだかんだでこのまま、こんな感じで暮らしてるんじゃねえのかな。

だってよ、
そう、俺はいまだに、自分以外のものはなにも信じちゃいない。
そう、いろは匂えど、そんな無常観を忘れた訳じゃないし、
あのアジアのドブの底の底、そこで暮らしていた人たち。
つまりは流れ者の俺を、あれほどまでに愛してくれた、
その恩義、あの人達の教えてくれたものは、
忘れようにも忘れられるものじゃない。

そう、ご大層な御託は良いんだよ。
大切なのは、ただ今日を生き抜くのみ、それだけだろ。

世界がどうなろうが、俺はそう、バンドマン。
ゴミ食いながらバンドマンやってたあの時代を、
俺はいまだに忘れちゃいない、あれから変わったつもりもサラサラねえ、と。

ただな、そう、予感がする。
雑草の時代がやってくると思うよ。
他人にすがって他人を信じようとする人間はすべて裸に剥かれる筈。
つまりはそう、スラム街の倫理。
それが必要な時代が、すぐ目と鼻の先にまで迫っている気がする。

つまり・・・俺の時代だ・笑

ってなわけで、そう、俺は大丈夫だ。
例えホームレスになろうが俺は生き抜く。
これまでの人生はそのための練習、ってか、まあ延長みてえなもんでよ。

ただ、そう、そんなタフな時代を生き抜くために、
またちょっと身体を鍛えなおさねばとは思ってる。

そう、信じられるものは俺ひとり、
そんでまあ、隣りにあれと、そしてこいつがいてくれれば、
まあどんなことになっても、大抵のことは笑ってうっちゃれる、
そんな気がしている。

ちゅうわけで、お前も色々大変だろうが、
んでそれは、ますます大変になっていくだろうが、
俺達はなにも変わっちゃいねえ、
みたいなところで生きていたほうが、身のためだぜ。

メメント・モリ、死を思え、忘れるなよ。

じゃな。ことよろ。







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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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