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もしも犬に翼があったら

Posted by 高見鈴虫 on 12.2017 犬の事情   0 comments
早朝のセントラルパーク。
春の訪れと共に、何処もかしこも、
やたらめったら元気一杯の犬どもがわんさかわんさ。
桜並木の遊歩道を、コンサート用の広場を、
そしての見渡す限りの緑の芝生のカーペットの上を、
大きいのから小さいのか、白いのから黒いのから茶色いのから、
見渡す限り、犬、いぬ、イヌ、犬ばかり。
思い切り弾けきった犬どもが、
縦横無尽の問答無用、我が物顔に走り回っている。

そんな犬どもを横目で追いながらも
しめしめこれ幸いにと木立の陰などに身を潜め、
IPHONEなどを持ち出してはメールのチェック、
なんてのを始めるものなら
すかさず見つけた犬ども。

みぃぃぃつけた!!
とばかりに、いきなり飛びかかって来ては、
背中に飛び蹴り、ずぼんの裾を引っ張って、
ともすれば手元のIPHONE、
おもちゃと間違えて奪取を試みる、
そんな輩まで出てくる始末。

そんな犬どもに、前から後ろからと、
好き放題に飛びかかられてはじゃれられまれて、

こっち向いてて!
ボール投げて!
IPHONE、ダメ、絶対!
と大抗議大会。

そう、犬はIPHONEが敵である。
いついかなる時にも自分が主役でないと気に入らない、
そんなワガママ放題に育った犬。
そしてこの散歩は、そんな犬との大切なデート中なのだ。
デートの最中にケータイ見るなんてサイテー、
その最低限のマナーだけは
たとえ相手が犬であっても、
守らなくてはいけない、それが自然の摂理、世の掟。

ただ、こちとら人間様である。
早々と犬の事情にばかり合わせては居られない。

だがしかし、そう、この春の朝の犬ども、
まさに、無敵モード炸裂のスーパーハイパー全開ばりばり。

こら、邪魔するな、おいなんだよお前、
変なところ舐めるな引っ張るな。

思わず木立の枝にぶら下がってはよじ登り、
尚も盛んに吼えたてる犬どもを見下ろしながら、

やーい、ざまーみろ、ここまでは登ってこれないだろ!
とにわかなドヤ顔を晒してご満悦。

どうだ人間様の底力思い知ったか。
こちとら、そのご先祖さまは猿と来ているんだぜ。
そんじょそこらの犬どもとは、オツムの出来が違うんでえ。

と、そこでふと、思った。

もし犬に翼があったら世界はいったいどんなことになっていたか。
つまりは犬どものこのラブラブかまってかまって攻撃が、
まさか空から頭上から、木の上からも襲いかかってきたら。

机のPCの前に座った途端に背後から首筋めがけて飛びかかってくる犬。
夕食のテーブルのその真ん中にいきなり降臨こいては好き放題に食い荒らす犬。
仕事中、見渡す窓一面に、ラブラブきんきらりんの瞳を輝かせては赤い舌を踊らせる犬いぬイヌ。
これではまったく仕事にならない、どころか、
ドアを一歩出た途端、上から下から後ろか前から、無茶矢鱈に襲い掛かられては
これはこれは、まさに防ぐ術もないままに、
人類は完膚なきまでこの犬どものラブラブかまってかまって攻撃に、
してやられ尽くしてしまう筈である。

これはまさに文明の根幹を揺るがす恐ろしい事態である。
犬が犬としていまの翼を持たない形態に落ち着いたのは、
あるいは鳥やコウモリがそれほど馴れ馴れしいキャラでなかったこととは、
まさしくそんな事情、
神の定めた必然があっての事であろう。
なんだかんだ言って世界はうまく回っている、
さあ、機嫌直して生きよう!
そんなことを思わせた土曜日の朝であった。



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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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