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ベビーメタルのフラストレーション ~ ニューヨークの残念な人々

Posted by 高見鈴虫 on 09.2017 BABYMETAL☆ベビーメタル   0 comments
一足お先に夏本番のニューヨーク。
先の独立記念日の祝日を挟んで、
連日繰り返される大小の野外バーベキュー。
普段から犬の散歩にかまけてばかりいる不義理の落とし前に、
犬の参加が許されることを条件に、
そこかしこへとお礼参りの出没を繰り返しているのであるが、
で改めて、そこで出くわすバンドマン崩れたち。

いまとなっては、見る影もないほどまでに、
その脂ぎった赤ら顔から、
弛んだ腹にどう見ても似合わないその休日仕様のスポーツウエアからと、
押しも押されもせぬうだつの上がらないおっさん風情。
そんな、一見して見るからに温和そうな好々爺、
そのおさんたちの口から、酔いが回るほどに次から次へと飛び出してくる
その、あまりにも凄まじいばかりの武勇伝の数々。

いまとなってはすっかり殿堂入りを果たしたあの歴史的な大御所の、
サポートメンバーとして全米をツアーした、なんて話から、
全人類の文化遺産のような偉人たちと共演した、その稀有な経験談から、
そして、聞いてみれば、今もなお、人知れずにステージに立ち続けている、
そう、そんな輩、ばかり、なのである。

そう、ここはニューヨーク。
たかがバンドマン崩れ、とは言うものの、
日本においてはそれなりに大御所であったり、
あるいはそう、ここニューヨークという、
まさにバケモノ的なまでに、世界中からの才能の密集する、
まさに、パフォーマーたちにとっての聖地。
そんな世界の最高峰に対して、本気の本気でガチンコの勝負を挑んだ、
その気概だけは、歳老いたとは言っても、やはり並々ならぬものがある。
そんな曲者ぞろいのニューヨーカーたち。

いやはや、またまた色々と、面白い話を聞かせて頂いた。








という訳で、まあそう、お裾分け、というのでもないのだが、
そんな、ニューヨークのバンドマン崩れたち、
いまとなっては、ただのうだつの上がらない藻屑的中年と化した輩たち。

休日の公園の片隅の緑の芝生の上、
グリルから立ち上るチャコールの煙に咽びながら、
はしゃぎまわる子どもたちを両手両足にぶら下げ、
あるいは、我が物顔に走り回る犬たちにボールを投げながら、
問わず語りに繰り返される、その苦労話の数々。

実はニューヨークに来る前に、ニューオリンズにしばらく居てね。
アラン・トゥーサンからドクター・ジョンからネヴィル・ブラザーズから、
そんなレジェンド的な偉人たちと夜な夜なにジャムセッションを繰り返していたんだが、
いやあ、あれは本当に面白かったなあ。

なになに、一番好きだったドラマー?
そうねえ、一緒にやった人の中では、やっぱりレニー・ホワイトかなあ。
トニーも、って、ああ、そう、もちろん、トニー・ウィリアムスのこと、
あの人さ、凄く良い人だったんだけど、
真面目過ぎるっていうか、理屈っぽいのよね。
ミュージシャンってより、なんか音楽学校のセンセイみたいでさ。

イギーかあ、イギーねえ。あいつは小銭にせこくてよ。
いつもヤクを集ってきやがる癖に、てめえでガメたらその途端にトンヅラさ。
借りたカネは返さねえ、てめえのものは一切他人に触らせねえ、
つまりはまあ、そう、よくいる、せこい野郎だったよな。
嫌われてたよ、ああ、あいつは嫌な野郎だったよな。

ジェメイカに長く居たよ。そうトレンチタウン、あのボブ・マーリーの故郷。
タフゴングのあたりを毎日うろうろしてさ。色んな奴らと知り合ったな。
ウエイラーズ?ああ、バレット・ブラザーズだろ?知ってるよ。ああ良く知っていた。
上手かったか?まあそうだな。ただみんなラリってたからな。
よく覚えてねえなあ、そんな細かいこと聞かれても。

へえ、ロス・バンバン知ってるんだ。ホアン・フォーメル死んじゃったよね。
うん知ってるよ。よく行ったよ、バンバン。ってか、犬も歩けば、じゃないけど、
ハバナのそこら中であの連中に出くわしたよね、普通に。
ボンボン?あのプピーのところの?あのひと、顔が大きくない?
好きだったのはね、へへへ、実はヒラルド・ピロート。そうクリマックスの。
なにが?え、まあ、ははは、まあ良いじゃない、そんなこと。

とそんな積もりに積もりまくる、ここだけ話の中で、

で、そう、日本、そう、日本なんだよね、と。

あそこってさ、なんかそう、まるでいまだに鎖国してるみたいでさ。

一度、日本、という言葉を上げた途端、
このニューヨークの歴戦の勇士たち、
ジャンルを越え、音楽の中にその一生を費やしてきた面々が、
そう、そうだな、そのとおり、と一同に苦虫を噛み潰したような渋面のまま、
まるで堰を切ったように、我らが母国に向けての苦言を並べ立て始めるのである。







そう、日本ってさ、やっぱり鎖国だよね。

ガラ系って良く言うじゃない?私もよく言われるんだけどさ。
そう、ガラ系、つまりは、ガラパゴス系。

なにからなにまで世界標準からとっぱずれているっていうか、
なんというか、違うところ見ている、というか、
なんかそう、ずれてる、のよね。

ずれてるかどうかってのは、なにが標準にしてるかってのは判らないけど、
まあ確かに、閉鎖的、ではあるよな。なにをするにしても。

この間、実はツアーで行ったんだけどさ。そうこっちの連中と。
で、あっちの雑誌社からインタビュー、なんてのがあってさ。
したら、頼みもしないのに下手な通訳連れてきてて、
まあその英語がまたまた、と言っちゃったらきりがないんだけど。
で、どういう訳だか、私には、私にだけは、なんの話も振らないんだよね。
で、なんか、すごく邪魔者扱いされてるみたいでさ。
なんで日本人のあんたがそこにいるんだ、みたいな。
で、その質問っていうのが、準備周到っていうか、
色々とどうでもいいけどばかり、
なんかややこしい理屈ばかりを並べ立てては、
それに同調するかどうか、ってことばかりなんだよね。その趣旨が。
つまり、頭での思い込みを、必死になって押し付け来ては、
いや、それは違う、とか言われると、ガーンと落ち込んじゃったり。
で、そのときばかりは、なんでですかね?なんて私に聞かれて。
なんか変な人だったよね、あのメディアの人たち。

そうだよな、なんかそう、昔からそうだけど、頭でっかちっていうか。

そう、妄想系なんだよね、揃いも揃って。

そんなものさ、うだうだ考えてないで、さっさと本人に聞きに行けば良いものを、
うじうじして話しかけることもできずに、
で、そのままどんどんn妄想系に走っちゃうっていうか。

コミュ障って言うの?そう、コミュニケーションの下手な人、多いよね。

あの東京のさ、閉鎖感っていうの、どん詰まり方っていうか、
正直、半月も居たらちょっと気がおかしくなっちゃったな。

気がおかしいのはいまに始まったことじゃないけどね。

それはお互いさまでしょ。

つまりは、英語じゃないのかな?
英語を学問として学んじゃったが為に、
で、その英語を話す、という行為そのものが、
コミュニケーションにおける道具、というよりは、
その学問的な、つまりは、ペーパーテストなところでしか、
英語を計れなくなっちゃってる。

それってさ、あの詰め込み的な受験教育のトラウマなんじゃないの?

そう言えば、日本人ってさ、馬鹿ほど英語が上手いっていうか、
そう、お勉強の良く出来るタイプの人、高学歴の人とかに限って英語喋れないよね。

俺、頭も馬鹿だけど英語もろくにしゃべれないぜ。

そう、日本人の英語、酷すぎる。私もひとのこと言えた義理じゃないけどさ。

それもこれも、トラウマでしょ、あの、受験一辺倒の偏向教育の。

という訳で、昔もいまも、海外に長く生活した人々、
それも、海外という中で、その文化的な軋轢に苦労をすればするほどに、
母国である日本というものに対して、妙なぐらいなまでに酷評を繰り返すようになる。

いやあ、この間、日本から来たなんとかさん、とか言う人と、
そうそう、日本では何やってたか知らないけど、それなりにそれなり、とは聞いてたんだけど、
いざこっちの連中と合わせてみたら、そう、合わないんだよ、ぜんぜん。
ビートっていうか、グルーヴっていうかさ、やっぱりぜんぜん違うんだよね。
で、ほら、俺もそうだったしさ。
そう、俺も苦労したよ。特にそう、あの黒人連中とかさ。
合わないんだよ、どうしても。やっぱり違うんだよな、っていうか。

そうよね、それってやっぱり、伝統的というか歴史というか、
つまりは、民族の血、っていうかさ。

まあでも、それを言ったら世界中の人たち、みんなそうでしょ?
みんなそれぞれが違う訳でさ。
ただ、それを、個性、とかと開き直られると、一生、誰とも合わせられないんだけどね。

そう、その個性を、どうやって溶け込ませるかっていうのが問題なんであってさ。
わたしも苦労したな。テンポが軽い、とか、早いとか言われてさ。

メトロノームをONで取るからじゃない?

いやあ、そういう問題だけでもないと思うんだけど。

ドラマー的に言えば、日本人って8分の6拍子が無い民族、なんだよね。

そうそう、八分の六、ないよね。

それこそが基本なんだけどね。
ジャズから、ロックから、八分の六こそが基本。

そう、その基本が欠落してるんだけどさ。

俺、実はあったんだよね。生まれた時から裏取れてたしさ。
二拍三連取れ無い奴が不思議でならなかった。

生まれた時から頭の中ポリリズムだったりしてね。

ってか、そう、日本ってさ、伝統的に言えば、和音の無い人たちだったでしょ?

和音も無ければ、リズムも無い、グルーヴもない。

徹底的にアンサンブルの概念がない人達。

実はわたし、悩んだんだよね。やっぱり日本人なんかに生まれちゃった私が、
わざわざ西洋の音楽なんて、やる意味あるのなか、なんてさ。

俺、いまでも思ってるぜ。日本人の限界かな、とか。

でもさ、日本の和太鼓、あるじゃない?鬼太鼓とか。
なんか妙に、こっちの連中に受けが良いんだよね。

それって、つまり、あのパフォーマンスが、なんじゃない?

つまりは、ふんどしってことか。

もうね、日本人として生まれたからには、ちょんまげとふんどし、それしかないよね。

オイラン、とかね。なんかあるじゃない、最近のバンドで。

和楽器バンド?

そうそう、それそれ。音聴いたら笑っちゃったけどさ。

と、そんな会話、そう、確かに、どこかで聞いたことがある、
というよりは、まさに、これまで、永遠と繰り返されてきた、
この、日本誹謗中傷論。

最近のあの、アベーな方々の、
あのヒステリックなまでの日本美化な方々には、まさに発狂もの、
ではあるのだろうが、

そう、確かに、日本人という民族。
こと、西洋音楽という分野において、アンサンブルとグルーヴ、
つまりはぶっちゃけ、和音と、八分の六拍子の概念の欠落した民族にとっては、
まさに、宿命的といえるまでに、その欠落のあまりの大きさに叩きのめされることになる。

やっぱりさ、俺、これまで本当に色々とやってきたけどさ、
結論としては、日本人は無理。
どんなに苦労しても、努力しても、日本人が日本人である限り、
アンサンブルもグルーヴも、やっぱり、無理。
それって、まさに、民族的な限界って奴・・・

という訳で、この午後の灼熱の中、思わず寒々とした空気が漂ったその時、

ここぞとばかりに叩きつけてやった、この一言。

あの、すみません、先生方、もしかして、ベビーメタルって、ご存知ですか?

ベビーメタル?なにそれ。

あの、オジー・オズボーンとか、メタリカ、とか、ジューダス・プリースト、とか?

ああ、それは、ヘヴィメタル、でしょ?

いや違う違う、ベビーメタル。英語で言うと、ベイビーメトー。

ベイビーメトー?

そう、日本のバンド。アイドルとメタルの融合した。

あああ、その名前、聞いたことある。

で、そのベイビーメトーってのがなんだって?

だから、そう、いままでの話、そのすべての解答、というか。

そのベイビーメトーって言うのが?

そう、先生方のいままでのお話、そのすべてに対する、ご回答、と。






という訳で、改めて、そんな永遠的海外遠征組の強者たちを相手に、
その日本誹謗中傷論への結論としてご紹介申し上げたベイビーメトー。

上手い?

そう、これまで現存した、すべてのバンド、よりも並外れて上手い。

日本人、なんでしょ?

そう、全員が列記とした日本人。

アイドルと、メタル?

そう、ティーンエイジャーの女の子たちと、凄腕のバックバンド。

スタジオの連中?

そう、実はバックはバリバリのスタジオ系。ドラムはあの青山純のご子息。

へえ、青純さんの息子さんがそんなことやってるんだ。

これがもう、凄い。まさしく、世界の誰よりも凄い。

でもさ、アイドルって、あのアイドルでしょ?あのモ~ニング娘とか、AKBなんとかとか。

あんた、なに言ってるのよ。最近は凄いのよ。
乃木坂からなにから、もう雨後の竹の子みたいな人海戦術。

まあそう、そんなアイドルではあるらしいんだけど、
ベビーメタル、そのボーカルが上手い。並外れて上手い。桁違い。

日本人の女の子が?

そう、すぅメタルって云うんだけど、上手い、凄く上手い。涙が出ちゃうぐらい。

ああああ、それ聞いたことがある。
良い歳こいたおっさんがメタルを聴いて泣くって。
なんのこっちゃと思ったけど。

そのアイドルが、ヘヴィメタルをやってるの?

音楽的には、デスメタ、というか、スラッシュメタル、なんだけどね。

そのデスメタに、アイドル歌手?

わりとこう、フレンチポップス系の甘い歌メロを被せてる。

なんか、ぜんぜん、想像もつかないけど。

ねえ、あんたさ、さっきまで言ってたことと、ぜんぜん矛盾してない?
だって、ほら、八分の六から、裏が取れないから、和音の概念が無いから、
頭でっかち過ぎて運動神経が悪くて、リズムが体感できない、
日本人ってそんなどうしようもない人たちばっかりでって。

そう、そのすべての答えが、このベビーメタル。

言って見る意味がまったく判らない。

という訳で、この灼熱のバーベキュー・パーティが、
ますます冷え切った寒々とした空気に包まれた、その時、
そのトドメとばかりに、妙に訳知り顔で、ニヤニヤ笑いを繰り返していたお仁。

ふっふっふ、と不敵な笑いと共に言い放った一言。

ベビーメタル?好きなの?はああ、つまりはそう、あなたも、そんな人、なのですね。

そんな、人?

そう、聞いてますよ。ベビーメタル。
ちょっと前になるけど、また日本の関係者からね、
これ、どう思うって、送られて来たんですがね、
ファースト・アルバムが。

で?

いやあまあ、そう、ワタシ的には、一回聞いて、もういいや、というか。

一回聞いて、もういいや?

そう、あれ、ゲームの音楽でしょ?

ゲーム?

そう、あれ、ゲームのね、BGM。
それをもっともらしく、生歌っぽく、ボカロの歌を被せて見た、
ただそれだけの話。
正直、こんなものには騙されないぞ、と。

騙される?

あれ、まがい物、でしょ?
そもそも、アイドルって、あのアイドル、でしょ?
で、それにマニピュレータ、って言うか、ぶっちゃけ、シンセのお皿を被せて、
なにもかもを、もっともらしくしただけの・・

と、そこまで聞いて、おお、そうか、と思い当たった。

そうか、そう、そうなんだよ、このにわかピーター・バラカン、
その紛い物的な評価のその元となっているものっていうのが、
つまりはあのCD音源、であった訳か。

と、そんな俺の苦境を気遣うように、
で、あんた、なんで、そのベビーメタル、なんていう紛い物が好きになったの?

え?それは、なにより、ライブに行ったから。

ライブに行ったの?日本まで?

いや、ニューヨークに来たんだよ。去年の春に。
で、その、ライブが、凄かった。

日本のアイドルがニューヨークでライブをやって、凄かったの?

そう、凄かった。
申し上げたように、俺もこれまで色んな人たち見てきたけど、
正直言って、このベビーメタルよりも凄いバンド、見たことがなかった。

まっさかあ、と一同。

あんた言ったよね、ストーンズを舞台の袖で見たって。

ロス・バンバンをバックステージで観たんでしょ?

サイモン・ラトルのベルリン・フィルも、リッカルド・ムーティのウィーン・フィルも。

ウェイン・ショーターも、チック・コリアも、ジョシュア・レッドマンも、

ガンズで、イギー・ポップで、死にかけたって。

ああ、観たよ、そういう人たち。
でも、そういうの全部合わせて、ベビーメタルの方が凄い。段違い平行棒に凄い。

まっさかああ、と一同、ここぞとばかりに声を合わせる。

日本のアイドルが、ストーンズよりガンズよりも凄い?ありえない。

そのあり得ないことが、現実に起こっている。それがまさに奇跡。

思わず顔を見合わせる面々。そして、そのあまりにも微妙な苦笑い。
そして振り返ったその表情の中に、あからさまに浮かぶ、侮蔑と、そして憐憫を込めた、
一種独特な、あの、猜疑の塊り。
それってまるで、そう、新興宗教の勧誘者に対する、その曖昧且つ頑なな拒絶、そのもの。

まあそうね、あんたがそこまで言うのなら、今度聞いてみても良いかな、と思うけどさ、

と言うのも、実はそう、この凍りついた空気を和らげる為のただの社交辞令。

ねえ、そう言えばさ、日本のトランプ、こないだの選挙でボロ負けしたんでしょ?

ああ、読んだ読んだ、そう、都議選で歴史的な大惨敗とか。

あれ、森なんとかから、凶暴罪から、どう考えてもやり過ぎよね。

つくづく、この人達、民主主義がなんなのか、判ってないんだなってさ。

そう、所詮は日本。つまりは極東のガラパゴス。
その閉鎖性の中でのすべてがすべてでっち上げの印象操作ばかりがまかり通る、
嘘と妄想で固められた紛い物も紛い物。
アンサンブルもグルーヴも、すべて外から輸入しただけのただのハリボテ。
で、民主主義も、自由も愛も平等も、すべてがすべて、猿真似の・・







という訳で、改めてこの困った輩たち。
この石頭のおさんおばんのアフォ揃い。

揃いも揃ってその狭い了見に凝り固まっては、
勝手に自称先生に収まってしまった独善の塊。
その何十年も前の美意識の殻の中に閉じ籠もったまま、
新しいものを見分ける、その力も能力もすっかりと失ってしまった、
そんな、生きる屍のような可哀想な人々、
とそんな風に、斬って捨てることは簡単である。

ではあるのだが、
そう、ただこの人達は、列記としたニューヨーカー。
この人種の坩堝の中で、一音楽家として、
四半世紀に渡って、揉むに揉まれてきた、歴戦の勇士たち。

そんな人々が、しかし、
ああ、ベビーメタルか、はいはい、と一笑に付してしまう、
その理由とは、いったいなんなのか。

そして改めて言ってしまえば、かのピーター・バラカン氏を始めとして、
これまで日本の、そして世界の音楽を支えてきた逸材たちの中からも、
このベビーメタルという存在を、敢えて無視を続ける、
その理由と、同根をなすものと思えてならない。

ベビーメタルに対する、このあまりの過小評価。
その謎、その原因について、改めて考えて見るに、

そう、その違いとは、まさしく、ライブに行ったか、それに尽きる、と思う訳だ。

そう言えば、正直なところ、俺は、ベビーメタルのCDはろくに聴いていない。

俺が好きなベビーメタルとは、まさに、ライブにおけるベビーメタルであって、
あの、怒涛のニューヨーク公演、その体験に基づいた上でのライブ映像、
YOUTUBEに氾濫する、海賊映像のベビーメタル、な訳なのであるが、
そのすべてが、やはり、あのニューヨーク公演での姿に帰結されるわけである。

そう、ベビーメタルが舐められている、その理由というのも、
ぶっちゃけ、あのデジ音だけのてんこ盛りとして発表された、
あの、CD音源、それに起因している訳で、
まあ確かに、そう、俺もベビーメタルの二枚のCDを所有してはいるが、
正直言って、まともに聴いたことがない。

そうか、つまりは、そういうことなのか。



という訳で、改めて、それはまさに、先祖返り、という風に、
初心、つまりは、ベビーメタルを知った、あの去年のライブ、
その直後に感じた、あの率直な感想、とやらを、もう一度蒸し返すことにもなる。

ベビーメタルの、あのCD音源、
あのすべてを、神バンド・バージョンで録り直して欲しい。

そう、嘗て何度も言ってきたが、
ベビーメタルを知るまで、俺自身、いまや世界中に氾濫する安上がりなデジタル音源、
ことにあの、デジタル・ドラムの音に対しては、これ以上もないほどに、拒絶反応を持っていた。

あの、薄っぺらなぽこぽん・サウンドが鳴る度に、
思わず、ピンクレディじゃねえんだぞ、と、
その音源のスピーカーに蹴りをぶち込みたくもなる。

そう、世界の音楽家たち、
最近の音楽業界の、ろくに楽器も操れないにわかコンポーザー、
それがアップルの巨大モニターの中で、コピペを繰り返す、
それを音楽と勘違いしたウスラバカたち、なんてのと違い、
本物のミュージシャンは、やはり、生演奏があって、初めて、なのである。

そして改めて、ベビーメタルのその魅力とは、
あのキチガイじみたデジ音源を、執拗なまでに完全再現した、
その、偏執狂的なまでの、スタジオ系演奏技術、その結集、
それを無くしては、ベビーメタルを認めることは、なかったであろう、
とも思う訳で、
確かに、すぅメタルの歌唱力には凄まじいものがあるが、
ただ、あのすぅメタルの歌唱力であっても、
実際にライブでの生声を聞かずしては、
ああ、あの、やたらと手の込んだボカロ、
あるいは、妙に気合の入った児童唱歌みたいな、
と、そんなところで簡単に切り捨てられてしまう、
その可能性も無きにしも非ず。

そう、良い意味でも悪い意味でも、
ベビーメタルの引きずる、そのアイドルという看板には、
負の固定概念がありすぎる。

これまでのアイドル、つまりは、モ~娘から、AKBからの、
一般メディアを通じでこれでもかと垂れ流されて来た、
あの、あまりにも陳腐な音楽性に対しての耐えるに耐え難い拒絶反応、
それと同時に、アイドル、つまりは、口パク、という、常識が、
あまりにも浸透しすぎているのでは無かろうか。

そしてベビーメタルが日本よりも先に、海外で受け入れられた、
と、その理由というのも、
まさにこの、日本特有の文化である、アイドルにつき纏う負の遺産、
その強引な印象操作的刷り込みへの拒絶反応、
そんな負の影響度の少ない海外においての方が、
妙な固定概念的な色眼鏡を持たずしてベビーメタルの魅力に触れられる、
という意味でもあったのではないだろうか。



という訳で、改めて繰り返せば、
ベビーメタルこそは、来るべき未来を担う、
そのあまりにも強烈な光を放つ新星である。

この時代、少なくとも曲りなりにも音楽というものに、
多少ともでもこだわりのある人々が、
しかしこのベビーメタルという存在に目を向けていないとすれば、
それはまさに、音楽というものに対する冒涜にも等しい。

ただ、馬鹿でもボンクラでもない筈の歴戦の勇者たちが、
何故にこのベビーメタルという存在に素直に目を向けることができないのか。

ベビーメタルのそのあまりのクオリティの高さを思えば思うほどに、
そのあまりの過小評価、そして、知名度の低いさに、
時として耐えきれないほどの欲求不満を募らせることにもなる。

ベビーメタル?
ああ、知ってる知ってる、あのアイドルの。

おいおい、どうしたんだよ、お前その歳になってドルオタか?

お前も、加山雄三の仲間入りって奴か?

至る所で突き当たることになる、そんな心にもない中傷を前に、
その嘗ての歴戦の勇者、その、音楽極道を自称した戦友たちに対して、
お前ら、本当に、その目が節穴になっちまったんだな、と、
虚無的なまでの失望を繰り返すことにもなる。

という訳で、改めて、ベビーメタル、
その宣伝戦略に、なにかが間違っている、
あるいは、すれ違いが生じている、と思わざるを得ない。

知る人ぞ知る、というコア的アングラ的な魅力も判らないではないのだが、
一般売りのCD音源がしょぼければしょぼい程にライブの希少価値が上がる、やら、
あるいは、日本すべてに疫病のように蔓延しては鎖国状態に密封して続ける、
あの悪名高き大手広告代理店の印象操作への偏見というのも判らないではないのだが、
それを踏まえた上でも、
ここまでのクオリティを誇るベビーメタルが、
出がらし的な有名バンドのサポーティング・アクト、
或いは、小箱の連チャンで、チケットが完売、ぐらいなところで、
留まっていなくてはいけない理由などないではないか。

ジミ・ヘンドリックスが、しかしその存命中は、それほどまでに知名度も高く無く、
強いては商業的にはまったくと言って良いほどの成功しか持ち得なかったこと、
あるいは、ハノイ・ロックスという逸材中の逸材が、メンバーの不幸の後、
そのお株のすべてを、ガンザンローゼズに奪われてしまったように、
我らがベビーメタルの存在が、うかうかしている間に、
知る人ぞ知るの伝説の中に密封されたまま、
いつの間にかすっかりとコピペされては韓流ポップの紛い物に食われてしまったり、
なんてことが起こらないとも限らないではないか。





という訳で、妙な胸騒ぎの中に晒され続けるこのバーベキュー・パーティ。

思わず、てめえら、すっかり老いぼれやがって。
ベビーメタルこそは、音楽史上の最高峰。
これ以上のバンドは、これまでにも、そして、これ以降も、現れることはない、
と断言しながらも、

だったら、そこまで言うなら、その証拠と言うやつを世界に示してみんかい、

そう言われてしまっては、ふと思い描くベビーメタルの将来像。

マジソン・スクエア・ガーデンにおける歴史的な一大イヴェントを皮切りに、
歴史的な大御所たち、そのオールスター的な面々をゲスト・ミュージシャン、
あるいは神バンドの一員として迎え入れては、
オジフェスト、あるいは、ノットフェストへの殴り込み。
MTVからVH1からのヘヴィーローテーションから、
世界規模でのキャンペーンの中での新規顧客開拓から、
全米規模のアニメショーンのオンエアから始まり、
セントラルパークにおいて、
コミック・コンとコラボした一大ジャアニメ・コスプレ・フェスの中で、
X-JAPANからVAMPSから、
MWMから和楽器バンドからONEOKROCKから、
日本パワーを総結集しての数十万人規模の一大フリーイヴェント。
マドンナからレディガから、強いては、ビヨンセからテイラー・スウィフトを凌ぐ、
押しも押されもしないスーパースターとして
世界中のスタジアムでソールドアウト・ショーを連発する、
その実力が、ベビーメタルにはある、と、そう信じているのである。

ベビーメタルが、ソニーや、トヨタや、ニンテンドーを凌ぐ、
まさに、日本の新しいアイコンとしての存在を世界に知らしめる、
その新たなるジャパン旋風の象徴として、
可愛く美しく、そして真実一路のこの超絶なスーパーバンドが、
世界のスーパースターとして君臨する、
そんな時代が、いますぐにでも、起こって然るべきもの、
ベビーメタルにはその可能性が、十分過ぎるほどにありすぎる。

そして来るべき東京オリンピックに合わせて行われる東京ドーム、
そして、日本中のスタジアムでの連日公演。
世界中からの目が、ベビーメタルのラブラブ・パワーの中に騒然とする、

へへーん、どんなもんじゃあ!

なんてことが、と、夢は膨らむシャボン玉、
そんな妄想をぶち上げれば打ち上げるほどに、
そんな俺を、おやおや、このひと、完全に持って行かれる、
と、憐れみの眼差して見つめる、この残念なニューヨーカーたち。

いまに見てろ、ベビーメタルが世界を席巻しつくす、
その姿を見るまで、俺はお前らみたいに老いぼれるわけにはいかねえんだ、
その志を改にする訳である。

という訳で、いやあ食った食った、と見上げる空に、いつしか広がる夕暮れ。
はしゃぎ過ぎた一日の終りに、すでに寝付いてしまった子どもたちを抱えては、
ああ、楽しかった、また来年、とご挨拶を繰り返しながらも、

そのベビーメタルという人たち、来年の今頃には、いったいどうなっているのかしら、

そんな意味深なお言葉を頂きながら、くそお、ここまで来たら引くに引けないベビーメタル、
来年の今頃には、マジソン・スクエアどころか、ジャイアンツ・スタジアムをソールドアウトぐらい、
して貰わなくては示しがつかねえ、そんなことを呟いては、とぼとぼと家路を辿る、
夏の夕暮れ、なのであった。






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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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