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2002年2月 アメリカの田舎ドライブ旅行 ~ 「二十四時間ハードロック天国 その二」 ~前回の続き~  

Posted by 高見鈴虫 on 22.2006 アメリカ爺時事   0 comments   0 trackback
     ~前回の続き~


それにしてもさ、
アメリカの田舎って凄いよね。
2時間も3時間も走ってさ、
目に見えるものは、
枯れた木立と空と灰色のフリーウエイだけ。
取ってつけたようなファストフードの看板が、
見えては消えて、ってそれだけ!
本当にもう、ただそれだけなんだよね。

まったくさ、
アメリカ中どこを走っても、
アトランタにいようとテキサスにいようと、
デトロイトだろうがシカゴだろうが、
まったくおんなじ。まったくだぜ、
まるっきりおんなじ風景がずぅぅぅぅぅっと、
なんだもんね。
これほどつまらないもんはないよ、
って言いきってしまうのは簡単なんだけどさ。

前を走る車のテールランプ追いながら、
そしてふと抜いたり抜かれたり、
あの野郎、なにとろとろ走っていやがるのかな、
とか、
うるせえなあ、そんなに行きたいならさっさと抜かせよ、
とかさ、
そんなささやかな舌打ちの合間、
抜くか抜かれるかするその一瞬のちらっ!
ぐらいしか、人間を見る機会もなくて、
あとはもうずっと、
木立と空とフリーウエイ、だけ!

あとはもうどっぷり一人の世界にはまりこんで、
今まであったこと、とか、これからのこと、とか、
ずっとずっとなんかぼんやりと考えてて、
そのうち、
自分なんてものさえもだんだんどうでも良くなってきて、
もう心も身体もかさかさぱさぱさに乾ききってさ、
それでいて、そんなやたらとぼんやりとした状態でいながら、
実は速度120キロとか140キロとか、
ちょっと昔から考えれば、
ほとんどジェット機並のスピードでぶっ飛ばしている訳でしょ?
これは変だよね。まったく。

なんか目に見える風景と、頭で考えてることと
現実のスピード感ってのが、
とてつもなくアンバランスでさ。
いやあ、アメリカだよね。
このちぐはぐさってさ。
この国って本当に変だよってあらためて実感するよね。

それでさ、
たまに気分転換にFM聞いたりすると、
そこらへんを牛とか馬とかが居眠りしてたりする風景なのに、
やれ、
911からのPSDにお悩みのかた、
とか、
寝不足、寝過ぎによるディプレッションにお悩みの方に、適切な処方箋を、
とか、
わたしと主人、実はちょっとおかしいんです、
とか、
アルカイダも許せないが、北朝鮮もイラクもイランもみんな許せない、
とか、
不安神経症でお悩みの方。放っておくと大変です。まずはお電話トールフリー!
とかさ、
このアンバランス。
もう完全に気が狂ってる、としか思えない。

多分、目の前の世界があんまり単調で、
んで、暇で安いビール飲みながらテレビばっかり見てるから、
目の前の現実と自分自身とTVの中が
完全に訳が判らなくなっていて、
だから自分のしてることも、考えていることも、言ってることも、
目に映っているものさえ、
実はなにがなんだかさっぱり訳判らなくなってるんじゃないのかな、

だってさ、
みんなこんな平原のまんなかに、ぼんやり浮かぶようにして暮らしていながら、
世の中のことなんて、全然関係無いはずなのに、
でも一日中つけているテレビでは、
もっと欲深くなりましょう、もっと物を買いましょう、
あなたは損をしています、もっと幸せになれるはずです、
もっときれいに、もっとすばらしく、もっともっと刺激的に、
騙されてはいけません、もっとリッチを気取りましょう、あなたにはその権利があって、
ってそればっかりでしょ?
いったいこんな平原の真ん中みたいなところにいて、
このうえ何を欲しがる必要があるんだろう、
或いは、
いったいこんなところに住んでいる人間に、
自我なんてものが必要なのかよ、
とか思ってきちゃってさ。
こりゃだめだ。
こんな国にいて人間が好きになれるはずが無い!
って確信しちゃうよね。

んでさ、
アメリカのフリーウエイを当て所も無くただぶっ飛ばして、
凄く疲れていて、肩も背中もガジガジなにのさ、
かと言ってどこ行く訳でもないし、
車止めてもやることなんてないし、
んでさ、
もう昼も夜もただただ走りつづけながらさ、
ああ、こんな奴らが多分ジョージブッシュに
旗振ったりしてるんだろうな、
って本当に実感しちゃった訳でさ。

よく判ってないんだよ。
多分どうでもいいんだよ。
なんにも判ってなくて、どこでなにが起ころうが、
絶対自分には関係がない、
という確信があるから、もう何でもありなんだよ。
それでいてさ、死ぬほど退屈していてさ。
目に移るこの恐ろしく殺風景で殺伐とした光景でしょ?
んで、テレビではニューヨークとハリウッドの
極端にデフォルメされたやたらと派手派手しい情報ばかり。
この焦燥感とこの疎外感ってさ、半端じゃないと思うよね。
それでいてさ、そこを離れないってさ。
もうね、なんでもいいんだよ。世界がどうなろうとさ。
ジョージブッシュは、
アメリカの地方の人々の、
そういう沈みきった狂気をよく知ってたんだよね。
自分がそうだったからさ。

んでね、WTCは、
そういうアメリカの地方の無邪気な暇人たちから、
テキサスのきちがいどもが、
いかにして金を騙し取るかっていう大ペテンの
ていのいいダシにされた、って訳だよね。

でもね、不思議なことにさ、
カナダに入ったとたんにすっと楽になったんだよね。
なんかまったく似たような風景で、
マイル表示がキロに変わって、
マクドナルドが、ティム・ハットンに変わっただけなのにさ。
なんかすっと気分が和らいで、
あれ、さっきまでなんであんなに憂鬱だったのかな、
ってなんだか、はっと目が覚めました、
って感じだった。

でもね、やっぱりそんな平和なカナダのド田舎の、
あの絵に描いたような平和な風景の中の純朴な人々に
やたらと親切にされたりしていてもさ、
滞在が1日2日と経つうちに
とたんに息苦しくなってきて、
ああ、アメリカの殺伐がなつかしいな、
なんて思えてきてさ。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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