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アビューズド・ドッグとスポイルド・ドッグ

Posted by 高見鈴虫 on 24.2019 犬の事情   0 comments

なんかまた、裏の小庭が騒がしいな。
朝から、ワンワン、キャンキャン、と、
ガキども、いったいなんの騒ぎだよ、と。

まあどうせ、バカな犬たちのこと、
小競り合いの理由などたかが知れている。

そう、俺たちにだって覚えがあるだろう。
やれ、ガンくれたの、メンチ切ったの、と、
ともすれば、誰かがどこかで呟いた戯言、
言った言わないが拗れに拗れて、と、
まあそう、バカな糞ガキの小競り合いなど、
いつの時代でもどこにいっても、似たようなもの。
人間でも犬ころでも代わり映えしない。











という訳で、この裏の小庭のワンワン、キャンキャン。
いったいどんな理由だか知らねえが、
アビューズド・ドッグと、スポイルド・ドッグの、
そのへっぴり腰の吠え合いの様、
弱い犬ほどよく吠えるとは良く言ったもので、
啖呵ばかりがやかましいだけ。

ともすれば、眉を顰め、顔をしかめ、
耳を塞いで通り過ぎる通行人たちの前でだけ、
これ見よがしに金切り声を張り上げては、
ワンワン、キャンキャン、ギャンギャンと、
カタギのトーシロを相手に、
安い啖呵を繰り返すばかり、と。








そんなバカ犬どもの遠吠え合戦。
ただ、互いにおいそれと手が出せねえのは、
つまりは、マッポの目が怖くて、
ともすれば、ケツモチのメンツやらなんやらを、
気にしているのか、と言えばそれは逆。

そう、こんな見え透いた遠吠え合戦、
その背後に控えたケツモチから、

あの野郎、ちょっと色気付いては、
下手な絵を描く前に、
ちょっとここらで一発カチコンんで、
ビビくらかしてやろうかの、
と、そんなパシリの鉄砲玉、
そのぐらいでしかねえんだろ、と。









で、そんなバカ犬の遠吠えを囲んだ、
ニヤニヤと笑いのケツモチたち。
つまりは、クマが、ゴリラが、
あるいは、知恵足らずのイノシシが、
あわよくばけしかけた犬どもが噛み合っているその隙きに、
そのカスリのネコババでも企んでるだけの話しだろ、と。

つくづくこんなバカ犬たち、
いつからここまで腰抜けの糞犬になりさがっちまったのか。
だがしかし、実はそんなバカ犬同士の吠え合いなど、
世間の人々にとっては、
ただの、弱犬二匹の小競り合い。
犬食いの病犬と、イルカ食らいの痩犬が、
キャンキャン、ワンワン、吠え合う姿など、
誰がまとにも相手にすることか、と。

今更ながら、見てらんねえなあ、と。
情けねえにも程があるぜ、と。






喧嘩ってのはよ、
静かにやるんだよ、静かに。
誰にも知られねえうちに、
こっそり背後から忍び寄って、
声も立てられねえうちに裏通りに引きずり込んでは、
有無を言わさずぼこんぼこん。
ポリバケツに頭から叩き込んで蓋して一丁あがり。
あとは、素知らぬ顔してずらかって、、
ごめん、待たせたちゃったね、で、何食べる?
とやさしく女の肩を抱いては、
走る抜けるパーカーのサイレンを背中に、
夜の人波に消えていく、
そういう輩を、
本当の喧嘩屋って言うんだよ、と。






或いは、そう、相手の目をガン見した、
その眼圧一発で黙らせては、
お兄さん、悪かったな、と、
タバコの一本でもつけてやる、
それぐらいじゃなくっちゃ、
男がすたるってもんだろうが、と。

素人相手に下手なお店を広げては、
ワンワン、キャンキャン、ギャンギャンと、
これでもか、と啖呵の裏声張り上げての三文芝居。

悪い、見たくねえ。
そういうクズども、真面目に、見たくねえ。
笑えねえ、面白くもなんともねえ。
不愉快なだけだ。ヘドが出そうだ。







そんな三文役者がどれだけ気張ろうが
所詮はパシリの鉄砲玉よろしく、
物語りのしょっぱなで、
バタリと倒れて、はいカット!
そんな端役の端役が関の山。

で、登場した主役がこれでもかと大見栄を切っては、
騒ぐ犬どもの頭からザブンと水をかけて、
この喧嘩、俺が預かった、、
そのための火付け役の引き立て役、
なんて情っけない捨て役を、
自ら率先して引き受けるなんて、
身内とは言え、身内だからこそ、
なんともかんとも、まじで、寒くなる一方だぜ、と。


おまえらも、おまえらだぜ、
くだらねえ糞芝居にいちいちトサカ立てやがってさ。

そんな出来レースにつきあわされたくなければ、
タイかジャメイカにでもばっくれて、
草でもつけて、寝てようぜ、
ぐらいがちょうどいいだろ、と。

見てらんねぇよ、バーカ、勝手に死んでろ、と。










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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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