Loading…

サナトリウム・ディスコ この究極のオキシトシン・ミュージック ~ いきなりですがPERFUMEを観た

Posted by 高見鈴虫 on 31.2019 音楽ねた   0 comments
いきなりですが PERFUME を観た。

ショーケンの喪も明けぬうちから、
いきなりどうしてPERFUMEなわけかいね・・

だがそう、それこそがこの現代、21世紀的な現実。
あるいは、ここニューヨークの魔術、
強いて言えば、俺はそういうひと、
つまりは、筋金入りの倒錯乙、なのである。

という訳で、PERFUME を観た。
端的に言って、
この自他共に認めるロックンロール馬鹿一代の俺様にとって、
この青天の霹靂のように迷い込んだPERFUMEのステージ、
正直なところ、さつぱり 訳が、判らなかった。

イツタイ コレワ ナンナンダ!?

ただ、この訳の判らなさ、
その困惑、その唖然呆然こそが、
つまりはそこに、なにかがあるぞ、
それを直感させるに十分な、
まさに衝撃的なまでの、訳の判らなさ、であった。

改めて言うまでもなく、
俺はこの PERFUME という人たちを、
なにも、知らなかった。

十年以上に渡って日本の音楽界、
そのヒットパレードのすべてを席巻し、
テレビをつければPERFUMEが、
そのCMが超絶ヘビーローテーションを繰り返されていた、
そんな日本の現状を、
このいま浦島のニューヨーク流民は、
まつたく、これっぽっちも、なにひとつとして知らなかった、訳なのである。

ともすれば、その大前提の中の大前提であるところの、
この PERFUMEという人たちの奏でる音楽が
いったいどんなジャンルに属するものなのか、
それさえにしても、なにひとつとして、なにも知らなかつた。

そんな俺が、唯一PERFUMEについて知っていたこと、といえば、
言わずと知れた、ベビーメタル、である。

PERFUMEこそが、
ベビーメタルの中元すず香の憧れの人。
あの中元すず香がずっと目標にしてきた人たちであるのだそうだ。

そんな中元すず香の有名な逸話。

憧れのPERFUMEを初めて楽屋に訪ねたときには、
思わず、さすがに、手が震えた、と言う。

あの、中元すず香の、手が、震えた?
まさか・・・

改めてベビーメタル、その看板であり象徴であるところの、
奇跡の歌姫:中元すず香。
その伝説的なまでのくそ度胸。

若干16歳にしての日本武道館でのワンマン・コンサート、
その天下分け目の大勝負において、
唇が戦慄き膝が震える、どころか、睫毛の一つも揺らすことなく、
威風堂々、まさに日本芸能史上、どころか、
世界中を震撼させる伝説的な超絶ライブをやってのけた、
この世界最強・最凶の歌姫。

その後の世界中のマンモス・ロック・フェスティバル、
地平線までを埋め尽くした幾万の蛮族たちを相手に、
薄ら笑いを浮かべては、かかってこいやあ、と仁王立ち。
或いは東京ドーム、11万人の怒涛の大観衆を前に、
すってんころりんと尻もちをついては、きゃははははは、と大笑い。
日本エンタメのその最高峰を打ち抜きの二日間、
史上記録のすべてをいとも簡単に塗り替えた
あの金字塔的な偉業を成し遂げながら、
ここがゴールではない、と決然と言い放った、
あの超人的くそ度胸のポニーテールの大親分。

そんな中元すず香が、緊張のあまり手が震えた!?

そう言わしめた、このPERFUMEという人たち。
いつたい、どれほどまでに、恐ろしい人たちであるのか・・

旦那、ベビーメタルを知る上で、
この PERFUME の存在を避けて通ることはできないぜ。

PERFUMEこそがベビーメタルの原点であり、目標であり、
そしてこの PERFUMEにこそ、
ベビーメタルの謎を解く、その重大な鍵が隠されている・・

これまで、そんな鉄人的ベビーメタル・メイトの先輩方から、
度々に渡って伝えられて来たこのPERFUMEという方々。

そうか、あのベビーメタルのご先祖さま、
我が唯一絶対の女神であるところの中元すず香嬢、
その生涯のアイドルであるとこのこのPERFUME。

であれば、この機会にお近づきのご挨拶、
ともすれば、兄弟仁義の盃、とまではいかなくても、
このニューヨーク公演、
末席を汚させて頂いてもバチは当たるまい。

そう、俺はこのPERFUMEという人たちを、
ベビーメタルのその関連の、
如いていてば、その同一線上、
そういう先入観を以て捉えていたのである。

ってことはつまりは、
あのユーヤさんの、ショーケンのアイドルが、ストーンズであったように、
セックス・ピストルズが、イギー・ポップのコピーから始まったように、
このPERFUME、
ベビーメタルのあの地獄の洗濯機、
怒涛のモッシュピットを上回る阿鼻叫喚をも上回る、
そんなとんでもねえ、超ど級のどメタル女王様である、と、
そういう訳かいね・・

そう、なんとしたことか、
俺はこの PERFUMEを、
ベビーメタルの原型的大先輩、
つまりは、スラッシュ・メタルのゴッドマザーたち、
と、定義していた、のであつた・・

という訳で、PERFUME であった。

流石に白塗りのコープス・ペイント、
ダブルの革ジャンに鎖ジャラジャラ、
というスタイルではなかったものの、
何かの時のためのメタル入りのアーミーブーツと、
そして我が守護神たるブルータル・ビッグフォックス
そのシンボル的Tシャツだけは忘れずに、

そして意気揚々、どころか、
あのベビーメタルの地獄のムッシュピット、
それを上回る狂乱の狂乱、怒涛の怒涛、
それを覚悟しての必死の決意を固めては、
いざ、決戦の時、と乗り込んだ鮨詰めのグランドフロア、
ステージ眼の前のその真下、ではあつたのだが・・・








という訳で、PERFUME を観た。

ベビーメタルの沿線上、
壮絶なモッシュピットの大肉弾戦を予想していた
そんな腐れパンカー崩れの俺にとって、
この PERFUMEのステージ、
最初から最後まで、
唖然に次ぐ唖然、呆然に次ぐ呆然。

コレワ イツタイ ナンナノカ・・・

その謎ばかりが頭の中をぐるぐると回り回るばかり・・

端的に言って、そのサウンド、
あまりにも人畜無害、
その唖然呆然なまでに当たり障りのない、
強いて言えば、究極なまでに洗練されつくされた、
良質な、良質過ぎるまでの、
ハウス・ミュージック、なのである。

ただ、ハウス・ミュージックと言えば、
俺にだって少しは身に覚えがある。

嘗て90年代のニューヨーク、
ハウスミュージックの全盛期において、
フランキー・ナックルズからジュニア・ヴァスケスから、
デヴィッド・モラリスからトニー・ハンフリーズから、
そんな伝説的ハウスの魔神たちのパフォーマンスを、
夜な夜な日常的に常観していた、
そんな筋金入りのニューヨーカーを自認する俺にとって、
この PERFUME の奏でるサウンド。

コレワ イツタイ ナンナノカ・・・

このあまりにも滑らかなビート。
ハウスの常套たる、裏の音が、まつたく、入っていない・・
つまりは、あの東京のビート、
軽く、前のめりに、流れるような、
あまりにもひっかかりの無さ過ぎる、
無機質なビート、つまりは、東京のビート。

そしてそのボーカル、
すべてがすべて、これ、ボカロ?・・
あるいは、口パク?

普段からして、中元すず香のあの絶唱に慣れ親しんでは、
あろうことか、ここ数日に至っては、
前日急逝されたかの萩原健一氏を悼んでは、
→ 愚か者の涙 〜 萩原健一 日本で一番カッコ良かった男に捧ぐ
DONJUNA ROCKNROLL BANDから、
ともすれば、ローリング・ストーンズ、
なんてものさえを聴き続けていた、
そんな耳の中にあって

PERFUMEの奏でるこの夢のように心地よい旋律、
このあまりに電気的な、ロリータ・ヴォイス・・

コレワ イツタイ ナンナノカ・・・

そしてダンスであった。
確かにこのダンス。
ポージングを多様しては、
まるでファッションショーのキャットウォークを、
三つ同時進行で行っているように、
そのシンクロしたダンスが次から次へと目まぐるしく移り変わっては、
その決めポーズ、フラッシュにフラッシュを繰り返す。
そう、そこは、そこだけは、
なんとなくもベビーメタルのキレキレダンスを彷彿とさせるものがある。

ただ、そう、ただ、なのである。
改めて言わせて貰えば、俺は、ロックの人、なのである。
血湧き肉躍る怒涛のモッシュピット、
全身汗だく、どころか、血まみれ涎まみれの肉弾戦。
熱狂が怒涛に、怒号が悲鳴に変わる、
そんなステージを常套としていた俺にとって、
その眼前に展開される PERFUMEのステージ、

コレワ イツタイ ナンナノカ・・・

改めて告白させて頂ければ、
この寝耳に水のPERFUME、
その予備知識がまったくないいま浦島君にとっては
まったくもって、なにひとつとして、なにも訳が判らなかった。

見渡す限り鮨詰めの場内。
一階のダンスフロアはミキサーテーブルどころか、
その後ろのバーからそして出口ぎりぎりまで、
みっしりと埋め尽くした大群衆。
そして見上げる一階席二階席、
その手すりからいまにも人が転げ落ちそうなまでに、
まさに、鮨詰め、超満員の場内。

ただ、そこで展開されているステージ。

その意味するものが、俺にはまったく、さっぱり、理解できない、のである。

コレワ イツタイ ナンナノカ・・・

その唖然呆然に身も心もぐるんぐるんになりながら、
ともすれば、大波に洗われるような群衆に揉みくちゃにされては、
そのあまりにも幸せそうな人々・・

ただ、そんな中にひとりぽつねんと置き去りにされては、

ココワ・オレノ・イル・トコロデワ・ナイ・・・

そんなことさえ、思っていた、のである。

そんな狂乱の場内を見渡しながら、
くそったれ、なんだんだこれは、と思わず。

いったいなにが楽しくて、いったいなにが欲しくて、
いったい、この PERFUME、
この、あまりにも当たり障りのない凡庸なテクノポップ、
そのなにが、これほどまでに人々を熱狂させるのか。

つまりはこいつら、ベビーメタルを知らないのだろう。
つまりはこいつら、ジュニア・ヴァスケスもフランキー・ナックルズも知らないのだろう。
つまりはこいつら、徹底的な音楽音痴。
オタクの、ジャークの、ひきこもりの、そんな糞野郎ども。

そして、見上げるステージ、
その眼前で歌い踊るこの三人の魔女たち。
その見た目だけに目を凝らせば、
大した美人、という訳では決して無さげである。

確かに、あの、ボブヘアーの姉ちゃん、
あの身のこなし。
あのクネクネと流れ滑り揺れてはのたうつような、
それは蛇というよりは植物。
朝顔の蔓が伸びて絡まっての増殖の過程を、
超高速の映像で追うような、
あのなんとも妙にぞっとするほどに艶っぽい動き。

ただ、だからと言って、
普段からして、あのラテン美女やらバブルバットのラップの姉ちゃん、
あんな全身これ性欲の塊りのような野獣女たちに囲まれるニューヨーカー、
今更こんな小枝のような、朝顔の蔓のような東洋人の摩訶不思議なダンスに、
それほどまでに魅了されつくされるとは、どうにも思い難い。

果たして、と思う。
果たして、これは、いったい、なんなのか。

なんだよこいつら、
この気味の悪いオタクども。
ただのゲーマー・ジャークのオフコンみたいなものじゃねえか。

そのあまりにも刺激に足りないステージ。
そのあまりにもとらえどころのない歌声、
そのあまりにも、とっかかりのない、無さ過ぎる、サウンド。
その歌メロのひとつにしたって、なにかひとつ、物足りない。
その歌声のひとつにしたって、すべてがすべて、ボカロ、じゃねえか。

演奏の技術に目を瞠る訳でもなく、
アレンジの秀逸さに度肝を抜かれる訳でもなく、
そしてその歌さえも、ボカロ・・
大してパッともしないねえちゃんたちが、
摩訶不思議なダンスを続けるこのステージ、
いったい、なにに目を向ければ良いのか。

ただ、とは思っていた。
いや、そんな訳の判らないステージを前にしながら、
そんな俺の、倒錯力、
つまりは、なにか妙なものを目にした際、
その謎を解き明かさずにはいられない、
この不屈の好奇心、というよりは、ゲテモノ趣味。

そして、この PERFUMEがステージ登場して以来、
ずっとずっと鳴り続けているこの警笛。

オレハ イマ トンデモ ナイ モノオ メニシテイル・・

そう、俺のこの病的なまでの倒錯力、
つまりは、キワモノをキワモノとして受け入れる、
その、ゲテモノ的本能が、
この一見してなんのとらえどころもないステージ、
その中に込められたある種の謎、
その、ゲテモノ的、究極的ななにか、
その危険な匂いを感じ取っていたのである。

これには、絶対に、なにかがある。
その謎がいったいなんなのか。
そしてそれは、とてつもなく重大な秘密であるに違いない。

そして改めて、眼前に繰り広げられるPERFUMEであった。

もしかして、とは思っていた。

もしかして、このひとたちは、それを、わざとやっているんじゃないのか?

つまりはわざと、そのとっかかりを、刺激を、トゲを抜き去ってしまった。

ハウス・ミュージックから裏音のアクセントを、わざと、取り除き、
生声のボーカルに、わざと、ボカロを被せ、
そしてなにより、あの、あまりにもパッとしない三人。
あの、妙なほどに無機質な存在感。
あれにしても、もしかして、わざと、
その実存を曖昧にしては、あの妙なダンス、
人間というよりは、ロボットに近い、
ロボットでありながらあまりにも有機的な、
あの、植物どうしが絡みあうような動き、

そのすべてがすべて、計算されつくした思惑の賜物・・?

わざと?

その作為の意図のパズルに気がついた時、

そうか、そういうことなのか・・

ここに来て、ようやく、その謎に手がかかりそうになったその時、

灯りの落ちた暗闇の中から、PERFUMEの三人が、並んで進みでた。

サンキュー、サンキュー・フォー・カミング、トゥナイト!

MC!

おお、MCじゃねえか。

MCが始まった途端、それまでステージを埋め尽くしていたあの電気的なベール、
そのすべてが、ぺろり、とめくられては、
まさに、あっけらかんとしてあっけらかん過ぎる、生身の人間。
まるで、夕暮れの商店街で、安売りのキャベツを品定めしては、
ねえ、これ、ここちょっと腐っとるで、もうちょっと、まかりまへんか?
いまにもそんなことを言い出しそうな、
その、あまりにも生々しい、有機的生物としての生身の人間の姿・・

そのたどたどしい英語に照れまくりながら、
その一言一言に、満場の観客達がどっと笑っては、
狂ったように歓声を響かせている。

昨日食べたピザの話から、上の歯、下の歯、前歯に奥歯、
その徹底的に訳の判らないCALL&RESPONSEから、
それはまさに魔術のような人心操作術。
この五千人に近い鮨詰めの観客を、完全に掌握仕切っている。

そして、シークレット・シークレット、
そして、TOKYO GIRL、
そして、必殺のPICK ME UP

フロアを埋め尽くした群衆が狂ったように波打つ。
そして紺碧のレーザーが世界を包み込み、
そして目潰しのフラッシュが次々と瞬き、
世界が、近未来の桃源郷の中に包み込まれていく。

すげええ、と思わず呟いた。
すっげえ、PERFUME すっげええ・・・

それは圧巻のステージであった。
それはまさに、統合力の威力、
完璧なまでに完璧のステージ。

そして、FAKE IT
そして、FLASH
そして、POLYRHYTHM・・・

完璧だ、完璧にして完全に完璧だ・・
これが、これが、PERFUMEか・・

そして、ふと、思わず、呟いていた。

負けたな・・

もしかして、完全に、負けたんじゃねえのか?。。。。









いや、正直な話、
この PERFUMEのステージを前にして、
実は俺、ずっとずっと、ベビーメタルのことばかりを考えていたんだよね。

ベビーメタルとPERFUME、
そのなにが違うのか、そしてなにが、共通しているのか。

改めて、スラッシュ・メタルとテクノポップ、
その、看板とした音楽ジャンル、そのあまりのギャップである。

ベビーメタルの怒涛のモッシュピットに対して、
この PERFUMEにおいては、ダンス・ホールであった。

ロックというジャンルが、ともすれば、狂乱、やら、怒涛やらという、
一種、トゲに満ちた刺激ばかりを増幅していくのに対し、
この、PERFUME というグループ。

ロックに象徴された、その毒のすべてを拭い去り洗いつくしては、
そのあまりに当たり障りのない、そのあまりにもスムーズな、
そのあまりに取っ掛かりのない、刺激に欠けたサウンドを以て、
しかしそこに、ある種絶対的な世界観を構築する、
それはまさに、まったく新しい価値観、まったく新しい切り口。

つまりは、ロックの逆を突いた、ということだったんだな。

そして改めて、PERFUMEの後輩格であったベビーメタル、

つまりベビーメタルは、ロックの逆を突いたPERFUMEの、
そのまた逆を突いては、
PERFUMEの方法論を以て、ロックに先祖返りを果たした、
つまりは、ロックの未来形を目指した、ということだったのだろう。

とそんな時、嘗て、あのオタク大魔王の吐いた戯言、
ベビーメタルはバカだなあ、その天地を揺るがす大暴言、
その言葉が、まるで喉元に刃を突きつけられるように、
思い返されたのである。

つい先日の糞駄文にもご登場頂いたこのオタク大魔王
→ ベビーメタルの投資価値 ~ 人類は歴史の最後になにを残すのか

いまとなっては徹底的なアンチ・ベビーメタルを自認するこの輩が、
嘗てのベビーメタルのデビュー当時は、熱狂的なまでの支持者であったという。

ただそんなオタク大魔王が、ある時期を境にベビーメタルを見限った、と言った。

中元すず香?神バンド?
その歌唱力?演奏力?
バカバカしい。
いったい、いつの、時代の、話をしているんだ、と。
こいつら、徹底的に間違えちまったな。
つまりは、はなから、なにも、判っていなかった、ということなんだろうな。

判っていなかった?

そう、初音ミクの、そして、PERFUMEの、意味したもの。

まさか、と返す俺。
つまりあんたの言うのは、
テクノなら良い、デジタルなら良い、
すべてがすべて、電気的になれば、それだけ優れている、と、
つまりはテクノ至上主義、ただそれだけのことなんじゃないのか?

バカだなオマエも、とこれ見よがしに鼻で笑うオタク大魔王。
オマエってやつは、徹底的に、なにも判ってないんだな。

でもさ、ボカロだフォノグラムだ、なんてものの、
いったいどこに、魅力を見い出せば良いのか、と。

あのな、いまだに、ドラムの演奏技術、なんてところに拘っている、
そんなアナログなオマエになにを言っても判らないだろうが、
ただ、ひとつ、言える。
人間ってのは、生身、なんだよ。
生身ってのは、つまりは、永遠はあり得ない。
つまりは、生身には、必ず、限界が待ち受けている、ってことなんだよ。

見てろ、ベビーメタル。
こんなことをやっていたら、あと三年も待たずに空中分解。
精神的にも肉体的にも燃え尽きて、
そしてアイデアそのものが枯渇しては、
なにもかもが、無残な砂上の楼閣と化す、
そうに決まっているからさ。

あの言葉を聞いた時、
俺はそれを、一種の僻み、だと思っていたのだ。

いまや怒涛の勢いで世界のロック・フェスティバルを席巻するベビーメタル。
なによりいまだ10代の元気ハツラツの姫君たちである。
その可能性たるや無限大。
いつしか、ストーンズもビートルズも凌駕する、
ロック史上の頂点に上り詰めるに違いない。

テクノだ?デジタルだ?テックノロジーだ?
笑わせる。

音楽ってのはそういうものじゃない。
あるいは、人間ってのは、そういうものではない。
そうあっては、ならないのだ。

それが、俺の下した結論であった、
その筈ではあったのだが・・

→ BABYMETAL 中元すず香 と 初音ミク ~ 仮想現実における愛の不毛とは 

だがしかし、と、改めてこの PERFUME であった。

現実問題としてこの PERFUME、
デビュー10年を過ぎてもいまだに不動の人気を誇りながら、
そして再び堂々の世界ツアー。

それに対して、我らがベビーメタル、
数年後にはマディソン・スクエアどころか、
ジャイアント・スタジアムで連日打ち抜き公演、
そんな姿を確信していたその筈が・・

いったい、なにが、どうしてしまったのか、

そして改めて、この PERFUMEのステージ、
一糸乱れぬ奇跡のようなシンクロで、
まるで魔法のようなダンスを繰り広げるこの三人の魔女たち。

そしてふと思う。
もしもこの中から、一人でも欠けてしまったとしたら・・・

そう、それこそが、いま、実際にベビーメタルに起こっていること。

そして改めて思う。

もしも、あの三人の中で、最も見栄えの良い、
あのボブヘアーの姉ちゃんを、真ん中に添えては、1+2 
ひとりの主役であるシンガー と そして二人のサポート・ダンサー、
その陣営を取ったとしたら、果たして、このステージは可能であったのだろうか?・・







言うまでもなく、このPERFUMEのステージ、
その変幻自在の融和性のその賜物とは、
まさにこの三人の立ち位置、
その中心となるコアが、随時入れ替わっては、
その三人の中に比重の差がなく均等に配分されては、
その三人の均等性にこそ、この魔術性を帯びた統合力が生まれる。

その妙技がいかにして可能になったか、といえば。

つまりは、中心に主役たるシンガーを置かなかったこと。
つまりは、ボーカルという肉声を、
その個性を、その実存を、敢えて拭い去ったこと。

それを可能にしたのが、つまりはこの、ボカロ、だろ。

そうか、それも、わざと、だったんだな。

さっきから、この実存、という言葉がひっきりなしに頭に浮かぶ。

そう、ベビーメタルとPERFUME、
その決定的な違いは、その実存性にある。

オタク大魔王の言う、その分岐点となった神バンドの投入。

つまりはあのLEGEND 1999 & 1997 APOCALYPSEに刻まれた、
骨バンド、つまりは当て振りを としたレビュー形式のステージ構成。
→ 「BABYMETALの伝説 : LEGEND 1999 & 1997 APOCALYPSE その一 ~ 懺悔」

オタク大魔王言わせるところの、あれでベビーメタルは打ち止めだった、
そう言わしめたあの運命の別れ道。

それまでのアテフリ、そして、口パクさえもを多用したマニュピレート、
そのいかにもアイドル然としたステージ構成の中に、
突如として降臨したこの神バンドという存在。

この怒涛のプロフェッショナル楽器職人の集団を迎えることにより、
そのアナログな荒削りなサウンドの中にあって、
なにより、すぅめたるの存在感、その歌唱力が、そのカリスマ性が、
一挙に開花することになった、まさに神の降臨した運命の瞬間、
あの、LEGEND 1999 & 1997 APOCALYPSEこそは、
その奇跡の瞬間を克明に記録した、まさに歴史的な金字塔。

俺的なベビーメタルは、まさにこの瞬間を以て始まった、
とその筈が、
この、オタク大魔王に言わせるところ、その神の降臨を以て、
ベビーメタルは終わった、
あるいは、この瞬間から、必然的な崩壊の宿命、
それを担わされることになった、まさに、運命の分岐点。

神バンド投入と、そして、すぅめたるというカリスマ、
その実存を神輿の上に乗せてしまった時点で、
ベビーメタルは終局に向けての時限爆弾、
そのタイマーを、スタートさせてしまったのだ、と。

これからは、消耗戦しかありえないからな、
と、オタク大魔王が言った。

ほら、ベビーメタルのMCでいつも繰り返されていただろ?
運命のときは近い、やら、終局の扉が、とか。

つまりは、そういうこと。

早々に燃え尽きることを前提として、
突っ走るだけ突っ走った、と。

それってまるで、マラソン大会のスタートと同時に全力疾走しては、
校庭を出て一般道に着いた途端に、
ああ、やめたやめた、と木陰に入ってタバコを一服する不良グループ、
つまりはそんなものだったのかよ、と。

でもさ、でも、これ、ボカロだろ?打ち込みだろ?口パクだろ?
そんなものを、いったい、誰が、ありがたがるっていうんだよ。
と、なおも繰り返す俺に、
オタク大魔王が自信満々に言い放ったその言葉。

だから、三年後を見てみろよ。
いったいベビーメタルがどうなっているのか。。。

そしてPERFUMEであった。
このあまりにの統合力。
そのあまりにも完璧なステージ構成。

なんの取っ掛かりもなく、
なんの実存も象徴性もないままに、
ましてや、シンガーという主役さえも存在しない、
その深山幽谷的なまでの未来世界の桃源郷。
その圧倒的なまでの世界観。

もしかして、と思っていた。
もしかして、ベビーメタルは、PERFUMEに負けた、
あるいは、はなから、太刀打ちなどできなかったのではないのか?

いや、まさか、と思う。
それはただ単に好き好きの問題。
あるいは、テクノとメタル、
あるいは、ポップとロック、
あるいは、ダンスとモッシュ、
その違いだけではないのか。

あるいは、とも思っていた。
あるいは、その違いにこそ、
なにか根源的なテーマが、隠されているのではないのか?






そして 改めての PERFUME であった。

そのステージを前にしては、
ただただ、唖然呆然を繰り返すばかりであったそのサウンドがメロディが、
あれ以来、耳については離れず、拭い去ることもできず。

そして帰り着いた深夜のアパート。

YOUTUBEに導き出されたその膨大なまでのヒット曲。

そのめくるめくような未来世界の桃源郷。

ポリリズムが、チョコレート・ディスコが、
マカロニが、フェイクイットが、スプリング・オブ・ライフが、

耳について離れず、あまりにも離れがたく・・

この PERFUME、まさに、麻薬だな・・・

そして一夜明けたいまになっても、
このPERFUMEが、永遠と、永続的なリフレインを繰り返している。

改めて思う。

PERFUME、これはいったい、なんなんだ・・・

ただ、これだけは言える。

コレワ スゴイ

それだけは、確かなようだ。










という訳で、ここからは閲覧注意でござる。

改めて言うように、俺は、この PERFUMEというひとたちを、
昨夜のあのステージまで、まったく、これっぽっちも、
たった一曲も、どころか、その顔立ちからイメージから音楽ジャンルさえも、
まるっきり、なにも知らなかったのである。

そんなドシロートもド素人の、ただの印象羅列である。

ただ単に、いまさらながらに遭遇したこのPERFUMEという新たなる世界。
その十年前の未来的旋律に改めて驚愕を繰り返しながら、
そのファースト・インプレッションの断片をかき集めるだけのただ雑記メモである。

こんな糞ブログ、どうせ誰も読んでいないただの糞ツボ。
たった数年前までは、年間アクセス数3件、とかであった、
ただの、個人の個人による愚痴の痰壺である。

それを前提として、独断と偏見による俺の俺的な印象によるPERFUME解析である。

ただ、もしかしたら、数年後、あるいは、数十年後、
それがなにかの転機、あるいは、分岐点になったと、
それに気づくことが、あるかもしれない・・













とうわけで、あれ以来、永遠と聴き続けているPERFUMEである。

あれ以来、少なくとも12時間近く、ぶっ続けで聴き続けていながら、
それが聴き飽きない、苦にならない、どころか、
聞けば聞くほどに、中毒性を募らせていく、
そんな麻薬的、サブリミナル的なサウンドである。

つまりは、あのステージ当初に感じた第一印象、

なんの取っ掛かりもなく、なんのトゲもなく、なんの印象さえも残さない、
このあまりにも滑らかな、あまりにも軽快な、そしてあまりにも心地良い、
まるで、ぬるま湯というよりは、まさに、羊水の中に浸りきったような、
このあまりにも自然な、自然過ぎる、近未来サウンド。

この親和性、この融和性、この飽和性・・

その裏音のまるでない、跳ねたシャッフル感も、スネアのタメも存在しない、
パンチも、キックも、ともすれば、強烈に耳に残るリフさえも存在しない、
まさにデジタル、そのあまりにも無機的な音。

そして改めてこのボカロである。
個性を、実存を、肉、あるいは、血、あるいは呼吸そのものを拭い去った、
そのあまりにも無機的なロリータ:幼児的な声質。
そしてそんな無機的サウンドを包み込んだこの圧倒的なまでのセンチメンタリズム。

それはつまりは、東京の音、である。

甘く切なく、軽く滑らかで、
極限なまでに研ぎ澄ました洗練と清潔感、
その無機的なデジタル感。

そして再び、実存、という言葉が頭に浮かぶ。

これぞまさに、反実存的なサウンド。

人々の息吹、その心臓の鼓動から血潮の流動から、
感情の起伏から、その呼吸音のひとつひとつにいたるまで、
その生命体としての息吹を徹底的に払拭しながら、
そこにある、有機的としての美生、
そのあまりにも滑らかで、すべすべと艶やかに、そしてしっとりと潤った、
それはまさにあの日本女性の美、その若々しき肌のぬくもり、そのもの。

そして改めて思い浮かべるステージでのパフォーマンス。
あの小枝のように痩せた三人の東洋人。
だがしかし、あの蔦が絡みつくように波打ち揺れ続ける細く長い手足、
まるで繊毛運動を思わせるようなあの妙に艶めかしい腰の動き、
そこに見る、控えめな、しかし、確信的なまでのエロティシズム。

日本美、まさに、日本女性の美学、その集約形ではないか。

そして再び、あのオタク大魔王の呟きが蘇る。

すべての無機体は、その最終形態として、自らを有機化しようと進化を続け、
そしてすべての有機体は、その宿命として自ら率先して無機体を偽装しよう試みる、
未来はその果なき無いものねだり・・・

それは、あの、インダストリアルデザイン界の鬼才:山中俊治氏の金言、
「人と融け合うデザイン 〜 マシンと有機体のエレガントな共鳴」 
まさに、確信的なまでの未来像。
山中俊二はまさにイルカだな

そして、その典型が、このPERFUMEの中にあった。

そしてPERFUMEであった。

この圧倒的なまでの親和性、
この融和性、この飽和性、このあまりの心地よさ・・

まるで、精神安定剤のような音楽だな・・

精神安定剤?

ふと漏らした自らの呟き・・

PERFUME、この音楽って、まるで、精神安定剤だ・・









改めて、60年代に産声を上げたロックという音楽が、
70年代の荒削りな成長期から、80年代に向けて巨大化の一途を辿り、
そして90年代、そのすべてを、飽和させては自己崩壊を起こしたように、
ロックという音楽は、必然的に、生身の人間による人間のための有機性。
ともすれば、その深層心理の中に潜んだ、
怒りから、悲しみから、あるいは、狂気、なんてものさえをも掘り返す、
まさに、有機体としての人間の極限的な姿をさらけ出すことにこそ、
その価値を見出されていた筈だ。

あるいはそのロックというコンセプトそのものが、
自由という概念の象徴であろうとした、その為に、
反抗や反逆や、抗議や無軌道や、
しいていえば、セックス・ドラッグ・ロックンロールに現された、
その反社会性そのものを看板にする、そんなムーブメントであった筈だ。

そして、そんなロックの無残な自己崩壊の中から、
まるで、魔法のように湧き出た、ハウス・ミュージックというジャンル。

そのデジタル音を基調としながら、あまりにも刺激的且つ高揚感に満ちた、
あの絶対的なまでに親和的なサウンド。

タンネルから、パラディアムから、ネルズから、
サウンド・ファクトリー・バーから、シェルターから、トワイロから、
スラム街の地下室のその密室の中で、
スモークが炊かれたかのようにムンムンと充満した、
クラックからマリファナからの強烈な香りの中で、
エクスタシーを初め、
コケイン、ヘロイン、スピードに、LSD、
ありとあらゆるドラッグをちゃんぽんにしては、
ブラックがホワイトがラティノがエイジアンが、
半裸のハードコア・ゲイたちが、
身の丈2メートルはあろうかというドラッグクイーンたちが、
汗の飛沫を散らしては踊り狂い、
ただひたすらに自己陶酔の恍惚にのめり込む、
あの悪夢の桃源郷の光景・・・・

そして、ハウスはテクノに、
そしてラウンジへと進化を繰り返しては、
あの地獄の鍋の底を思わせた秘密の地下クラブから、
あるものはよりハードコア化を極めては、
そしてまたあるものは、
いつしか、表通りに並んだ高級ブティックから、
五つ星のホテルのエレベーターのBGM、
洗練に洗練を極めた未来的サウンドへと、
変貌を遂げていったのである。

そしてテクノポップだった。
YMOの目指した、グルーブの無い音楽、
その安上がりな電子音の集積が、
遂にサンプリングという無限の音源を手にしては、
そして、音の元素であるところの周波数のデジタル化、
そのすべてをシンセサイズしてはシンクロナイズしてはのマニュピレート、
まさに無限の未来に向けてと怒涛の進化を遂げることなった。

そしていま、そのひとつの完成形であり、
そのひとつの、象徴であるところの、このPERFUMEというユニット。

そこに創出した未来世界。

その親和性、その融和性、その統合性と、
そして、母体回帰さえも思わせる、その多幸感・・・

それは、麻薬、というよりは、精神安定剤。

あるいは、と思う。

これ、もしかして、オキシトシン・・・

嘗て綴った覚えのある駄文、
→ つまりはホルモンな訳なのか?

音楽のひとつの究極的な命題であったその至福感。

駄文にも上げた嘗ての映画:「PERFUME」にも暗示された、
この、オキシトシンという愛情ホルモン。
授乳する母親に分泌されるという、愛のホルモンがあれば、
例えどんな状況でも環境でも状態であろうとも、
人はその親和感の中にひたひたと満たされての母体回帰。
幸福感の中に満たされては、その幸せな監獄に幽閉することができる・・

もしかして、このPERFUMEの音楽、
まさに、この、オキシトシン、そのものじゃないか・・

そしてふと、嘗て訪れたあのTOKYOにおいて、
ふと呟いた戯言・・

この街、まるで、サナトリウムのようだ・・





サナトリウム・・

それはなにもかもがピカピカに磨き上げられた白亜の館。
塵一つなく、なにもかもが徹底的に消毒され尽くされた、
あの無機的なまでに清潔な場所。

どこまでもまっすぐに続く白い廊下。
シミひとつない白い壁。
見上げる天上から降り注ぐ暖かい陽光。
ただそのすべてが、人工的に作り出されたハリボテ的仮想現実。

そして見渡す誰もいないフロア。
受付のカウンターには、人間そっくりのアンドロイドが一台。

あの、すみません、そんなうかつな声に、
何ぞ御用ですかな? 完璧な笑顔を以て返し続ける。

いや、悪い。
欲しいものなんて、もう、なにも、無い・・

欲望という欲望のすべての満たされたその充実感。
その絶対的なまでの安静感。
その至福的なまでの多幸感。

誰もいない海、鎮守の森、
流れる風、夕暮れ、そして・・

そしてどこともなく流れている、
恐ろしく滑らか且つ高揚感に満ちた旋律。

素晴らしい場所じゃないか。
まるでここが、病院であることさえも、忘れてしまう・・・

ただ・・ ここが病院であるなら、
その患者たちはどこにいるのか・・

或いは、とふとした不安が胸をよぎる。
もしかして、この沁みひとつない白い壁、
その一枚のパネルを通したその向こう。

この清潔な白亜の世界に密封された、
その有機体としての人間の実像・・

身体中から絶えず分泌物を垂れ流し、
ときとしてそれは凄まじい臭気を放つ、
つまりは、生物としての必ず排出せねばならない廃棄物。

或いは汗、あるいは体臭、あるいは口臭、
あるいは、その内臓が、血が肉が骨が、
すべてこの一枚の白きパネル、
その向こう側に、押し詰められているのではないのか・・

或いは、とふと思う。

もしもそれが、あの受付のアンドロイドのように、
耳の後ろのスイッチを押した途端に、
その皮膚がぺろりと剥がれ落ちては、
基盤とケーブルの入り乱れた電子世界。
有機体という有機体がすべて取り去られた、
その夢のように清潔な機械人間・・・

高そうだな、と思う。
この部品ひとつひとつ、
人工心臓、人工肝臓、人工腎臓に、人工膵臓、
人工胃から人工大腸人工小腸人工直腸、
人工汗腺から人工性器から人工肛門・・
その挿げ替えにいったいいくらの資金が必要になるのか・・

つまりは、生命と資産が直結する、
未来社会とはまさにそういうところな訳か・・

ただ、その部品の中に、たったひとつでも、
安上がりの虫国製のチップが使われていた、
たったそれだけのために、
すべてのシステムが誤動作を起こしては狂乱的錯乱に陥る、
その資本価値に準じた茶番的結末。

或いは、とも思う。
1%の大富豪のその延命の為に、
世界中の99%の中から探し当てた、
その絶妙の適正を見る部品:臓器、
そのための部品貯蔵としての、人間という名の資源。
その貯蔵庫をいったいどうやって確保するのか・・

光あるところに陰があるのがこの三次元的世界の必然であるとすれば、
表向きが綺麗なれば綺麗なほどに、
その裏に隠された秘めたる部分が、より醜悪になっては密封される、
その逆説を、いったい人類はどうやって克服していくつもりなのか・・

そして改めて思う。
果たして、未来世界とは、天国か、あるいは・・








改めて、あの愚かな戦争から見渡す限りの焼け野原、
そこから奇跡の復興を遂げたあの昭和という時代
そこで必要とされたガムシャラなまでの向上心。
その反面教師的な象徴であったあのロック、という音楽、
ローリング・ストーンズ、ビートルズ、
そして、あの、萩原健一に体現された、
一種、危険なまでの、野性味、つまりは、生命力。

そして昭和という時代から、へーせー、という時代、
まさに、のっぺりとした、マイナス成長的な平原化を迎える中で、
この、PERFUMEという音楽、
オシャレに洗練され、そして圧倒的なまでの親和性に満ちた、
まさに、オキシトシン的愛情ホルモン。

そんな旋律が街中に溢れては、
どこにいても、だれとでも、なにをやっていても、
その、環境を問わず、状況を問わず、
なぜかやたらと幸せな飽和感に浸っていられる、
この、精神安定剤的なまでに軽快なメロディ。

この毒という毒、トゲというトゲ、
ともすれば、人間の肉声、という、
音楽にとっての、唯一絶対の生命体となる筈の、
それさえもを、機械音に変換しては、
このあまりにも滑らかなスムーズな当たり障りのない旋律。
このあまりにも、心地よいメロディ。

ふと思う。
怖くならないのか?
こんな至福的な音楽に満たされていて、
怖くなったりはしないのか?

だって、と思う。
だって、現実の世界って違うだろ?
な?そうだろ、違う筈だよな?・・・

なぜ?、と、振り返った少女が言うだろ。

なぜ?なんでそんなネガティブなことを言うの?

世界はもともと、綺麗で滑らかで柔らかくて爽やかで、
軽快なメロディに溢れた心地よい場所。

でもそんなものすべて嘘っぱちだろ?
この旋律にしたって、すべてがすべて、機械音、
つまりは、フェイク、じゃねえか。

フェイクだって良いんじゃない?
それがずっとずっと続いてくれるなら、
ずっとずっとフェイクのままでも、なにも問題ないんじゃない?

この世界が終わるなんて、そんなことがある筈がない。
この夢が醒めるなんて、絶対に起こらない。

このPERFUMEが流れ続けている限り、
世界はずっと、至福に満たされ続けるのだから・・・

無限未来?

さあ、こっちに来て。
変な夢のことは忘れて、
もっと気持ちよくもっと心地よくもっと優しく滑らかに、
無限の未来を信じて、幸せになりましょうよ・・・

そんな夢のような幻想を、
まさか、本気で信じることもできた、
まさに、へーせーという時代は、
そういう時代であったのかも知れない・・

そしていま、新たなる元号を迎えるにあたって、
嘗て、このへーせーな世界が永遠と続く、
そんな夢を信じることもできた、
その茶番的な幻想を象徴するものが、
この PERFUME の旋律であった、
そんなことにならないことを、心から、望むばかり。

或いは、とまた穿った考えが頭に浮かぶ・・

或いは、この現実、そのすべての汚濁を覆い隠す為に、
地獄の底に鳴り響くこの、オキシトシン・ミュージック、

或いは、既に限界値を遥かに越えたこの高度ストレス社会、
あなたのストレス値を下げなさい!
30秒毎にあがるそんなポップアップが
いつしか視界のすべてを埋め尽くす、
この狂気と正気の紙一重のパニック発作に駆られて、
いつ誰がどこでブチ切れるかわからない、
そのあまりにも危うい綱渡りの中にあって、
まさに生命のよりどころの命綱代わりに、

この、親和と、融和と、飽和的旋律、
平静を、安息とを約束してくれる、
この、精神安定剤代わりのオキシトシン・ミュージック。

あるいはこの、サナトリウム。
病院であることさえも忘れてしまう、
そのあまりにも精錬とした佇まい。
すべてがピカピカに磨き上げられた消毒液臭い白亜の館、
その無人のフロアの真ん中で途方にくれながら、
壁一枚を隔てて微かに響くその地獄絵図の阿鼻叫喚、
考えない考えない、見ない見ない、聴かない聴かない、
そんなパニック発作を封じ込めるための、
ホルモン・ドラッグとしてのオキシトシン・ミュージック。

なにも見るな、なにも聞くな、なにも喋るな・・

そんな窒息社会の中で、
いつまでもいつまでも、うつろに鳴り響く、
この、軽快で滑らかで、
なにひとつとしてとっかりもひっかかりも、
毒もトゲもない夢のような旋律・・・

それはまさに、羊水の中、
あるいは、もしかするとそれは、
ゆりかごの中の音楽、
あるいは、水槽の中の、
あるいは、ショウウィンドウの内側の、
或いは無菌室のベールの中、
つまりは、恐ろしく快適なサナトリウム、
下手をすれば、ワンルームな独房、
であったりも、するのだろうか・・

果たして、とふと思う。
果たして、この音楽を、
いったいどんな人々がそれほどまでに愛しているのだろう

それが子供、或いは女であれば理解できる。
そう、子供とは、女とは、本来そういうものだ。
そこまで徹底的に生理的なポジティブであるからこそ、
生命が産れ、そして育くむことができる。

ただ、と思う。
ただ、このPERFUMEという、
この徹底的なまでに母体的な音楽。

それを好む男たちと言うのは、
いったいその中に、なにを見ているのか・・

ただ、と改めて思う。
これ、気持ち良い。
生理的に、体感的に、
堪らないほどに心地の良い世界。

そして改めて思う。
そして心底思う。
そして切実なまでに思う。

このPERFUMEの甘い旋律、
その圧倒的なまでの親和感、融和感、そして、多幸感。
そのオキシトシン的母性ホルモン的世界の中に、
一生浸りこんでいられたら・・

PERFUMEは確かに、
そんな甘美な夢を信じさせてくれる、
その魔力があることだけは、確かなのだ・・









いやあ、悪い、
これ、まさに、最低最悪の戯言。
まさか、PERFUMEのあのメロディに包まれて、
そんなバカバカしい暗黒未来のことなど、
考える奴なんて居やしないよな。

そう、MATRIXなんてすべてウソだ。
未来世紀ブラジルなんて、1984なんて、
寅ンプもアヴェもきたちょーせんも虫国もみんな嘘だ。

そして揺りかごから見上げるぽっかりと開いた空。
あるいは、海の向こうにたなびく遠い黒煙を眺めながら、
思わずちょっと揺らしてみた腰、
思わず照れちゃって、思わず周りなんて見渡しちゃって、
そして唇の先で、さり気なく、ディスコ、と囁いてみる。

世界がずっとずっと、へーせー、であれば良いのに。
世界がずっとずっと、この甘い香りの中に包まれていれば良いのに。
世界中から、不幸が、悲しみが、争いが、消えてしまえば良い、
というのは流石に嘘だとしても、
そう、見なければ良い、ただ、見なければよいだけじゃないか。

チョコレイト・ディスコ・・・

ああ、一年中、バレンタイデイだったら良いのに。
一年中がクリスマスで、一年中が夏休みだったら良いのに。

そして世界中のひとたちが、今日も誰かを幸せにしたい、
そう思って生きていてくれればよいのに。

花を買って帰ろう。
あるいはそう、赤いリボンの着いたチョコレイトを買って帰ろう。

なに、どうしたのこれ。
なにか良いことあったの?
あったさ、と一言。
この花を見て、この甘いチョコレートを口に放り込んで、
君がちょっとでも幸せになってくれるなら、
それが僕にとって、一番の良いこと、なんだから・・

PERFUMEよ永遠に。
お願いだから、この気持ち良い匂いが、
いつまでも、いつまでも、世界を包んでいてくれることを望むばかり・・・

そして改めて、
今回のニューヨーク公演、
FUTURE POP その未来のベールが落ちた途端、
いきなりその冒頭でぶちかまされたこの名曲

エレクトリック・ワールド、
この歌詞、その象徴性を、改めて、噛み締めてみる・・


「エレクトリック・ワールド」

この道を走り進み進み進み続けた
地図にかいてあるはずの町が見当たらない
ふりかえるとそこに見えていた景色が消えた。
この世界、僕が最後で最後の最後だ
エレクトリック・ワールド
地面が震えて砕けた
空の太陽が落ちる、
僕の手をひらりと・・

本当のことに気づいてしまったの。
この世界のしくみ 君に手紙残すよ。

ああ、あああ ああ あああ・・
ああ あああ OH YEAH エレクトリック・ワールド・・・





最後の最後に、またまた蛇足としての最後っ屁。

24時間、徹底的なまでに聴き続けたPERFUME、
その甘い甘い桃源郷の中にあって、
改めて、嘗て戦場で聞いた賢者からの言葉を思い出す。

人はなぜ戦うのか、なぜ世界の人々が平和でいることが許されないのか、
そんな幼気な問いをまえに、師 いわく・・

自由は与えられるものではない。
自由は、自身の力で、掴み取るものである。
平和は、民主主義は、人間の権利は、
待っていれば自然と手に入る、そんなものではない。
それは、自身の戦いによって、勝ち取るものである。

テクノとメタル、
ポップとロック、
ダンスとモッシュ、
そして、平和と戦い、
そのどちらを選ぶのか、
あるいは、この眼の前の世界に、
いったいどのような現実を見るのか。

或いは、もしも、戦いという戦いがすべて奪い去られた、
その、オキシトシン的なサナトリウムの中にあって、
無理矢理に口にねじ込まれ、
或いは血管に注入され続ける幸せホルモン剤、
その邪悪なトリックに自ら率先して騙されては
見ざる聞かざるの偽りの夢に酔い続けるのか・・・

敢えて言おう、
俺は、ベビーメタルを信じる、
あるいはこの新元号を迎える未来社会の中にあって、
必ずや、、世界はベビーメタルを必要とする、
それを確信している自分がある。

揺りかごの中で幸せな夢を見る少女たち、
その幸せを守るのが、俺達のサダメ、なのだから。

そう思った時、またムラムラと、
ベビーメタルが聴きたくなってきた。

キツネの神よ、俺に元気を、勇気を与えてくれ!

そしてあの血湧き肉躍る怒涛のモッシュピットの中に、
いますぐにでもこの身を投じたくなってくる。

ああ、俺に平和は似合わない。
甘さだけでは、満足することができない。
ともすれば、そのひたひたの精神安定剤的オキシトシンの中にあって、
俄に沸き上がるこの苛立ち、この欲求不満。
この鎖を引きちぎれ!
バカ野郎、こんな嘘ばかりの世界すべてぶっ壊してやりてえ!

ああ、俺に愛は似合わない。
あるいは愛だけでは満足することができない。

そんなまったくもって、しょーもない、俺、その宿命を知るのであつた。

PERFUME、すまん。
あんなに素晴らしいステージを見せてくれて。
ただ・・・
俺はやっぱり、ロックが好きだ、
そして、ベビーメタルが、大好きだ。
なにがあっても、やっぱり、ベビーメタル。
そしてなにより、すぅめたる、
あの、中元すず香という人が、好きで好きで堪らない、
それだけは変えることのできない本心。
つまりは、徹底的に、男の子、なのであつた、と。

すぅちゃん、
PERFUMEも良かったけど、
俺はやっぱり、あなたが好きだ!

帰ってきて、お願いだから、帰ってきて!

実はそればかり考えていた、PERFUMEのコンサートであった、と。

おしまい








  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

月別アーカイブ

検索フォーム