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2002年2月 アメリカの田舎ドライブ旅行 ~ 「二十四時間ハードロック天国 その三」 ~前回の続き~  

Posted by 高見鈴虫 on 24.2006 アメリカ爺時事   0 comments   0 trackback
 ~前回の続き~ 


旅の終わり、日暮れまえに空港について、
フライトまで待ち時間を潰すまで、
レンタカー返すのがなんか名残惜しくて、
で、空港の外れのドライブインでコーヒー飲んでいたら、
隣のテーブルでさ、
もうまるで絵に描いたような地方都市のとラッシュのガキが、
太ってブスで、の、これまた典型的な地方都市の、
どうしようもないやりまんのジャリをくどいていて。

その女、なんか、ほら、シドに刺された、ナンシーそっくり。
目の周り真っ黒。口紅真っ赤か。
安い人形みたいな髪の毛もバサバサを輪ゴムでとめて。
脂の浮かんだ首から肩から腕まで吹き出物だらけ。
その上に革ジャン。鋲入り。
その上から、錠剤を数珠繋ぎにしたネックレス(笑

つまりトラッシュ。
どこにでもいる、絵に描いたようなルーザー。
でも中学生、ぐらい。でもやたらと太ってる。
これだけ太ってる上に、まだミルクシェークみたいなの、
ジュルジュル飲んでる。

そんで、少年。多分、高校中退。それ判る。経験から(爆
頭は良いつもりだったんだけど、やる気と根気が続かなかったタイプ、
つまりそこらの馬鹿よりも性質の悪い馬鹿。

くたびれた野球帽。よれたTシャツにバギーのジーンズに鎖がじゃらじゃら。

あのなあ、にいちゃん、
そんな女のおまんこ開かせるのに、
なんでそんなにべちゃべちゃ喋る必要があるんだよ。
安いビール飲ませて草でも吸うかって
嘘ついてトイレにでも連れ込めば、それまでだろ、って。
もしかして49セントのビール代がもったいないから、
そんなところでおしゃべりしてやがるのか?
なんてこと思いながら、

窓の外の木立。風に揺れる枯れ木。その向こうの倉庫。
空港の外れ。茫漠たる倉庫地域。錆びたままのコンテナ。
掘り起こされたままの工事現場。空虚、荒涼。殺伐、
つまり、そのまんまのアメリカの風景。

と、ぼんやりしてたら、
おい、そこのおっさん、何見てんだよ、って、さっきのガキ、
声をかけてきた。

いつもみたく、うるせえ、って一言言って、
無視しちゃっても良かったんだけど、
こっちはほら、カナダ帰り、だから(笑
なんか変なところで訳もなくフレンドリーモード。

で、ふと、少年を見ると、なんかぜんぜん敵意がなくて、
まるでピアスした子犬みたいなぽやぽやした顔してやがるの。

で、なんでデトロイトの奴がヤンキーズの帽子被ってんだよ、
って、話返してやったら、
思ったとおり、やたらと嬉しそうな顔してさ。

して気づいたら、なんかその店にいる奴、
みんなヤンキーズのTシャツやら帽子やら、
まるでヤンキーズグッズ専門店、みたいな格好してるんだよね。
で、しっかりと、アメリカ・ユナイトとか、
GodBlessAmerica、アメリカ万歳、みたいに書いてあたりしてさ。

少年、やたらと照れながら、
いやあ、ダラーショップで安かったんだよ、
なんて笑ってるんだけどさ、
あああ、って。
ここにもいたかすっかり間違えてる愛国馬鹿。
つまりブッシュのペテンに引っ掛った白痴野郎。
つまり、善良なるアメリカ人。

普段なら、お前ら目障りだよ、消えうせろ、
なんてまた不機嫌になるところが、
その少年、にきび面のトラッシュのガキ、
はにかむ姿がなんか、妙にほほえましく思えてきてさ。

そのガキ、俺がNYCに帰るって知ったら、
やたらと馴れ馴れしくぐちゃぐちゃ話し掛けてきてさ。
すごいな、ワートレ崩れるみたの?飛行機突っ込むの見たの?とか。
で、
うるせえ、って言ってるのに、
ガン持ってるけど、見せてやろうか、とか。
あんた疲れてるなら、ちょっとだけどアイスあるけど、とか。
そうだ、近所のデリでこの子の従兄妹がいるんだけど、良かったら一緒にビールでもどうだ、とか。
挙句に、
じゃあ、そのコーヒー奢らせてよ。心配すんなよ。NYCのひとだろ?
なんてさ。

やたらと親切なのはいいし、
俺もまあ高校の時とかに地元のファミレスで似たようなことやってたら、
まあ気持ちは判るんだけどさ。
なんかね、やるせなかったよ。そのあどけない親切がさ。

んな訳でさ、

いきなりハードロックの話しなんだけどさ。
あのね、ハードロックはね、
アメリカの田舎の民族音楽じゃないか、って思ったのね。
あの間の抜けたフリーウエイをぶっ飛ばしてるときってさ、
もうハードロック以外にはないよ。
もうNYCで聞いてるような、ちょっとでも難しかったり、
ちょっといじってたり、ナイーブだったりってのはさ、
もう駄目だよね。鼻についちゃって。
カントリーとかもいいけど、眠くなるし。
ポップスは飽きてくるし、
ヒップホップは本当に背後から撃たれそうに思えてくる。

んな訳でね。
ロックだよ。これしか無いって感じ。
んでね、今回でまたまた思い知った
フリーウエイミュージックのベストスリーはね、
ガンズとSTPとSRV!
もうこれしか無いって感じ。
これもう、民族音楽以外の何物でもないよ。
日本に尺八があり、バリにガムランがあり、
クーバにサルサ、インドにシタール、
リオにサンバとボサノバがあるよに、
アメリカのフリーウエイにはハードロックがあるわけよ。

んでね、そんな数あるハードロックの中でも、
やっぱり究極はガンズの1枚目、だと思う。

あのあっけらかんとして、意味もなく元気で暴力的で、
やたらとのりが良くてさ。
んで、2枚目のB面のあのアコースティックの奴。
歌詞を丸暗記するぐらい何度も聞いたけどさ。
あのはちゃめちゃなドライブ感の嵐と、
いきなりはじまるスーパーセンチメンタルの組み合わせこそね、
アメリカのフリーウエイ音楽の究極のカップリングだと思う。

いつも出張には山ほどCD持っていくんだけど、
やっぱり色々聞いてみて、
結局最後に残るのはガンズだよね。
あとはみんな何かが気に障って聞かなくなってしまう。

んで、今回は、それにSTPが加わったんだよね。
昔MP3でダウンロードしたブートレッグなんだけどさ、
もう、たまらないぐらいのドライブ観で、
死ぬ気でやってるとしか思えないよね、あいつら。
んで、あのMTVのUNPLUGEDと組み合わせると、
もう究極だよね。

んな訳で、ついついアクセルを踏み込み過ぎて、
いきなりスピーディングでつかまって罰金を食らいました。
出張に行くたびにメシ代節約して、必要経費ちょろまかして
ってやってきた努力が、この一発ですべてパーです。
大ショックで、今回ばかりは本気で死にたくなりました。
ああアメリカが憎い!

という訳で、NYC帰ってきて、
おお、まだ生きている、夢のようだ、
と家でNY1見ながら納豆にお茶漬け食って、
寝坊して散歩に出て、昼に飲茶、夜にインドカレー食べて、
ってそこまで来たら、なんかまた出張が懐かしくなってきた。

つくづく、どうしようもないのは俺のほう、と。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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