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大吹雪の夜、ブッチ君が救急病院に搬送の大変事

Posted by 高見鈴虫 on 20.2020 犬の事情   0 comments
一月半ば、マーティンルサーキングの連休の最中、
ニューヨーク・シティは今年最初の雪嵐の予報。
早朝の散歩も早々に切り上げ、
昼を前にすでにちらほらと粉雪の舞い始めた雪雲に急き立てられるように、
町中を滑り止め用の塩を満載したトラックが行き交う不穏な空気の中を、
両手いっぱいに買い込んだ非常食。
また例によってなんの予定もないままにして転がり込んだこの三連休。
ようやく里帰りから帰還したかみさんに雑用のすべてを押し付けて、
三日三晩、また例によって溜まりに溜まったDVDの山を前に、
思い切り寝て過ごそうと甘い算段にほくそ笑みながら、
すでに窓一面が真っ白になるぐらいに降り始めた雪嵐を尻目に、
ぬくぬくとテレビの前のソファに蓑虫よろしく丸まっては、
惰眠の底に沈みこんでいた雪の午後・・・

寝ぼけ眼のまま夕飯を済ませては、
たまったDVDを観るともないままにまたうつらうつらと始めていたところ、
どうしたんだろう、ふと隣にまるで身を寄せるようにはりついて来た犬。
いつになく媚びたような表情ですり寄ってきてはへらへらと舌を躍らせながら、
妙に切羽詰まった視線でなにかを必死に訴えかけているような・・
どうした?ご飯はもう食べただろ?
どうせまたいつものように食後のおやつをねだってきているのだろうとうっちゃっては、
おいちょっとそこどいてくれないか?
こんなクソ映画、わざわざ座ってみるよりは寝転んで、
とやっていたところ、なんだろう、どうにも妙にしつこくも絡みついてくるこの犬。
そうなのよ、とかみさん。
あなたが寝ている時にエレインから電話があって、
雪が小降りになってきたから公園で会いましょうって。
最初のうちは喜んで走り回っていたのに、
ちょっとしてからいきなり、もう帰りたいって。
まあこいつもすでに老犬の域。いまさら雪にはしゃぎ回る歳でもないだろう。
ただ、そうなんだけど・・
とふとそんな会話を目ざとく聞きつけては、
そそくさと玄関に向かっては、その途中で引き返してはふたたび俺の隣にすり寄ってを繰り返す。
なんかこいつ、腰が抜けてしまったような・・
そうなの、ずっとなにかを怖がっているみたいな。
怖がる?いったいなにを?
ほら、見て、ちょっと震えてるでしょ?
ふと見れば犬。
そういえば普段からのあの傍若無人の態度からうって変わって、
今夜の君はどういうわけかしおらしくもおとなしくも、
確かにこんな神妙な態度。
ほかの犬であればいざ知らず、
こいつに限ってこんな態度、確かに妙だ、確かに変だ、大異変だ。
おいで、ブー君、だったらちょっとお散歩に行こうよ。
とかみさんの声にへらへらと曖昧な笑いを返しながら、
だがしかし、今日に限って俺の隣にべったりとくっついたまま離れようとしない。
どうしたんだお前。
見たところ、熱もない。
さっきの夕飯だっていつものように一瞬のうちに食いつくしていたし。
ただ、呼吸が荒い。はっはっは、と荒い息を響かせては、
どんぐり目を見開いたままなにかを必死に訴え続けている。
どしたんたお前・・
確かになにかに怯えているような・・
また下痢でもしたのか。
でもそうであれば、もっとはっきりと散歩に連れていけと言い張るはず。
まあ良い、なにはともあれこいつのことだ、
散歩にさえ出れば機嫌が直るだろうと、と立ち上がったところ、
いきなりキャン、と短い悲鳴。
なんだお前・・
と見るや、みるみるうちに全身がぶるぶると震え始めては、
いまにもひきつけを起こしそうなほどに目を見開いて、
はっはっはと荒い息を繰り返すばかり。
おい、なんだよ、どうしたんだ?
強張って縮こまった身体を抱きかかえると、
ほら、なんだか心臓の鼓動がすごく早い・・
どうしたんだろう、どうしたのぶーくん。いったいどうしちゃったの?・・
胃捻転でもない、食欲も旺盛で、吐き気もないし、下痢でもなさそうで・・
その考えつく限りのすべてを思い浮かべながら、
ただこれ、雷の時とか、花火の時とかに似ている気もするが・・
ばかばかしい、と妻。
真冬の一月に、雷が鳴るわけがないでしょう。
それにこんな雪の中で花火?バカも休み休み言ってよ。
まあ大丈夫だろ。
もうちょっとすれば自然と治るんじゃないのか、
と思っているうちに、
そして12時を前にしても全身の震えが一向に収まらない。
どうしたんだお前、いったいぜんたい・・
そんな俺にいまにも縋り付くように身を寄せて来ては、
見開いた目でなにかを必死に訴えてくるばかり。
なんか舌が紫色になってきたよ。
心臓麻痺?まさか・・
医者に行こう、と立ち上がった妻。
医者って言っても、こんな時間にこんな雪の中に・・
救急病院。AMC アニマル・メディカル・センター。
ええ?救急病院?
だってどうするのこんな状態で。
この連休中、いつもの獣医さんは火曜日まで開かないわよ。
このまま死んじゃったらどうする気なの?
でも、だってこんな大雪の中で、タクシーだってウーバーだって走っていないだろ。
だったら、と妻。
だったら、担いでいく。背負っていく。
おいおいおい・・
やにわにコートを着こみはじめた妻。
雪用のブーツに帽子と襟巻の完全武装。
死なせない。ブー君はなにがあっても死なせない。

大丈夫、AMCだったら開いている。
アニマル・メディカル・センターにさえたどり着ければどうにかなる・・・・




という訳で、徹底的に寝て過ごそうと決めていたはずのこの雪の連休の最中、
深夜の街をいきなり震える犬を担いでの八甲田山・死の彷徨。
ただ幸運だったのは、深夜を過ぎてすでに雨に変わった舗道から、
積もった雪があらかた洗い流されては、
まさかと思って呼んだウーバー、
その黒塗りのトヨタ・カムリが、はいはいさ、とばかりに魔法のように参上しては、
なんだよ、こんな大雪の夜にも営業中?
ははは、こんな日だからこそ掻き入れる時の大繁盛、とばかり。
いやはやさすがのニューヨーク。
どこかにだれかそういうやつがいる、必ずいる。
ただ、いざとなって犬は乗車拒否なんてされたらどうしようか、
とそんな懸念も、なんとしたことかやってきた運転手さんが大の犬好きのドッグラバー。
いやあ、実はうちの犬もアレルギー体質で、
よくひきつけを起こしてはAMCに行くんですよ、と笑うラテン系の運転手さん。
ひきつけ?アレルギーで?
はいはい、どうにもこうにも困ったやつで。
で、AMCってこんな日にも開いているんですかね?
大丈夫。AMCなら大丈夫。いつどんな時でも、クリスマスでも正月でも。
あの911の時にも大停電の時にも台風サンディの時でも、
AMCだけは開いていた、まさにドッグラバーの聖地のようなところ。

というわけで、人通りのすっかりと失せた深夜の雪道を、
不思議なぐらいにすんなりとたどり着いた救急病院AMC。
バスタオルにくるんだ犬を抱えたまま必死の形相で走りこんだ俺たちを前に、
深夜番の受付のあんちゃんがひとり、
こんな騒動にはいかにも慣れ切ったという風に、
ヘッドフォンを外さないまま、
上うえ、二階だよ、二階、とエレベーターに顎をしゃくる。
そうか、やっぱりやっているのか開いているのかAMC。
さすが、獣医学の聖地。

と開いたエレベーターのドア、その眼前に広がった深夜の待合室に、
なんと見渡す限り、人が人がひとがの満員状態。

あの急患なんですが、と声を上げた俺に、
はいはい、こちらへ、とこれもいかにも慣れた調子の看護師さん。
では奥様はそこの受付で登録を済ませて、
で患者さんは、はい、どうぞこちらの診察室でお待ちくださいな、
と通された診察室の小部屋。
なんだよ、ずいぶんとすんなりと診てもらえそうだ、と一安心したとたん、
おい、降ろせ、と犬。
おい、なんだよここ、と。
なんだよって、病院じゃないか。
ここ凄いんだぞ。
世界一の犬猫研究センター。
お前も偉くなったものだよなあ。
なんでこんな時間にそんなクソ病院なんか来たんだよ。
なんでってお前が震えてるからじゃないか。
くっそう、と犬。
今にも舌打ちでもしそうなほどに明らかに不機嫌に、
そのあまりにも不逞な態度。
くっそう、ドライブに行くのかと思えば騙しやがって。
つまりは?つまりはそう、すっかりと普段の姿それそのもの。
なんだよおまえ、もう治ったのか?
治ったも治らないも、なんでこれしきのことで病院なんか来るんだよ。
これしきってお前、さっきまでブルブルと震えてやがって・・
帰るぞ、オレは帰る。いますぐ帰る。絶対に帰る、とやり始めたところ、
はいはい、こちらです、と看護婦さんと連れ立って入ってきたかみさん。
おお、かあちゃん、助けに来てくれたのか、と喜び勇んでは、
目ざとくも開いたドアの間から姑息な脱走を図る犬を押しとどめ、
で、どうしました?と。
いやあの、これが、さっきまでぶるぶると震えて・・
いや、なんでもない、と犬。
それはなにかも間違い。何でもない、オレはぜんぜんなんでもない。
それが証拠に、とばかりに、
手を差し伸べる看護婦さんのその手を掻い潜り逃げ回り、
ついに、あらよっと、自分から診察台の上に飛び乗っては飛び降りて、
つまりはわが犬、つまりは普段からのあの駄犬そのものそのその姿・・
なんだよお前、と思わず我が犬。
さっきまでのあの不穏な全身痙攣はいったいなんだったのか。

まあ元気そうでなによりで、と肩をすくめて笑う看護婦さん。
でもまあとりあえず、念のためにチェックアップぐらいはしておきましょうか、
とそんな具合で本格的な診察を待つ間、
深夜の救急病棟、その押し黙った待合室で待ちぼうけを食わされることとなったのだが。

改めてこのAMC:アニマル・メディカル・センター。
世界中から獣医学の権威たちが一同に集っては、
その最先端の技術を磨く現代獣医学の聖地たる研究施設。
盆暮れ正月休みなく365日、24時間、
いつ何時でも完全装備のフル稼働。
ニューヨークに暮らすほとんどの犬猫たちにとってその最後の最後の拠り所。
そう言えばあのサリーもヒューゴもトビーもエリザベスも、
最後の最後の審判に訪れたのはここAMCであった筈。

そんな深夜の待合室に集う人々。
いったいどんな事情でか、
雪に濡れたコートを頭から被ったまま、
あるものはじっとうつむきながら、
またあるものはここ数日間に渡る寝ずの看病に疲れ切っては転寝を繰り返し、
またあるものは膝の上で目を閉じる愛犬を撫でながら声を殺して忍び泣きを続け・・

そうしているいまも、エレベーターの扉が開くたびに、
全身雪まみれになりながら両腕に犬を抱えながら、
あるいは毛布を羽織った背中に大型犬を背負いながら、
次から次へと断末魔の急患たちが運び込まれてくる。

とそんな中にあって、見るからに健康そのもの、
その傍若無人な尻尾をぴんと跳ね上げたまま、
まったく、なんだっってんだこの辛気臭い場所は。
おい、とっとと帰ろうぜ、と憤懣やるかたなき我が駄犬。

あのなあ、と思わず。
お前、だったら、さっきのあれはなんだったんだよ、と。
まあそう、病院に着いたとたんに病気が治ってしまうというのも、
医者嫌いの無頼者、俺たち似たもの同志のその証明でもあるのだが。

というわけで二時を過ぎてさすがに犬も飼い主もこくりこくりと居眠りを始めたころ、
ようやくになって、ブッチさん、と名前を呼ばれては飛び起きて。

ああ、ようやくか、と立ち上がったその目の前に、
いきなりドタドタと駆け込んで来たラテン系の少女。

助けて、うちの犬が死んでしまう・・

とその後ろから、ガウガウ、と荒い息を弾ませた全身血だらけのピットブル。
リーシュを引く飼い主のお父さんの手を今にも引きちぎりそうに全身が猛り狂っている。

なななんだ、この化け物は・・

公園で、知らない犬と喧嘩して、噛まれちゃって・・・
助けて、わたしのランボーが死んでしまう・・

俄かに殺気立った深夜の診察室、
途端に走り出てきた看護婦さんたち。
その怒れる野獣の前になんの躊躇もなしに飛び込んでは、
首と喉を噛まれてる、緊急手術、オペ室の用意をして。

そして泣きじゃくる少女を胸に抱えては、
さあ、こっちに来て、大丈夫、助かるから、助けて見せるから、
だから泣かないで、心配しないで。

と、そんな突如の大騒動の中で、
あの、と振り返りざまにさっきの看護婦さん、
ごめんなさい、ブッチさん、
ちょっと、急患がはいっちゃって、
もうしばらく、お待ちいただけますか・・

いまだに廊下に壁に点々と飛び散る血痕に息をのみながら、
いやはや、と顔を見合わせる人々。

こんな雪の夜のこんな時間に公園で犬が喧嘩?
まあそう24時間眠らない街ニューヨーク。
こんな時間に犬の散歩をしている人もいるにはいるのだろうが。
とそんな後ろから、鼻歌まじりにモップを持った黒人の老人がひとり、
いかにもどこ吹く風といった調子に床を拭っては
靴の底を引きずりながらどこへともなく消えていく。

というわけで、この深夜の救急病棟の待合室、
なにひとつとしてその存在理由を見失ったまま待つこと3時間。

その間にも全身痙攣を起こして長く舌を垂らしたダックスフンドが、
器官虚脱で呼吸困難に陥ったのスピッツが、
びっこをひいたゴールデンリトリバーが、
意識を失ったままのビーグルが、
あるいはいったいこんな夜にどんな理由でか、
夢のようにあどけないポマスキーの子犬が一匹、
バッグの中から弾けるような笑顔を覗かせては、
この殺伐とした深夜の待合室の一同が、
思わず歓声を響かせては駆け寄って、
うひゃあ、かわいい、まるでぬいぐるみみたい、いやそれ以上と、
口々に誉めそやされては深夜のアイドルドッグ状態。

いやあさすがといえばさすがのAMC。
その世界的名声もさることながら、
その噂に聞こえたバカ高い診察料もなんのその、
そんな天井知らずの愛情に育まれた犬たち、
見るからにそれなりに、純潔の血統症付きの高級犬ばかり。
とそんな騒ぎを尻目に、
なあ、と膝にを手置く我が雑種の駄犬。
なあ、もういい加減眠いんだが、
とっとと帰らないか?と人の気も知らずに。

そしてようやくと招き入れられた診察室。
あくびばかりを繰り返しては見るからに不機嫌な犬を前にして、
まあ、心配ないですね、と予想通りの一言。

ただ、さっきはいきなり全身を震わせて怯え初めて・・
とそう繰り返す妻の前で、
花火はいかがですか?と妙な質問。
花火?花火って?
花火を怖がったりとかしますか?
ああ、はい、子供のころは大丈夫だったんでですが、
最近になって花火を怖がり初めて。

はいはい、と獣医さん。
だったらそれでしょ、と。
花火?花火が原因?
ほら、いま、ルナ、つまりは、チャイニーズ・ニューイヤーで。
チャイニーズ・ニューイヤー?
そう、中国の人って、お正月に爆竹を鳴らすでしょ?
爆竹?
犬は聴力が敏感だから。どこかで子供たちが花火を鳴らしていて、
それを聞きつけて驚いていたんじゃないかしら。
まさか・・・
実は、今夜はこれで10件目。
10件目?
そう、突然犬が震えだして、って。
あなたたちが来るちょっと前にも、
こんな大きなグレートデンがブルブル震えながら担ぎ込まれて来て。
でもこの診察室に入ってドアを閉めたら、
あれ?なんだったんだ、って。きょとんとした顔して照れ笑い。
ね?ほら、いまは全然大丈夫でしょ?
爆竹?チャイニーズ・ニューイヤー?・・おいおい、そんな理由だったのかよ・・・
ったくあいつら、と思わず。
んたくあいつら、ろくなことをしでかさねえ・・
ほら、この子、こう見えてすごく神経が敏感だから。
神経が敏感?まさか・・
はい、この子はすごく神経が敏感ですよ。
この目この耳、こうしている今も私たちの話を逐一聞き続けている。
会話の内容はわからないまでも、
その気配から声色から呼吸音から鼓動から、
そのすべてを聞き分けて状況を判断している。
頭の良い子ですね。
まあせっかくですから念のため血液検査だけはしますが、
見たところ健康そのもの。なんの問題もないと思いますよ。

というわけで、毎度毎度ながらいやはやであった。
キャンと鳴いた理由は膝にちょっとした腫れがあって、
それも雪の中で遊びすぎてちょっと捻った程度でしょう、と。
その膝の痛みと花火の音が妙な具合に結びついて、これは天の怒りかハルマゲドンの前触れか、
その勘違いにすっかり驚いちゃった、と。

念のためこれまでの記録を見ましたが、
大した病気もなく怪我もなく。
はい、おかげ様で、身体だけは丈夫なようで。
そんな健康優良な人に限って、
なにかちょっとしたことにすごく驚いてしまうようなのは、
なにも犬に限ったことでもなく・・
ではこれ、と申し訳程度に差し出された痛み止めと、そして精神安定剤?
だってほら、旧正月の本番って来週でしょ?
またこんな事にならないように
念の為の御守りがわりに・・・
おいおいおい、と。

そして家に帰り着いたのはすでに4時を回り、
犬も飼い主もとことんに疲れ切っては、
ベッドに倒れこんでからは翌日昼過ぎまで意識もなく。
ようやくと出かけた雪解けのドッグランのベンチでようやくと人心地。
と、ふと気づいた留守電にメッセージがひとつ。

血液検査の結果が出ました。
健康そのもの。異常はなにも見られません。
報告書の詳細は行きつけの獣医さんのところにお送りしておきますので、
ご心配事がありましたらそちらにご相談ください。

なんだよそれ、と、思わず苦笑い。
まあね、何事もなかったというのは良いことだけど。
ただこの診察料。
急患扱いの、そしてこの血液検査、その合計が・・600ドル・・
あぁあ、来週から始まるレストラン・ウィーク、
楽しみにしていたフルコース・ディナーもこれでちゃらか。

ねえ、いま聞いてきた、と妻。

昨日の夜、トランプ・プレイスのチャイニーズの人たちが、
ニューイヤーの前夜祭とばかりに
家の中で爆竹鳴らして大騒ぎしていたらしくて。
夜中になってついに警察が呼ばれて消防車まで出動して、
あの辺一帯が大騒動だったんだって。
おいおいおい、つまりはそういうことか、
つまりはまたトランプかまたチャイニーズなのか、と。
ったく、どいつもこいつも、と思わず
ったく、どいつもこいつもろくでもねえにもほどがある。

と妙なところでまた妙な落ちが付いたまま、
さあそろそろ帰ってまた一寝入りするか、
と、見上げる雲の間から覗いた抜けるような青空。

ああそういえば、
日本ではWOWOWで放送された
BABYMETAL LIVE AT THE FORUM
さっそくお送りいただいた録画映像の、
そのダウンロードが終わっている頃か。

そうだ、こんなことをしている場合ではない。

おい、帰るぞ、と犬を呼び寄せれば、
え?いや、オレはまだ帰らない、とプイと横を向いたその後ろから、
はいはい、と途端に集まってきたその友達たちが勢ぞろい。
ねえねえ、おじさん、早くボール投げて、とせがまれながら、
真冬の連休の午後がこうしてまたのほほんと過ぎ去っていくのであった。

おしまい






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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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