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コロナの時代の愛 その四 ~ 世界の終わりの最初の一日目 その記念日に添えて

Posted by 高見鈴虫 on 11.2020 コロナの時代の愛   0 comments
その日、2020年3月8日 日曜日。
夏時間の始まったその日は朝から目の覚めるような青空が広がり、
昼を前にして気温は既に60度を越え、
小春日和と言うよりは初夏の日差しを思わせる陽気の中、
折からの新型コロナウイルス感染症の不気味なニュースも尻目に、
街中が春を迎えた歓喜に満ち溢れていた。

朝の犬の散歩から帰り一息ついたところで、
古い友人からメッセージが届いた。

はろー、ねえまだ生きてる?
ところでお寿司でも食べにいかない?

寿司?
なんだってこの期に及んでいきなり寿司なんだ?

なんとか鮨、と数あるニューヨークの名店の中でも、
筆頭にあげられる知る人ぞ知るの高級寿司屋。

このコロナパニックの影響でいきなりの閑古鳥で、
超豪華特盛ちらし寿司がビール付きで20ドル!
なんてスペシャルが初まったのよ。
こんなことでもなければ行く機会もないだろうし、
どう?このコロナ特需、
この世の終わりの冥途の土産に、
ちょっと美味しいものでも食べに行かない?

その神をも恐れぬ能天気さに思わず、あのなあ、と大絶句ながらも、
そう言えば、嘗てペストの大流行したヨーロッパでは、
死を覚悟した人々がすべてのタブーをぶっちぎっては、
夜な夜な人智の限界を挑むかのように、
破廉恥極まる極限的酒池肉林の享楽に耽った
と言うではないか。

死こそはデカダンスの究極なのだ。
そう、生きてるうちが花なのだ。
死んだらそれまでよ、なのだ。
そして果たして死を前提とした以上は、
恐れるものは何もない。
恥も外聞も善悪の彼岸のへったくれも
知った事ではなぁいのだ。

メメントモリ:死を思え。

生の極意もまさにここにある・・



と言う訳で、折からの新型コロナウイルス感染症、
ついにここニューヨークにおいてもステイト・オブ・エマージェンシー
非常事態宣言の発令された小春日和の日曜日。
ドアの前に立ち塞がっては、連れて行け、と言い張る犬を押しのけ、
いざ行かん、コロナ特需の最高級鮨屋:超豪華特盛ちらし寿司ビール付20ドル!

そう、改めて言うまでもなくニューヨーカーとはそんな人達。
非常事態宣言が発令される度に、
大雪だ、と言えばスキー板を担いではセントラルパークに馳せ参じ、
台風だ、と言えばビルの屋上で浮き輪を抱えて大はしゃぎ。
そしてこのコロナ災禍の非常事態宣言下、
突如として訪れたその初夏の日差しに浮かれては、
タンクトップに丸出しシースルーのTバック、
冬の間につもりにつもったそのたわわたわわな白いお肌を、
これでもかと陽射しに晒した白魚か白トドが白熊か、
そんな頭の弾けたお嬢様たちがわんさかわんさの花盛り。

こいつら・・いま世界で何が起こっているのかまったく知らねえんじゃねえのか?
それを言ったらわたしたちだってお互い様でしょうが。
このコロナパニックの最中にマスクもせずに昼間から酔っ払っては千鳥足。

なんかさ、コロナとかなんとかって、みんな嘘なんじゃないの?
嘘?コロナが?
そう、あの例のフェイクニュースみたいにさ。
すべてがすべて嘘。
ニュースやらネットやら、あなたの言う糞マスゴミが、
政府広報で配られる大本営発表を丸写しすることしかできない引き篭もり記者が、
掲示板とツイッターの冗談半分のデマを真に受けて浮かれ騒いでるだけ。
花粉症と間違えて慌てふためいて医者に行った途端に、
診察室の中では赤いヘルメット被った野呂圭介がプラカード逆さに持って大成功~!って。
確かになんかなにもかも、なにひとつとして現実感が無いよな。
嘘なのよ、全部嘘。みんな嘘。
だって見なさいよこれ、この人達。
どいつもこいつも浮かれた顔してさ。
この風景のどこが非常事態宣言だって言うの。
どこがコロナウイルスのパンデミックだって言うのよ。

酔いに任せたままハイラインパークのスカイウォーク。
ビルの狭間を抜ける冬枯れの遊歩道には、
燦々と降り注ぐ眩い陽光の中を、
観光客が家族連れが若いカップルが、
はしゃぎまわり駆け回り、
手をつないでは指を絡めて、ハグをキスを繰り返す、
その絵に描いたような幸せな風景。

コロナなんてバカバカしい。
そんなもの信じなければ良いのよ。
知らずに済むことは知らないに越したことはないのよ。
どうせみんな嘘なんだから。
どうせみんなテレビ局のでっちあげのドッキリカメラなんだから。
この番組つまらないなってチャンネル変えてるうちに、
いつのまにか別の話題が始まってる筈なんだから・・

で、そう言えば、奥さんどうしたの?と。
ああ、うちの奴、寿司が嫌いなんだよ。
お寿司が嫌い?日本人なのに?
魚を四角く切っただけで料理だなんて言わせないとかなんとか。
変わってるよね。あんたの奥さんだけあるわよ。
いや、誘ったんだけどさ。なんか今日はやることがあるって。
やること?こんな良い天気の日曜日に、家に籠もってなにやってるの?
まさか・・本当の本気でコロナにびびってるとか?
あいつひとりでビビってたって俺が罹っちまったら同じことだろ。
そりゃそうよね。
オペック・プラスって知ってる?
オペック?あの石油の?
そう、オペックの会合がなんちゃらこうちゃらとか。
おくさんって金融関係の人だったっけ?
いや、ただなんか最近、デイトレじゃないんだけど、
それらしきローソク足チャートばっかり見ててさ。
ああ、デイトレはまってるんだね。株上がってるしねえ。
なにひとつとして誰一人として、景気が良くなったなんてことなにもないのにさ、
株ばかりが上がって下がって、それだけで景気が良いの悪いのってさ。
それもコロナと同じようなものなのよ。
雲の上のどこかで知りもしないひとたちが勝手に騒いでいるだけの話なのよ。
そう、確かにそうなんだけどね。
で、奥さんなんだって?
だから、そのオペックなんちゃらの会議がって。
オペックがなんだって?
いや、なんか神妙な顔して、なにかあるって。
なにか?
そう、なにかあるって。
コロナから、大統領選から、この信じられないポカポカ陽気から。
覚えてるか?
去年の今頃なんてまだ街中がコチコチに凍りついてたんだぜ。
それを見ろよこれ。ビキニのねえちゃんが日光浴だぜ。
なんか変だって。なにもかもが変だって。
で、嫌な予感がするって。
嫌な予感?なによそれ、どういうこと?
いや分からない。ってか俺に聞くなよって。
俺もかみさんがなにやってるかさっぱり判らなくてさ。
好きな時に好きなところで好きに暮らすとかなんとか言いながら、
PCを前にしてローソク足チャートばかり。
いったいなにをやってるやら・・
株は気をつけなね。私の友達にもいたのよ。
あの前のサブプライムの時にさ。
なんだなんだ?ってなにが起こっているか分からないうちに、
あれよあれという間に、気がついたら全財産がすっからかん・・



嘗て、高校の教師に言われたことがある。
なにも財布を落としただけで死ぬ人間はいない。
なにも歯が痛いだけで死ぬ人間はいない。
なにも犬のうんこを踏んだだけで死ぬ人間はいない。
ただ・・
その日たまたまかみさんと喧嘩をして、
歯が痛くて財布を落としておまけに犬のうんこを踏んづけた時、
そんな些細なことがたまたま偶然に重なっただけで、
人間はふと、ぽっきりと折れてしまったりするんだよ。
それが魔が射すという奴でさ。
そう、生きているうちにはそういうことがある。
それが運命のイタズラって奴だ。
神様のしかけたちょっとした悪戯。つまりは落とし穴・・

些細な悪いことが、三つ重なっただけで、
世界が狂ってしまう、そういうことも、あるにはある。
それが、世の中ってものだ・・・



翌日、つまりは2020年3月9日の月曜日。
目が覚めた時、窓一面を鮮やかな朝焼けが染めていた。
妻は既に起きていた。
昨夜は夜更けまで、夕飯も食べずに夜更けまでPCの前に齧りついたまま、
ローソク足チャートと、英語日本語の経済速報と、
そして、ピン、ピン、ピン、
世界中のネットワークからのメッセージが鳴り続け・・

昼から飲みすぎたビールのせいか妙に頭が重く、
そして気の早い花粉症にやられたのかくしゃみがとまらず。
これ、もしかして、コロナじゃあるまいな。
おい、俺ちょっと熱ないかな?と話かけた妻。

ねえ、まえにスタンレーが言ってたこと覚えてる?
ああ、このコロナ騒動はHOAX:でっち上げだ。
株価操作を狙った誰かの陰謀だって。
あなた、バカバカしいって嗤ってたわよね。
ああ、俺そういう陰謀論とかあんまり信じないしな。
なによ、口を開けばそんな根も葉もない陰謀論ばかり並べてるくせに。
ただ、このコロナが何者かの陰謀?だったら誰の?
それはわからない。なんだけど・・
そう言えば、昨日公園で会った、
なんだったっけ、あのプードル飼ってるアナリストのフランス人の。
エリサさん?
そう、あの人もそんなこと言ってたよ。
これは出来レースよって。
やっぱり、と妻。
やっぱり?
いまになっていろいろな人がそう言い初めてるの。
なにもかもがあまりにも出来すぎだって。
出来すぎ?どういう意味で?
ねえ、と妻。
明日の朝、あなた散歩に行ってくれる?
わたしちょっと、やることがある。
やることって?
いいから邪魔しないで。
頭が痛いなら早く寝れば?
この非常事態宣言の中で昼間から酔っ払ってた罰よ。
さっさとお風呂入って寝て、そして明日の朝、ブー君のお散歩お願いね。
ちょっとこれは、とんでもないことになるかもしれない・・

そして月曜日の朝、昨日の日曜日と続いて、
またまた目の醒めるような雲ひとつ無い大快晴。
まあ気候が良いのに越したことはないのだが、
三月初旬のこの時期に、コートも着ずに散歩に出れるなんて、
まるで夢のような、あるいはそう、それこそが悪夢の証明なのか・・

散歩から帰っても妻はモニターを睨んだまま振り返りもせず。
ただいま〜!駆け込んだ犬が泥だらけの足を膝の上に乗せては快心の笑顔で覗きこんでも、
むっつりと黙ったまま画面に鼻先をくっつけるようにして微動だにせず、見向きさえしなかった。

じゃあ行ってくるぜ。
今日はちょっと遅くなるかも知れない。
ほら、このコロナ騒動で自宅勤務の奴が増えてさ。
そんな話にも返事さえ返さず。

オフィスに着いたのは9時5分前。
始業時間目前だというのにだだ広いオフィスは閑散としたまま。
昨日発令された非常事態宣言に準じて、
少しでも風邪の兆候のある者は迷わずに自宅謹慎。
遠方の者はできる限り自宅でリモート勤務を。
どうしてもオフィスに来なければならない者は、
できるだけラッシュの時間を避けて時間差通勤を心がけること。
人混みには近寄らず素手で手すりには触らずボタンも押さず、
出社したらすぐに手を洗いハンドジェルで入念に消毒し・・

手の洗い方からうがいの仕方から、
そのうち、飯の喰い方から尻の拭き方まで言い出すんじゃねえのか。

そんな社内広報にうんざりしているうちに、
ふと目をやった天井近くのブルームバーグのディスプレイ。

なんだあれ、真っ赤・・真っ赤・・真っ赤だな・・
モニターが壊れてるのか?・・

キッチンの前では経理部のジェームスが鼻の先までメガネをずり下げ、
手に持ったマグカップからコーヒーが溢れるに任せたまま、
口をぽっかりと開けては呆然と立ち尽くしている。

なんだよこれ。
この一直線の赤の縦線・・・

おいこれ音は出ないのか?
誰かリモコン持ってこい!

そんな画面に突如、サーキットブレイカーの文字が走る。

サーキットブレイカー?・・・

ウォールストリートのブレーカーが落ちた!?

これ、もしかして、大暴落?
つまりは、ブラックマンデー、
つまりは?・・つまりは、大恐慌の始まり・・!?

終わった・・と呟いた。

世界が、世界が、いま、終わった・・・
これはその瞬間ってやつなんだな・・・

閑散と広がるオフィス、
窓一面に広がった燦々と春の陽に照らされた摩天楼。
そのあまりにもあっけらかんとした朝の風景・・
これが世界の終わりの光景なのか・・
業務開始かたものの15分でパチンとゲームオーバー。
このイカサマスロットマシーン、
その一瞬の間に一体どれだけの銭を飲み込んだのだろう。
ただ・・
随分と呆気なかったよなあ。
おはよう、とクリス。
なんだかいくら待っても電車がこなくて
で漸くやって来た地下鉄がガラガラのもぬけの殻。
回送電車に乗っちゃったかと思って・・
その場違いな明るい声がからんからんと転がるばかり。
なに?なによ、朝から一体どうしたの?
みんな揃ってまるで世界が終わったような顔をして・・

その空白の中に、どうしてだろう、
いきなり思い浮かんだのは、
ジェニファーのおふくろの遺言であった。

齢百歳を越えた老婆が、その涅槃の際の枕元で、
売れ、と言ったのだ。
売れ、すべてのものを売って売って売り払え。
株も債券もともすればゴールドも紙幣さえも信じるな。

信じられるのは、目に見えて、手に触れて、
その口に入るものだけだ。
それ以外はすべて失うことになる。

老婆は夢を見ていたのかもしれない。
1929年の大暴落。
あの時の風景とそしてこの21世紀の現実を混同しては、忘れ去られた悪夢の淵を彷徨っていたのかも知れない。

生前、決して車椅子に乗ろうとしなかった老婆の手を引いて、
犬の散歩がてら川沿いの公園をそぞろ歩き。

このあたりはね、昔フーバーテラスって呼ばれた時代があったんだよ。

フーヴァーテラス?

そう、あの1929年からの大恐慌で、
街中に失業者が溢れては、職も家も失った人々が、
この一帯にバラックを建てては雨風をしのいでいた。
そう、あの見渡す限りのホームレスの収容所。

それを人々は、当時の大統領であったハーバート・フーヴァー、
あの大恐慌の張本人であったフーヴァーへのこれ以上ない皮肉を込めて、
フーヴァー・テラス、つまりはフーヴァーのお作り給うた高級住宅街、
そう、あのゲットーを人々はそう呼んでは嗤っていたものさ。

トランプ、と老婆は言った。
トランプを見ていると、あのフーヴァーを思い出すんだよ。

あの炭鉱夫あがりの山師野郎。あの虚仮威しのコワモテが、あの口先ばかりの軽口が、
そしてなにより、あの見るからに血の巡りの悪そうな馬鹿面が・・
トランプはなにからなにまでが、
あのハーバート・フーヴァーにそっくりなんだよ。

良いかい、トランプを信じちゃいけない。
フーヴァーもそうだった。
アメリカが絶頂期にあったその時代、
夢のような戯言ばかりを並べて大統領になりあがりながら、
奴がその玉座に座った途端に大恐慌。
そしてなんの策もないままに国中が瓦礫と化しては、
国民の25%、4人に一人が失業者なんてことになっても、
なにひとつとしてなんの手も打てないままに、
デモ隊の弾圧ばかりを繰り返したクソ野郎の中の糞野郎。
トランプはね、あのフーヴァーになにからなにまでそっくりなんだよ。

恐慌に備えなさい。
株も債券も、そんな紙ペラはすべて売り払いなさい。
目にみえるもの、その手に触れるもの以外を信じちゃいけないよ。
あのときもそうだった。
自分以外のものを信じた人たちはすべてその川から流された。
忘れてはいけない。
危機の中にあって信じられるのは自分自身だけです。
自分自身以外を信じている人を、信じてはいけません。

でもね、婆さん。
その好き嫌いは別として、トランプが大統領になってから、
ウォールストリートは天井知らずの好景気。
株価は連日うなぎのぼりだぜ。

そんなものがどれだけ上がったって、
それを売らなければ絵に描いた餅。
その強欲が強欲を呼んで強欲ばかりが炎のように立ち上っては、
そしていつか、全てが燃え尽くされて煙と化す。
そう、あのときもそうだった。
誰一人としてそんなことが起こるとは夢にも思っていなかった。
そしてそれが起こった時も、
誰一人としてそんなものがいつまで続くとも思っていなかった。
今日はたまたま運が悪かった。
明日はきっと風向きが変わる筈だ。
みんなそう思いながら、親の形見から服から靴まで売り払って、
そしてほら、そのフーヴァー・テラスの戸口から、
川に身を投げて消えていったのさ。

強欲こそが罪なのだ。
強欲こそが罠なのだ。
その誘惑にひとたび負けたが最後、
それに打ち勝つことができないのが、
人間の「業:カルマ」というものなのだ。

売りなさい。
今のうちに全て売ってしまいなさい。
そしてすべての強欲を水に流してしまいなさい。
さもなくば・・さもなくばいつか必ず、
あなたは一瞬のうちにすべてを失うことになる。



目の前のモニターのニューヨーク株式市場、
株価指数はジェットコースターのような乱高下を続けている。

おい、と妻にメッセージを打った。
念の為、キャッシュ、おろしておいてくれるか?
間髪を入れずに、はい、の返答があった。
ジェニファーのおふくろの話、覚えているか?
なぜ?と妻。
すべて売れって。
いまは時代が違う、と妻。
ただ・・
あなたは黙っていて、と妻。
昨日言っていたのはこのことだったのか?
なにが?
だから、この大暴落。
ねえお願い、と妻。
いま忙しいのよ。悪いけどあなたの相手なんてしている場合じゃないの・・
そして妻からの交信が途絶えた。

ああ、こうしているいまも相場は落ち続けている。
このままどこまで落ち続けるのだろうか。
つまりは強欲という強欲がすべて燃え尽きて、
なにもかもが煙と消えるその時まで・・

居ても立っても居られず、
思わず、あのオタク大魔王に電話を入れた。

なんだよ、と不機嫌な声。
ねえ、なにが起こっているの?
なにがってなにがだよ。
だからこれ。
あ?オペックだよ、と一言。
オペック?
そう、仕掛けたのは露助だ。
露助?露助と中東のオペックが何の関係があるの?
あのなあ、ち絶句するオタク大魔王。
おまえそんなことも知らないでよく生きてられるなあ。
そんなことって。
ウィーンのオペックの会議がバラけた。
石油価格の大バーゲン合戦が始まる。
ってことは、シェールは大暴落だ。
つまりはアメリカの終わり。
アメリカの?終わり?・・・

で?
これで日本は完全に息の根を止められるな。
あのハゲタカどもに骨までしゃぶられることになる。
ってのにさ、はははは、馬鹿だよなこいつら、
今更になってこんなに慌てふためいてさ。
自業自得ってもんだがな。
あんたは大丈夫なの?
なにが?
だって、株が落ちちゃって。
馬鹿馬鹿しい、と一言。
この大暴落はオレに言わせれば予想通りの筋書き通り。
こうなることはまともな人間なら誰でも判っていた。
え?ってことは?
当然だろ。オレはとっくの昔に空売りにシフトしてたからな。
たった15分で一財産だ。
朝から笑いが止まらないよ。
ねえ、もしかしてこれ、大恐慌の・・
ああ、まあその序の口って奴だよな。
ただ慌てるな。まだまだ落ちるぞ、
これはまあ言ってみれば、
世界の終わりの最初の一日目ってところだろ。
この地獄巡り、お楽しみはまだまだこれからだよ。
銀行の取り付け騒ぎとか起きないかな。いまのうちにキャッシュとか・・
はあ?とオタク大魔王。
取り付け騒ぎ?
おまえ、いったいなんの話してるんだよ。
だから・・
さてはお前、かみさんから愛想つかされたんだろ。
なにが?
そんな馬鹿なこと言ってるからかみさんに愛想つかされて、
で、相手にしてもらえないもんだからオレなんかに電話してきて。ったくどこまで情けない男なんだよ。
悔しいが、図星と言えば図星かも。
金のことなら心配すんな。
おまえのかみさんはこんなことはすべてお見通し。
さっきメッセージが来たよ。
え?うちのかみさんから?
そう、始まりましたね、って。
始まりました?
そう、すべて予想通り。すべてお見通し。
やれやれ。
おまえは余計な事は考えずに、
犬の散歩して、ベビーメタルでも追いかけてれば良いんだよ。
お前が望まれているのはそれだけだ。
世界でなにが起きようが俺は俺、なんだろ?
だったらそれを貫けよ。
お前はお前らしく生きろ。
で?
でってなんだよ。
だから、これ、なにが起こってるのかと。
まあ、帰ってかみさんにでも聞いてみるんだな。
まあ、相手にしてもらえるかは知らないが。
ただ、お前が一番聞きたいことだけは言ってやるよ。
大丈夫、心配するな。
お前がたぶん思い描いているであろう
その出来損ないのSFみたいなディストピアのイメージまでには、
まだまだちょっとぐらいは時間が残されている、その筈だから。

ディストピア・・・

あのさ、と思わず。

あのさ、これ、この騒ぎ、
俺、ずっとずっと考えてたんだけどさ・・

虫国中が大移動する旧正月の直前にコロナの騒ぎが始まって、
で、それを隠蔽するうちにウイルスが国中にばら撒かれて、
で、あのカリガリ博士のサンダースがいきなり人気が出て面白がっていたら、
ただ、そのサンダースが本当の本当に民主党候補に?
なんて思った途端に、げげげ・・!
こいつじゃまさか寅吉には勝ち目はねえのは誰もが判ってるし、
ただ、何かの間違いでまさかまさかこんな奴が大統領になったら、
それこそアメリカは大混乱。
なによりこんなキチガイ博士ヅラをあと4年も拝まされるかと思ったら、
なんて思ったとたんにいきなりバイデンが大逆転。
で、このコロナ騒動。
最初のうちは風邪に毛の生えたもの、
とか鼻で嗤っていたその筈が、、
いきなり卓袱台返しの大パニック。
瞬く間に全米でアウトブレイクして非常事態宣言と。
誰がどう考えても寅吉の失策であるのは間違いないのに、
でその尻拭いを押し付けられたマイク・ペンスが
思い切り嫌そうな顔して寅吉を睨め付けて。
つまり、マイク・ペンスは、寅吉のトカゲの尻尾かよ、と。
いやあ、俺さ、ずっと思ってたんだけど、
このコロナ騒動、なんか、胡散臭さ過ぎる、嘘臭過ぎる、
なんか、そう、でっち上げの出来レースの匂いがぷんぷんしててさ。
なんか、最初からずっと、罠だったんじゃねえかって。
最初は、虫国への天罰か天誅か、
なんて思ったりもしてたんだけど、
でも、ほら、その発生源の虫国が、
実は株価はそれほど落っこちなかったし、
で、その影響をもろに受けたのが他ならぬ日本。
ええ、もしかしてこれ、アメリカと虫国がグルになって日韓叩き?
とか思っていたら、なんとなんとここアメリカでそれが大騒ぎになって、
で、この株の大暴落でしょ?
でさ、思ったんだけど、
そう、あの911の時に、
アメリカは、あのテロを知っていながらワザと防がなかったんじゃないか、
なんていうあの根強い陰謀論、
あれと同じことがこのコロナ・ウイルスにも当てはまって、
このコロナを、寅吉は、アメリカは、
それがコロナであることを知っていながら、
ただのインフルだ、問題ない、と喧伝を続けて、
コロナが全米に広がるのを待っていたのかなって。
で、なんのために?と思っていたのがこの株価の大暴落。
あのさ、日本も、そしてアメリカもそうだけど、
アヴェだ寅吉だ、
で、アヴェのミクスだ、寅吉バブルだ、
景気が上がった上向きだ、
とやっているのはキャッチコピーばっかりで、
で、実際にそこで言われていることって株価ばかり。
政府が株屋の手先みたいなことばかりやっていて、
税金絞るだけ絞ってその金みんな株に当てては、
年金までまるまる株に突っ込んじゃって、
で、この騒ぎでしょ?
これまじで日本の人達、
下手すれば命綱の国民年金が一夜にして総溶け祭なんじゃねえのって。
でこのコロナ騒動なんだけどさ。
これ損くってんのって実は日本と姦国ばかりで、
下手したら寅吉と屁垂れとチンペーがグルになって、
日姦かもって植民地化の一大出来レース。
で、多分、アヴェもコイヅミもその一味の小間使いのひとりじゃねって。
だってさ、この痔持ちの奴らのやってること、
口では愛国だ防衛だ拳法快晴だってやりながら、
実際にやってることは郵貯溶かされ年金溶かされてって、
国民の虎の子をみんな金玉サックスにご献上してばかりじゃねって。
で、そのワリを一番被ってるのって、
政府じゃなくてその国民。
で、政府はそんな国民からせっせせっせと税金絞って株に打ち込んで、
儲かれば上前跳ねられてパナマに流されて、
で、今回みたいに損すればさっさと公的資金注入してでまた増税の話。
でそいうことやってる奴ら、
どう考えてもそれ、自国の国民の為なんてこれっぽっちも思ってねえ訳で。
え、だったら誰の為にとか思うとさ。
そう、政治家っていったい誰の為に働いてるわけって・
で、そう思った時、ふと思い出したんだよ。
トランプってさ、もともと、大統領なんかに成りたがってなかったじゃない?
トランプが出馬したのって、ただ共和党の馬鹿どもに暴言吐いてコケにしたかっただけ、
あのブッシュやらあのコークやらにコテンパに赤恥かかせてやればそれで良かっただけなんじゃねって。
だからトランプ、選挙戦の最初の頃は、民主党からのスパイじゃないかって、ずっと言われてたじゃない?
それが、いっときを境に、
つまりは露助からの援助を取り付けた途端に豹変した訳でさ。
寅吉ってさ、元々、アメリカの大統領なんかになりたくなかったんだよ。
だって、アメリカの大統領ってこれだけ仕事やされながら
その給料はそのあたりの中小企業の親父と変わらないぐらいだしさ。
元々ビリオネアーだった寅吉からしたら、
こんなこと普通だったらおかしくてやってられない筈でしょ
そもそも、寅吉って銭儲けだけが楽しみで、
大統領なんてものにそれほど憧れるようなタイプにも見えないしさ。
で、思ったんだけど、寅吉ってさ、アメリカ大統領でありながら、
そんなもの実は最初からどうでもよくて、
ただ、アメリカなんかじゃない、
もっともっと大きなモノの為に働いてるんじゃねえのかなって。
いや、そう言っちゃうとまたどこぞの陰謀論者みたいではあるんだけどさ。
なんだけど、少なくとも寅吉って、
政治家やら大統領やらに成りたかった人じゃないんだよ。
だったらなに、っ思って、
多分それ、王様、なんじゃねえかな、って。
そう、寅吉って、王様になりたかったんだよ。
そう、王:キング、ってやつ。
王って字が付いてりゃ帝王でも、魔王でも、なんでもよくて、
ただただ、王 ってものになりたかったんじゃないのかな、って。
で、ふと思って、昔そういう映画あったよなって。
そう、王になろうとした男:THE MAN WHO WOULD BE KING
あれ、確か、ショーン・コネリーだったよね。
で、そう言えばあの映画ってさ、そのキーになるのって、
ふりー銘村・・・
そう、あの映画って、フリー銘村の奴らの冒険談義、だったんだよなって。
そう言えば、あの原作のキップリングって、ジャングル・ブックの原作者でさ・・
で、そう言えば、こないだの、ジャック・ロンドンの野生の呼び声、
あれ、凄く観たかったのに近所の映画館のやつすぐに打ち切りになっちゃって、
しかもこの時代に、大人一枚26ドルだよ。
なんだよそれって。
映画館、やれDVDだストリーミングだでこれだけやられつくしながら、
ぜんぜん営業努力してねえってか、いったい何考えてんだって。
なんだけど、潰れねえのはどういうわけか、と。
でさ、そう、思ったんだよ。
この映画館っていうビジネスそのものが実は映画の集客の収益の、
なんてことじゃなくて・・・
でさ、それを言ったらこの間行ったあのなんちゃら鮨のちらし寿司、
コロナスペシャルの出血大サービスとか言いながらさ、
そのネタがだよ、ネタがなんだったとおもう?
卵だぜ、たまご。
上に乗ってるの、ほとんどが出汁巻きのたまご焼きでやがってさ。
馬鹿にするのもいい加減にしろってさ、

気がついた時、電話は既に、切れていた・・



という訳で、そう、大切なのはそのリアルな疑似体験、なのである。

最初は面白がっていたあのバーニー・サンダースの大躍進が、
まさか本当にこいつが勝つなんてことになった時、
それを辛辣にシミューレートして初めて、
こりゃやばい!と誰もが気づいた、
そう、バイデンはその一瞬を待っていたのだな、と。

そしていま、このコロナ騒動の中にあって、
いきなりの株価大暴落・・
まさか、本当の本当にこの世界が終わってしまう、
それをわりとリアルにシミュレートしては、

嘘と暴言と妄想とはったりだけで膨らむだけ膨らんだこのアヴェのみくすが寅吉バブルが、
果たしてこのまま行った時、どんな結末が待ち構えているのか、
その深淵の底を覗き込んだような、そのあまりにもリアルな世界の終わりの疑似体験。

その世界の終わりを、本当の本当に望んでいるのがいったい誰なのか・・・

その謎解きの答えを知った時は既に遅く、
世界は正真正銘の地獄を見る、ということなのだ、と。

その派手な立ち振舞いから見かけばかりのコワモテから、
チャーチルというよりは、まさにフーヴァーと瓜四つ、
と言われたドナルド寅吉、
その悪夢の劇場が、ついについにいま、終わりを告げようとしている。

敵対よりは融和
分裂寄りは統合、
孤立よりは融合、
その緩い緩い統率力に秀でた、
つまりは、真の政治家としての手腕に優れた、
バイデンの時代がやってくることになるのかと。

そして、かのオバマ就任のお祝いにとぶちかまされたサブプライムの大暴落。
それと同じくして、バイデン就任と同時に本当の本当にこの寅吉バブルの底が開け、
そしてかのルーズベルトの轍を踏んでは、ニューディール的な保護主義に突き進み、
その流れの先には、つまりは・・・ 世界大戦争・・

すべてがすべて、あの百歳を越えた老婆の涅槃の戯言、
その悪夢の記憶の中に絡め取られていくような気分・・・

このコロナウイルス騒動が収まった、その途端、
もしかして、世界最強のコンピューターウイルスが、
世界津々浦々のネットというネットをデータというデータを完膚なきまでに食いつぶし・・
そんな第二の悪夢の予感をひしひしと感じながら、

進むも地獄退くも地獄、
時代はますますのっぴきならないところに追い詰められていくばかり。

世界を席巻するコロナ災禍の中、
ここニューヨークにも遂に非常事態宣言が発令され、
そして迎えたよく晴れた月曜日の朝、
ウォールストリートが歴史的な大暴落を記録したその日。

そして三つ目の象徴的なニュース。

エクソシストの、メリン神父が死んだ・・・

つまりは、この世界にはもう、悪魔を祓い得る人間が、
ひとりもいなくなってしまった、ということなのか・・

2020年3月9日、
世界の終わりのその最初の日、
その日を象徴するにはあまりにも出来すぎた、
第三の悲報であった。





という訳で、最後の最後になったが、
今はなき恩師から聞いたあの逸話。

かみさんと喧嘩し、歯が傷んで、財布を落とし、
そのうえに、犬のうんこを踏んづけて・・

そんな他愛もない些細な悪いことが、
しかしなんの運命の悪戯か、
それが同時に三つ重なっただけで、
世界が狂ってしまう、そういうことも、あるにはある。
それが、世の中ってものだ・・・

ただ、
その話には実は続きがある。

で、そんな時、いったいどうしたら良いと思う?
そんな時にはな。
そう、そんな時には、宝くじを買うんだよ。

宝くじ?

忘れるなよ。
嫌なことがあったら、腹の立つことがあったら、
つくづくついてないと思った時は、宝くじを買え。

それで、その宝くじ当たったの?

当たるわけないだろ。
宝くじは当たらない。
いや、元々当たるものじゃない。

ただ、そう、嫌なことがあった時、
その悪い気を追い払うため、宝くじを買え。
そうすればすくなくとも、次の当選発表までの間だけは、
なんとなく、幸運を信じていられる、
そんな気にもなるじゃないか。

そう、宝くじはそのためにあるのさ。

自分の運命を上手くハンドルしながら生きることだ。

宿命は変えられないが、運命は変えることができる。

なあ、幸せになれよ。
なにがあっても、なにはなくとも。

お後がよろしいようで



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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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