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コロナの時代の愛 その拾六 ~ コロナの闇の先に浮かぶ誘導灯の明りが・・

Posted by 高見鈴虫 on 07.2020 コロナの時代の愛   0 comments
このコロナの最中、なにかにつけて物言いのキツイお渡世でござる。
かねてよりはなにかにつけて口煩いのはニューヨーカーの特性なれど、
特にここアッパーウエストサイドに多く生息する宇陀屋人、
自分のことを棚に上げてはやれなんだかんだと勝手な文句をつけくさる
そういう不届きな輩が多いのは常々重々承知はしていたそのつもりではあるのだが、
まあそれもこれもその不愉快の輩のほとんどがご老人、
それも御老婆に顕著な特性であり、
つまりは老年期の孤独のそのどん詰まりの末期的状態、
誰からも顧みられず誰からも洟も引っ掛けられず、
他人に文句をつけるぐらいでしか外界との接触のきっかけを掴めない、
逆を言えばそのクレーム癖こそが己の孤独の孤立の隔絶の、
その元凶でありその結果であることは誰の目にも明らかでありながら、
そういう己の手前勝手な標榜癖こそがその孤立の原因だとはどうしても考えに至らあらない、
というのもそれが理屈でも大義でもなくましてや正義などとはほど遠い
解離性障害:ヒステリー発作にも似た性癖、
あるいは典型的な症例であることに間違いはないのであるからして。

そんな孤独という病に犯された老人たちの専売特許であった筈のこの標榜的物言いが、
どういう訳だかこのコロナの最中、
この不穏なパンデミックの波に乗せられるやうに煽られるやうに便乗するかのやうに、
このニューヨークの街中においてものの見事な感染拡大を遂げては、
どこに言っても誰にあっても、文句、文句、文句ばかりの物言いの嵐。
これぞ老人性標榜中傷文句つけ病のパンデミック。

その病原と言えばその感染源と言えばその発症のトリガーがなんだったかなんだったかと言えば、
なにはなくともかねてよりのこのそのそおしゃるでぃすたんしんぐの御触でござる。

他人様と六尺六寸の距離以上近づくことはまかりならん、
その御触を前にして盾にして笠に着ては無様な過剰反応をこいては、
往来のそこかしこで、おひ、おまへ、そこをどけ! 
突如としてすれ違いざまにその罵声を響かせるか、
或いはマスクの奥から邪視を光らせては無言のままにあっちむいてホイ。
あのなは、と。
そのあまりに失礼千万な不遜な仕打ちはなんたることだ。
元より人からあれこれ言われるのがなによりも嫌いなこの性分でござる。
思わず天地がひっくり返りそうな俄な激高に包まれては、
頭に血が上って息が上がっての呼吸困難状態。
あのなあ、他人様にどけ、と言ふ前に、
なにゆえに自らが三歩下がって他人様の影を踏まず、
その気配りが心使いがなされないのか、と。
思わず殺意さえも憶えながらそっちがそうならこっちだってこうだ。
007どくのはおまへだ、とばかりに有無を言わさずガチンコのボディスラムをぶちかまし・・
とやりたいのはまうんてんまうんてんなれど、
そう、普段からの拙者であれば、それこそが専売特許。
拙者はひとに道を譲らない。
譲ったら負けと片意地を張るつもりは更々あらないが、
物心ついた時からそうとは知らぬうちに
いつのまにやら愚連集団の片割れへと誘いこまれていた拙者としては、
その生い立ちにおいてもその後の行く末においても、
それは無意識の内に無自覚のうちにこの世における当然の自然の摂理の一環として、
往来で自分からわざわざ他人様に道を譲ったという記憶があまりあらない。
それは我らの益荒男ぶりがあまりに猛々しかったからでもなんでもあらなく、
ただ単にバカに関わり合っての余計な面倒は御免蒙る
そんな普通の普通人の万事無難な事なかれ主義的常識的判断の聡明な処世術の賜物。
そんなお利口さん達の中にあって、
おいおい頼みもしないのに皆様が勝手にお道をお避けになられて頂いているぞ。
俺たちはモーゼか空海かサンダーバードか!
そんな戯事が実は、ブタは煽てて木に登らせておけば祟りなし、
その普通人の普通の常識的な処世術の深き慈悲の御心の為せる技。
まあ良い、それならそれでも別に良い。
まあその理由はどうあれその本心がどうあれ
人にわざわざ道を譲らずに済むのであればそれはそれで面倒靴下臭くなくて良いかもね。
そんなことから拙者は新宿でも渋谷でも下北沢でもそしてここ紐育の地におひても、
いまさら往来で道を譲るのもしゃらくさいとばかりに、
嘗てから知ったその性癖をその流儀をそのご作法を、
この紐育の地においても勝手の勝手に貫かせて頂いていた訳なのではごじゃるが、
果たしてこのコロナの災禍の最中にあつて、
いきなり道行く人のそのどれもこれもが007どくのはオマエだ、の超強気モード。
改めて、と言っちゃ何だが無法者の無法者による無法者流儀としての
その最低限のケジメについて薀蓄を並べさせて頂ければ、
強気をくじき弱気を助けるのは無法者が無法者でありながら悪者には非ぬその最後の土壇場。
その往来において顎を上げ胸を張り肩で風を切っては決して道を譲らないその無法者風情が、
だがしかし、こと、ジャリん子と、ワンちゃんと、せっせっせのヨイヨイヨイ、
この三つのあんたっちゃぶるな絶対弱者に対してだけは、
自ら率先して道を譲って初めての無頼のケジメ。
ともすれば、重いものを持つひと、怪我をしているひと、見るからに頭の逝ってるひと、
それに関しても、同胞の好の紳士、ならぬ無法者協定。
すれ違いざまにさり気なくも視線と視線を合わせながら、
兄弟、悪いな、お互い様だぜ、べいびい、
その最低限のケジメだけは忘れたことはあらなかった、
その筈ではあつたのだが・・

そしていきなり呼ばれて飛び出てのこのこのコロナの大騒動。
国家非常事態宣言のロックアウトのそおしゃるでぃすたんしんぐの仁義なき巷。
予てよりのこの親不知子不知の断末魔の中にあって、
そんな往来における最低限のルールそのものが瓦解してはなし崩しの憂世。
道行く人々のそのどれもこれもがマスクの奥に陰気な目を光らせては
世界の全てを監視して監視して監視し尽くす風紀委員の秘密警察気取り。
突如として無言の儘に他人様の鼻先に人差し指などを翳しては、
おひ、おまえ、そこをどけ、と、←か→か↑か↓かのあっちむいてホイ。
あのなは、おまへは、王様か、天皇か、貧乏大臣総理大臣か、
果ては米国大統領閣下か、あるいは多分はサーカスの猛獣使いのつもりなのか。
その正論テロリスト然としたこのひとを人とも思わぬやうな
そのあまりにも不遜且つ横暴な立ち振舞を前にしては、
この不届き者が、このBCGの刻印が目に入らぬか、
ひとを人とも思えぬてめえらは人間じゃあねえ。
叩き切ってやるからそう思え、とやってしまいそうなところを、
いやいやいやいや、
いやいやいやいやいやいや、
いやいやいやいやいやいやいやいや、
あんたのレコードみぞがへんだよ、
そうそうそうそう、そうなのであつたが、
つまりはそうこのあまりにもやんごとなき遣る瀬無くも腹立たしいその心持ち。
この手に剣があればすれ違いざまに有無を言わさず一刀両断。
いやいやそれは銃刀法違反で持っているだけでもいきなりのお縄で、
と言うのであれば、
であれば金属バットがあれば金属バットで、鉄パイプがあれば鉄パイプで、
鶴橋があればそのツルハシを以て串刺しにしてやりたいところを、
うーん、むっしゅむらむらと、満身の力でその激情を捻じ曲げながら、
気にしない気にしないなぁんちゃって。
その満身の力を込めては凍りついた頬を歪めては醒めた笑いなどを浮かべては、
君子、危うきコロナ脳には近寄らず、
その鉄則を貫いては、ふと見ればその足元。
同じ様に、グルグルと喉を鳴らしては牙を剥き、
いまにもその不届き者の足元のズボンの裾をば食い千切らんと身構える、
このあまりにも似た者同士の兄弟仁義の我が心の鑑のその愛しき相棒を、
おい、いいからいいから、放っとけそんなバカは。

だがしかし、と改めて思ふ。
拙者は生まれてこの方、君子でも賢者でもあったつもりもなく、
そんなものに成り下がる気も更々無い筈のパンク一徹。
そんな拙者の唯一の特権であったところの007どくのはおまえだ、
その専売特許の、おららそこのけのけのロッキンロール、
その伝家のパララパララの宝刀をも封じられては唖然呆然のままに、
こやつら、完全に逝っておる、その認識を新たにするコロナの春なのでござる。








改めてこの不穏な狂気に包まれたコロナの春のニューヨーク・シティ。
誰も彼もが殺気立ってはカリカリ苛々ピリピリギスギス、
どいつもこいつも狂犬病さながらに熱り立っては、
それはまるで全日本ツッパリ・オリンピックの巷であった新宿コマ劇裏通り、
タイマン上等の一触即発のガラスの街の黒く塗りつぶせ。
判る、その気持は判る、その苛立ちは痛いほど判る。
なによりこの俺様、
幼少の頃より、往来において道を譲ったことがあらない、
100マイルを越すスピードで暴走滑走する単車のケツで居眠りをこいては、
ドスを抜いたヤンコロを前に大あくびをしては目糞鼻くそをほじり、
一世一代の大ステージ、数万人、にはちょっと劣るが数千人ぐらいを前にした
真夏の海水浴場の納涼盆踊り大会のその脇の駐車場の端の特設ステージの上で、
事もあろうにさっきまでの控室代わりのバンドワゴンのマジックミラー号の中でのちょめちょめの、
その続きの延長線の顛末のスケベな妄想に耽っては居ても立っても居られずに、
肝心の構成の曲順のそのキュー出しのカウントのすべてをかっ飛ばしては突如のドラムソロ、
なんてしていたこの鋼鉄の無神経男、であった筈がその筈が、
そんな遊蕩無頼の徒のその筆頭の典型なんて輩でさえもが、
まさかまさかのパニック発作に襲われるこの末世の底。
この陰鬱、この切迫、このどん詰まりの、絶体絶命感がハンバではなく。

改めてこの時間の凍りついたコロナの世界。
街中がウイルスのペンキ塗りたての窒息状態の中にあって、
こうするいまも、無人の大通りを不穏なサイレンを響かせて走り抜ける救急車。
嗚呼、いまこうしてこんな駄文を綴るこの瞬間にも、
この窓に広がる摩天楼の星屑のそのどこがでどれかでこの中のその奥で、
高熱に魘さ荒い呼吸に身を波打たせながら、
そして誰にも看取られることなく孤独に息を引き取ろうとする人々が居るに違いない。
そしてこの深夜の帳の沈黙の底。
このなにもかもがコロナの恐怖に怯えきった摩天楼の渓谷に
ファック!ファック!ファック!ファック!
バカヤロウこの野郎やるのかテメエこの野郎バカヤロウ。
正気を失った泥酔者の絶叫が、狂気を孕んでは響き渡るばかり。
狂っている、なにもかもが、本気の本気で狂い始めているこの密封状態。
突如として響き渡るパーン!そのバックファイアーであろう破裂音に、
まさか・・ 思わず絶句しては身を固くしては息を顰めるばかり。
この街中をすっぽりと覆い尽くした重苦しい空気、
それは紛れもなく死の予感、その不吉な重圧に他ならず。
この一ヶ月の間にここニューヨーク市だけで、
二万人にも及ぶ人々が一瞬のうちに生命を奪われては、
病院の簡易ベッドにその地下の霊安室にそして裏口に並んだ冷凍車のトラックに、
行く宛もないままに積み上げられたボディバッグの山。
この摩天楼の渓谷を包み込んだ重い沈黙こそは、
それは紛れもない恐怖の戦慄。それは紛れもない死の匂い。
それは紛れもない、狂気の予感、そのもの。
通常の人間であれば、それが普通の神経の持ち主であれば、
ちょっと身が持たない、正気が保てない、
いまにも気がおかしくなりそうなのは当然のこと。
このあまりも切羽詰まった断末魔の崖っぷちの中にあって、
ともすれば重度の鬱状態に陥ってはパニック発作。
強迫性障害から統合失調症から解離性障害の発作を併発しては、
あわや自己崩壊の狂気の淵。

それに加えて、この深刻な二次災害である。
つまりはこのコロナのロックダウンによって全米の陥った凍結処置。
この一ヶ月の間になんとなんと全米で三千万人もの人々が一挙に職を失っては、
明日をも知れぬ身空の中で身動きの一つも許されぬままに、
焦燥の炎に焼かれてはスローローストの蒸し焼き状態。
家賃をローンを抱えたままに会社を解雇されあれよあれよと蓄えが底を尽き、
日々の食料にさえ難儀しては雀の涙の援助金を待つばかりの日々。
その明日をも知れぬ身空、どころか、
現実問題として実際に宿無しホームレスがすでに目前に・・
ともすれば現実に迫りつつある飢えの恐怖にうち震える人々にとっては、
この焦燥の、この怒りの、この不条理の、この絶望の、この悲しみの、
その捌け口を求めては、溺れる者は藁をも掴む、
目に映る何かに付けて遮二無二我武者羅に、
しがみついては、噛みつきたくなる、そんな気持ちも判らないではあらない。

そう、嘗ての失業時代の俺がそうであった。
富める者貧しき者、持てる者と持たざる者、ついている奴と運に見放された奴、
そのあまりに残酷な不平等社会。
それを既に手に入れている者にとっては、
何の不思議もなく当たり前に享受しているその特権が、
ひとたびそれを失ってしまった者にとっては、
なぜなぜなぜ!?何故に俺ばかりがこんな不運に見舞われなければならあらないのか。
この世界、なにかがすべて、根本的におかしい。
このあまりの不条理、このあまりの不均衡、このあまりの不平等。
邪悪な悪意に満ちた陰謀の渦巻くディストピア。
世界のすべてをそう捉えてしまう、というのも判らないではあらない。

そう、このコロナの災禍の中にあって、
日夜、感染の恐怖に怯えながら、
それと同時に、失業から、破綻から破産からそして飢餓。
その絶体絶命の窮地に追い詰められては針の筵。
目に映るすべてのものが嫌悪と憎悪の対象にしか成りえない、
そんな狂気の縁にぶら下がる人々がいまこの瞬間でも三千万人にも及ぶのである。

世を儚んではいっそのこと一思いに、
それでもなければ、誰でも良い、この世の誰かを道連れに、
少なくともこの時点でも三千万人の人々が、
そんな狂気の錯乱状態に追い詰められていると思って間違いはあらない。



改めて、このコロナのロックダウンの非常事態下にあって、
最大の敵とは「恐怖」である。
感染への恐怖。死への恐怖。
そして失業へから破産から、そして迫りつつある飢餓への恐怖。
そのすべての恐怖に追い詰められては心の余裕の一切を失っては陥るパニック発作。
このニューヨーク・シティの街中に、そんな断末魔のパニックに張りつめた狂気が、
咽ぶほどに視界が霞むほどに、色濃く色濃く、立ち込めているのである。

そしてこのコロナの街の空っぽの世界の中にあって、
幽閉された密室から居たたまれずに這い出してきた発狂寸前の毒虫たち。
マスクに覆われた陰惨な邪視を光らせながら、
誰かに誰かに誰かに、この不幸をこの悲嘆をこの絶望を、
この発狂寸前なまでの苛立ちのすべてを、
これでもかとぶちまけてやりたい・・
そんな狂気の海にいまにも溺死寸前の断末魔。

おい、と、声が響く。
おい、そこをどけ。
おい、そんなところで、犬に小便をさせるな。
おい、そこは立入禁止の筈だろう。
おい、おいおい、なにか言ったらどうだ。
それはまさに、民意の上での注意勧告というよりは、発狂者の金切り声に他ならず。

ああ、判った判った、とその怒気を逆手にとっては、
そこのけと言えばそれはまさしくそこのけロックンロール。
♫ おららそこのけのけ ♫ 
♫ おららそこのけのけ ♫ 
♫ おららそこのけのけ ♫ 
ツイストのステップなんぞをあわせては、
余裕のヨの字でやり過ごしたその背後から、
尚をも食い下がっては追いすがっては、

おい、なにか言え、なにか言ったらどうだ。
てめえこのやろう、オレを馬鹿にしているのか?

普段であれば、何だよこのやろう、とばかりに、
逆ににじり寄ってはガムをくちゃくちゃとやりながらこれでもかと顔を寄せ、
おもしれえ、言いたいことを聞いてやるからツラを貸しな。
ただ、言っておくがこの俺は、あんたのその顎を一瞬で砕くことができる。
あんたのその膝を一撃でへし折ることができる。
あんたのその頭蓋骨でさえ砕いてしまうこともできる、
拙者がそういう北斗の拳野郎であることを知った上での狼藉なのであろうな?

ここだけの話それはもちろん嘘である。
はったりである。ブラフである。HOAXである。
その気になればそんなこともできるかも知れないが、
見ず知らずの犬の糞風情を相手にわざわざそんなことやるほど暇でも酔狂でもあらない。
だたそんな理不尽な狂気を前にしたとき、
説得を試みようとすればするほど、逃げれば逃げるほど、大人の顔をすればするほど、
ともすれば、こっちが正気でいれば居るほどに、
狂人はつけあがる、つけこむ、そして尚のことに追いすがって来る。
狂気を前にして必要なのはその気合い強気の上での狂気の上を行く狂気。
そう、狂人に立ち向かうためにはその狂気の上を行くエクストリームな最凶狂気こそが唯一絶対の武器。
つまりはそう、殺意、という奴。
嘗てのあの全日本ツッパリ・オリンピックの巷であった新宿コマ劇裏の狂犬病感染少年群から、
そしてその後の旅の途中、
インドのパキの中東諸国のそしてアフリカの中南米の、
精神病者たちが野良犬のように打ち捨てられた発展途上国の街々で、
ふとしたことではっと出くわすこの正真正銘に完全に逝ってしまった末期精神病患者の狂人たち。
人間と言うよりは野獣に近く、
生物といよりは妖怪に限りなく近いその半人半獣のグロテスクな様を前に、
全身に鳥肌を立てては立ち竦んでしまっては邪悪の思う壺。
そんな狂人に立ち向かうためには、
その原初的生存本能の根底を揺るがせてやることなのだ。
ずれた視線と鼻から口から耳の穴から訳のわからない腐汁を滴らせながら、
疥癬に覆われた身体中から気の遠くなるような悪臭を漂わせた妖怪たち。
その姿を前にして、たじろぐどころか薄笑いを浮かべては、
わかったわかった、だったらちょっと待っててな。
鼻歌でも歌いながら首を回し肩を回し腕を回し指を鳴らしては
そしてその拳にスカーフを巻きつけながら、はい、お待たせ!
てめえ、このキチガイ、ちょうどよい暇つぶしにいたぶり殺してやるからそう思え。
本気の本気でその狂人の狂気を凌駕する殺意を感じた時、
人よりも野獣に近い狂人達は、その半人半獣の野生の自己防衛本能を前にして、
ひぃ、と悲鳴を上げてはキャイ~ンキャイ~ン、
地平線の彼方へと逃げ去っていくもの、なのでござる。
すべての狂人を見たらサンドバッグと思え。
それこそが狂気の巷を生き抜く上での極意、なのでござる、と。

だがしかし・・・
そんな安易な方法論が見事な瓦解をみたこのコロナの巷。
これまで全日本ツッパリ・オリンピックと謳われたあの新宿コマ劇裏通りの狂犬病感染少年群から、
そして世界の都市のゴミ捨て場、
そのゲトーの底の底の仁義なき無法地帯を生き抜いてきたこの鋼鉄の方法論が、
しかし、このコロナの占領下、
現代史上、人類の誰一人として経験したことのないこの未曾有の非常事態の中にあって、
その狂気を凌駕するべき狂気、その闇が、その深さが、その濃度が、その威力が、
あまりにも濃すぎる深すぎる強すぎる狂いすぎている。
つまりは、こいつらの持つ狂気以上の狂気を、
俺では凌駕できない、乗り越えられない、作り出せない、そこまでには至られない。

このコロナの狂気こそはまさに人類史上誰も経験したことのなかった最強最凶の狂気の沙汰。

こいつら、このコロナ脳の亡者たち。
本気の本気で、完全なまでに、出来上がっちまってるんじゃねえのか・・

道をすれ違う通行人が、
走り去るジョガーが、背後から音もなく走り寄るサイクラーが、
所構わず、辺り構わず、誰彼かまわず、形振り構わず
おい、そこをどけ、
そのガン付けアヤ付けの因縁祭りの花盛り。
ソーシャルディスタンシングを言い訳にしては、
その社会正義を建前にしては、
不遜に横暴にこれ以上なく投げやりに、
その手前勝手な社会正義をぶちまける様。

おい、ソーシャルディスタンシングだ、そこをどけ!

そこには心の余裕も、大人としての理知も、常識人としての配慮も、
微塵さえも見当たらない、社会正義を建前にした極限的な悪意の石礫。

改めて思う、どうした?どうしたんだニューヨーカー。
俺たちのあの底抜けの人懐っこさは、鋼の知性は理性はその洒落心は、
いったいどこに行ってしまったのか。
これじゃあまったく、あの全日本ツッパリ・オリンピックの歌舞伎町、
ともすればあの無法者治安警察:サヴァックの跋扈する戦時下のテ屁ラン、
それでもなければ、あの、解放直後の大混乱期の、
あの無敵の暴力集団:虫国公安警察、
あの恐怖政治の象徴たる殺人愚連隊そのものじゃねえかよ・・

このコロナの春のニューヨーク、
そこはまさに、恐怖の支配する暗黒社会・・
監視が監視を生み、秘密警察の隠密刺客が跋扈する、
暗黒未来世界のディストピアそのもの。

これは明らかに危険信号である。
これは明らかに爆発寸前のレッドアラームである。

それが証拠に、ほら、聞こえるだろう、窓の外。

いまもこうしているその時に、
窓の向こうの、静まり返った時間の消えた摩天楼の渓谷に響き渡る、
不穏な、不吉な、怒鳴り声。

ファック、ファック、ファッキン・シット!

多分また、と、思う。
多分また、通行人同士の悪意の鞘当。

おい、そこをどけ。
うるせえ、どけと言う前にオマエがどけ。
なんだと、人に指図をするな。
そういうオマエがなぜ黙らないんだ。
ぶっ殺すぞこの野郎。
やれるもんなら演ってみろこの野郎。

道をすれ違う、ただそれだけのことで、
不機嫌が不機嫌を増幅させ、不愉快が不愉快を掻き立て、
そして怒りが怒りを呼び、苛立ちが苛立ちに爪を立て、
それが狂気となっては殺意にまでも昇華する。
その不穏なエスカレーションの様が、
こうしているいまも、窓の外に次から次へと響き渡っているのである。

夜更けの寝静まった街に、ファック! 
突如として響き渡る明らかに正気を失った泥酔者の罵声。

ファック! ファック! ファック! 
糞ったれこの野郎、死ね死ね、みんな死ね。

このすべての不幸が、チャイニーズ!と酔っぱらいが叫ぶ。

チャイニーズだ、チャイニーズがヤリやがったんだ。
チャイニーズをぶっ殺せ、チャイニーズをぶっ殺せ、チャイニーズをぶっ殺せ。

なんなのあれ、と妻が窓辺に身を寄せる。
おい、いいから放っておけ。どうせホームレスの酔っ払いだろ。
だって、と妻。
だって、ブーくんの散歩の時にあんな人が居たら・・
大丈夫だよ、その時には、

と返したその途端、突如として、パーン! 
唐突に響き渡る軽やかな爆音。

なに、なに、なんなの?
なんだよ、大丈夫だよ、ただのバックファイアーだろ。
なにそれ、バックファイアーって。
だからあのハーレーの兄ちゃんたちの、
不完全燃焼のガスがマフラーの中で暴発しているだけの話だろ。
オートバイ?オートバイの音なの?
多分な。少なくとも銃声の音じゃない。俺はそう思う、そう願っている・・

そしてまた壁の向こうから、飽きもせず繰り替えされる老夫婦の罵声の金切り声。

死ね死ね死ね、あんたなんて死んでしまえ。
うるせえ、死ね死ね死ね、オマエなど死んでしまえ。

あのなあ、と。
死にたければ勝手に死ね。
そんなにご大層にギャーギャーと騒ぎ立てずとも、
マスクも手袋も外して地下鉄に乗るだけでコロナで簡単にお陀仏だ。
だがしかし、だがしかし、お願いだからこのアパートでそれをやってくれるな。
このコロナの災禍を、これ以上ぶちまけるような愚行だけは謹んでくれ。
あんたの愚行はあんただけの愚行では済まない。
あんたの狂気は、あんただけの狂気では済んでくれないのだ。

頼むから、と思っている。
頼むから、その愚行に俺を巻き込むな。
頼むから、その不幸に俺を巻き込むな。
頼むから、その狂気の矛先を俺に向けないでくれ・・・

そして午前二時の不穏な沈黙の底、
そして救急車のサイレンが、そして泥酔者の罵声が、
そして、パーン! そのバックファイアーの破裂音が、
突如として摩天楼の渓谷にこれでもかと響き渡るのである・・

果たして、と思う。
果たして、ニューヨーカーは、この極限状態を、
どうやって生き延びようというのだろう。
果たして、この戦いに終わりはあるのだろうか。
果たして、この地獄の矛先はどこに転がっていくのだろうか。
その落とし所が、その決着が、見えない、あまりにも見えな過ぎる。

とそんな時、その不吉な未来を予言するかのように、
ちょっとしたアクシデントに見舞われることになった。







それは午前8時のセントラルパーク。
このコロナの凍結状態に、観光客の姿も、そして街を覆ったスモッグも、
なにもかもが洗い流された目を瞠るような青空の下、
いつものように繰り出した犬の散歩の途中、
普段から仲良しの散歩仲間の集合場所となった丘の上に、
ふと見れば、あまりにも場違いな人影がふたつ。

新芽の生え揃ったばかりの緑の芝生の上を、
なにを思ってか、白地にピンクの水玉模様のサーキュラースカートに、
ロングの髪を頂点を結んだポニーテールの若い女が、
レンタルサイクルを乗り回しては芝居染みた高笑い。
そしてそんなこの世のものとも思えないシュールリアリスティックな光景を、
手元のIPHONEで撮影するこの男。
長めの髪をテカテカのリーゼントにまとめては、
レイバンのミラーのグラサンに、純白の特攻服風ジャンプスーツの襟を立てては肩に羽織ったライダースの革ジャン。

な、な、なんじゃこいつらは・・
お前ら、このコロナの災禍の非常事態宣言下に、
なにを間違えてか時代を飛び越えて出現した、
戸塚銀縄、そのつもりなのかよ、おいおいおい・・

そのあまりに倒錯した美的感覚を前にして、
思わず言葉を失っては、やばい、とすぐに押し止める我が猛犬。
グルグルグル、てめえ、このクソダサ坊のキチガイ猿やろう、
何の許しもなくオレ様の遊び場で目障りな自転車なんて乗り回しやがって。
その怒りに我を忘れてはいまにも手綱を引きちぎりそうな完全なる臨戦体制。

ねえ、なによ、あの人たち、と我妻。
なにを考えて、この生え揃ったばかりの芝の上で、
自転車なんて乗り回しているの。

とした途端、オンオンオンオン!
突如として火の出るような吠え声を響かせる我が犬。
やばい、やばい、こいつまじでヤバい。
こいつら、まじでなんとかしないと、それはまさに殺戮の巷。
この犬、この天下無双の馬鹿犬の中の馬鹿犬。
いままで、何度と無くこの丘の上に迷い込んだ事情を知らない観光客、
お調子こいては自転車を乗り回すその不届き者めがけて、
一瞬のうちに制止も聞かずに矢のように飛びかかっては襲いかかり、
ものの五秒もしないうちにそしてズボンはボロボロ、
靴は脱げ、自転車は弾け飛び、そしてふと気づけばその足首に空いた2つの穴。
タラーリタラリとガマの油の血の雫を滲ませながら、
あまりの恐怖に声を失ってはアワワアワワと震えるばかり。
ようやく気を取り直した片割れの男が金切り声を上げる。
いったいどうしてくれるんだ、警察を呼ぶぞ。
バカヤロウ、こんなところで自転車に乗ったオマエが悪いんだ。じゃな。
ちょっと待て、おい、ちょっと待て、名前と連絡先の住所を言え。
姓は天才、名はバカボン、電話は、4126 ヨイフロだ、憶えとけ。
おい、ちょっと待て、おい、おい、おい。
バカヤロウ、なにやってんだ、早くずらかるんだよ・・

これまでそんな不愉快な悶着になんど巻き込まれたことだろう。

ねえねえ、ブーくんを停めて。あんたやめなさい、と断末魔の妻。
止めろって言ったって、おい、オマエ、だからやめろって。
いいから、あんなバカな観光客は放っておけば良いんだよ。

ねえ、と妻が悲鳴混じりの声を上げる。
ねえ、あの人達、いったいなんなの?
こんな時に、こんな時間に、こんなところで、
マスクもせずに、いったいなにをしているの?

だから、観光客だろ?
観光客?このコロナのロックダウンの中で?
だって、見ろよ、あれ、あの、あの格好・・

それは、見るからに虫国人。
その、時代錯誤も甚だしいとってつけたような無法者スタイル。
こいつら、まるでまるっきり、昭和の時代の日活映画、
あるいはそう、あの懐かしのツッパリ・オリンピック、
あの狂犬病感染少年団の姿、戸塚銀縄、そのままじゃねえか・・

虫国人?
たぶんな。それ以外には考えられあらない。
虫国人がいったいなにをしてるの?
観光客だろ。いま彼の地では大型連休中らしいし。
まさか、空港は閉鎖されているんじゃなかったの?
さあ、知ったことかよ、と。
いずれにしろ、なんだよこいつら、
このあまりにも時代を間違えたみっともない奴等は、と。

とその唖然呆然の隙きをついて、
おっと、と飛び出しかけた犬を寸手のところで押し止める。

見るな、あんな奴らは見るな、気にするな。
いないいない、あんな奴等はこの世界には存在しない・・

あの、すみません、と妻。
あの、すみません、ここ、自転車の乗り入れは禁止されているんですけど。

英語が通じないのだろう、そんな妻の声を気にも停めず、
好き放題に自転車を乗り回す女と、
そんな女にこれまた遅れて来た戸塚銀縄、
ご機嫌に手を振るレイバンのあんちゃん。

おい、と思わず声をかける。

おいバカヤロウじゃなかった、あの、すみませんが、
ここは精神病院ではありません。
そして自転車の乗り入れは禁止されていてですねえ・・

精一杯の大人の顔で、そう告げてみれば、

うるさい、と虫国訛りそのもので怒鳴り返す。

うるさい?なんだよこいつ、英語喋るのかよ、と。

あのなあ、兄ちゃん、悪いけど、ここは自転車禁止なんだよ。

うるせえ、知ったことじゃない、とレイバン。

あのすみません、と妻。
ここ本当に自転車禁止で、そしてこの犬が、
ほら、こんなに暴れちゃって。

告訴するぞ、とレイバン。
判ってるだろうな、その犬がなんかしたら、すぐに警察を呼ぶからな。

おい、と妻を振り返る。
おいおい、このキチガイ、英語を喋るじゃねえか。

知らないわよ、と妻。なんなのこのひとたち。

おい、他人にどうのこうの文句をつけるぐらいなら、
お前らこそさっさとその馬鹿犬を連れてどこかに行ったらどうだ?

さっさとって、ここは犬の散歩の丘なのよ。

そんな狂犬の放し飼いが許される訳ないだろう。
ガタガタ言わずに早く綱をつけてさっさと消え失せろ。

悪いけどこの公園は九時まではオフリーシュが許されているのよ。
法律違反はあなたちのほう。
車道を除いて公園内では自転車の乗り入れは禁止されているの。
それに、なんでわざわざこの綺麗な芝の上を、
自転車で走り回らなくっちゃいけないの?
いったいなにを考えているの?
この場所は、この公園は、この芝は、
私達ニューヨーカーにとってはかけがえのない大切な場所なのよ。

うるせえ、とレイバン。
がたがた抜かすな。やるならやるぞ。どうだ、やるか、おい、やるのかコラ。

何だよこのバカ、まるで狂犬病そのものじゃねえか。

そのあまりに無邪気な傍若無人さを前に、思わず血がすっと降りた。
タイマンか?おもしれえじゃねえか。
すっと世界の音が掻き消えて、そしてそのミラーのレイバンの奥から、
薄ら笑いを浮かべるその表情が透けて見えた。

こいつ舐めやがって。
だったらお望み通りに屠殺処分の害虫駆除。
ぐちゃぐちゃにぶっ殺してやろうじゃねえか・・

ただ、その狂人的チャイニーズのこの妙な余裕を前に、
実はちょっと以外な気がした。
この雰囲気、少なくともこのあまりに間違えぬいたこのスタイル、
これはみるからに常人のものではない。
だがしかし、チンピラというともちょっと違う。
チンピラにしては殺気が無さすぎる。
あるいはそのセンスが悪すぎる。
であれば、兵隊か、と言えどもそうでもなさげだ。
兵隊は無駄な啖呵など叩かない。
兵隊であれば危機が迫ったが最後、
反射的に相手の息の根を止めている筈だ。
ただ、こいつ、この幼気にも横暴な態度。
こいつはこんな暴力沙汰に慣れている。
慣れていながらタイマンを前にしてガードをしていない。身構えてさえ居ない。
つまりは?
つまりは、こいつは徹底的に喧嘩が弱い。
弱いのでありながら、しかしこの一触即発の場面を前にしながら、
もしかして次の瞬間にいきなりその自慢のレイバンに鉄拳がめり込んでいる、
その事態に向けての準備がまったくできていない。想像だにしていない。
こいつはこれだけでかいツラを晒しながら、
自分がやられたことがない、そんなことは露にも思っていない、
つまりはアンタッチャブルな無法者気取り。
つまりは?
こいつ、もしかして、徹底的にマンガの世界の知恵足らずのバカ。
そうでもなければ・・ 
あの虫国における無敵の無法者集団、
あの、公安警察くずれ ってことなのか?
まさか・・

確かに憶えがある。
あの虫国において、せせら笑いながら少数民族を嬲り殺しにしていた、
あの狂気の暴力集団、公安警察の愚連隊ども。
このヒトを人とも思わぬ徹底的に世界を見下した不遜な態度。
なにがあっても絶対に自分自身には被害が及ばない、
その徹底的なまでの身分格差にこれでもかとあぐらをかいた、
この徹底的なまでに人間の平等を嘲笑った独善の塊。
その徹底的に不遜な態度は、紛れもなくあの虫国の匂いだった。
この時代のトレンドを徹底的に踏み外した、
この摩訶不思議なあまりにも謎に包まれたファッションセンス。
そしてこの、ヒトをひととも思わず、人間の生命が限りなく軽んじられる、
あの密室国家、あの全体主義の極みとなる、あの恐怖政治の暗黒大陸の、
その狂気の独善に満ちたあの匂い・・

なんだよ、やるのかこら、と顎をしゃくる、
そのあまりにも能天気な戸塚銀縄風情。
こいつ、このコロナの巷の中で、
いったい、なにを考えているのか・・

こいつら、いまニューヨークでいったいなにが起こっているのか、
この街に暮らす人々が、いったいどんな心境で暮らしているのか、
そのすべてに、手鼻をかんでは、知ったことじゃねえとふんぞり返る、
そのあまりの無知さ、無神経さ、その民度の低さ、そのあまりのすれ違い・・

そのレイバン野郎の無様なドヤ顔、
その時代錯誤の益荒男振りを前にして、
こいつ、とふと思っていた。
そう、あの暗黒大陸を旅しながら、
なんどその言葉を呟いただろう。

こいつ、このクソダサい公安野郎ども、
本当の本気で、ぐちゃぐちゃのミンチにして魚の餌にしてやりたい・・

思わず誘われてフラメンコ、
ははは、こいつ面白い兄ちゃんだな、と。

その笑いを聞いて、事態に感づいた妻が悲鳴を上げた。

ねえやめて、と妻。ねえ、勘弁してよ。
こんなヒトたちに関わらないで。
キチガイよ、このひとたち、ただのキチガイ・・

おい、やるのかコラ、となおも顎を突き出すレイバン野郎。

ああ、と思わず。ああ、これがコロナの渦中でなければ、
あるいは、ここがニューヨークでなければ、
ああ、こんな世界に法律なんてものがなければ、
金属バットがあれば金属バットで、
鉄パイプがあれば鉄パイプで、ツルハシがあればツルハシで、
いや、こんな人類のゴミクズ野郎にそんな仰々しいものなど必要ない。
判った、じゃあ兄ちゃん、悪いがちょっとまっててな、
と愛想笑いを浮かべては鼻歌なんぞを唄いながら、
タオルに敷石を包んではキュッキュッキュと結んで開いて。
はい、お待たせ、そらよ、カーン、とばかりに、
その脳天めがけて振り下ろす即席ブラックジャック。

その光景がありありと浮かんでは、
ああ、それができたら、どんなに面白かっただろうに・・
思わずその不穏な予感に醒めた笑いがこみ上げてくる。

ああ神様、もし許されるのなら、
俺は、こいつ、こいつを、こいつを、ぶっ殺したい・・
こいつの、この勘違いの独善の象徴するそのすべてを、
木っ端微塵になるまで叩き潰してしまいたい。
それは、紛れもない殺意であった。
俺はダサい野郎が嫌いだ。俺は醜いものがなにより嫌いなのだ。
消したい。こいつらを消したい。消してしまいたい。
そして俺は、もしもそれが許されるのなら、
顔色一つ変えずに、どころか、一種の快感さえ憶えながら、
どんな方法を使ってでも、その欲望を完遂していた筈だ。

だがしかし、と思っていた。
だがしかし、そう、俺が思っていたのはコロナのこと。
敵はこんな薄らみっともないパープー野郎などではない。
いま警戒せねばならないその最強最凶の敵とは、
コロナウイルス、そう、コロナの病魔なのである。
こんなクソのような屑野郎からコロナを染されるなんて、
そんなことになったらバカバカしいにも程がある、
死んでも死にきれないとはこのことではないか・・

ただ、とその目の前にした時代を間違えた兄ちゃん。
その頭の中はすっかりしっかりと昭和、どころか、中世の昔。
この現代の仕組みが、この21世紀の邪悪なカラクリが、
なにひとつ判っていない能天気なチャイニーズの兄ちゃん。

悪いことは言わない。
この場所になにをしに来たか知らないが、早く虫国に帰りな。
この場所は、この街は、この国は、この世界は、
この21世紀の文明社会は、
少なくともあんたたちをこれっぽっちも歓迎してはいない。
或いは、できることならば、この地球上から消えて失くなって欲しい、
本気の本気でそう思っている、
本気の本気でそう思い始めているのだから。

お前らにはなにも判っていない。
この世界の規則が、ルールが、シキタリが、そしてケジメが。
そんなお前らに、世界のほとんどの人々が、
愛想笑いどころか、その最低限の堪忍さえも、諦めようとしているということを。

そしてお前らが尚更にその時代錯誤の無作法を無理にでも押し通そうとした時、
いったいなにが起こるのか。
だがしかし、その状況は誰の身にとってもそれほど幸せな結果はもたらさない、
それだけは確かなのだが。

その時代錯誤の戸塚銀縄を前にして、
思い切りのため息を付きながら、
おい、兄ちゃん、マスクをしな、と俺は言った。
マスクだ?
この街においてマスクは、あんた自身を守る為のものじゃない。
マスクは、他人を気遣うためにするものなんだぜ。

一歩でも文明社会に足を踏み入れたのなら、
もっと他人を敬ってくれ。
その土地の流儀を弁えてくれ。
そして、頼むからもっと、大人に、なってくれ。

遠巻きからその悶着を見ていた顔見知りのニューヨーカーたち。
いったいなにが?と挨拶がてらに。
ああ、チャイニーズだな。
ああ、チャイニーズだろうな。
あんた、ついこの間もあのジャーマンシェパードの飼い主相手に大太刀周り。
まさかこのコロナの渦中にあって、
またあれをやり始めるのかと思って気が気じゃなかったぜ。
まさか、と笑う。
まさか、俺だってそれほどバカじゃない。
あんな虫けら野郎のために、むざむざ生命を捨てたくないからな。
チャイニーズか。やっぱりな。
ああ、チャイニーズだよ。やっぱりな。
金だろ、と事情通のニューヨーカー。
金?
そう、金さ。
虫国ではいつでもそれ、なんでもそれ。
ここニューヨークにおいても、金さえ払えば、警察も司法もなにもかも、
すべて自由自在に操れるとでも思ってるんだろうな。
それを聞くとますます憎しみが湧いてくるな。
ああ、知れば知るほどにまったくもってどうしようもない奴等さ。
あの虫国人って奴等は・・

そんな不愉快な会話の中で、誰もが思っていた筈だ。
それは寅吉のあの狂騒の様。

チャイナを、虫国を、ぶっ潰せ。
このチャイニーズ・ウイルスの、
その代償を、落とし前を、
あの糞チャイニーズどもに、
きっちりと払わせてやる。

そしてこのレイバン野郎のあの不遜な態度。
あいつらだって、この不穏な一触即発の空気を、
まさか知らない訳でもあるまいに。

こいつら、もしかしてと思っていた。
こつらもしかして本気の本気でやるつもりなのだろうか。

あのパラノイアの狂気に錯乱した暴言王と、
そしてこの、時代錯誤の銀縄野郎の不遜な態度、
なにからなにまで、不吉な、不吉過ぎる、
そのあまりにも出来すぎた悪い予感。
その狂人達の狂乱の宴。

これは事によると、本当の本当におっぱじまるかも知れねえな。

そんな不吉な予感を前にして、ふと蘇るあの冷たい殺意。
こいつ、この時代錯誤の大間抜けな銀縄野郎。
まじめのまじめに、ぐしゃぐしゃにしてやったらどんなにすかっとしたことか・・・

世界中を包み込んだこのコロナの狂気の中にあって、
そのどす黒い闇の向こうに鈍く光るその誘導灯。

これはことによると、本当の本当におっ始まるかも知れないな。

そしてそうなった時、俺は?
俺はそうなったとしても、お題目のような平和主義、
戦争反対、人命尊重、平和が第一、一分の虫にも五分の魂、
そんなことを唱えたりするのだろうか・・

いや、と俺は嗤ってしまった。
正直、あんな薄らみっともない銀縄野郎など、
どんなことになろうが知ったことではない。
この足元に顔を出したミミズ一匹を踏み潰すことへの罪悪感ほども、
あの銀縄野郎に対してなど感じる訳もない。
俺はあのとき、本気の本気で、殺意を憶えたのだ。
こいつは、こいつらは、この世界に存在するべきではない。
それが、すべての世間体の皮を剥ぎ取った、
本気の本気の正直な気持ちなのだ。

だが、と改めて思う。
果たして、本当の本当にそんな事態が勃発した時、
その時にはいったいこの世界はどうなってしまうのか。
いずれにしろその状況は誰の身にとってもそれほど幸せな結果はもたらさない、
それだけは確かなのだが・・

果たしてこのコロナの狂気の底にあって、
それほどまでに大人の顔をする必要があるのか、
あるいは、この絶体絶命のコロナの狂気の巷。
その本気の本気の地獄を彷徨う人々の中に、
それ程の正気を保てる人々が、
いったいどれけ居るのだろうか。

ただこれだけは言える。
←にしろ→にしろ、寅吉が好きか嫌いか、
その銭金の損得のその常識的な大人の顔のそのすべてを拭いされば、
少なくともあの時代錯誤の銀縄野郎の薄ら笑いを前にして、
それでもなお、戦争反対、人命尊重、平和が第一、
そんな綺麗事のお題目唱えたがるやつが、いったいどれだけ居るのだろうか。

できることなら、と誰もが思っていることだけは確かだ。
できることなら、知らない間にこの地球上から消え去って欲しい。
このコロナも、そして、あの不愉快な・・

世界が狂気に包まれていく・・
そしてそれを止めることは、
もう誰にもできないのかもしれない・・









という訳で、散歩の帰り道になっても尚、
憤懣やるかたなく、どころか、

くそったれ、あの、虫国銀縄野郎・・

思い出せば思い出すほどに、
むかっ腹が湧き上がっては怒り心頭の二乗三乗。

ともすれば、
だから、虫国人は、だから、チャイナ野郎は、
つまりはこのコロナから始まって、
この温暖化現象の異常気象からなにからの、
この世の不愉快のその全て、
ともすればこの俺様のうだつの上がらない人生までもが、
すべてがすべて、そっくりそのまま虫国のせい。

ああ、あの虫国さえ居なければ、
あいつらさえこの世から消えてくれれば。

であれば、あの寅吉の言っている妄言も当たらずながらもも遠からず。
え?ってことは、もしかして、そんな事情を考えれば、
もしかしたら、
次期選挙においても対虫強行路線を掲げる寅吉の赤首政権が続いたほうが、
回り回っては世のため人のためになる、
そういうことなのかよ、と。

いやあでも、と。
いやあでも、世界の事情は事情としてまずはここ米国の、ここニューヨークの事情。
すべてがすべて、あっちの人こっちの人の二元論でしか考えられない寅吉ワールド。
ともすればこのコロナの救済基金でさえも、あっちの人こっちの人。
フェデラルからの援助金は、まずはオレに投票してくれる赤首州を優先して、
どうせオレには投票しない青なり州の民主党支持の奴等には、
ビタ一文も分けてやんねえよ、ざまーみろ、あっかんべー。
あのなあ、と。
あのなあ、それって、選挙戦略どころか、あっちの人こっちの人どころか、
それってまったくもって、国家反逆罪、だろうが、と。

このパラノイアの天才バカボン・パパ。
傍から見ていればそれこそマンガを見るようで面白いのだろうが、
その実害を食らう一般人にはたまったものではない。

こいつそろそろ本気の本気でなんとか、
つまりは、一思いに、パーン、とやってしまわないと、
本気の本気でこの国、本ちゃんでまずいことにならねえか、と。
ここだけの話、ここに来てわりと本気でそういうことを思っている人が、
実に実にたくさん出始めているこのコロナの巷。

だがしかし、と。
だがしかし、だったら、あの虫野郎どもはどうするんだよ、と。
このまま奴等の好きにさせておくってことなのかよ、と。

俺は嫌だ。絶対に嫌だ。虫国だけは絶対に嫌だ。
赤首であろうが人種差別主義者であろうが、
とりあえずはそこには少なくともロックンロール。
ZZTOPからレイナード・スキナードから、
あの、KISSのジーン・シモンズだって共和党支持者であった筈。
そうだ、その通りだ。
ローリング・ストーンズからは嫌われてしまったが、
まだまだそんな共通項だって無きにしも非ず。

確かに、麻婆豆腐も青椒肉絲も北京ダックも大好物だが、
いやなにそんなものは本家の虫国がいなくなって、
我が日本の和風中華。
天津丼からエビチリから酢豚から八宝菜から、
我が国における和風アレンジ、
ともすれば味の素のCOOKーDOの方がずっと美味しいではないか。

そう、虫国などもうこの世には必要ない。
バイ菌的を粗悪な模造品を世界中にばら撒いては市場の信用を失墜させる、
奴等のやっていることと言えばそんなことばかりではないか。

だがしかしいまとなってはここまでそんな虫国どもに依存してしまった文明社会。
使い捨てマスクひとつ、ウイルス避けの看護服ひとつ、
自力では製造できなくなってしまったこのアメリカという国。
つまりは水が低いところに流れるように、
なにからなにまで、安かろう悪かろうと、その製造業のすべてをオフショア、
つまりは、第三国に丸投げしては国中の製造業が空洞化。
手に入る生活必需品のそのほとんどすべてが、
メイド・イン・チャイナ 虫國製造の粗悪品ばかり。
そして、世の寅吉サポーターであるところの赤首の方々が、
実はそうやって空洞化しては職を失なったブルーカラーの人々。
それは虫国のせいだ、移民のせいだ、グローバリゼーションのせいだ。
文句ばかりを言いながら政府からの生活保護だけに縋っては、
なにひとつとしてなにもやらずにビールばかり飲んでいた、
そんな米国社会のトラッシュの中のトラッシュ、屑の中の屑。

そしてそうして死に絶えたアメリカの製造業。
そしてこのコロナの断末魔の最中にあっても、
その生死の境であるマスクが看護服が人工呼吸機が検査キットが、
ともすればその元凶であり宿敵でもあるところの虫国からの、
お慈悲の援助を待ち続ける以外に方法がない・・

人々が貧しくなればなるほどに、人々が不幸になればなるほどに、
そして寅吉の高笑いがそして虫国の製品ばかりが、
全米を全世界を席巻していくこの地獄のマッチポンプ。

そんな中にあって、それは寅吉のせいなのか、あるいは虫国のせいなのか、
それを論じることは、ニワトリが先か卵が先か、の空論に過ぎず。
であれば、そのふたつの合わせては、玉ねぎを加えての親子丼。
バカとハサミは使いよう、十卵腐も虫國も使いよう、とばかりに、
毒を以て毒を制す。
この悪者同士を騙して透かしてガチンコさせては漁夫の利を得る、
そんな秘策だって考えられないわけでもないだろう・・
それに緑の三つ葉でも散らしてやれば、一丁上がりのできあがり、ではないか。

だがしかし、とそこで再び湧き上がる懸念。

もしもこの、宿敵同士が、
実は実はその裏で手を結んだお仲間同士であったとしたら。

そうそう言えば、あの前の選挙の時の十卵腐プラザ。
寅吉サポーターから反対運動からがもみくちゃになっていた
あの大混乱のフィフス・アベニューの前に、
なにを間違えたか立ちならんでは翻っていたあの赤い横断幕。

虫国は十卵腐を支持する!

あの不吉な勘違い軍団の存在を知らぬニューヨーカーはいない筈。

そう、寅吉の反虫国はただのフェイクだ。
だって、と、そう、虫国民であれば誰もが知っている。
選挙前から寅吉は巨額の投資を虫国にぶち込んでは、
虫国中が十卵腐ブランドのオンパレード。
その後の棚からぼた餅の大統領の座、
その形ばかりの政策としては反虫を謳いながらも、
いや、表向きには反虫を謳えば謳うほど、
「利益相反」の漁夫の利を得ていた、
そんなことは、ちょちょっとググるだけで山程出てくる周知の事実。

いやいやいや、それもフェイク、あれもフェイク。
というのであれば、百歩下がってこの寅吉を反虫愛国の徒、と仮定したとしても、
このコロナの大惨事を前にしての寅吉の対応方法を見る限り、
この男には戦はできない。
この男では喧嘩に勝てない。
事実関係を自分中心の損得でしか判断できず、
希望的観測ばかりの自分の嘘に自分から騙されては、
自身の希望に反する不都合な真実のすべてに嘘だフェイクだ陰謀だ。
つまりはこのバカは徹底的なまでに喧嘩が弱い。
できることと言えば、恫喝まがいのハッタリばかりで、
実際に戦略を立て戦術を立てリスクを洗い出しては兵を律する、
その本ちゃんの本気の詰将棋を前にしては、手も足も出ないに違いない。

こいつは所詮はカジノ王が良いところ。
それも、あの@乱TIC・シティ。
大口叩いてかき集めたカジノ宮殿でありながら、
当の博打に負けに負け続けては世界中の博徒たちから徹底的にカモにされ、
挙句の果てに、負けの込んだ著名ギャンブラーたちに刺客を飛ばしては密殺を繰り返し、
そんな醜聞から悪評からで、一挙に客足が遠のいては、
いつしか@乱TIC・シティの街自体がすっかりと閑古鳥のゴースト・タウン。
このまま行けばこのアメリカ自体があの@乱ティック・シティの二の舞。
国中が廃墟と化しては呆然自失のゾンビーたちの頭の上から、
借金のすべてを踏み倒してはまんまと国外逃亡を遂げた大悪党の、
高笑いばかりが響き続け・・

それが証拠に見ろ、このニューヨークが、コネチカットが、マサチューセッツが、
当初約束されていたフェデラルからのコロナ救済基金を、
いまになってから寅吉の嘯き始めたあっちの人こっちの人、
オレに投票しないインテリの青なりどもには、
政府の援助金はビタ一文出さないよ、あっかんべー。

既に破綻しては税収はびた一文どころか累積赤字だけの赤首州の歓心を買うために、
米国の唯一の稼ぎ頭であるはずの高税収州のすべてを破綻させては廃墟にして、
そうまでしでも選挙に勝ちたい、そしてこの米国のすべてを売り払ってしまうつもりなのか。

寅吉のこの支離滅裂の錯乱の様は、
実は天才バカボン・パパでもなんでもない。
それはまさに、ルシファー。
寅吉が嘗ての選挙キャンペーンで流し続けていたローリング・ストーンズ。
その「悪魔を憐れむ歌」の歌詞そのものを地で行く、
まさに世界を滅ぼすために使わされた「悪魔」に他ならないのか・・・







という訳で、ケチな喧嘩にむかっ腹を立てては憤懣やる方なきその帰り道。

バカヤロウ、あのクソ虫国野郎。
あんな奴等に仕切られるぐらいなら、寅吉であろうが、世界が破滅しようが知ったことか。

俺は虫国が嫌いだ。
なにがあっても、なにはなくとも、
←であろうが→であろうが、赤であろうが青であろうが知ったことじゃねえ。
俺はなにより、あの虫野郎どもが、ゴキブリよりも蛾よりも、寅吉よりも嫌いなのだ。

クソったれ、と思わず。
糞ったれ、後になってからこんなに怒りを引きずるぐらいであれば、
あの時にさっさと一発二発ぶん殴ってさっぱりさせておくべきだった。
そう、それこそが俺の俺なりの処世術。
汝ストレスを引きずることなかれ。
気に入らないことは気に入らないと思ったその場で、
気に入らない、と言ってしまえばあとはスッキリ。
ただその衝動的脊髄反射的な言動によって、
またまた新たなる、時とすれば、いやほとんどのケースにおいて、
その原因となった気に入らないことなど及びもつかないほどの大トラブルに引きずり込まれていく、
それこそがこの俺様の転落人生、その坂道を転げ落ちては加速に加速を繰り返す、
この行き当たりばっかりのパチンコ玉暮らしのその元凶でもあるのだがだが・・

そんな中、ふと見れば隣のかみさん。
よりによってあんな不愉快な目に合わされたというのに、
何の気なしに、ともすれば、鼻歌なんぞを唄いながら、
ねえ、ぶーくん、こっち向いて、なんぞと、犬コロを相手に上機嫌である。

あのなあ、と思わず。
きさまは、あの、憎き虫國野郎の卑怯千万な狼藉を前にして、
腹が立たぬのか、胸は傷まないのか、さっぱり水に流すとでも言うのか。

あのなあ、前にも言っただろう、言い続けてきただろう。
これこそが虫国、これこそがあいつらのやり方なんだよ。
虫国こそがこのコロナの元凶のその陰毛の源。
あの大厄進性策の大失策のあの文花大核命の殺戮の巷。
そしてこのコロナの最中にその鉄のカーテンの向こうの、
その渦中のウーハンでいつたいなにがあったのか。
どうだ、言った通りじゃねえか、思った通りじゃねえか、
俺の予想の予言のその通りじゃねえか。
→コロナの時代の愛 その壱 ~ その徒然なる散文集:世界の終わりの始まりのはじまり
こいつらこそはウイルス。
こいつらこそは21世紀の最低最悪最凶の疫病なのだ。
コロナと一緒に、こいつらこそどうにかしないと世界は大変なことになる。
こいつらこそが、コロナそのものなんだからよ。

おい、聞いてるのか、と息巻く俺を前に、
は?なにが?と素知らぬ顔の我が愚妻である。
ああ、お腹すいたなあ、ねえなに食べる?
そうだ、この間に買った豚の挽肉と、
そう言えば、昨日のお豆腐もまだ半分残ってるから、
だったらあれで麻婆豆腐でも作ろうか。
麻婆豆腐?朝から麻婆豆腐?
あのなあ、俺が言っているのはそんなことじゃなくて・・
ねえ、クックドゥの麻婆豆腐の元、買ってあったわよね?
ああ、中辛しかなかったから中辛にしたけどさ、
でも、できれば俺的には本場仕立ての大辛の大辛の・・
わたし、そんな辛いの食べれないわよ。
だったら、あなただけ豆板醤を入れればいいわよ。
ほら、前に買ったニワトリ印のシラチャー・ソース。
タイ風の麻婆豆腐もなんだか美味しそうじゃない?
味の素の和風麻婆豆腐にタイのチリ・ソースかよ。
なんだかますます訳判らなくなるな。
ねえ、どうせだったらあまった白菜とかピーマンとかも入れて見ようかな。
ダメだ、それはダメ、絶対ダメ。
俺は本場志向なんだよ。
あの本場四川の麻婆豆腐。
ラー油の海の中にニンニクたっぷりの肉味噌と豆腐の欠片の漂う、
あの唐辛子満載のあの本場四川の激辛の熱々の・・

で?と妻。
で、なんの話だったの?
なにが?
だからさっきのあの虫国野郎の糞ったれの。
わたし、と妻。
わたし、あんたがあんなところであんなバカを相手に喧嘩を初めたら、
それこそドアの鍵を閉めて家に入れなかったと思うよ。
二週間の隔離?
二週間どころか、離婚よ離婚。
わたしとブーくんとあなた自身の安全と、
あんなみっともないパープーとの喧嘩と、
どっちが大切なの?
そんなことも判らないバカとはもう一緒に居ても不愉快なことばかり。
さっさと見切りを付けて日本にでもマダカスカルにでもニュージランドにでも行っちゃうわ。
でもなあ、と俺。でもあいつの、あの糞バカヤロウのあの態度。
あんな奴等にでかい面をさせておいたら、この先の世界はどんなことになるやら。

向こうだって、そう思ってるんじゃない?
向こうだって?バカヤロウ。悪いのはあいつらじゃねえか。
俺たちはなにも悪いことしてねえだろうが。
だったら、と妻。
だったら、昨日のあれはどうなの?
立入禁止、ここで犬にオシッコをさせないでって、
わざわざ大きく看板を立ててあるその中に入り込んでは、
うんちさせておしっこさせて、おまけに芝が良いからボール遊びしようって。
あれはほら、ブーくんが勝手に入り込んじゃって。
で、注意をしてきた人に、うるさい、黙れって。
だってあのサイコ野郎。
コロナで引き篭もって仕事なくしてテンパって、
その苛立ちの憂さ晴らしにつまらねえことでガタガタしつこく文句言いやがってさ。
あなたと一緒じゃないの。
俺はコロナにびびってもいなけれ失業でテンパってもいないぜ。
そんなこと誰が判るっていうのよ。
昨日の人だって、あなたを見てこのチャイニーズ野郎って思ってた筈よ。
さっきの人だって、このサイコ野郎って思っていた筈よ。
そんな勝手な思い込みの勘違いで、
虫国がどうの宇陀屋がどうのって、
わたしそんな話は聞きたくない。
そんな馬鹿なひとたちのいざこざにつきあわされたくないのよ。
みんな同じなよのよ。
こっちがそう思っていれば、あっちだって似たようなことを思っているのよ。
で、どっちもどっちで相手が悪者こっちが正義の味方の被害者で。
そういう人たち、傍から見るとどう思われているか知ってる?
バカよ、バカ。バカそのものなのよ。
その突如の妻の剣幕に、思わず言葉を失っては返す言葉もなく。
思わず、バカと言えば、天才バカボン。電話はよいふろ。
天才バカボン。そう、その通り。あなたこそが天才バカボン。
そしてあの虫国人も天才バカボン。昨日の宇陀野人も天才バカボン。
このコロナの騒動で、だれもかれもが天才バカボン。
引き篭もって閉じこもって、世界のなにも見えなくなっては、
自分のこと以外なにも見えなくなって、なにもかもが一方通行。
相手から見たら、自分がどう映っているのか、
そんなことさえも考えられなくなった、ただのバカ、ただのパラノイア。
そんなバカ同士が、自分勝手なバカな妄想をぶつけ合ってはすれ違い。
バカなのよ、バカ。
このコロナの中ではなにより自分の家族を守ることが最優先されるべき。
それ以外のことを考えている人たちは、ただのバカ、ただのバカボンなのよ。

虚言症の健忘症の多重人格のパラノイア。その思い込みの大暴走。
天才バカボンの面白さってそれでしょ?
つまりは、自分以外はなんにも見えない知恵足らずたちの独演会の同時進行。

あなたもバカボンなら、あの虫国人もバカボン。
寅吉もバカボンなら、誰も彼もがバカボン状態。

いい加減に目を覚ましたら?
ちょっとはまともに、このさきのこと、
このコロナの後にいったいどうすればよいのか、
それについて知恵を使い始めても良いじゃないの?

だから、それが、虫国で、寅吉で・・

で、ねえ、これからなに食べるの?
だから、麻婆豆腐にチリ・ソースを入れて。
白菜は入れるの入れないの?
白菜を入れるなら春雨を入れてしいたけも入れてチリ鍋風にして。
それだったら、ひき肉よりも薄切り肉にして重慶火鍋風にしてみれば・・
だったらその春雨としいたけと薄切り肉はどこで買ってくるの?
それがないから困ってるんじゃないの。
とりあえずはあるもので我慢するしかないのよ。
とりあえずは手元にあるものでどうするのか、
そこで知恵を使うしか生きようがないのよ。
いい加減、妄想とないものねだりの文句ばかり言うのはやめて、
現実を見て、現実を。
そしてこのコロナの中で、そしてコロナの後に、生き残る方法を考えて。

という訳で、米虫戦争?なのなあ、と。
そんなことよりも、まずはこの眼の前の現実の脅威から生き延びること、
自分自身の、そして家族の安全を最優先すること。
それ以外に目を奪われた時、
世界はあの天才バカボンのパラノイア世界に、
いとも簡単に転がり込んでしまうのでああある。

という訳で、最後になったが、
これだけは言っておかねばならない、
とてもとても大切ななこと。
麻婆豆腐に白菜は入れない方が良い。
いや、入れても良い。白菜が入れば入ったなりに、
それはそれで最高のカップリング。
できればそれに春雨としいたけにそして餃子を入れては・・
ただそうなるとそれは麻婆豆腐ではなく重慶火鍋に限りなく近く、
だがしかしそれは麻婆豆腐とは似て非なるもの。
ひとたびそれがいみじくも麻婆豆腐であるからには、
それはやはり本場四川の元祖の本舗のオリジナルの・・・

という訳でまあとりあえずは、虫国くそったれこのこのコロナ野郎。
気持ちは判る気持ちはわかるのではあるが、それは俺もいっしょ、
どころか俺が俺こそが、その実害の、その実体験者の正義と真実を知る謎の男の・・
つまりはなにが言いたかったのかと言えば、コロナくそったれの虫国てめえコロナ野郎。
かくなる上は戦争の反対の賛成の反対の酸性のアルカリ性の三世の四世の・・・

きりがないのでこのあたりで終わりにします。





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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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