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トロント・ダイアリー ~ その4 ROCKの一番似合う場所

Posted by 高見鈴虫 on 29.2007 旅の言葉   0 comments   0 trackback
街に似合う音楽ってあるよね。
その街特有の音楽。
なんというか、その街そのものの持つビートが
リズムとなりメロディになったような。

ハバナにブエナビスタ・ソーシャルクラブが
キングストンにボブマーレイが
リオにアントニオ・カルロス・ジョピンが、
パリにアリジーちゃんが居たように、
そう、その街のコアな部分を普遍的な音として摘出したミュージシャン、いるよね。

という訳で、日本に居た頃は、
是が非でも東京の音を作りたい、と思っていたけど、
そう思えば思うほど、出てくる音は、どこかやっぱり
ふにゃふにゃと曖昧で薄っぺらでとってつけたようにぎこちなく、
つまりは欲求不満。うんざりしてきて。
え、なんだって、それこそが東京そのものじゃないか、って?
ああ、もしかして、
俺って日本の音にあわないんじゃないのかな、
と思っていたのも確か。

という訳でNYC。人種の坩堝。
この街はもう不思議なぐらいに音楽が似合う。
JAZZ、サルサ、サンバ、ボサノバ、レゲエ、
アシッド系ドープ系から、
テクノもアコもオペラもフォークも、
下手をするとカントリーだってハワイアンだって、
変に溶け込んできてしまう。
この街の懐の深さ、改めて驚かされる。

そう、
日本であれほど聞き込んでいたジョンコルトレーン、
NYCの地下鉄に乗って初めて、
ああ、つまりはこの音だったのか、と実感できた。
ミッシェルカミーロもある意味でNYCの音。
ラテンの溶け込んだ大都会の魅力、というよりは、
大都会で想うラテン世界への郷愁と言う意味で。
90年代を席捲したあのハウスミュージック、
トニーハンフリーズもフランキーナックルズも、
どの街で聞いてもやっぱりNYCほどに似合う街はなかったし。
交差点の信号待ちに、カーステから流れてくるサルサのリズムに、
おもわずみんなステップ踏んでいたり、とか。
あるいは冬の夜のリンカーンセンター、
オペラのシャワーを全身に浴びたあと、
コチコチに凍りついた摩天楼の頂上に輝く、
蒼い月の影、とか。もうこれ以上の絶景はありえないよ、と。

音の広がりが、街のノイズをみるみる飲み込んで、
街の鼓動が完全に音楽とシンクロして、
あああ、身体が透き通って行く、というあの感じ、
NYCにいる人なら必ず経験がある筈。

でもね、NYC。
ただひとつ似合わない音楽。それはROCK。
そう、NYCではROCK,全然聞かないんだよね、これが。
だってぜんぜん絡んでこないんだもの。

という訳で、
つまらないすっちょうのささやかな楽しみ。
ROCK。そう、ROCKを楽しむ。

そう、NYCを一歩離れた途端、
のっぺりと引き伸ばされた投げやりな風景に、
あのロックの間の抜けたリズムがまるで魔法のように絡み始める。

アメリカの田舎のフリーウエイをひとりで飛ばしてるとき、
ああハードロックってこのための音楽だったんだな、と、
唐突に気づいたりする。
ガンズも、モートリーも、STPも、イギーポップも、
メタリカもザ・フーもセックス・ピストルズでさえ、
この殺伐としたフリーウエイ的世界に完全にシンクロしてしまって、
ふと気づくと90マイル、100マイル。
このスピード感。まさにロック。ロックそのもの。
ハードロックってつまりは、アメリカのフリーウエイのフォルクローネだったりするのかな、なんて。

という訳でトロントですが、
はい、NYCから持ってきた音楽、すべてど外れ。
何一つとしてこの街の風景に絡んでこない。
なんかどうしてもせせこましく神経質でこ洒落てこうるさくて、
この洗練さが逆に鼻についてくる、と。

という訳で、はい、諦めました。
そう、やっぱり田舎はロック。ROCKに限るよ、と。

という訳で、トロントの夜、
なにやら無性にROCKが聴きたくなって、
端から端まで歩きに歩いて、探して探した挙句、
ようやく見つけました、この世でROCKが一番似合う場所。
たかがROCK。されどROCK。
この既に時代遅れ甚だしいROCKという音楽、
というよりは概念の象徴するもの
SEX DRUGS VIOLENCE と そしてLOVE。
世界中どこを探しても、
この場所ほどROCKに似合う場所は見当たらない。
そう、この世にのこされた最後の究極にROCKな場所。

という訳で、ああ、またまた運命の出会い、してしまいました。

いなせなアイリーンちゃん、蓮っ葉な家出娘のキャロラインちゃん、
迫力のアクロバット娘アレクサンドラちゃんも、フレンチ訛りのセシルちゃんも、
いやあみなさま、たいそうお綺麗で。
でもね、やっぱり、俺的には、
ああ、シェルボンちゃん、これに尽きる、と。
スリムでシックでキュートな小悪魔、
甘い、とろけそうに、それでいてミーンでビッチなその視線。
一目見て、ああ、俺もう駄目だ、と。
そう、すみません、告白すると俺、つくづく見た目に弱い、みたい。
ああでも、シェルボンちゃん、実は黒人(笑
ちょっと前までは白人バイカー系一辺倒だったのに。
そう、俺の中でやっぱり、ROCKは既に終わっていたのか、なんて。
でもいいよ、そう、なんだっていいじゃない、そんなこと、なんて。
美に人種も国境も言語も音楽もないよね。
好みだ云々言っているうちはまだまだケツが青いぜ、と。

しかししかし、煩悩の垣根を飛び越えて、
そう、やっぱりね、一番気に入ったのは、
ラッシュと、そしてAC/DC(爆
これしかないよ、そう、トロントだもの。
という訳で、乗りました。はい。テーブル蹴飛ばして(笑
途端におもわずみんながお友達モード。
カウンター越しに見知らぬ男たちが、ビールおごったりおごられたり。
おまえら、寂しいなあ、というか、
平日の夜からこの大盛況、
暇なんだよね、結局。
そう、いいじゃない、やることなくたって。
みんな友達なんだからさ。ね、カナダ人。

ああ、つくづく俺、この街にシンクロしてきてしまっている。

という訳で、明日が最後のトロント。
名残惜しい。あまりにも、シェルボンちゃん(笑
ちょっと気張って最後の夜、デートに誘ってみようか、なんて。

下世話な話題ですみません。

おあとがよろしいようで。



            ~遠方の友に宛てたメールより



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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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