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アッパーウエストサイドの友人たち

Posted by 高見鈴虫 on 06.2012 ニューヨーク徒然
夜更けのドッグランでいつものように、
超猛犬サリーの飼い主であるジェニーと犬にボールを投げながら、
そう言えば仕事の面接なんだよ、
という話をしていた。

給料上がるかな、
とふと呟いやいたところ、
大丈夫よ、いまよりも下がることはないだろうから、
という答え。

なんだよ、失礼な。俺の給料なんて知りもしないで、
と苦笑いをすると、
判るわよ、それぐらいは、
とその答えがまさにドンピシャ。

なんでまた、と思わず狼狽える俺を見て、
なんでって、あんた、私はユダヤ人なんだよ。
ユダヤ人っていうのは、年がら年中、隣りの人の給料を探りながら生きているような人種なんだから、
と大して面白くも無さそうに。

という訳で、まああんまりじたばたしないことよ。
どんな見栄を張ったところで、いずれはバレてしまうんだから、
どんなに隠そうとしたって判る人にはしっかりとバレているもの。
だからね、ただどっしり構えていればいいのよ。
そういうものかな。ハッタリきかせてナンボなんじゃないの?
そんなはったりすぐにバレるわよ。だって彼らはそれが仕事なんだから。人の給料を査定して生きている訳なんだからね。
いろんな職種があるものだ。
そう、あんたがITのプロであるように、面接官は人の嘘を見抜くのが仕事。
やれやれ、おまわりと紙一重か。
警察官なんかよりもシビアよ。なんてったってお金を扱っている訳なんだから。でもね、警察官と違うところは、嘘がつけるというのも能力だって考えている人もいるってことだけど。
はいはい。
最初の給料は安くても、来年はきっと私がもっと価値のある人間だと判って頂けるようにがんばりますってところでいいんじゃないの?
了解。
だからね、やってきた仕事、そしてこれからやろうとしている仕事についてだけは、しっかりと真面目に答える。判らなければ判るまで質問する。なによりそれが一番大切なのよ。
仕事のことだったら大丈夫。うそつく必要もないしね。
はい、それで正解。大丈夫。面接官が観ているのはね、この人が自分の仕事に自信を持っているかってこと。与えた仕事を自信も持ってこなしてくれるか、それが一番大切なことよ。
なんか元気が出てきたよ。
でしょ?給料がいくらであろうが、自分の仕事に自信を持つこと。人間が幸せに暮すためにはそれが一番大切なこと。
幸せになりたいね。
もちろんよ。だから自信の持てる仕事をしないさいな。
ありがとう。なんだかとても感謝したい気分だよ。
どういたしまして。じゃね、また明日。
はいはい、また明日。

年齢や収入や性別や外見や、その接点がなんであるか、に関わらず、
やっぱり友達というのは良いものだな、と思ったが、
ここアッパーウエストサイドの友人たち。
どうにもこうにも海千山千揃いのようだ。

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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