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タバコを止めてもう何年も経つ

Posted by 高見鈴虫 on 22.2006 日々之戯言(ヒビノタワゴト)   0 comments   0 trackback
タバコを止めてもう何年も経つ。

十二、三から始めたタバコ。
ハイライトからショートホープからピースに行って、
その後はずっと両切りのキャメル。
日に1箱から仕事が嵩むと二箱三箱。
それが証拠に、日本に居たときに撮った写真、
そのすべてがことごとく、下手をすると修学旅行の写真さえ、
俺はタバコを銜えて撮ってるって訳で。

そんな俺が、
何故タバコをやめたか、なんてことを、
説教臭くダラダラ書いても、だれも読まないだろうが、
まあ、言ってみればブルームバーグのお陰。



あの糞ブルーンバーグ野郎。

あいつが市長になっていきなり、
タバコの値段が二倍三倍四倍。
昨日まで2ドル20セントだったタバコが、
いきなり、はい、5ドルです、8ドルです、
10ドルです、と。
んだ、それわ、と誰もが大苦笑、
株価じゃねえんだからって。そして、悶絶。
まさか本気だとは思わなかった。

そう、みんな最初は冗談だと思ってたんだよ。
ブッシュ当選や911やらと一緒でさ。

まっさかあ、そんな絵にかいたような大悪夢が、
現実に起こるなんてこと、あるわけないだろう、と。
つまりみんなテレビの見すぎ、というか、
なんでもかんでも信じられないことは作り事だと思っちゃう。

で、今世紀の初っ端から考えうる限りの最悪の悪夢。
タバコの値段がいきなり十ドル?
そう、みんな冗談だと思っていた。だってさ。
そんなこと恐ろしすぎて考えられないだろ?
で、実際に起こってみて、ただただ茫然自失。

それに加えて禁煙。
どこもかしこも。まるで包囲網。
オフィス禁煙、レストラン禁煙、カフェ禁煙、
バー禁煙、挙句のはてに、クラブもライブハウスも禁煙。
おいおいおい、と(笑

これはもう、腹が立つというよりは、
いい加減、もうどうでも好きにしてくれ、って感じ。

という訳で、
氷点下20度、つむじ風が渦を巻くビルの裏で、
ワイシャツ一枚にサンダル、という、神風スタイルのまま、
一箱10ドル、つまり一本50セントのタバコに火をつけ、
あああああ、助けてくれ、と呻き声を上げながら、
もはや一本吸い終わる頃には凍死寸前、と。
これが、一日のうちに少なくとも5回6回7回、
そのたびにえれベーたーを登り降り、
机に返ると必ずと言っていいぐらい不愉快なメッセージ。

昼休み、ようやく飯だ、とがっついて、
さあ、待ちに待った食後の一服、この瞬間が人生の全てと
灰皿を探すが見当たらない。
サービスの悪い店だ、と舌打ちしながら、
ふと見上げると、まさかの禁煙。
おっと、騙された、と頼んでしまったコーヒー
半分も飲まないうちに席を立って、
冗談じゃねえ、もう来ねえぞ、と椅子を蹴りながら、
ふと見るとそういう輩がどこを向いても窓のそとをウロウロ。
ただでさえ居心地の悪いこの世の中、
ますます居場所が減って行くって

それに加えてタバコ代。
一日一箱として、300ドル。一月三万円。
そう、これが痛かった。俺的には。まじで。

くそったれブルームバーグめ、
この、ファシスト野郎、ろくでなし、基地外独裁者、
と、なんでも言ってやりたいが、まあ仕方がない。

で、そんな時、
とあることから、えらくきつい仕事に突っ込まれて、
ふと気づくと完全無菌のサーバールームに完全軟禁状態。
緊迫した状況に息つく暇もなく追い立てられて、
無我夢中のままほとんど丸々一日飲まず食わず。
で、作業開始から12時間あまり、
奮闘の甲斐あってようやく展望が見えて来て一息、
ついたその時、
あれ、と、目が霞んでやけに熱っぽい。
で、その時は何があったか判らずに、
どうしたんだろう、突然、風邪でも引いたか、
と思ってたのが、
ふっと目の前が暗くなって、
あれあれ、まるで貧血にそっくりな症状、
で、指の先が冷たくなり始めて、
コンソールのキーボードの上に脂汗がポタポタ。
これは、いったい、なんなのか、と、
思ううちに胸がせり上がって来て、
やばい息が出来ない、と。
まさか、なにか悪い霊にでも憑依されたのか、
だとしたら、まあ、追い払えば良い訳で、
てめえ化け物、上等だぜ、出て来い、タイマンだ、
なんてマジで思っていたのだが、
いや、待てよ、と。これは何かに似ている・・
記憶の糸を手繰って手繰って、
これはおれが堅気になるずっとずっと前、
遠い昔、遠い場所で、
そう、あれは、インドか、タイか、
そうだそうだ、これはなにかの禁断症状、
つまりシックと言われた状態にそっくりだ、と。

で、ためしにポケットのタバコ、
巻紙の上から匂いを噛んでみると、
いきなり唇を伝う唾液の濁流。
目がちかちかして思わず漏れる嗚咽。
ああ、これか、身体はこれを欲していたのか、と。
理由がわかってしまうと、もう耐えられない。
もう、無茶苦茶に無性にタバコが吸いたい、
ほんと、もう、胸をかきむしりたいぐらいに。
しかしながら、
ここは完全セキュリティのデータセンター内。
ここまで来ていきなり火災報知機鳴らしたり、
あるいはタバコ喫いに忍び出てロックアウトされた日には、
くびどころか新聞沙汰だぜ、と。
で、目の前にコーヒー。
昨日からある、すっかり冷めて埃の浮いたコーヒー。
自分でも訳が判らないうちに、
その上からほぐしたタバコの葉をバラバラと振りかけて
で、こともあろうにそれを一気飲み、
しようとしていた、俺・・・
おっと、あぶねえ、あぶねえ、と(笑
それこそ新聞ねたじゃねえか。

なんかこれ、ジャンキーが禁断症状で、
ガンジャ煮出してポンプして、なんて話に似てない?と。

つまり、ニコチン中毒って、
割と本当の本気で禁断症状、割とやばいんだな、
って気づいた訳でさ。

という訳で、幸か不幸か、なんてそれはもう明瞭。
ただのスーパー不幸な成り行きで、
次から次へと、そんな軟禁玉簾の仕事に突っ込まれることになって、
そのたびにシック起こして倒れてたんじゃ、身が持たない、と。

ってな訳で苦肉の策で考えたのがニコチン・ガム。

これは不味い。徹底的に糞まずい、が、
腐ったコーヒーにタバコの葉まぶして飲もうとしてた、
のに比べてはなんぼかまし、と。

で、このニコチンガム、
実はこれ、まじで、効いた(笑

確かに不味い。
味を楽しむなんてものじゃないことは確か。
リフレッシュにも清涼感にも心の日曜日にもなにもなりはしない。
だからあまり食べたい気分にはならない。
つまり、限界まで。
もう、腐ったヤニ入りコーヒーでも飲んだろかい、
と思うぐらいまで。

という訳で、我慢に我慢を重ねた末、
やってきました禁断症状、
で、もう限界だ、
指が震え出して、脂汗が滲み出して、喉が膨らんで、
目がしばしばで、鼻がつまり始めて、息が苦しくなってきた、
ってその時に、
伝家の宝刀、ニコチン・ガムをひと噛み。

じわっと口中に広がる苦い汁、思わずウエ。
滲み出した辛みが喉に染みてゲホゲホと噎せながら、
痺れる舌、鼻につんと来て、あまりの不味さに、
うーんと唸りながらじっと息を詰めていると、
あれあれあれ、と。
口から広がった苦味が胃に落ちて血に溶けて、
それがみるみる身体中を走り抜けて、
そうこうするうちに、すっとこめかみが軽くなって、
舌の上に次々に流れる唾液がますますニコチンを溶かし、
あれ、鼻が抜けて、あれあれ、汗が引いて、
そしていつのまにか、身体の筋肉が和らいでいく、と。
おおおお、治ったああ、良薬口に苦し、とはこのこと。

という訳で、
これ、実は、凄く快感、だった。
と言うか、
なんか懐かしかったのね、実は(笑
そう、
タイで、インドで味わったあの感覚(爆
判るひとなら判りますね。そう、あれ、あの感覚。

という訳で、
このシックと再生を面白がって続けているうちに、
なんかいつのまにか、煙にして吸い込むなんて、
なんかダサい、と言うか、面倒くさい、なんて気にもなっていて、
なぜかというと、もうその頃には、
もう、ほとんどニコチンガム中毒。
朝から晩まで、年がら年中ニコチンガムを噛んでいて、
といいながら、ニコチンガムだってそんな安くないから、
一センチ四方のひと欠けを、半分にしてその半分にして、と、
そうやって、もう四六時中、常時ニコチン漬け。
で、いつも、顎が疲れると、奥歯の虫歯の穴の中にしまっておいて、
で、またクチクチ、と噛んで噛んで、
という訳で、いつもニコチンと一緒、
朝起きてから寝るまで、下手すると寝てる時も、
仕事中からトイレの中から風呂入ってるときも、
ずっとニコチン漬け、と。

ここまで来ると、
タバコはなんとなく凄く安上がり、
というかオールドファッションというか、
つまり効き方として、
ラッシュとかクラックみたく
即効性だが後が持たない。
火を点けたとたんに塊になってガーンと入ってくるけど、
すぐ無くなってしまうし、
いがらっぽさが喉に残って凄くアンヘルシー。
臭いし、場所を選ぶし、嫌われるし、
それにそれに、
わざわざ、ポケットから取り出して、
口にくわえて火を点けて吸い込んではプハーなんて煙吐き出して、
なんていう儀式がつくづく馬鹿らしくなってきてさ。

そうこうするうちに、ガム噛むのも面倒になってきて、
で、いつのまにか、止めていた、と。

でも、やめるまで、2年ぐらい、ガム噛んでたけどね(笑

とは言いながら、
今でも実はタバコ吸うことがある。
最近はもうほとんど無くなったけどね。
それはつまり、昔のダチと逢った時、そん時だけ。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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