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まだ生きているって本当にすばらしい

Posted by 高見鈴虫 on 18.2006 今日の格言   0 comments   0 trackback
あのよお、おっさん。
いつもいつも、口を開けば、
ああ、忙しい、忙しい、なんてよお、
よくもしゃあしゃあと抜かしてくれちゃってるけどよ、
ちょっと、それ、待ってよ、ってさ、
言いたいわけよ、俺としては。

でさ、
よりによって、こうくるんだろ?
ああ、最近、月日の経つのが早くてさ、
あっという間に春が来て夏が来て秋が来て、
で、気がつくとまたひとつ、爺になって、
なんてね。

で、言うんだよ。
ああ、子供の頃って、もっとなんか、いろいろあったよな、
なんてさ。

ちょっと、まったぁぁぁ、笑わせてくれるぜ、って。
あのねえ、あんた、
そう、そこのおっさん、
ちょっと冗談言ってもらっちゃ困るよね。

あんた、じじいになってちょっと余裕が出て、
えらそうなこと言ってみたいのは判るけど、
ちょっと忘れちゃいませんか、って言うんだよ、
あんなの子供の時のこと、をさ。

よおく考えてみな、子供の頃、

ガキの頃って実はよ、すごく忙しいかったの、知ってる?
って言うか、もう、死ぬほど忙しかったんだぜ、がきの頃。


まず起床が7時だよ。
それだけでも今のあんたにゃ信じるられねえだろ。

で、いきなりだちどもが迎えに来てだ、
で玄関出た途端に坂道ダッシュ、でそのまま競争。
たまにボール蹴ったら変なほう行っちゃって追いかけて追いかけて追いかける途中でまた落ちてた小石投げて打ってガラス割って逃げて逃げて、で途中見かけた弱い奴にいきなり蹴りいれてランドセルひとんち放り込んでんだよすぐ泣きやがったでとりあえず逃げてでも強そうな奴来たら隠れてそのまま走って逃げて逃げて、で、校門たどり着くまでにはかばんのなかぐっちゃぐちゃ。
で、教室たどりついた途端に、プロレスごっこ、
じゃねえや、
そうそう、きんこんかんこん、ホームルーム。
で、いきなりだ、いきなり1時間おきに
国語やって算数やって理科やって社会やって、
で、そのたびにあのこがなにやってるどこへいった
俺を見た、あいつをみた、こいつが来た、そいつもきた、
で、あいつが気にいらねえ、の気に入ったの、
おもしろのつまらねえのと言いながら
飯食って机片付けて掃除やってる間に
人間風車とバックドロップとスピニングトーホールドと延髄切りに飽きて
今度は廊下で箒でホッケーだ野球だ盛り上がってきたなと思ったらやっぱり先公がやって来てどなられてふざけんな馬鹿とか思い切り陰口たたいてやばい次体育だで急いで着替えて準備体操途中からでボール投げて蹴って帰って着替えてパンツ脱いで隠してこのやろうを掃除用具ロッカーにとじこめてる間に歌うたって笛吹いてでたまに絵描いたり粘土こねたりぶつけたり、で、ようやく3時に終っていきなり塾に行こうとした奴を引き止めて脅してすかして人数足んねえから頼むぜそら野球だサッカーだで点を入れたの入れないのエラーだファインプレーだ反則だいちゃもんだ喧嘩だてめえ気にいらねえやっちまえ泣いたの泣かないの馬鹿だ馬鹿とは何だ馬鹿って言ったら自分が馬鹿でいつのまにか夕暮れ。
じゃあとりあえず今日も引き分けで帰りながらボール蹴ったら変なほう行っちゃってボール取らせて下さいでああなんか腹減ったどこのうちも良い匂いの夕方で帰って腹減ったで飯食ってああ食った食ったでこのまままったりテレビ見てたいななとしたらやっぱ宿題やりなさいで部屋にもどって国語算数理科社会を復習予習なんてやる訳なくてさ。

それがあんた、中学なんてことになるとだ、
部活の帰りにまたぼたくそに〆た〆られたで生きて帰れて良かったで血の味のする飯食ったらいきなり居眠り。
で部屋に帰っておっとちんちんの毛が生えてきたぞ、なんて思ってたらいきなり窓に小石の跳ねる音で、おお友よやってきたか今宵も、で、
屋根伝って隣の家の芝の家に着地でおお、どこいくなにする、で、取りあえず近所の公園行ってタバコ吸ってエロ本交換してそう言えばあいつあいつでそいつがなんで、でまた攻めに行って丸め込んで結局帰るのは夜中杉。

それがあんた、高校になったら部活のかわりにバイトでこき使われて、
ってのは嘘でただダチとふざけてるだけで、こんなことで金貰っていいのかよ、で、そのまま封筒ごとポケット突っ込んで、でいつものサテンのいつもテーブルでチームの話と女の話とゲームと集会とロックと事故と学校と気に入った奴気にいらねえ奴の話でその間に良い子悪い子本気子便利子やりまんまじめっこただ話がしたかっただけいまなにやってんのじゃ迎えに行くから生理が来ないのあいつむかつくしめたしめられたやっためんち切って切られてやったやられた誰が事故ってどこでそうなって、と、そんなこんなで海に行くか山に行くか酒かタバコか骨がとけるだ膿が出たが期末試験で赤点留年鑑別年少本ちゃんが怖くてこの看板がとか口だけは達者でいつのまにかまたいつものあいつの部屋で誰と誰と誰と誰が誰と誰と誰と誰であっと目が覚めたらやばい遅刻だまあいいかで、目が覚めたとき、すべてはおわっていたのであつた、と笑いながら、授業中のドアをがらっと開けて悪い悪い夏時間って知らなくてで誰も笑わねえな文句あるのかやるのかてめえでああ文化祭の話合いですかはいはいでは結果はサテンにいるのでそちらに知らせて下さいとかいってたらどこの誰が誰にどうで攻めてくるのたいまんだの手打ちだの話で一日終わってああ最近ぜんぜん家に帰ってないがということはパンツも換えてねえのかいやそういう訳じゃない履いてなかったかな誰の部屋だ誰とした時だでそうそう文化祭の準備でとちょっくら煙草でも買って来ようと思ったら自販機の前でいきなり腹蹴られて耳殴られて花火が散ったら膝蹴りが来て血の味がしてでてめえどこのと思ったらやべえこいつらあれじゃねえかで取りあえず謝っとくか日本語通じるのかと思ったらいきなり目の前にパーカーでおっとマッポじゃねえおまわりそうおまわりさん日本国のちょっと助けてみてよと思ったらおいおいそれはねえだろう素通りかよでおいおいおいこの税金泥棒何が国家の公僕だ糞たれこの野郎覚えてろよ俺は最初の選挙で絶対に共産党に入れてやるからなでそうこうしてるうちになんだってこのまま就職しちまったらいつはまとらの女子大生とおともだちになるんだよどうするんだよえそうそうせんせい進路相談という奴ですかで面談だれと先生って俺は実は担任が誰かさえもまだ知らねえよでそれは誰と親とああ親にもここんところずっと会ってないなまあいい機会かそう言えばこの制服無茶苦茶タバコ臭いなと思ってポケットに手を突っ込んでやばいマッチかと思ったらそれはコンドームで先生これも没収ですか、とかなんとかやりながらやっぱりなんだかんだ言って中間試験から期末試験から赤点から模擬試験から家庭裁判所からとなんとかこなして生き延びてはっと気づくとまた遅刻。

あのなあせんこう、お前がそうやって教壇の机で生欠伸をかみ殺してすごした1週間の間に俺は7回ほとんど死んで7回ほとんど生き返ってその間に7回運命の恋に落ちて7回死ぬほど幸せになって7回思い切り地獄に落ちて、とやってきて、そして今、あなたのその寝ぼけた面を前にして俺は声を高くして言いたい。
まだ生きているって本当にすばらしい、と。

どうですか。おとうさん。思い出しましたか。

そう、いまのあなたの暮らし、
単調、なんですよ。
疲れてる?馬鹿行っちゃいけない。
ただ退屈してるだけなんですよ。

だって、最近死に掛けるほど面白いことありました?
昔は毎晩でしたよね。
ああ、でも、いまこれやったら、
遅刻して上司の前で、てめえ、何見てるんだよ、とやったら、
多分、クビですね(笑

はいはいはい、大人はいろいろ苦労が多いのですね。
まあ、せいぜい機嫌直して生きましょうよね。

まあいいじゃねえか、取りあえず大学も入れて出れて、
まんまと騙ましてもぐりこんだ会社でまんまと騙されて、
でも
とりあえず、まだ生きてるじゃねえか。
それって割と、素直にラッキー、と喜びましょう。

とりあえず、お誕生日おめでとう。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

©終末を疾うに過ぎて...
無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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