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夏の入り口、亡霊気分

Posted by 高見鈴虫 on 29.2006 とかいぐらし   0 comments   0 trackback
こんな仕事、いつまで続けてどうするつもりよ、
と、日々思いながら、
まあ仕事があるだけましか、と思うことも多々あって。

馬鹿やろう辞めてやる、なんて啖呵切るほど若くもなく、
仕事が嫌でノイローゼになる、なんてナイーブさもとっくに持ち合わせていなくて、
自分から積極的にキャリアアップ、なんて向上心もなんか鼻について、
だからと言って、このままこの先、
なにかがどうにかなるなんてちっとも思っていない。

ただ、取り合えずはこの課題を終わらせて、
取りあえずは先の出張までに、
取りあえずは、取りあえずは、が山のように積まれて積まれていたちごっこ。

つまりそういうこと。
たぶんみんなそういうこと。
そうやってみんな追い込まれて行く。
そうでない人は、今はそうでもない人ということで、
いつしかやはり、同じ轍。同じ罠にどっぷりと嵌りこんで。

明日の朝、目が覚めてまだ生きていたら、休みを取って仕事を探そう、
と思ったのは今回だけではないはずで。

ふと転がり出た夏の訪れにため息をひとつ。

ビル街の眩しい陽射しの中、
艶やかにも悩ましげな胸を広げた長い足の女の子たちが、
赤い唇に細いタバコ、尖った指で長い髪を掻き揚げては、
身体中からキラキラと輝くアクセサリーを揺らしながら、
身を逸らせて腰を折って笑い転げて、

ああ、これまるで別世界。

そう、目の前の現実が、まるで別の次元のことのようで、
つまり手の届かない遠い世界の話のようで。
これってつまり、亡霊気分。いつしか影が薄れて行く。

ふと顔を見合わせた同僚と、言葉も交わさずに苦笑い。

ねえ、こんな暮らし続けていて、いつかは報われるのかな。
報われる?報われるってどういうこと?
つまり、ああ、良かった、と思えることって、この先あるのかな、とか。
そういうことを仕事に求めちゃいけないんじゃないのかな。
そういうものかな。
そういうものだと思う。

そして僕達は、いつものとおり、
辞めて行った社員の噂話と、辞めそうな社員の悪口を言って、
そうやって、夏の訪れに背を向けたのであった。



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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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