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秘密の魅力は魅力の秘密

Posted by 高見鈴虫 on 29.2007 旅の言葉   0 comments   0 trackback
ダイバーの奴らと島を巡っていたとき、
なにもない土手の途中でふと車を留めて、
ああ、ここ、最高だな、なんて眼を細めてる時があって。

ここの土地、買っちまおうかな、などと大真面目で呟いている。

おいおい、こんななにもない所、冗談だろって。
ビーチだってないし、岩だらけでヨットも着けられない。
まるで、ただのゴミ捨て場
じゃなかったら、放置プレーの工事現場みたいだぜ、って。

したら、あいつ、
だって見ろよ、
ここからほら、あのコーラルの棚の向こう、
ほら見えるだろ、あの潮の変わり目のあたり、
綺麗な青だろ。堪らないぜ。
で、ほら、あの色はさ、
その先に物凄いウォールがあるってことだろ、
ああ、想像するだけで涎がでそうだよ、
だって。

そう言えば、
知り合いのカメラマン、
いまどき珍しいぐらい顔中ににきびをこしらえた
クソダサの体育会のじゃりん子を捕まえて、
あああ、思わず犯っちまいたくなるな、この娘、なんて。
おいおいおい、気でも狂ったのかよ。
お前だったらその辺の食えないモデルクラスならなら好き放題だろ、って笑ってみても、
ふざけるなよ、格が違うぜ。
だってさ、見ろよ、この肌、この背中の線、最高だろ。
この子、一皮剥いたら、もろに動く宝石だぜ、って。

それを言ったら
自称今世紀最高の竿士を自称するあいつも、
選んだ相手は、なんかぱっとしない
コーラス部のねえちゃんみたいな人。
どうして?お前なら女優とかでも平気で行けたのに、って。
穴だよ、って奴は言った。
凄いんだ。俺のにぴったりと合うって感じ。

そう言えば、
不良ロッカーナンバーワンのあいつの結婚相手、
まるでお百姓のおばさん、みたいだったけど、
聞くところによると、
首から下は全身刺青を入れてるらしくて、
それがさ、凄いんだよ、動くとさ、って。

素敵なやつってさ、
強烈に自分の価値観ってものがあって、
なにが気に入るか判らないところ、
ますます素敵だな、と。

と言う訳で、
内科医が結婚した相手、
どこが気に入りましたか?
はい、内臓が、

とか、
ってことは、
歯医者は、歯茎が、
カイロプラクターは骨格が、
靴屋が足の裏の形が気に入って相手を選ぶ、
ということもあるわけで、

ともすると、
文章屋がその文章力で、
音楽家がその歌声で、
心理学者がその神経で、
相手を選ぶ、なんてこともあるわけで、

世の中が画一化すればするほど、
人の欲しがるものが一番価値のあるもの、
みたいになればなるほど、
つまり表層的な人間が増えれば増えるほど、
そう、そういう眼に見えない魅力が、
輝きを増してくるわけでさ。

てめえのビジョンにしたがって生きる奴、
やっぱ格好いい、と思うわけだ。

で、
え、この俺?
この子の一番気に入ってるもの、
実はさ


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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