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コキ 

Posted by 高見鈴虫 on 22.2006 旅の言葉   0 comments   0 trackback
プエルトリコにコキってカエルがいてさ、
なんか指の上に乗るぐらいの小さなカエルらしいんだけど、
これがさ、煩いんだよ、泣き声が。コキコキ コキコキって。

もう下手すると一晩中、枕元で、
ほんと、壊れた機械みたくさ、コキコキって。
俺最初、クーラーとかボイラーとかが壊れていて、
それでコキコキって音がしてるのかと思ったんだけどさ、
機械だったら、そのリズムにある程度の一貫性があるじゃない。
この、コキ、もうね、てんでばらばら。
すき放題に、勝手にコキコキって言ってるだけでさ。
ほんと、なんか、船酔いして、気持ち悪くなってくるぐらい。

でね、
聞くところによると、このコキってカエル、
プエルトリコのマスコットというか、いわゆるひとつの象徴みたいな感じで、
国鳥、ならぬ、国カエル、つまり由緒あるカエル様であるわけで。
随分と迷惑な国カエルもあったものだぜ、と。

ちなみにこのコキカエル、
どこかの馬鹿がハワイに持ち込んで、
天敵がいないもんだから瞬く間に大量繁殖、
島中いたるところでコキコキやりだしたらしくて、
ハワイの人たち、不眠症から下手すると幻覚を見るに居たって、
このコキカエル駆除の為に、ハワイのジャングル丸々焼いてしまおう、なんて。

そんなこと知ってか知らずかコキカエル、
まったく気にする風も見せずに、今日も今日とてコキコキコキコキ。
赤ん坊のバブバブを思わせるたどたどしいリズムで
飽きることなく朝から晩まで、コキコキコキコキ。

でね、不思議なことがひとつ。

プエルトリコから帰ってから、しばらく不眠症。
なんか落ち着かなくて、枕元でコキが鳴いてないから。
で、さっそくインターネットで探してみる。
あった、すぐに見つかったよ、コキカエルのMP3。
そう、つまり、似たようなひと、いるんだよね。
と言うより、プエルトリコの人々、きっとそうだったんだろうな。
あの、糞忌々しいコキカエル。

うれしい時も悲しいときも、
怒りに我を忘れたときにも、
喜びに天まで舞い上がったときにも、
このコキが、人の気もしらずに、コキコキコキコキ、
と、壊れた機械のように繰り返していたに違いない。

この糞忌々しい馬鹿ガエル、と怒鳴ってみてもどこ吹く風。
コキコキコキコキコキコキコキコキ。

今では無くては眠れない。まるでコキ中毒とはこのことで。

そんなコキカエルを、プエルトリコの象徴に添えるなんて、
そんなペーソスが、プエルトリコの魅力、と言ったら、言えないこともないかな。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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