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BUT NOT FOR ME in TOKYO - 02

Posted by 高見鈴虫 on 01.2012 旅の言葉
というわけで日本への出張だ。

出張というだけあって当然の事ながら仕事クラス。
つまりビジネス・クラスだ。
俺はビジネス・クラスに乗ったことがなかった。
なので当然の事ながら、
ビジネスクラスに乗る人が、いったいどんな人々かも知らなかった。

まあ、まるで鶏小屋のような格安席に比べて、
多少席にゆとりがあったり、
あるいは、もう少しシートが後ろに倒れたりとかするんだろう。

飯がちょっと良かったり、
頼めば酒も飲み放題、なのかな?

が、しかし、
だからと言って、
それぐらいのことでわざわざ格安クラスの10倍もの金を払うやつは一体どういう奴らなのか。

多少席が狭くても、その分沢山行けた方がいいじゃないか、
飯がうまいと言ったって、所詮は機内食だ。たかが知れているだろう。
映画などDVDでいくらでも見れるし、
PC用の電源アダプターはたとえそれがファーストクラスでも、
用意は無いと聞いている。

と言うわけで、
果たしてこの差額、
つまり、
ニューヨークー東京、往復で6千ドル、という価格が、
果たしてなにに所以するものなのか、
そして、
そんなぼったくりのビジネスクラスなんてものに乗って、
なぜにわざわざ無駄金を使わされるバカがいたものなのか、
まったくもって、不思議でならなかった訳だ。

というわけで、
世界の謎、ビジネスクラスの乗客たちとはいったいどんな人々なのか、
その謎に迫るため、
まず手始めにビジネスクラスの特権たる、アドマイヤーラウンジ、という場所に侵入して見たのだが、

果たしてここは静かだ。
金持ち風だ、というのではない。
言ってみればただのラウンジだ。
窓から滑走路が見えて、ソファが並んでいる。
機内持ち込み用のバッグを持った人々が、
何をするでもなく時間を潰している。

ただ、下の一般用ゲート口に比べると、
とても静かだ。

別に壁に防音処理がされている訳でも、
ふかふかのカーペットに音が吸収されているわけでもない。
ただ、そこにいる人々の物腰が、
とても静かなのだ。

ガキが走り回ったり、
野球の応援にでも行くような派手なシャツを来た人々がいる訳でもない。
ただ憂鬱そうに空を眺め、あるいは膝の上に広げたLAPTOPに目を凝らし、
あるいは、つまらなそうに手の中のIPHONEをのぞき込んでいる。

なんというか、
元気がないというか、
そうつまりは、
旅行客特有のはしゃいだ雰囲気がないのだ。

そっか、つまりはビジネスクラス
仕事で旅行をするひとびと。
つまり、
行きたくもないのに嫌々に旅行をさせられている人々、
という訳なのか。

そう考えると、ビジネスクラスの人々に元気がない理由というのも頷ける。

そんな気分を払拭しようと、
そうだ、飲み物だ、食べ物だ、
ただで貰えるものならなんでも貰ってみよう、
と、のこのことバーに出かけ、
入り口でもらったドリンク券を出してみる。

何になさいますか?というとってつけたような愛想笑い。
だが、それもアメリカ人の、それもおばはんなわけで、
つまりそんな微笑みを返されても嬉しくもなんともない。

という訳で、思い切りの皮肉のつもりで、
試しにシャンペーン、と言ってみたが
果たしてそれは出てきた。

いや、ごめん、スコッチアンドソーダにしてくれ、
と言ったら、はいどうぞ、とそれも出てきた。

ブランディーは?
はい、どうぞ、と。

ビール、はい、こちらに、と、まあ出るは出るは思いのままである。
果たして、このまま行ったら飛行機に乗る前からベロンベロン。
つまみも取り放題、と言っても、スナックにオリーブぐらいしかないのだが。

と言う訳で、ふん、ビジネスクラスか。なかなかやるな、

とは思っても見た。
が、しかし、だからと言って、
別に嬉しい訳でもはしゃいだ気分になるわけでもない。

この場所では、
そんなこと、当然、という顔をしていることが、
義務付けられているからだ。

という訳で、
ほろ酔い気分のアドマイヤーラウンジ、
だからと言って、
おい、DJ、そんなチキチキテクノなんかかけてないで、
もっと威勢のいいやつ、
そうだ、ガンズとか、ストテン、とか、
そうだ、ストーンズかけろ、一緒に歌ってやるから、

なんてくだをまける訳でもない。

という訳で、静まり返った出発前のひととき。

ああ、こんな中で犬の写真など見ていたら気分が沈んできた。

ビジネスクラスの特権だと、知ったことか。
俺は俺らしく格安貧民ラウンジに戻るとしよう。

XIMG_7367.jpg

プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾歳月
世界放浪の果てにいまは紐育在住
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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無断丸々転載・そのまま転写はご勘弁ちょんまげ

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