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そして辿り着いたニューヨーク

Posted by 高見鈴虫 on 05.2006 ニューヨーク徒然   0 comments   0 trackback
そして辿り着いたニューヨーク。
ミッドタウン47丁目。

見上げれば摩天楼の渓谷。
夜空一杯に広がる四角い星屑のその一つ一つに
それぞれの、しかし結局はみんな似通った、
愛と憎悪と欲望と絶望のドラマが繰り広げられているなんて、
ああ人間って、かくもおかしくも悲しく愛らしい動物なのか、
なんて、ちょっと無常観を感じてしまったのは俺だけではない筈。

まずはこの窓のどれか一つにでもしがみついて、
そこを足がかりに登って登ってバベルの塔。
まずはビバーク。
とりあえずは腹ごしらえ。
いつものようにスバロピザの紙皿に一枚のスライス。
頬張りながら改めて見上げる摩天楼の渓谷。
ここが世界の中心なのか、あるいは吹き溜まりか。
こうしている今も、
目の前をまるで鉄砲水の濁流のように流れて行く、人人人、人の群れ。
うかつに足を踏み出せば、
そのまま飲み込まれてしまいそうで。

あんたたち、
そんなどうでもいい顔をしていながら、
少なくともその誰もが、
取りあえずはどこかこの窓の一つに足がかりを持っている訳なんだね、
なんてさ。
ふと足元がなんとも寒々しい気がして。

ああこんな時、
柄にもなく誰かと話がしたいなんて思うのだが、
この街で知った人間は、
たった今面接を受けてきた某社某面接担当官、ただ一人。
ああ、見上げれば摩天楼の渓谷。
氷色をしたカレイドスコープのその中心。

生まれてから、
これほどに心細い思いをしたことがなかったな、
なんて、
食べ終わったピザの紙皿、
手の中に丸めてゴミ箱にシュート、
ナイス・イン、3ポイント!

さあ立ち上がろう。
摩天楼ビバークの一日目。
この街で初めて俺に話し掛けてくる奴って、
いったいどんな奴なんだろうな、
と改めてコーラを啜る、
ニューヨークミッドタウン47丁目、午後9時。
右に行くべきか左に行くべきか。
旅立ちのテーマ曲は、
もちろん、WELCOME TO THE JUNGLE。
そう、そうこなくっちゃな。


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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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