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HEAD-ON 愛より強し

Posted by 高見鈴虫 on 19.2007 読書・映画ねた   0 comments   0 trackback
会社の女の子から、
いきなりお勧めDVDってなメールを貰って観て見た映画。
HEAD-ON。
日本語の題名を調べたら、
愛より強し・・・(爆!!!!なんだそれ、と。
ああ確かに、この題名じゃあ、
薦められでもしなければ観なかったな、と。

で、観てみたら。
うーん、と。
身につまされるとはこのことか、なんて。
落ち込みまくってソファから立ち上って
リモコンのスイッチを消すことさえ出来なくなって一言。
あいつ、なんでこんな映画を薦めやがったのかな、と。
つまり、これ、俺ってこと?なんて、格好良すぎ?

で、とりあえず筋書き。

舞台はドイツ・ハンブルグ
完全に人生にどんづまった中年パンクス
虐げられたトルコ系の移民。
その夜も完全な自暴自棄状態。
なんの歯止めもないままに泥酔の果てに自殺を図る。
が、図らずも命を取り留めた入院先の病院で、
自殺未遂で担ぎ込まれた少女からいきなり、結婚して欲しい、と頼み込まれる。
あまりに保守的トルコ人家庭から逃げ出すためには、
他のトルコ人を探して偽装結婚をするしかない、との作戦。
最初は冗談まじりに聞き流していたのだが、
突然目の前で手首を切られ、
血しぶきのなかで少女の固い意志を知る。
つまり、気に入ったのだ。
そんな二人は偽装結婚をし、オトコは相変わらず無頼な暮らしを、
少女は念願の自由奔放な夜遊び生活を開始するのだが、
そこにひとつの間違いが発生する。
自由を得た少女が、自由を確保するために
唯一絶対に自由にすることのできなかい人間、
   との間にいつしか愛が芽生え始めてしまったのだ。
破滅を前提とした無頼派、つまりは似たもの同士の二人が
ここに究極のHEAD-ON=ガチンコを繰り広げることになる。




テーマは自由である。
自由を得るために破滅が待っていても
あえて自由を選択する、
という美意識というか心意気、
そこにロマンがある、
ということなのである。

がしかし、
時として、自由があまりにも破滅と背中合わせである状況が
多々存在してしまう場合、
ともすると、
自由が破滅と同意語、ととられてしまい勝ちだ。
よって、主人公は破滅を覚悟した上で自由に向けて突き進む。
まさにHEAD-ONである。
ガチンコ=さし、という意味だ。

もしも誰とでも寝たい、
と、ただそれだけが望みであったとすれば、
なにもそこまでしなくても、
隠れてこそこそやっていればいいのに、と思うのだが、
敢えてそうしなかったところに、
やはりHEAD-ONがある。
逃げ隠れするよりはガチンコを選んだのだ。
つまり、
奔放なセックスだけが目的ではなく
つまり自由、ともすると、
ガチンコそのものが目的であった、と言える。

自殺を図ったどん詰まりの中年パンクス。
典型的な破滅型の美学を追い求める限り、
遅かれ早かれやってくるのは破滅さえもできない
究極的などん詰まり、である。
世界を変えることができなければ、
自分を変えるしかない、
それに気づかす、いや、気づいてはいるが
負けを認めるようで従えなかった自分を変える、
という方法、
壊した物は、壊した時にはいいのだが、
遅かれ早かれそれを直さなければいけないのだ。
投げるのはいいが、
投げた後にも投げた後の人生、という奴が待っている。
壊して投げてを繰り返した後には、
もうどうしようもなく修復の可能性の無い、
ともすると投げる物さえも無い人生が待っている。
という訳で、選択した方法、
世界を終わらせることができなければ、
自分を終わらせるしかない、というわけだ。

そこで2人が出会う。
破滅を前提とした二人が、
思わぬ自分の姿を相手の中に見出して、
そこで初めて構築を意識する。
が、意識しながら、その罠にはまることを恐れて
抗い、逃げ続ける。

その果てにあったもの、それは破滅。
世界でも人生でもなく、アイデンティティの破滅、である。
真の破滅とは、もっとも望むもの、
つまり最も愛する人を手放さざるを得ないという状況。
つまり、究極の破滅、破滅的な人生を選択したが故に破滅するに至った
その必然の罠に対してである。
そして二つの魂の抜け殻が残って、物語は終わる。

なぜ人は破滅に向かうのか、
という問いに対して、
なぜ人は自由を求めるのか、
と問い返すのは詭弁だ、とあえて言いたい。

自由と破滅は同意語ではない、
と、この生き残ったパンクスは敢えて言いたい。
破滅しない自由というもが必ず存在する筈なのだ。

ただ、
破滅を前提としていない自由は
つまらない、かもしれないが。





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プロフィール

Author:高見鈴虫
日本を出でること幾年月。
世界放浪の果てにいまは紐育在住。
人種の坩堝で鬩ぎ合う
紐育流民たちの日常を徒然なく綴る
戯言満載のキレギレ散文集

*お断り 
このブログ記事はフィクションであり実在の人物・団体とは一切関係ありません藁

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